ニーバー〖Reinhold Niebuhr〗
[1892〜1971]米国の神学者・倫理学者・牧師。「文明は宗教を必要とするか」「道徳的人間と非道徳的社会」など、近代社会とキリスト教倫理に関する著書を多数著した。
『デジタル大辞泉』 小学館
アメリカの神学者であるニーバーの言葉は、非常に示唆に富みます。
O God, give us serenity to accept what cannot be changed, courage to change what should be changed, and wisdom to distinguish the one from the other.
簡単に訳してみましょう。
神よ、
変えることができないことを受け入れる平静さを、
変えるべきことを変える勇気を、
そして、変えることができないことと変えるべきこととを識別する叡智を、
我々にお与えください。
変えることができないことは、他人や、自分ではどうすることもできない社会の制度、風習などですね。このようなことについては、そういうものなのかと受け入れる平静さが重要のようです。
しかし、愚人は、つい、このような変えることができないことに悩み、憤り、くよくよする傾向があるようです。一方、賢人は、まさに、ニーバーに言葉の通りの振る舞いになっていますね。見事なほどです。
変えるべきこととは、自分のことであり、勇気を持って変えていくことが肝要のようです。
愚人は、自分自身が行わなければならない改善行動をなかなか行いません。ああでもない、こうでもないと言い訳ばかりで、何もしないのですね。一方、賢人は、自分で行える改善行動をすぐにしています。
ニーバーの言葉を実践している人は誰なのかと思い返してみますと、田中角栄がその実践者であったことを思い出しました。
くよくよしても仕方のないことは、くよくよしない。やらなければならないことは、万難を排してもやる。これが田中のオヤジです。
早坂茂三『田中角栄 頂点をきわめた男の物語 オヤジとわたし』
我々もニーバーの言葉の実践者となるべきですね。
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