「ADSL」から「光回線」へ乗り換えると、何がどう変わるの?
光回線の工事って?「ONU」は、モデムやルーターと違うの?
2024年3月末のヤフー終了で使えなくなる「ADSL」から、「光回線」への切り替えを考える場合、「ADSL」と「光回線」の主な違い、設置機器がどのように変わり、ネット環境がどのようになるか等を予め知っておけば、安心して進められますよね。 ご参考になれば幸いです。
T.「ADSL」と「光回線」のネット環境の違い
1.インターネット環境を整えるには
「ADSL」をご使用であればご存知のように、パソコンやゲーム機器などをご家庭で楽しむには、インターネット環境が必要です。
基本的なインターネットの流れは、次の様なイメージ(パナソニック提供)となります。
1)インターネット環境を整えるための構成(工程)
インターネット環境には次の3つの構成が必要です。
@外部のインターネットに繋がる為の通信回線の確保
Aその通信回線のアナログ信号や光信号などをパソコンなどが読み込めるデジタル信号に変換する変換機の設置
➂各種パソコンなどのコンピューター機器がインターネットを同時に利用できるようにするためのルーターの設置
2)通信回線には「有線方式」と「無線方式」がある
外部のインターネットと繋がる方法には、「有線方式」と「無線方式」があります。
◯1台でインターネット環境が整う無線方式は超便利!
無線方式には、据え置き型の「ホームルーター」と、持ち運びに便利でポケットにも入る携帯用の「モバイルルーター」があり、いずれも、A及び➂の工程も内包されています。
このため、工事不要で、電源を入れるだけで、すぐにインターネットが利用できます。
しかし、たくさんのパソコンやインターネット機器を同時に使うには、通信速度や安定性等において限度があります。
従って、ご家庭で、たくさんのインタネット機器と接続して同時に使うには、やはり有線式が主体になります。
◯有線には、電話回線利用「ADSL」と光ケーブル利用「光回線」がある
有線方式は、主に、NTTなどの電話回線を利用した「ADSL」と、光ケーブルを利用した「光回線」があります。(他にケーブルテレビ回線があるが特殊用途なので割愛)
有線方式は、いずれも、@〜➂の構成(工程)が必要!
回線名 |
@通信回線の確保手段 |
Aデジタル信号への変換機 |
➂機器との接続 |
ADSL |
電話回線 |
モデム |
ルーター |
光回線 |
光ケーブル |
ONU |
ルーター |
2.「ADSL」と「光回線」の構成(工程)の違い
1)通信の伝送方法が違う:ADSLは電話線、光回線は光ケーブルを利用
「ADSL」は、従来の電話回線(メタルケーブル)を利用してインターネット通信する方法で、電気信号を使って通信します。
⇒電気信号は、物理的な距離で通信スピードに影響を受けます。
「光回線」は、全国に敷設された光回線(光ファイバーケーブル)による光信号を利用して通信します。
⇒光信号は、物理的な距離の影響はほとんど受けず、1Gbps〜10Gbpsの高速通信が可能。
2) 変換機が違う:ADSLはモデム、光回線はONU(光回線終端装置)を使う
それぞれの回線から送られてくるインターネット信号をパソコン等が読み取れるデジタル信号に変換する「変換機」が必要になります。
ADSLは、モデムが必要
ADSLは、電話回線などの「アナログ信号」を「デジタル信号」に変換したり、パソコンの「デジタル信号」を「アナログ信号」に変換してインターネット上で情報が交換できるようにする「モデム」という変換機が必要になります。
光回線は、「ONU」が必要
光回線は、光信号をデジタル信号に変換したり、パソコンのデジタル信号を光信号に変換してインターネット上で情報が交換できるようにする「ONU」(光回線終端装置)という変換機が必要になります。
(実際には、「ONU」も、モデムと言っている場合がほとんどです。)
※参考:モデムやONUの入手方法は?ルーター機能は付いてる?
