人間にとって能力、才能は必要であり、また、家柄、人脈、出世も重要であり、運も大切ですが、最終的に人間にとって必要で重要で大切なものは、覚悟と思われます。
能力、才能は今一つ、家柄、人脈もなく出世せず、運にも見放されていようとも、そんなことはどうでもよく、覚悟があれば、自分自身の人生を全うできます。
現今、社会の閉塞状態に押し潰され、不安を抱えている人も多いでしょうが、不安は不安でも、やみくもに不安になっている場合、その人には覚悟がないものと思われます。
精神的にまいっている人をよくよく観察してみると、不勉強であったり、思い上がっていたり、偏見があったり、何でも人のせいにしたり、欲望が強すぎたり、不平不満だらけであったりと、それなりの原因があり、精神に不調をきたしています。
しかし、根本的には、自分自身の人生を生き切るという覚悟がないことが主原因と見受けられます。
覚悟とは、どのようなことか。西郷南洲遺訓を通して、稲盛和夫氏が解説しています。
稲盛和夫「敬天愛人 西郷南洲遺訓と我が経営」第7講 覚悟
「【遺訓30条】
命もいらず、名もいらず、官位も金もいらぬ人は、仕末に困るもの也。この仕末に困る人ならでは、艱難を共にして国家の大業は成し得られぬなり。
命もいらぬ、名誉もいらぬ、官位もいらぬ、金もいらぬというような人は対処に困るものである。このような手に負えない大人物でなければ、困難を一緒に分かち合って国家を導く大きな仕事を成し遂げることはできない」(「日経ビジネス」2005年11月14日号109頁)
命が惜しい、名誉が欲しい、出世したい、お金が欲しいでは、ちょっとつまずいただけで不安になるでしょう。
あれも欲しいこれも欲しいとフラフラしていてはいけません。
覚悟を決めることが肝要です。
もちろん、すんなりと覚悟が決まるわけではありませんが、覚悟を決めようとしていく姿勢を保ちつつ、日々、一歩一歩踏みしめる人生でありたいものです。