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2022年12月25日

介護保険D|地域密着型の特養・グループホーム施設利用料が一目で分る(リニュアル)

「地域密着型サービス」は、高齢者がいつまでも地元で暮らせる為の介護サービスです! 

 

要介護・支援高齢者や認知症高齢者が、介護度が重くなっでも、24時間介護を受け乍ら住み慣れた地域でいつまでも生活できるように創設された介護サービスで、市町村から指定された地域の事業者がその地域に住む住民を対象にサービスを行います。 

 

その中で「地域密着型特別養護老人ホーム」と「認知症対応型共同生活介護(グループホーム)」は、自宅に近い施設で少数の人数で仲間と生活できる施設です。 

 

自宅に近く、何かと家族と接触が可能となる施設の利用料の状況をご紹介します。

 

 

 

T.地域密着型サービスとは?

 

「地域密着型サービス」は、介護保険制度に含まれるサービスで、要介護高齢者や認知症高齢者が、介護度が重くなっでも、住み慣れた地域でいつまでも生活が継続でさるように創設された介護保険サービスです。

 

1.地域密着型サービスのしくみと種類

 

1)しくみ

 

地域密着型サービス」は、市町村指定の事業者がその事業者の同地域住民を対象にサービスを提供する地域連携の介護サービスです。 

 

従って、地域密着型は、住み慣れた地域の事業所がホームとなって各種介護サービスが受けられるのでアットホームな環境の元で、家族的な繋がりが強くなります。

 

〈イメージ〉

市町村から指定された地域の事業者が、事業者が所在する同地域に住む少人数の介護を必要とする高齢者や認知症高齢者に介護サービスを行うことにより、住み慣れた環境で家族的な生活ができることを目的にしたしくみです。

これに対し、一般の介護保険サービスは、地域に限定されずにサービスが受けられるしくみです。

 

2)種類

 

地域密着型サービスには、以下のような介護サービスがあります。 

 

なお、小規模多機能型居宅介護、看護小規模多機能型居宅介護、訪問介護や訪問看護、デイサービス、ショートステイなどのサービスは、全て、同一事業所からサービスが提供されます。 

 

このため、スタッフが顔なじみとなるため、利用者は家族のような安心感を得ることができます。 

 

〈訪問サービス〉

サービス名称 サービス内容
小規模多機能型居宅介護 訪問・通所・短期入所の全サービスを提供
看護小規模多機能型居宅介護
(複合型サービス)
「訪問看護」と「小規模多機能型居宅介護」を組み合わせたサービスを提供します。
夜間対応型訪問介護 夜間の定期的な訪問や緊急時の随時訪問介護
定期巡回・随時対応型訪問介護看護 日中・夜間を通じて1日複数回の定期訪問と緊急時の随時訪問による介護と看護

 

〈通所サービス〉

サービス名称 サービス内容
地域密着型通所介護 小規模デイサービス
認知症対応型通所介護 施設に通ってきた方に、食事や排せつの介護、リハビリやレクリエーション等を提供

 

〈施設サービス〉

サービス名称 サービス内容
認知症対応型共同生活介護(グループホーム) ・認知症高齢者が5~9人の少人数で利用者が家事を分担するなど共同生活をしながら日常生活の支援や機能訓練のサービスを受ける。
・「要支援1」は利用できないが、「要支援2」は、介護予防として利用可能
地域密着型特定施設入居者生活介護 公的介護保険施設ではなく、介護保険適用の施設サービスに該当しません。
・入居定員が30人未満の軽費老人ホームや有料老人ホームのうち、指定を受けた施設で、日常生活の支援や機能訓練などを受けることができます。
地域密着型介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)入居者生活介護 ・定員が30人未満の「介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)」です。
・「特老」と同様に、常に介護が必要な方を受け入れ、日常生活の支援や機能訓練などを行います。

 

3)一般の介護サービスとの違い

 