モデムやONUは、光回線事業者からレンタルするのが一般的。
モデムのレンタルは基本的に有料ですが、ONUは、無料でレンタルされます。
なお、大抵のモデムやONUには、ルーターが内蔵されています。
その場合は、ルーターは基本的には必要ありませんが、より高性能なルーターが欲しいときは、市販の製品を購入して接続して使うことができます。 |
3)両方とも「ルーター」が必要
両方とも、インターネット機器と繋ぐための「ルーター」が必要です。
モデムもONUも、それだけでは、1台しかインターネット機器に繋げることができません。
このため、家庭内でインターネット環境(複数のパソコンやインターネット機器が、独立したアドレス:Īpアドレスをもってインターネット通信が並行してできる環境)を創るためのツールとして、「ルーター」が必要になります。
ルーターには、LANケーブルを繋ぐ穴と、無線Wi−Fiでつなぐアンテナがあります。
※参考:ルーターの形状?
ルーターの外観は、モデムと似ています。
ルーターには、ランプが並ぶ面とLANポート(LANケーブルの差込口)が複数並んでいます。 「WAN」と書いてある差込口はLANケーブルでモデムやONUと接続します。
なお、モデム及びONUに、ルーター(無線Wi−Fi含む)機能が内蔵されていれば、別にルーターを用意する必要はありません。
※参考:ルーターとハブは機能が異なります!
複数台の端末を繋ぐためのハブとルーターの機能は、全く異なります。
ハブは、単にLAN配線を分岐して増やす機能です。
ルーターのようにインターネットに接続するための機能はないので、モデムやONUに繋いでもインターネットにつながりません。
あくまでも、「ルーター」に繋げば、インターネットに接続できる端末の数を増やせる器具です。 |
3.「ADSL」と「光回線」の工事の進め方の違い
ADSLと光回線(初めての導入の場合)とでは工事内容及び工事の進め方は大きく異なります。
1)ADSL(電話共用タイプ)の工事
ADSL(電話共用タイプ) の工事は、既存の電話線を使うため、室内取り出し口(モジュラージャック)に変換機「モデム」を接続するだけで済みます。
業者に設置工事依頼する場合と自ら設置する場合がありますが、短時間で済みます。
2)光回線の工事
光回線工事は下図のような箇所となります。
大抵は、1回の工事で済みますが、NURO光の場合は、「宅内工事」を先行実施し、後日「宅外工事」を行う2段階工事となります。
なお、光回線工事は、原則家人の立ち会いが必要となるので、日程の調整は大切です。
【戸建ての工事個所】
◯工事の手順
<URO光を除く光回線の工事手順>
@光ケーブルを屋内に引き込み光用コンセント設置
通常は、光ケーブルを、屋外電線から既存の電話線の配管を通して屋内に引き込み、光用コンセントを壁に設置する。(エアコンの配管などを使用する場合もあり)
なお、ADSLからの乗り換えの場合は、ADSLの取り外しが必要で、光回線が開通すれば、ADSLの解約手続きとレンタル機器の返却が必要です。
※光コンセントには、光アウトレットと光ローゼットの2種類があります。
A光コンセントに回線終端装置「ONU」を接続して設置完了
光コンセントに、光信号をデジタル信号に変換する回線終端装置「ONU」を接続し、工事業者が光回線チェックを行って工事完了となります。
なお、「ONU」は、NTT系の光回線やNURO光の場合は工事業者が持ってきますが、KDDIは、工事日2日前までに送られてきます。
◯インターネット立ち上げ
工事が終われば、「ONU」のマニュアルに沿って、自分で「ONU」にパソコン等を接続してインターネットを立ち上げ、インターネット開設完了となります。
<NURO光の工事手順>
@工事業者So-netが「宅内工事」先行実施
工事業者So-net(NURO光プロバイダ)が、外壁に光キャビネットを設置し、そこから光ケーブルを電話線配管を通して屋内に引き込み光コンセントを設置する。
そして、光コンセントにONUを接続し光回線チェックを行って工事完了となります。
ANTT工事業者が行う「宅外工事」
後日、NTT工事業者が「宅外工事」として、電線から外壁に設置した光キャビネットに接続して2回目の工事完了となります。
◯インターネット立ち上げ
工事が終われば、「ONU」のマニュアルに沿って、自分で「ONU」にパソコン等を接続してインターネットを立ち上げ、インターネット開設完了となります。
NURO光の工事は、2回に分けられるため、他の光回線に比べ工事日程が永くかかるとともに2回の立ち合いが必要になります。
従って、遠方の実家などに自分が設置の手伝いをする場合には、大きなデメリットになりかねないので注意が必要です。 |
U.「ADSL」と「光回線」の機能性比較
「ADSL」と「光回線」の機能性の主な違いは、次のようなものになります。
1.光回線の方が圧倒的に通信速度が優る!
