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2023年11月17日

おいしいボタニカル・アート展(広島県立美術館)に行ってきました

窓の描き方編の連載途中ですが、今回はちょっと私の個人的な覚え書きになります。

(書きかけの記事まだー?と言われそうですがちょっと気分転換に書きます。会期が11月26日までなので早めに公開したかったのです。)


先日になりますが、広島県立美術館の「英国キュー王立植物園 おいしいボタニカル・アート 色を彩る植物物語」に行って参りましたのでその時のことをレポートしたいと思います。


広島県立美術館の公式サイトはこちらです。

広島県立美術館は広島電鉄の路面電車で行くと八丁堀電停で白島線に乗り換えて縮景園前電停で降りればすぐです。


広島電鉄の乗換え制度は知らないと損なので、現金派の方は事前にこちらをご確認ください。ICカード払いの方は自動で乗り換え運賃が適用されます。

今回私はこちらを使ったので、降車時に画面提示で良かったんですけど、画面出すのに少し時間がかかるので、乗ったらすぐに画面を出して開いたままにしておいた方が安心です。

ゲートの横に特別展と常設展の垂れ幕がかかっていました。


おいしいボタニカル・アート 垂れ幕
おいしいボタニカル・アート
植物がアートになるとき 垂れ幕
植物がアートになるとき
ダリに会える 広島県立美術館 垂れ幕
ダリに会える 広島県立美術館

もう垂れ幕から期待大でテンションが上がります。常設展でダリにも会えるよ!


広島市には広島に親戚が住んでいるので過去に何回か来たことがある(覚えてるだけでも4回以上は来てる)のですが、広島県美に来るのはこれが初めてです。

広島県美は特別展が3F、常設展が2F です。受付、休憩コーナー、常設のミュージアムショップやカフェ、レストラン、図書室が1Fです。B1Fは今回行ってないんですが、県民ギャラリーや講堂があります。とにかく広い。めっちゃ広い。


3Fに上がって今回のお出かけの目的である「おいしいボタニカル・アート」展を鑑賞しました。

入口の看板がとても、おしゃれ。

ボタニカル・アート展のチラシのデザインそのままなんですけど、文字の部分が立体的になっているのが写真で分かるでしょうか?

おいしいボタニカル・アート展 入り口
おいしいボタニカル・アート展 入り口

このボタニカル・アート展のチラシのデザインに一目惚れして「見に行こ!」と思ったのでチラシのデザインって重要ですよね。

元絵の作者もめちゃくちゃいい仕事してますが、このチラシを作ったデザイナーさんもとてもいい仕事してます。時を超えたいい仕事のコラボ、素晴らしいです。


横にもフォトスポットがあって印刷されたボタニカル・アートのステッカーを手に持って写真が撮れます。


おいしいボタニカル・アート展 フォトスポット
おいしいボタニカル・アート展 フォトスポット

特別展の概要は公式ページにもあるんですけど、一つずつご紹介していきますね。

エリアによって撮影不可のところと撮影可なところがありますので、展示室の看板でよくご確認ください。


プロローグ 食を支える人々の営み−農耕と市場

このエリアには油彩画や水彩画が多かったです。他のエリアはボタニカル・アート(植物画)がメインなので人が描かれていないのですが、こちらは農作業の場面だったり、市場で果物や野菜を売っている場面だったり、当時の人々の日常を切り取ったような情景が瑞々しい筆致で描かれた作品がありました。

ここのエリアは撮影不可だったので残念ながら写真がないんですが、私の推しはこの二つです。(両方人間は描かれてないけど)


ジョージ・ランス静物(1846年 油彩)
果物を描いた油彩画で、ともかく果物のツヤ感が綺麗でした。

印刷やディスプレイだとその色彩の半分も伝わらないのでぜひ実物を見てほしいです。

ジョージ・サミュエル・エルグッドヒマワリ(1909年 水彩)
ヒマワリって言うと色鮮やかな絵かと思いきや、この絵は涼やかで儚いイメージです。
水彩画と聞くと紙の色が透けている感じかな?と想像されると思いますが、結構厚塗りで斜めから見ると絵の具の塗り重ねた跡が分かります。

エルグッドのヒマワリは絵葉書があったので後で買いました。でも実物のほうが美しい。

ジョージ・ランスもジョージ・サミュエル・エルグッドも作者名で検索をかけるとどんな絵か多分わかりますが、ディスプレイだとかなり色が違うので、実物を見に行った方がいいです。