地域密着型と一般の介護サービスは、ほぼ同じサービスが受けられますが、地域密着型の場合は、限られた地域の住人対象者が同地域で市区町村から指定された事業者からサービスを受けるのに対し、一般の介護サービスは、住んでいる地域に関係無く県が指定する事業者からサービスが受けられるものです。

 

補足:一般の介護保険サービスの種類

 

因みに、一般の介護保険サービスには、大きく分けると「居宅サービス」「施設サービス」があります。 

 

(1)居宅サービス 

 

「居宅サービス」は、自身の居宅で暮らす要介護者(要支援者)が受けられるサービスですが、自宅に訪問してもらう「訪問介護」だけでなく、施設に通う通所サービスなどさまざまな介護サービスの総称です。 

 

また、有料老人ホームなどの施設に入所すると、その部屋が「自宅」となり、施設で受ける介護保険サービスは、「居宅サービス」に含まれることになります。 

 

「居宅サービス」には、以下のような介護サービスがあります。

分類 サービス名称 内容
訪問サービス 訪問介護 自宅にホームヘルパーが訪問して日常生活援助を行う
訪問入浴介護 浴槽を持ち込んで入浴の介助を行う
訪問看護 看護師や保健師が療養の世話や診療を行う
訪問リハビリテーション リハビリスタッフが自宅でリハビリテーションを行う
居宅療養管理指導 医師・歯科医師が、介護サービス計画に必要な情報を提供
通所サービス 通所介護 日帰りで機能訓練や食事などのサービスを受けられる
通所リハビリテーション 日帰りでリハビリを施設で受けられる
短期入所サービス 短期入所生活介護 特別養護老人ホームなどの施設に短期間入所して介護を受ける
短期入所療養介護 特別養護老人ホームなどの施設に短期間入所で医療ケアを受ける
その他のサービス 福祉用具のレンタル及び購入費の支給 自宅で暮らし続けられるように福祉用具のレンタル購入費支給
住宅改修費の支給 自宅で暮らし続けられるように行った住宅改修に対する費用

 

(2)施設サービス

 

分類 サービス名称 内容
長期入所 特別養護老人ホーム 自宅での生活が難しい高齢者を対象とした施設で自治体や社会福祉法人が運営のため安価
短期入所 介護老人保健施設 自宅復帰のためのリハビリテーションや医療ケアが中心で入居時の初期費用は一切かからない
療養期間入所 介護療養型医療施設 比較的重度の要介護者に医療処置とリハビリを提供する施設。
療養期間入所 介護医療院 要介護者の長期療養のための医療と日常生活の介護を一体的に提供

 

なお、介護保険が適用される施設サービスは地方公共団体や社会福祉法人、医療法人に運営が限定されていて、食事・排泄・入浴などの介護からリハビリなどの医療ケアまで保険適用内で受けることができます。 

 

一方、民間団体が運営する住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅などは、入居後に外部の介護事業者と契約し居宅サービスや通所サービスを利用することが一般的です。

 

従って、食事・排泄・入浴などの介護やリハビリなどの医療ケアなどは、保険適用で受けることができません。

 

 

U.地域密着型公的施設サービスの利用料目安

 

公的介護施設は、一般の介護保険では、「特別養護老人ホーム(特養)」「介護老人保健施設(老健)」「介護療養型医療施設(療養病床)」「介護医療院(療養病床から移行進む)」の4施設があります。 

 

一方、地域密着型サービスには、「地域密着型特別養護老人ホーム(特養)」と「地域密着型グループホーム」とがあります。

 

1.地域密着型特別養護老人ホームの入居費用

 

入居要件(基本は要介護3以上)等は、一般の「特別養護老人ホーム(特養)」とほぼ同じで、利用に掛かる費用項目と仕組みもほぼ同じです。

 

@「施設介護サービス費」及び「同加算費」

 

「地域密着型特別養護老人ホーム」は29人以下の少人数利用施設であるため、一般的に「施設介護サービス費」及び「同加算費」は、上述の「特別養護老人ホーム」よりも個人負担は若干高く設定されていて、地域により差があります。 

