たとい敵人等悪口を吐くといえども、各々当身のこと、一・二度までは聞かざるがごとくすべし。三度に及ぶの時、顔貌を変ぜず、麤言を出ださず、軟語をもって申すべし。「各々は一処の同輩なり。私においては全く遺恨無し」の由これを申さるべきか。
『日蓮大聖人御書全集 新版』1271頁(問注得意抄)
悪口を言う人に絡まれることがありますが、その際、こちらも同じく悪口で対処しますと袋小路に入り、収拾がつかなくなり、結局、こちらも悪いという評価になりやすくなります。いいことがひとつもないのですね。
日蓮の書を見ますと、悪口に対処する方法が書かれていました。
まず、悪口を言われても、一度、二度は、聞かないようにしておくべきであるといいます。
そして、悪口が三度に及んではじめて、対処すべきとするのですが、この際、顔色を変えてはいけないと指摘します。また、粗暴な言葉を使うべきではないといいます。穏やかな優しい言葉遣いでもって、「私は、あなた方に対し、恨みは一切ありません」という旨を述べておけばよいといいます。
要は、悪口に対し、まともに相手をするなということですね。相手のペースに合わせるのではなく、こちらのペースで物事を進めていけばいいということです。そして、相手を恨むことなく堂々としておけばよいのですね。
そもそも悪口を言っている方が悪いわけで、こちらも一緒に悪くなる必要性は全くありません。ほっておけばよいのですね。