「私は指導者のポストはなにがしかの気迫を持って獲得しなければならないと感じていた。機が熟したときではなくつかみとるのだ。年功序列のリーダー選びは最悪だ」(トニー・ブレア「私の履歴書」E 日本経済新聞 平成24年1月7日付)
この発言の通り、トニー・ブレアは、43歳でイギリス首相になっています。
順番を待つのではなく、自ら獲得するという姿勢です。
特に、国のリーダーには、トニー・ブレアのような姿勢が求められます。
マキァヴェッリが「他人に勢力を得させる原因を作る者は自ら滅びる」(『君主論』佐々木毅訳 講談社学術文庫 第3章)と厳しく言うように、自分自身が責任を持って勢力なりポストを得ていかなければなりません。
人任せでは自分の出番が来る前に排除されてしまいます。
トニー・ブレアがこのマキァヴェッリの言葉を意識していたかどうかは分かりませんが、いずれにしても、トニー・ブレアの行動は、マキァヴェッリが注意した点を忠実に守っています。
政治の世界は、子供の遊びではないわけですから、マキァヴェッリのような冷徹な視点及び冷静な行動は絶対に必要です。
年功序列でリーダーを選んでよい組織であれば、それでよいでしょうが、国家レベルの政治の世界においては、外国との壮絶な交渉もあり、年功序列のリーダー選びで良いリーダーを選ぶのは無理があるように思えます。
その時に応じたリーダーを選ぶという姿勢でなければなりません。
このことは、若ければよいということを意味せず、場合によっては年配者にリーダーを任せるという選択肢を残しています。
いろいろなリーダーのパターンを許容する国民であれば、時機に適ったリーダーを得ることができるでしょう。
あまり短絡的にならず、政治を観察していきたいものです。