2017年09月26日
R腎・尿路系【ポイント】
今日は、「腎・尿路系」についてお話します。
【腎臓の構造と機能】
腎臓は身体の背側、横隔膜の直下にありソラマメ形の臓器で左右1対からなります。
腎臓の機能単位をネフロン(腎単位)といい、腎小体と尿細管からなります。
腎小体は糸球体とボーマン嚢から構成されます。
尿細管は近位尿細管、ヘンレループ、遠位尿細管からなります。
各ネフロンで生成された尿は集合管で合流し、腎盂から尿管へと移行します。
〇腎臓の機能
・尿の生成(老廃物の排泄)
・循環血液量と体液浸透圧の調整
・血圧の調整
・血漿電解質濃度の調整
・血漿pHの調整
・レニンやエリスロポエチンなどの生理活性物質の産生・放出
・ビタミンDの活性化
尿の生成は、糸球体濾過と尿細管再吸収・排泄(分泌)という2段階を経て行われます。
糸球体濾液(原尿)の量は160〜180L/ 日であるが、尿として体外へ排泄されるのは1〜2L/日に過ぎず、
99%以上が尿細管で再吸収されます。
・バソプレシン:下垂体後葉から分泌されます。
集合管における水の再吸収を促進します。
激しい発汗や脱水などにより体内の水分が不足し、
血漿浸透圧が上昇された時に分泌されます。
ナトリウムの再吸収に伴って、循環血液量が増加するために血圧が上昇します。
・アルドステロン:副腎皮質から分泌されるアルドステロンは、遠位尿細管〜集合管に作用し、
ナトリウムの再吸収とカリウムの排泄を促進します。
循環血液量の減少などにより血圧が低下すると、
レニンーアンギオテンシン系と介して分泌が促進されます。
ナトリウムの再吸収に伴って、循環血液量が増加するため、血圧が上昇します。
【電解質異常】
【急性糸球体腎炎】
扁桃炎、咽頭炎などの上気管感染後、10〜14日を経て発症する糸球体の組織障害です。
体内に侵入して来た抗原に対し抗体が産生され、免疫複合体をなって血中を流れ、
腎臓の糸球体に沈着することにより起きます。
3〜10歳の男児に多くみられます。
症状は血尿、浮腫、高血圧、蛋白尿、血尿です。
食事療法は塩分制限(3g/日)と水分制限とタンパク質制限です。
【IgA腎症】
何らかの原因で糸球体沈着性のIgAが血液中に増加し、糸球体メサンギウム領域に沈着し、
腎障害を生じる疾患で、慢性腎炎症候群を呈することが多くみられます。
進行期は安静、保温、食事療法、薬物療法が基本です。
【ネフローゼ症候群】
何らかの原因にとり糸球体基底膜が肥厚し、
たんぱく浸透性が亢進するため大量のたんぱくが尿中に排出される疾患です。
症状は高度のたんぱく尿、低アルブミン血症、浮腫、脂質異常、血液凝固能亢進、易感染性。
食事療法は、塩分制限(浮腫が著しい時は0〜4g/日、通常は3〜5g/日)。
【急性腎不全】
種々の原因で急激な腎機能の低下をきたす症候群で、
単一ネフロンあたりの糸球体濾過値が低下します。
腎前性腎不全と腎性腎不全と腎後性腎不全があります。
治療は薬物療法と透析療法と食事療法があります。
【慢性腎不全】
腎機能低下が数か月以上にわたって持続し、体液の恒常性維持が不可能となった状態です。
〇腎不全による異常
・水・電解質の異常
・窒素成分を含む老廃物、毒素などの排泄異常
・酸・塩基平衡の障害
・エリスロポエチンの産生障害
・ビタミンDの活性化障害
・尿濃縮能の低下
・免疫能の低下
【慢性腎臓病(CKD)】
慢性腎臓病(CKD)は、単一の疾患概念ではなく。原疾患を問わない慢性に経過する腎臓病を包括する疾患群。
〇定義
@尿異常、画像診断、血液、病理で腎障害の存在が明らか、
特に0.15g/gCr異常のたんぱく尿の存在が重要。
AGFR<60mL/分/1.73u
@、Aのいずれか、または両方が3ヵ月以上持続する。
〇食事療法
【血液透析・腹膜透析】
腎不全となった腎臓の機能を代行させる方法として、透析療法があります。
新規透析導入の原因は、第1位は糖尿病腎症、第2位は慢性糸球体腎炎、第3位は高血圧による腎硬化症です。
〇血液透析
血液を体外に循環させ、人工透析膜を介して血液中の洋室と水分を除去する方法です。
慢性腎不全に対する維持血液透析は、通常1回4〜5時間、週2~3回施行されます。
<合併症>
・不均衡症候群
・感染症
・肝炎
・循環器系障害
・腎性骨異栄養症
・透析アミロイドーシス
・貧血
・出血傾向
・中枢神経症状
・シャントトラブル
<食事療法>
適切なエネルギー、バランスのよいたんぱく質、塩分制限、水分制限、低カリウム、低リン食
〇腹膜透析
半透明の性質を有する腹膜と透析膜として利用するもので、腹腔内にカテーテルを留置し、
浸透圧差を用いて血液中の溶質と水分を除去する方法です。
<食事療法>
適切なエネルギー、バランスのよいたんぱく質、塩分制限、水分制限、低リン食とします。
なお、エネルギーについては、透析液から吸収されるエネルギー分を差し引く必要があります。
【尿管結石症】
尿路結石症の1つで、腎乳頭部で産生された結石が尿管内に加工し、嵌入した疾患です。
結石予防のために水分を多量に摂取し、シュウ酸カルシウム結石の場合には、シュウ酸を控えます。
次回、問題を出題します。