 

厚労省が示す「施設介護サービス費」の基準金額は下記の通りとなっており、地域密着型の方が少し高く設定されています。 

 

「施設サービス加算費」は、厚労省には具体的基準は示されていませんが、「地域密着型特別養護老人ホーム」では介護体制の充実等から結構個人負担がかかるようです。

 

  「施設介護サービス費」「施設サービス加算費」
特別養護老人ホーム
地域密着型特別養護老人ホーム

 

A居住費や食費

 

部屋タイプや世帯所得状況により決められていますが、「地域密着型養護老人ホーム」の方が高く設定されています(市区町村で区々)。 

 

少人数による内容の充実等によるものと考えられますが、地域密着事業者の運営に関わる部分のため施設によるばらつきがあります。

 

なお、住居費及び食費については、本人を含めて世帯全員が非課税の場合は低減措置が設けられております。(ここでは割愛します) 

 

(例示) 

世帯の住民税の課税状況及び本人の所得状況で居住費と食費に大きな低減措置があります。 

 

例えば、居住費が一般(第4段階)で月額69000円であった場合に、第3段階では39300円、第2、第1段階では24600円とかなり低減され低所得者対策がとられています。 

 

食費においても、一般(第4段階)で月額41400円であった場合に、第3段階では19500円、第2段階では11700円、第1段階では9000円と、かなりの低減措置となっています。

 

課税水準 段階 世帯及び本人の所得水準 居住費 食費
一般 (第4段階) 住民税課税世帯 69000円 41400円
第3段階 住民税非課税世帯で、合計所得が80万円以下の人 39300円 19500円
第2段階 住民税非課税世帯で、第2段階以外の人 24600円 11700円
第1段階 生活保護受給者相当 9000円

 

 

➂【地域密着型特別養護老人ホームの月々の負担費用の目安】(1割負担の場合)

 

地域密着型特養の方が少し高くなります。 

 

要介護1の方では、月額9万9千円(従来型多床室利用)から13万6千円(ユニット型個室利用)で利用できます。 

 

要介護5の方では、月額10万9千円(従来型多床室利用)から14万6千円(ユニット型個室利用)で利用できます。 

 

もちろん非課税世帯の場合は、低減措置によりもっと負担は低くて済みます。

 

   
地域密着型特別養護老人ホーム
特別養護老人ホーム

 

 

2.「認知症対応型共同生活介護(グループホーム)の月々の負担費用

 

グループホームは、介護保険地域密着型サービスの一つで認知症高齢者が地元で生活できるためのケア付き住宅です。 

 

認知症の方5〜9人で1ユニットを組みスタッフから日常生活(食事、排泄、入浴など)の生活支援や機能訓練のサービスを受けて共同生活を送る施設です。 

 

ホームによっては2ユニット以上の施設もあります。 

 

建物の形態には、民家型、アパート型、ミニ施設型などがあります。 

 

入居要件は、施設のある地域住民で「要介護1」以上の方が対象ですが、「要支援2」の方も、介護予防として利用可能です。 

 

施設利用に掛かる費用項目は、特養とほぼ同じで、介護サービスを受ける基本料金と個人別に受ける各種サービスの加算料金のほかに家賃等に相当する居住費及び食費や日常生活費からなります。

 

@基本料金(施設介護サービス費)及び同加算料金(各種付加サービス費)

 

基本料金については、下記の基準額が厚労省のホームページで示されています。

 

A居住費や食費

 

住居費、食費等の基準については、厚労省のホームページでは何も示されていません。 

 

これらは、地域や環境によって大きな物価等に違いがあるためと思われます。 

 

従って、居住費や食費等は各地区でかなりばらつきがありますので、その施設のホームページでご確認願います。 

 

居住費と食費合わせれば、平均的には、月額13万円から15万円ぐらいかかるようです。  

 

➂「認知症対応型共同生活介護(グループホーム)」の月々の負担費用の目安(1割負担の場合)

