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男の娘という不思議な存在

 近頃では「男の娘(おとこのこ)」というものがジャンルの勢力を徐々に拡大してきている。端的にいえば女装をした男のことなのだが(これは大雑把な説明であり、細々とした異論反論の類はあって当然だが)、昔から少女系小説やボーイズラブ界隈では特に珍しくはない設定だった。ただ、それらを指す単語として男の娘というものが出てきただけのことだ。この辺り、数年前に出現して今や定着した感のある「ツンデレ」と似ている。こちらもそういった雛形に収まったキャラクターは昔からいた。もっとも、この言葉に寄りかかっていささか極端に誇張されたものが増えた感は否めないが。
 もう少し遡ってみれば、日本文学には平安時代後期に成立した「とりかえばや物語」という女装少年と男装少女を題材にしたものがある。さらにそれを少女系ライトノベルに翻案した氷室冴子の「ざ・ちぇんじ〜新釈とりかえばや物語〜」や、さらにそれを山内直美がコミカライズしたものさえある。これがなかなかに面白く、特に漫画の方は他人に勧められる。ライトノベルの方も古臭いイラストにさえ目を瞑れば十分に楽しめる。
 そして最近出版された松本ミトヒの漫画「クラスメイトの女装を手伝ったら可愛すぎて震えが止まらない件」が個人的になかなか楽しめたので、取り上げてみたい。七本の短編(うち三本は連作)が収められているのだが、どれも「女装が好きだから」という理由で女装しているわけではない辺りに好感が持てる。単なる性癖だとすれば変態と区別するのが難しい。「男の娘(ただしイケメンに限る)」というような悲劇的な差別は美しくない。
 かてて加えて、嫌々であったり成り行きであったりから始まる男の娘が徐々に染まってゆく過程は、一種の背徳感すら醸し出している。毒も少量であればスパイスに成り得るという好例である。
 絵も巧く、特にデフォルメされたものは珍妙な可愛さがあり、少女漫画にありがちな刺さりそうなほどに鋭角なアゴといったウンザリさせる様式美とは一線を画している。どこかで見たことのある様々なコスプレのパロディだけで一本描いてしまったような話もあるが、絵柄のおかげか内容はからっぽにも関わらず不快感がないのは好材料。両脚の間もふっくらと描写されているが、決してエロ漫画ではないのでモロな表現はない。隠れているからこその素晴らしさは欠片も損なわれていない。男の娘入門書としては悪くないと思われ、値段も手ごろである。









現代の男の娘と。     

クラスメイトの女装を手伝ったら可愛すぎて震えが止まらない件 〜松本ミトヒ。 オトコの娘作品集〜 (ミリオンコミックス80)




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平安時代の男の娘。

とりかへばや物語 ビギナーズ・クラシックス 日本の古典 (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス 日本の古典)




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