歌舞伎舞踊の人気演目の「京鹿子娘道成寺」は、道行で竹本が入り、その後、長唄が入ります。
舞踊に関しては、変化舞踊の面白さもあり舞踊そのものの素晴らしさもあるのですが、長唄の素晴らしさもあり、その相乗効果で、より一層、面白い舞台になるのだと思われます。
芳村伊十郎(1901〜1973)は、昭和31年に重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定された名人であり、この芳村伊十郎の「京鹿子娘道成寺」は、見事な出来栄えです。
何度聴いても全く飽きがきません。
すんなり耳に入ってくるといった感じです。
名曲、大曲といわれるだけのことはあります。
他の長唄も聴いたことがあるのですが、特別に邦楽好みというわけでもありませんので、「京鹿子娘道成寺」以外の長唄は、さほど良いとは思えませんし、好きにもなれません。
まあ、趣味の問題といえます。
その意味から、この「京鹿子娘道成寺」は完成度が高い作品なのでしょう。
クラシック音楽で例えるならばベートーヴェンの「第九」といったところでしょうか。
歌舞伎舞踊だけでなく、長唄だけの「京鹿子娘道成寺」も楽しんでいきたいと思います。