2018年10月09日
国家試験解説「食べ物と健康(No.52)」
Q52.油脂の物理化学的性質に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)けん化価は、構成脂肪酸の不飽和度を示す。
(2)ヨウ素価は、構成脂肪酸の平均分子量を示す。
(3)酸価は、油脂中の遊離脂肪酸量を示す。
(4)屈折率は、油脂の酸化により低下する。
(5)粘度は、油脂の酸化により低下する。
【解説】…正答(3)
(1)誤り。けん化価は、構成脂肪酸の平均分子量を示す指標である。
分子量の小さい脂肪酸を多く含む油脂では値が高く、
分子量の大きい脂肪酸を多く含む油脂では値が低い。
(2)誤り。ヨウ素価は、構成脂肪酸の不飽和度を反映する。
ヨウ素価が高いほど二重結合が多く、不飽和度が高いことを示し、
酸化されやすい油脂であるといえる。
(3)正しい。油脂の酸化が進むと、アシル基が加水分解して遊離脂肪酸を生じるため、酸価は上昇する。
(4)誤り。屈折率は、構成脂肪酸bの種類によって決まる特徴である。
長鎖・不飽和脂肪酸が多く含まれるほど、また酸化が進むほど油脂の屈折率は高くなる。
(5)誤り。油脂の酸化に伴い重合物が増加するため、粘度は上昇する。
【このカテゴリーの最新記事】
-
no image
-
no image
この記事へのトラックバックURL
https://fanblogs.jp/tb/8022140
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。
この記事へのトラックバック
お返事遅くなってしまってごめんなさい。
油脂の性質に関してのご質問でしたね。
まず、「酸化」、「けん化価」、「ヨウ素価」というのは油脂の評価をするのにとても重要な指標と考えてください。
油脂の分析には、他にも「水酸基価」というのがありますね。
国家試験で出題されることはあまりないかと思いますが。
それぞれの指標の評価に関しては、問題の解説の通りです。
ご質問の内容は、「酸化が進むほど…」についてですね。
油脂の酸化というのはイメージできますか?
まずは、スーパーで販売されている油をイメージしてみましょう。
スーパーで売られているような未開封の新鮮な油は、褐色しておらず透明の油です。
これは、酸化が少ないからです。
ちなみに、スーパーで売られているような食用油は製造後一年の賞味期限であることが多いですね。
光や熱や酸素によって酸化されると油は黄色く(着色)なってきます。
そうすると、油脂の分析である酸化価も上昇してきます。
つまり、「酸化が進むほど…」というのは、「光や熱や酸素によって酸化されてくると」
と考えてみてはいかがですか?
まだ分からないという場合はまたご質問くださいね。
erina