 

要介護の状況及び施設のユニット数等により月々の負担費用は下表のような金額が相場となっています。

 

月々の費用負担は、介護費、居住費、食費、その他を含めて総額16万4千円から18万7千円の範囲となっています。
費目的にみると、介護サービス費は、地域や、要介護度、ユニット数等による費用のばらつきは大きくないのですが、居住費や食費には地域や施設・設備によるばらつきが大きくなっています。 従って、施設の検討には当該施設のホームページで確認する必要があります。

 

 

V.最後に

 

「地域密着型サービス」にも24時間介護・ケア付きの施設として「地域密着型介護老人福祉施設入居者生活介護」と「認知症対応型共同生活介護(グループホーム)」があります。 

 

各施設には様々な環境要因(立地、ホームの運営方法やスタッフの対応、給食への配慮等々)の違いと居住費・食費に大きなばらつきがあります。 

 

施設選びの際は、是非、事前に施設に赴いてスタッフと面会し、施設の状況やスタッフの対応、施設の立地、自宅からの距離等を勘案して、慎重に決定されることをおすすめします! 

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

ーーーーーーーーー 完 ーーーーーーーーーー

 

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下記の関連記事もご覧いただければ幸いです。

 

2022年12月14日

介護保険C|特養や老健等公的介護施設利用料の負担明細が一目でわかる!(リニュアル)

介護施設への入所が必要になれば公的施設か民間施設の選択が必要に 

 

自宅での介護よりも施設介護を選ばざるを得なくなった時、選択肢は、介護保険の公的施設である「特別養護老人ホーム」や「介護老人保健施設」に入所するか、民間運営の住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅にするかのいずれかになります。 

 

公的施設は、介護面、費用面で圧倒的に優位だが間口が狭い! 

 

公的施設は、要介護度等の入居基準を満たす必要があり、施設数の制約から簡単に入居できない施設が多くありますが、何と言っても、食事・排泄・入浴などの介護からリハビリなどの医療ケアまで保険適用内で受けることができることが優れています。 

 

一方、民間施設は、入居基準が緩く要介護度にかかわらず入居できるところもたくさんありますが、施設費そのものは個人負担となり、介護サービスについては、入居後に自分で外部の介護事業者と契約し居宅サービスや通所サービスを利用することになります。

 

従って、施設利用料が高くなるばかりか、食事・排泄・入浴などの介護やリハビリなどの医療ケアなどは、保険適用で受けることができず100%負担となります。 

 

これらのことを知って、万一に備えておくべきですね!

 

これら公的施設の利用方法やかかる費用についてご紹介します。

 

 

T.公的介護施設の入居要件と費用

 

1.施設介護が必要になれば公的施設か民間施設かの選択が必要になる

自宅で介護サービスを利用してきたが、「介護度が進み自宅での生活が大変になってきた」、「本人の希望で施設サービスを利用したい」、「家族の負担を軽くしたい」など、いろいろな要因で介護施設の利用を考えざるを得ない場面がくるかも知れません。

 

・民間施設は入居し易いが費用面や介護面で負担が大きい

 

民間運営の有料老人ホームは、施設費は、原則個人負担であり、入居時に大きな一時金が必要となるばかりか、月々の負担もかかります。 

 

介護については、原則、自分で介護サービス契約を結び介護保険の適用を受けることになります。 

 

従って、有料老人ホームは、相当な資金準備がなければ負担が重くなります。 

 

一方、公的施設の場合は、入居時の一時金が要らないばかりか、月々の負担も割安であるため、費用負担も軽く、リハビリ目的の一時的利用も含めて利用しやすいと言えます。

 

2.公的施設にはどんな種類があるか?