第1章 大地の恵み 野菜

ここからボタニカル・アート!って感じの作品が目白押しでした。

ボタニカル・アートは元々、写真がなかった頃に作物の特徴を伝える資料や図鑑に載せる挿絵のために描かれたものです。芸術よりも学術研究的な目的で描かれているので、茎や葉っぱの形もよくわかるように精密に描かれています。

版画で刷って(エングレーヴィングとかエッチングとかリトグラフとか)、それに手彩色で色を付けたものが多かったです。


現代でも慣れ親しんだ野菜が多いので身近に感じますね。

品種改良によって昔と今と結構様変わりしたなーって野菜もありました。(トマトとかキュウリとか)

ジャガイモがヨーロッパに伝来した当時、葉や茎を食べて中毒になる人が後を絶たなかった(要約)って説明が書いてあって、ジャガイモのソラニンって怖いことを再確認しました。

そりゃ、何も知らなかったら他の部分も食べちゃうよね。

そういう食中毒事故を防ぐためにもボタニカル・アートが使われた資料や図鑑は大事だったわけです。


第2章 イギリスで愛された果実『ポモナ・ロンディネンシス』

おいしいボタニカル・アート展のチラシの元になった絵の大体はこのエリアで鑑賞できます。

A4チラシの実物には絵の横に小さく数字が振ってあって、左下の部分に小さい文字でどれがどの絵っていう説明が書いてあるので元の絵がどれだか気になる人はチラシを手に取ってじっくり眺めて見ると分かると思います。


ウィリアム・フッカー(イギリスの植物画家)の作品群です。スティップル・エングレーヴィング(点刻彫版)という比較的新しい(といっても18世紀中頃のイギリス)版画の技法が使われています。

ツヤツヤの部分はツヤツヤに、マット(艶消し)な部分はマットに、葉の表と裏の違いとか、桃の産毛とか、質感やその果物の特徴が写真以上に伝わってきます。


イギリス人、リンゴ大好きだったんだね。

とにかく、リンゴの絵が多かったです。品種の特徴とか何に使うためとか事細かに説明書きが付いたリンゴの絵が並べてあります。

当たり前ですが、現代日本では食べられない品種のリンゴばっかりなので味は想像するしかないですがどれもおいしそうです。


あと、桃!イチゴ!サクランボ!ぶどう!プルーン!


どれも思わず食べたくなるような質感でおいしそう!


さっきからおいしそうとしか書いてないですが、実物見たら8割くらいの感想がおいしそう!だと思います。そのくらい緻密に描かれているってことです。

おいしそうな果物を見ると語彙力が低くなるのはしょうがないです。


第3章 日々の暮らしを彩る飲み物

ここからは趣向が変わって、食器やテーブルセットなどのボタニカル・アート以外の展示も増えます。

紅茶、コーヒー、チョコレート、砂糖、アルコールに関する植物画と陶磁器・銀食器・ガラス食器などの展示です。



おいしいボタニカル・アート展 フォトスポット
おいしいボタニカル・アート展 フォトスポット
おいしいボタニカル・アート展 フォトスポット
おいしいボタニカル・アート展 フォトスポット

イギリス人、お茶に命かけてるとこあるよね。

アフタヌーンティーで有名なイギリスですが、もともとは上流階級の人たちが遅い晩御飯(ディナー)前のつなぎのために夕方に軽食とお茶(紅茶)を楽しんだのが由来です。

庶民は晩御飯とともにお茶(紅茶)を楽しんでいました。(ハイティーと呼ばれます。)


華やかなイメージのあるイギリス文化ですが、それには植民地の犠牲の上に成り立っていたということが分かります。美しい展示の内容を見た後に、それに関する説明を読むと、より身に染みます。

実際に目で見た物って、教科書で読んだ情報よりも記憶に残りやすいと思うので世界史の勉強が暗記ばかりで面白くない・実感が湧かないという学生さんにもおすすめの展示です。


第4章 あこがれの果物

ここのエリアはイギリスの国外からもたらされた果物のボタニカル・アートがメインです。

今では色々な輸入果物を手軽に楽しめますが、当時のイギリスでは、温室がなければ育たない自生以外の果物は希少な贅沢品でした。

オレンジやレモンなどもオランジェリーと呼ばれる柑橘類専門の温室が必要でした。今でこそオレンジやレモンもどこでも買えますが、当時は大変だったんですね。


撮影可能エリアだったのでこちらの写真はあります。


ビター・オレンジ
ピエール・アントワーヌ・ポワトー
1807〜1835年 スティップル・エングレーヴィング、手彩色

ビター・オレンジ(ピエール・アントワーヌ・ポワトー)
ビター・オレンジ(ピエール・アントワーヌ・ポワトー)