ADSLの最大速度は下り50Mbps、上り12Mbps程度に対し、光回線は、下り上りとも1Gbps(=1,000Mbps)が主流で、距離の影響を受けない光回線は高速通信が可能。
2.光回線の方が、通信の安定性が高い
ADSLで使われる電話回線は、電話回線として利用されているためノイズ等でインターネット通信に影響が出やすい面がある。
一方、光回線はノイズの影響を受けずインターネット通信が安定的に使える。
3.ADSLにNTT電話固定費を含めると通信費に大差なし
毎月の通信費は、NTTの固定回線費用を除いて月額2,000円程度で利用できるのに対し、光回線は5千円程度かかる。
但し、ADSL の場合、NTTの固定回線費用2千円程度かかるため、合算すると大差はないといえます。
4.光回線に「スマホセット割特典」が享受できれば通信費節減に効果大
大抵の光回線には、特定のスマホユーザーに「スマホセット割」が適用されます。従って、セット割が効く光回線を利用すれば通信費節減に繋げます。
V.最後に
まだADSLから光回線への乗り換えがお済でない場合は、光回線への早期の乗り換えをおすすめします。
ADSLと光回線の仕組みは、大差なく、工事も、NURO光は少し手間がかかりますが、他は簡単です。
インターネット環境が数段良くなり、月額コストも大差なく、スマホセット割が活用できれば通信費の節減効果も得られます。
また、光回線であれば、現代の固定電話の電話番号及び電話機がそのまま使えます。
是非、早く光回線への切り替えに踏み切られることをおすすめします。
なお、光回線の選び方等については、下記記事をご参考に願います。
最後までお読み頂きありがとうございました。
ーーーーーーーーーーーーー 完 ーーーーーーーーーーーーーーーー
【光り回線の選び方とおすすめ回線】
1.「スマホスマホセット割重視で選ぶ」おすすめ7社
料金重視で考えるならば、まずは、「セット割」を狙うのがオススメです。
セット割のメリットは大きく、特に、家族でスマホを複数持たれている場合は、トータル通信費の大きな節減に繋がります。
携帯会社別にセット割が適用される光回線会社一覧
携帯電話会社とセット割が適用できる光回線会社は、下表の通り20社近くあります。
携帯会社 |
光回線会社 |
地域 |
セット割制度内容 |
ドコモ携帯 |
ドコモ光 |
コラボ |
スマホ1台につき最大1,100円程度 |
Softbank携帯 |
Softbank光 |
コラボ |
スマホ1台につき最大1,100円程度 |
NURO光 |
ほぼ全国※1 |
au携帯 |
au光 |
ほぼ全国※2 |
スマホ1台につき最大1,100円程度 |
コミュファ光 |
東海 |
eoひかり |
関西 |
MEGA EGG光 |
中国 |
Pikara光 |
四国 |
BBIQ光 |
九州 |
SO-net光 |
コラボ |
ビッグローブ光 |
コラボ |
@nifty光 |
コラボ |
DTI光 |
コラボ |
AsahiNet光 |
コラボ |
OCNモバイル |
OCN光 |
コラボ |
「OCNモバイルONE」200円割引 |
UQモバイル |
上記複数光 |
コラボ |
各光により区々 |
なお、au光とNURO光の全国配備状況は次の通りです。
au光 |
全国(東海エリア、関西エリア、沖縄県を除く) |
NURO光 |
北海道、関東エリア、東海エリア、関西エリア(和歌山県除く)、広島県、岡山県、福岡県、佐賀県 |
⇓
セット割適用を第一条件に、コストや速度、安定性、キャッシュバック等の特典などを勘案した「おすすめ回線」と「おすすめ申し込み窓口」をまとめると下記のようになります。
⇓
◯ドコモ携帯ユーザーなら「ドコモ光」一択
ドコモスマホユーザーの方は、全国どこでお住いでも「ドコモ光」がおすすめです!