 

介護保険サービスが受けられる公的介護保険施設(社会福祉法人や医療法人等が運営)には、以下4施設があります。

 

サービス名称 内容
「特別養護老人ホーム
(略して「特養」)
自宅での生活が難しい高齢者を対象とした施設。自治体や社会福祉法人が運営のため安価
介護老人保健施設
(略して「老健」)
自宅復帰のためのリハビリテーションや医療ケアが中心。入居時の初期費用は一切かからない
介護療養型医療施設
(略して療養病床)
比較的重度の要介護者に医療処置とリハビリを提供する施設。
介護医療院」
(療養病床から移行)
要介護者の長期療養のための医療と日常生活の介護を一体的に提供

 

なお、「地域密着型サービス」にも類似の「地域密着型グループホーム」「域密着型介護老人福祉施設」があります

 

3.「特養」「老健」等施設の特徴と入居基準

 

公的施設サービスは、24時間の介護を受けられるサービスです。 

 

従って、以下の場合は、まず、公的介護保険施設の利用を検討しましょう!

 

・入院後や療養の機能回復のため短期的に施設で介護やリハビリを受けたい
・自宅介護で時々ショートステイを利用しているが、もう少し長期間、施設で介護を受けたい
・自宅介護が難しくなってきたので、しばらく介護施設で介護を受け機能回復に専念したい
・長期的に介護施設で介護を受けたいが有料老人ホームは費用的に無理

 

1)各施設の特徴

 

いずれの施設も、入居要件や入居期間の定めがあります。

「特養」

「特養」は、「永年入居」が可能で、入居時に一時金の必要性がなく、月額利用料も有料老人ホームに比べて割安となっています。 

 

このため、常に満室状況でく待機者が多いのが通常になっています。 

 

従って、急には入居できない可能性が大であることに注意が必要です。

 

「老健」

 

「老健」は、3か月の期間限定ですが、退所後3か月の自宅介護の後、再度受け入れてくれる可能性が高いので、自宅介護で何とか凌げる状況の場合は、過重な家族の負担軽減と本人の自宅願望を叶えるために「老健」の利用をおすすめします。 

 

「老健」により、「特養」や「有料老人ホーム」への転居を凌ぐことができ、自宅での生活ができるだけ永く続けられます。 

 

手続きは少し煩わしいですが、是非活用されることをおすすめします!

 

2)各施設のサービス・入居基準等

 

入居期限 サービス名 入居基準とサービス内容
「終身」 特別養護老人ホーム(特養)
※「介護老人福祉施設」とも言う
・「常に介護が必要で、自宅での介護が困難な方対象」の施設で、食事や入浴などの日常生活の支援や機能訓練、療養上の世話などを受けることができる。
 ・原則として、「要介護度3以上」が入居要件。
但し、要介護度1〜2の方も、やむを得ない理由(世話する家族がいない、一人暮らしの認知症の方等)などで入居できる可能性もある。
「期間限定」 介護老人保健施設(老健) ・「在宅復帰を目指している方を対象とした施設で、医学的な管理の下に医療や介護、リハビリなどが受けられる施設設です。
・3か月が限度。但し、期間を開ければ再入居は可能!(従って、3か月施設利用、3か月自宅でデイサービス等利用、再度施設利用等で繋げていければ家族の負担軽減に繋がる)
・原則として、「要介護度1以上」が入居要件。 「要支援1〜2の方」は利用することができません
「療養期間」   介護療養型医療施設⇒介護医療院へ転換 ・「長期に亘って療養が必要な方」を受け入れる施設です。(普通、入院先病院での療養が長引けば病院で紹介されます?
・必要な医療や介護、リハビリテーションなどを受けることができます。
・ 原則として、「要介護度1以上」が入居要件。
「要支援1〜2の方」は利用することができません
・なお、「介護療養型医療施設」制度は廃止され「介護医療院へ順次移行中。
※補足 「指定有料老人ホーム」 特定の指定を受けた有料老人ホーム ・介護保険適用の施設サービスに該当しません(公的介護保険施設ではありません)。
・但し、自治体から「特定施設入居者生活介護」の指定を受けている有料老人ホームは、「介護付き」と呼ばれ、介護サービスに介護保険が適用され、提供される介護サービスのぽとんどを「定額制(包括報酬)」で受けられる。

