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イタリア・ルネサンスの版画 -ルネサンス美術を広めたニュー・メディア-

イタリア・ルネサンスの版画 -ルネサンス美術を広めたニュー・メディア-
常設展&平成14-18年度新収蔵版画作品展
『イタリア・ルネサンスの版画』看板
【イタリア・ルネサンスの版画】
日本人は版画に親しみがあるらしい。
何故かといえば、日本家屋は油彩画等の絵画を飾るには向いておらず、版画が丁度良いからなのだとか。“ごあいさつ”にはそのようなことが書いてあった。(うろ覚えなのであしからず…)。確かに浮世絵も版画であるし棟方志功も版画だし、やはり日本人には馴染みが深いのかもしれない。
この展示では大半が“エングレーヴィング”で、“エッチング”と“木版”が何点かある程度だ。製作工程も貼ってあったのだけれど版画のことはよく分からない(^^;)とにかく銅版を溶液に浸して腐食させることがミソらしい。削られた部分はコーティングが剥げているので酸性の溶液に浸ける事で腐食する。溶液に浸ける時間の長さによって線の太さが変わるのだとか。(カタログを買わなかったので曖昧です。間違っていたらごめんなさい…)。
私が版画を見る機会があるのは、歴史や刑罰史を扱った本でだ。あとは何かの本の挿絵で見ているのかもしれないが、そんなに記憶にない。版画で描かれた絵にあまり興味を持たなかったせいもあるのかもしれない。特に刑罰を扱った本ではグロテスクな版画が多いので、気分が良いものでもなく素通りしている状態だったと思う。
現代のような印刷技術がなかった当時、版画という技術は画家たちにとってすばらしく重宝するものだったようだ。
この展示ではラファエロの原画をモチーフに作られた版画も多数ある。
これは版画の技法が美術作品制作として着目されたため、画家が自らの作品を宣伝する(流布させる)ためにも利用したことにあるのだとか。瓦版みたいなものだろうか?とも思うが、版画によって庶民にも作品(素描)情報が伝わったのだそうだ。
作品全体を観ていると初期(15世紀後半)に比べて16世紀後半の作品のほうが技術が向上しているのか作家の質が上がったのかは分からないが、レベルアップしているように見えた。
『ヴェネツィア鳥瞰図』は木版でありながらも非常に緻密でスケールも大きい。ヘリコプターのない時代に鳥瞰図を作るのにはどれだけの労力と想像力が必要であったのか考えてしまう。3年の月日を掛けて制作されていて24枚から構成されていた。一部の建物にはちゃんと名称が記されていてどこに何が建っているのかもだいたい分かるようになっている。(文明の進化とはいえ航空写真でパチリというのも風情がないなあと思ってしまうが、現代の時間の流れで3年も掛かったらクライアントから苦情ものだろうなあ…。
気に入った作品はアルブレヒト・デューラー作の『大きな馬』。絵もそうだが線も、線の動きもデューラーの作品がこの中ですばらしく群を抜いていると思う。他の作家が模倣するのも無理はない。『大きな馬』は馬が見事。尾っぽの毛の流れ具合も自然でありながら、巻いたところが凝っている。人物の横顔も愛嬌があって面白い。背景の描き込みのすばらしさもデューラーの魅力であると思う。
版画作品はコミックにも通じているのではないかと思える。
線で表現しなければならない所や点描、網掛けでの影の表現がスクリーントーンを彷彿とさせる。線の強弱で動きが出るところもコミックイラストと類似しているのではないだろうか?版画技術がコミックの原点のようにも思えてしまった。手塚治虫漫画の背景も版画技術の要素があるような気がする。