◯au携帯ユーザーなら居住地域の独自回線業者がおすすめ!
auスマホユーザーの方は、光回線がの速度及び安定性がでコストも安い地域密着型がおすすめになります。
このことから 東海地域にお住いの場合はで、「コミュファ光」がおすすめです!
関西地域にお住いの場合は、「eoひかり」がおすすめです!
福井県及び沖縄県にお住いの場合は、「SO-net光」がおすすめです!
なお、マンションは「au光」が対応可能なのでおすすめです!
その他の北海道、東北、北陸、関東、四国、九州地域にお住いの場合は、「au光」がおすすめです!
◯Softbank携帯ユーザーなら「NURO光」か「Softbank光」がおすすめ
Softbankスマホユーザーの方は、「NURO光」が利用できる場合は「NURO光」がおすすめです!
北海道、関東、東海、和歌山を除く関西、広島県、岡山県、福岡県、佐賀県にお住いの場合は、「NURO光」がおすすめ!
東北、北陸、和歌山、四国、広島・岡山を除く中国、福岡・佐賀を除く九州、沖縄県のお住いの場合は、「Softbank光」がおすすめ!
携帯会社 |
居住地区 |
おすすめ光回線 |
おすすめ窓口 |
Softbank |
全国 |
北海道 |
NURO光 |
NURO 光
|
関東、東海 |
関西(和歌山除く) |
広島、岡山 |
福岡、佐賀 |
その他 |
Softbank光 |
SoftBank光キャンペーン
|
なお、「楽天モバイル」と「楽天ひかり」とのセット割制度はありません。
また、格安スマホにもセット割が適用される光回線もありますが、割引が小額なので対象外としました。
2.「通信速度重視で選ぶ」おすすめ回線
今のお使いの光回線通信速度に不便を感じている場合や、家族で複数端末を同時にネット接続する機会が増え、回線が不安定になりやすいなどの場合は、通信速度を重視した選び方が必要です。
回線の速度は、最大速度以上に実測値が重要
光回線業者の示す最大速度はあくまで理論値で、実際はいろんな制約があり遅くなります。
NURO光以外の最大速度は殆ど1Gbpsですが、利用者の平均速度は業者によって大きく異なります。
|
最大速度 |
実測値 |
NURO光 |
2Gbps |
478Mbps |
auひかり |
1Gbps |
375Mbps |
ドコモ光 |
1Gbps |
243Mbps |
|
1Gbps |
299Mbps |
eo光 |
1Gbps |
452Mbps |
コミュファ光 |
1Gbps |
474Mbps |
同じ光回線でもプロバイダによって実測値は変わる
同じ光回線でも、プロバイダによって実測値が大きく変わります。
ドコモ光では最大24社からプロバイダ選択が可能ですが、「GMOとくとくBB」の実測値は、347Mbpsでドコモ光全体の実測値を大きく上回っています。
このため速度重視であればプロバイダも見て選ぶ必要があります。
⇓
光回線速度が速いのは
1位 「NURO 光」。
2位 「au光」や「光コラボ)」「地域密着型光」。
※「光コラボ」は、ユーザー数が圧倒的に多いため、同じ1Gbpsでも、「地域密着型光」「au光」よりは不安定になり易い。 |
⇓
速くて安定性のある順番は、「NURO 光」→「地域密着型光、au光」→「光コラボ」 |
⇓
@「NURO 光」が使える地域は「NURO 光」
A「地域密着型光」が使える地域は「その地域密着型光」
➂両方とも使えない地域は、「au光」「光コラボ」で速度重視のプロバイダを選ぶ。 |
以上から、お住いの地域でのおすすめ回線を地域別にしてみました。
⇓
◯速度重視なら「NURO光」か「地域密着型光」が優先
なお、速度重視での地域ごとに利用可能な回線を選びだしているため、スマホのセット割は考慮していません。
従って、スマホセット割との関係で最終判断される必要があります。
なお、実際にご検討される場合は、お住いの住所をもってご確認願います。