 

3)補足:「地域密着型サービス」にも類似の施設がある

 

「地域密着型サービス」は、要介護高齢者や認知症高齢者が、介護度が重くなっても、住み買れた地域でいつまでも生活でさるように創設された介護サービスです。

 

市町村により指定された事業者がサービスを行い、その地域に住む住民が対象となります。 

 

「地域密着型サービス」が非常に充実してきており、こちらのサービスを利用した方が、本人も家族も地域に密着した生活が過ごせるので、是非「地域密着型サービス」も検討されることをおすすめします!

 

<「地域密着サービス」における施設介護サービス>

 

 

類型 サービス名 サービス内容
施設介護サービス類似 認知症対応型共同生活介護(グループホーム) ・認知症高齢者が5~9人の少人数で利用者が家事を分担するなど共同生活をしながら日常生活の支援や機能訓練のサービスを受ける。
 ・「要支援1」は利用できないが、「要支援2」は、介護予防として利用可能
※補足 特定施設 地域密着型特定施設入居者生活介護 介護保険適用の施設サービスに該当しません(公的介護保険施設ではありません)。
・入居定員が30人未満の軽費老人ホームや有料老人ホームのうち、指定を受けた施設で、日常生活の支援や機能訓練などを受けることができます。
施設介護サービス類似 地域密着型介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)入居者生活介護 ・定員が30人未満の「介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)」です。
・「特老」と同様に、常に介護が必要な方を受け入れ、日常生活の支援や機能訓練などを行います。

 

 

U.公的各施設の入居費用の目安

 

いずれの施設も入居時に一時金は不要です! 

 

また、基本的には各施設には、ベッドや簡単な家具は備え付けられていますので初期費用は不要です。 

 

従って、施設で負担する費用は、月々の利用料や生活費に相当するもののみとなります。

 

1.「特別養護老人ホーム(特養)の費用目安

1)負担する費目

 

月々に負担する費用は、次の費目等で構成されます。 

・「施設介護サービス費」 

・「同加算(設備や+サービス等に伴うもの。施設によるので算定せず)」 

・「居住費(家賃に相当)」 

・「食費(1日3食)」 

・「日常生活費(理美容、レク代等)」

 

2)各費目の算定基準

 

費用項目 算定基準
施設介護サービス費 24時間体制ケアで受けられる介護サービス費で要介護度、部屋タイプで決められている。
なお、後ほど紹介する「施設介護サービス費」の数値は、「1割負担」の場合の計算値です。
同 加算費 当該施設での特別な設備費や人員体制増強等で付加される負担です。
居住費 家賃に相当、部屋タイプで負担すべき限度額が定められており、超えた分は本人が負担します。
なお、非課税世帯などの低所得者には負担軽減措置が採られている。
食費 1日3食セットの食事代で限度額が定められており、超えた分は保険者が負担します
なお、非課税世帯などの低所得者は負担軽減措置が採られている。
日常生活費 おむつ代は含まれないが、歯ブラシ、石鹸、化粧品、理美容代、電話代等は、原則、実費負担。

 

3)「施設介護サービス費」や「居住費」は、居室タイプで異なる

 

(1)施設の造りから居室は、「従来型タイプ」と「ユニット型タイプ」があります

 

「従来型タイプ」は、各居室(個室や相部屋)が廊下に沿って並べられた造りであるのに対し、「ユニット型タイプ」は、各居室(個室や相部屋)がリビングに接して設置されワンフロア―でユニット(まとまり)が構成される造りとなっています。

 

居室タイプ

施設の造り 部屋人数 内容
従来型タイプ ・個室 個室
・多床室 定員2人以上の相部屋
ユニット型 タイプ ・個室 共用のリビングに接した個室
・多床室 共用のリビングに接した多床個室 (天井との隙間がある仕切り区分)

 

なお、ユニット型は、10名前後の少人数グループごとに職員を配置するなどコミュニケーション重視の運営になっています。 

 