この絵が好きで、絵葉書もあったので後で買いました。


写真はないのですが、スイカとかココヤシとかの絵はインパクト抜群でした。勢いがすごい。


第5章 ハーブ&スパイス

ここのエリアは料理やお菓子に欠かせないスパイスとハーブ(薬草)のボタニカル・アートがメインです。

今でこそハーブやスパイスは食用や香りづけに使用することが多いですが、当時は殺菌・防虫・保存料・薬品など生活に欠かせない存在だったんですね。

スパイスとハーブは実や根の部分を主に使用する種類も多いため、より図鑑的・写実的な描写です。

特にスパイスは乾燥させたパウダーやシードしか見たことがなかったものが多くて、元がどんな植物なのか理解しやすかったです。

『カルペパー薬草大全』は現代でも十分通じる図鑑としても有用だし、「これぞ、ボタニカル・アート」って感じのおしゃれな絵なのでとても楽しめました。


カルペパーハーブ事典 (フェニックスシリーズ) [ ニコラス・カルペパー ]

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感想(0件)

第6章 ブレジア=クレイ家のレシピ帖と『ビートン夫人の家政読本』

ここのエリアは18世紀末のブレジア=クレイ家のレシピを記したメモと、19世紀に刊行されたベストセラー『ビートン夫人の家政読本』(レシピや食材保管法・テーブルセッティング法などの家庭向け指南書)の展示と、それに関連する食器やテーブルセットなどの展示がメインです。

レシピはおいしいボタニカル・アートの図録を買えば載っているのでメモしなくても大丈夫だと思います。イギリスのお菓子、おいしそうなので気になる方、ぜひ図録を買いましょう。


おいしいボタニカル・アート 食を彩る植物のものがたり [ 英国キュー王立植物園 ]

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感想(2件)


撮影用のテーブルセットも華やかで素敵でした。


おいしいボタニカル・アート展 フォトスポット
おいしいボタニカル・アート展 フォトスポット

順路の途中の壁のポスターにおいしいボタニカル・アート展のオリジナルフォトフレームで写真を撮れるQRコードが載っていたので、撮影可能エリアではぜひこのフォトフレームで撮影してみるといいですよ。

おいしいボタニカル・アート展 フレームで撮影
おいしいボタニカル・アート展 フレームで撮影

ちなみにこれ、通路の壁です。写真撮るの苦手なんで、後で補正かけないとまともな写真にならないんですけどフォトフレームのデザインは好きで残したかったので壁写してきたよね。



おいしいボタニカル・アート展のミュージアムショップは展示室の出口にあります。1F のミュージアムショップには特別展のグッズはなかったので、買い忘れがないようご注意ください。


図録と、絵葉書2枚(ヒマワリとビターオレンジ)、クリアファイル2枚とブックマーカーとミラーを買いました。

ティーセットとかもあったけど、割れ物は持って帰れないからね……。


そんなこんなでじっくり鑑賞と買い物をしていたら1時間半くらいは経っていてびっくりしましたよね。

そのあと常設展の方も回ったので3時間くらいは滞在した計算になります。常設展の内容もすごく良かったので機会があったら紹介したいですね。

市街地にある美術館ですが、縮景園に隣接しているので緑豊かな街のオアシスのようで、とても落ち着けます。

1Fのロビーはガラス張りでソファーがたくさん置いてある広々とした休憩コーナーがあって、縮景園のお庭が見えます。

(時間があったら縮景園も見たかったけど今回時間がないので順路の途中とか、鑑賞が終わってからの休憩中に眺めていました。)

他の階にもガラス張りで縮景園のお庭を見ながら座って休める休憩室が順路の途中に用意されているので、立ちっぱなしで鑑賞していても疲れたら座れます。

次の予定がなければ1日居ても飽きないんじゃないかと思います。ミュージアムカフェやレストランもありますしね。


おいしいボタニカル・アート展の広島での会期は11月26日までとなっております。

とても素敵な特別展でしたので、ご興味のある方はぜひ行ってみてくださいね。


広島遠くて行けないんだけど、という方にはAfternoon Tea LIVINGのキューガーデングッズがおすすめです。


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posted by shokizero at 10:24 | Comment(0) | TrackBack(0) | Diary
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