『The Gates of Hell』 Rodin
【常設展】
久しぶりに常設展へ(最後に観たのは2001年頃だったか)。久々なためと2004〜2006年に収蔵された作品があったので、何だか全体的に目新しく映った。
常設展は「彫刻」、「18世紀末頃までのオールドマスターの絵画」、「松方コレクションとフランス近代絵画」、「20世紀絵画」に分かれている。
ワタクシのお目当てといえば“18世紀末頃までのオールドマスターの絵画”、ここがいちばん好きなのだ。ちなみに新収蔵作品もこのスペースのものが増えた。
いちばんのお気に入りは『聖アントニウスの誘惑』ダフィット・テニールス(子)の作品。聖アントニウス以外はみな“誘惑”だ。悪魔であったり美女であったり変てこな生き物であったり、誘惑はさまざまに姿かたちをかえて登場している。しかし誘惑である変てこな生き物の目は意外にもつぶらで可愛い。愛嬌があって憎めない顔をしている。とても賑やかな画面なのにまとまりがある。聖アントニウスの表情も何ともいえない。彼は誘惑に負けてしまうのかどうなのか、この先が気になるところだ。この作品の前には合計3回も立ち寄ってしまった。ぐるぐる回ってついついここにたたずんでしまうのだ。常設展は写真撮影OKなので出来れば今度撮影したいのだが、果たして綺麗に撮れるのだろうかと心配だ。照明具合で変に反射しそうな気がするのだけれど。
ラ・トゥールの作品は見れば見るほど恐い。恐いというか気味悪さが滲み出ているような気がしてならない。
マリー=ガブリエル・カペの自画像の写実性の高さといったらない。22歳の若さでどうしてこれほどの素晴らしい絵が描けるのかと思ってしまう。レースやサテン生地、布の透け具合が特に素晴らしい。若さと美しさと才能に満ちみちた彼女の自画像には自信が溢れている。
ヤン・ブリューゲルの森林風景画は緻密なことこの上ない。葉の一枚一枚から木の皮のでこぼこ具合、土の質感まで全てが描き出されている。アブラハムとイサクがメインなのだろうが、背景の森林にばかり目がいってしまう。
途中で(オールドマスターから出た後だと思う)藤田嗣治の『或る女』がひっそりと飾ってあった。あぶなく通りすぎてしまうところだった。やはり乳白色の肌が美しい。しばらく立ち止まり見入ってしまった。「20世紀絵画」にはギュスターヴ・モローの作品も展示してあった。2005年にギュスターヴ・モロー展へ行って以来観ていなかったのだが妙に懐かしい感じがしてしまった。(ギュスターヴ・モロー展

国立西洋美術館前
【平成14-18年度新収蔵版画作品展】
本日は盛りだくさんだ。常設展の途中にはこの「平成14-18年度新収蔵版画作品展」が催されていた。企画展に合わせてなのかと思ったが6月3日まで観られるようだ。これは新館2階の版画素描展示室で行われている。
展示作品はデューラーからムンク、ピカソまで。ムンクとピカソは1枚ずつだが。巨匠もエッチングに手を出しているんだなあ。
ここでもやはりデューラーの作品がキラリと光っている。『魔女』、『書斎の聖ヒエロニムス』の2作が特に目を惹いた。なかでも『書斎の聖ヒエロニムス』は一見の価値ありだ。『ばったのいる聖家族』はバッタがどこにいるのか探してしまうくらい端にいる。タイトルも平仮名で「ばった」だったので実はバッタのことではないのかと思ってしまった。しかし端っこにいたので、“ばった”はやはり“バッタ”のことらしい。あまり聖家族との係わりが感じられないのだが。
もう一人、ハンス・ゼーバルト・ベーハムという作家の『聖マタイ「四福音書記者」』(4点連作)がサイズは小さいながらも精細に描写されていて素晴らしい作品だった。
・・・・とまあ、本日はこんな感じで3時間くらい美術館に居据わっていました(^^)楽しかった!
【版画作家のこと】 平成14-18年度新収蔵版画作品展の目録、作家解説を参照させていただきました。
アルブレヒト・デューラー−Albrecht DÜRER−
(1471-1528)
ニュルンベルク出身。
ドイツを代表する画家、版画家。
主な作品『黙示録』(連作木版画集)、『騎士と死と悪魔』、『書斎の聖ヒエロニムス』、『メランコリアI』など。
ハンス・ゼーバルト・ベーハム−Hans Sebald BEHAM−
(1500-1550)
ニュルンベルク生まれ。
版画、写本装飾、ガラス絵の下絵などで活躍。
イタリアルネサンスの版画展:2007年3月6日[火]〜5月6日[日]
平成14-18年度新収蔵版画作品展:2007年3月6日[火]〜6月3日[日]
〒110-0007 東京都台東区上野公園7-7

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