従って、ユニット型の方がファミリー的な雰囲気で生活できるのでそういう雰囲気を好む方にはユニットがおすすめです。 

 

また、ユニット型は個室が多いため居住費が若干高いので入居待ちが少ない傾向にあります。このため、早く入居したい場合は狙い目です。

 

(2)「施設介護サービス費」

 

「施設介護サービス費」は、従来型ホームとユニット型ホーム別に要介護度によって費用負担額が定められています。

 

〈施設介護サービス費用(1割負担の場合)

 

  従来型個室、 従来型多床 ユニット型個室、 ユニット型多床
要介護度 日額 月額(30日) 日額 月額(30日)
要介護1 559円 1万6770円 638円 1万9140円
要介護2 627円 1万8810円 705円 2万1150円
要介護3 697円 2万910円 778円 2万3340円
要介護4 765円 2万2950円 846円 2万5380円
要介護5 832円 2万4960円 913円 2万7390円

 

(3)「住居費」、「食費」

 

住居費、食費については限度額が設けられており、これを上回る部分については介護保険で負担することになり、結局、この限度額が負担すべきMax額となります。 

 

なお、住居費及び食費については、本人を含めて世帯全員が非課税の場合は低減措置が設けられており、本人の所得により下表の通り3ランクに分けて軽減されています。 

 

例えば、居住費の場合、下表でみると、従来型個室は、課税世帯では35,130円の負担になりますが、非課税世帯で本人所得が80万円以下の場合は、12,600円ですみます。 

 

食費も、課税世帯では41,760円の負担になりますが、非課税世帯で本人所得が80万円以下の場合は、11,700円ですみます。

 

〈住居費、食費〉

 

 

 

(注意:地域区分は東京1級地を適用、従って、ご利用の地域で若干数字が変わります。2020年8月時点)

 

4)特別養護老人ホームの月々の負担費用の目安

 

特別養護老人ホームの月々の負担費用は下表のようになります。 

 

この表でわかりますように、要介護1の方では、従来型多床室(相部屋)で1か月96,600円で利用できます。 

 

要介護5の方では、ユニット型個室の一番高い部屋で1か月141,800円で利用できます。 

 

もちろん食費込みですので、年金でやっていける可能性がありますね。(年金が少ない方は、低減措置適用で、もっと負担額は低くて済みます!)

 

【特別養護老人ホームの負担費用月額目安】

 

(要介護別・居室別)(1割負担の場合)

 

 

 

(注意:地域区分は東京1級地を適用、従って、ご利用の地域で若干数字が変わります。2020年8月時点)

2.介護老人保健施設の費用目安

介護老人保健施設は、「要介護度1以上」が入居要件です。 

 

また、療養及びリハビリ目的ですから入居期間は最長3か月となっています。

 

介護老人保健施設の月々の負担費用

 

下表のようになります。 

 

この表でわかりますように、「要介護1」の方では、従来型多床室(相部屋)で1か月81,320円で利用できます。 

 

「要介護5」の方では、ユニット型個室の一番高い部屋で1か月136,730円で利用できます。 

 

もちろん食費込みですので、年金でやっていける可能性がありますね。(年金が少ない方は、低減措置適用で、もっと負担額は低くて済みます!)

 

【介護老人保健施設の負担費用月額目安】

 

(要介護別・居室別)(1割負担の場合)

 

(注意:地域区分は東京1級地を適用、従って、ご利用の地域で若干数字が変わります。2020年8月時点)  

 

3.介護療養型医療施設の費用目安

 

病院に入院後のケースが多いのですが、長期療養のための施設です。

 

従って、療養の必要性がなくなれば退去しなければなりません。 

 

介護療養型医療施設は、「要介護度1以上」が入居要件です。

 

介護療養型医療施設の月々の負担費用

 

下表のようになります。 

 

この表でわかりますように、「要介護1」の方では、従来型多床室(相部屋)で1か月80,540円で利用できます。 

 

「要介護5」の方では、ユニット型個室の一番高い部屋で1か月145,340円で利用できます。 

 

もちろん食費込みですので、年金でやっていける可能性がありますね。(年金が少ない方は、低減措置適用で、もっと負担額は低くて済みます!)