【腎臓の構造と機能】
腎臓は身体の背側、横隔膜の直下にありソラマメ形の臓器で左右1対からなります。
腎臓の機能単位をネフロン(腎単位)といい、腎小体と尿細管からなります。
腎小体は糸球体とボーマン嚢から構成されます。
尿細管は近位尿細管、ヘンレループ、遠位尿細管からなります。
各ネフロンで生成された尿は集合管で合流し、腎盂から尿管へと移行します。
〇腎臓の機能
・尿の生成(老廃物の排泄)
・循環血液量と体液浸透圧の調整
・血圧の調整
・血漿電解質濃度の調整
・血漿pHの調整
・レニンやエリスロポエチンなどの生理活性物質の産生・放出
・ビタミンDの活性化
尿の生成は、糸球体濾過と尿細管再吸収・排泄(分泌)という2段階を経て行われます。
糸球体濾液(原尿)の量は160〜180L/ 日であるが、尿として体外へ排泄されるのは1〜2L/日に過ぎず、
99%以上が尿細管で再吸収されます。
・バソプレシン:下垂体後葉から分泌されます。
集合管における水の再吸収を促進します。
激しい発汗や脱水などにより体内の水分が不足し、
血漿浸透圧が上昇された時に分泌されます。
ナトリウムの再吸収に伴って、循環血液量が増加するために血圧が上昇します。
・アルドステロン:副腎皮質から分泌されるアルドステロンは、遠位尿細管〜集合管に作用し、
ナトリウムの再吸収とカリウムの排泄を促進します。
循環血液量の減少などにより血圧が低下すると、
レニンーアンギオテンシン系と介して分泌が促進されます。
ナトリウムの再吸収に伴って、循環血液量が増加するため、血圧が上昇します。
【電解質異常】
【急性糸球体腎炎】
扁桃炎、咽頭炎などの上気管感染後、10〜14日を経て発症する糸球体の組織障害です。
体内に侵入して来た抗原に対し抗体が産生され、免疫複合体をなって血中を流れ、
腎臓の糸球体に沈着することにより起きます。
3〜10歳の男児に多くみられます。
症状は血尿、浮腫、高血圧、蛋白尿、血尿です。
食事療法は塩分制限(3g/日)と水分制限とタンパク質制限です。
【IgA腎症】
何らかの原因で糸球体沈着性のIgAが血液中に増加し、糸球体メサンギウム領域に沈着し、
腎障害を生じる疾患で、慢性腎炎症候群を呈することが多くみられます。
進行期は安静、保温、食事療法、薬物療法が基本です。
【ネフローゼ症候群】
何らかの原因にとり糸球体基底膜が肥厚し、
たんぱく浸透性が亢進するため大量のたんぱくが尿中に排出される疾患です。
症状は高度のたんぱく尿、低アルブミン血症、浮腫、脂質異常、血液凝固能亢進、易感染性。
食事療法は、塩分制限(浮腫が著しい時は0〜4g/日、通常は3〜5g/日)。
【急性腎不全】
種々の原因で急激な腎機能の低下をきたす症候群で、
単一ネフロンあたりの糸球体濾過値が低下します。
腎前性腎不全と腎性腎不全と腎後性腎不全があります。
治療は薬物療法と透析療法と食事療法があります。
【慢性腎不全】
腎機能低下が数か月以上にわたって持続し、体液の恒常性維持が不可能となった状態です。
〇腎不全による異常
・水・電解質の異常
・窒素成分を含む老廃物、毒素などの排泄異常
・酸・塩基平衡の障害
・エリスロポエチンの産生障害
・ビタミンDの活性化障害
・尿濃縮能の低下
・免疫能の低下
【慢性腎臓病(CKD)】
慢性腎臓病(CKD)は、単一の疾患概念ではなく。原疾患を問わない慢性に経過する腎臓病を包括する疾患群。
〇定義
@尿異常、画像診断、血液、病理で腎障害の存在が明らか、
特に0.15g/gCr異常のたんぱく尿の存在が重要。
AGFR<60mL/分/1.73u
@、Aのいずれか、または両方が3ヵ月以上持続する。
〇食事療法
【血液透析・腹膜透析】
腎不全となった腎臓の機能を代行させる方法として、透析療法があります。
新規透析導入の原因は、第1位は糖尿病腎症、第2位は慢性糸球体腎炎、第3位は高血圧による腎硬化症です。
〇血液透析
血液を体外に循環させ、人工透析膜を介して血液中の洋室と水分を除去する方法です。
慢性腎不全に対する維持血液透析は、通常1回4〜5時間、週2~3回施行されます。
<合併症>
・不均衡症候群
・感染症
・肝炎
・循環器系障害
・腎性骨異栄養症
・透析アミロイドーシス
・貧血
・出血傾向
・中枢神経症状
・シャントトラブル
<食事療法>
適切なエネルギー、バランスのよいたんぱく質、塩分制限、水分制限、低カリウム、低リン食
〇腹膜透析
半透明の性質を有する腹膜と透析膜として利用するもので、腹腔内にカテーテルを留置し、
浸透圧差を用いて血液中の溶質と水分を除去する方法です。
<食事療法>
適切なエネルギー、バランスのよいたんぱく質、塩分制限、水分制限、低リン食とします。
なお、エネルギーについては、透析液から吸収されるエネルギー分を差し引く必要があります。
【尿管結石症】
尿路結石症の1つで、腎乳頭部で産生された結石が尿管内に加工し、嵌入した疾患です。
結石予防のために水分を多量に摂取し、シュウ酸カルシウム結石の場合には、シュウ酸を控えます。
次回、問題を出題します。
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