【介護療養型医療施設の負担費用月額目安】

(要介護別・居室別)(1割負担の場合)

 

(注意:地域区分は東京1級地を適用、従って、ご利用の地域で若干数字が変わります。2020年8月時点)

 

4.介護医療院の費用目安

 

介護療養型医療施設と同様の長期療養施設です。 

 

介護医療院は、「要介護度1以上」が入居要件です。

 

介護医療院の月々の負担費用

 

下表のようになります。 

 

この表でわかりますように、「要介護1」の方では、従来型多床室(相部屋)で1か月80,240円で利用できます。 

 

「要介護5」の方では、ユニット型個室の一番高い部屋で1か月146,210円で利用できます。

 

 もちろん食費込みですので、年金でやっていける可能性がありますね。(年金が少ない方は、低減措置適用で、もっと負担額は低くて済みます!)

 

【介護医療院の負担費用月額目安】

 

(要介護別・居室別)(1割負担の場合)

(注意:地域区分は東京1級地を適用、従って、ご利用の地域で若干数字が変わります。2020年8月時点)

 

5.補足@:「地域密着型特別養護老人ホーム」と「グループホーム」の費用目安

 

「地域密着型サービス」にも、長期入居型の介護施設として「地域密着型特別養護老人ホーム」「認知症対応型共同生活介護(グループホーム)」があります。 

 

なお、「地域密着型特別養護老人ホーム」「認知症対応型共同生活介護(グループホーム)」は、市町村より介護保険上の事業者指定を受けた民間事業者が運営する「民間施設」です。

 

1)地域密着型特別養護老人ホームの費用目安

 

入居要件(基本は要介護3以上)等は、上述の「特別養護老人ホーム(特養)とほぼ同じですが、利用できるのは施設と同じ市区町村内の住民に限られます。

 

利用に掛かる費用項目は、特養と同じです。

 

@「施設介護サービス費」及び「同加算費」

 

「地域密着型特別養護老人ホーム」は29人以下の少人数利用施設であるため、ケア充実化から一般的に「施設介護サービス費」及び「同加算費」は、上述の「特別養護老人ホーム」よりも個人負担は若干高く設定されています。

 

また、地域によりかなりばらつきがあります。 

 

厚労省が示す「施設介護サービス費」の基準金額は下記の通りとなっており、地域密着型の方が少し高く設定されています。 

 

「施設サービス加算費」は、厚労省には具体的基準は示されていませんが、実際には、「地域密着型特別養護老人ホーム」では介護体制の充実等から結構個人負担がかかるようです。

 

特別養護老人ホーム
地域密着型特別養護老人ホーム

厚労省が示す日額の基準表ですが、地域密着型特養の方が少し高く設定されています。

 

A居住費や食費

 

部屋タイプや世帯所得状況により決められていますが、「地域密着型養護老人ホーム」の方が高く設定されているようです(市区町村で区々)。 

 

これも少人数による内容の充実等によるものと考えられますが、地域密着事業者の運営に関わる部分のため施設によるばらつきがあるようです。 

 

なお、住居費及び食費については、本人を含めて世帯全員が非課税の場合は低減措置が設けられております。(ここでは割愛します) 

 

(例示)

 

 世帯の住民税の課税状況及び本人の所得状況で居住費と食費に大きな低減措置があります。 

 

例えば、居住費が一般者(第4段階)で月額69000円であった場合に、第3段階では39300円、第2、第1段階では24600円とかなり低減され低所得者対策がとられています。 

 

食費においても、一般者(第4段階)で月額41400円であった場合に、第3段階では19500円、第2段階では11700円、第1段階では9000円と、かなりの低減措置となっています。

 

世帯課税段階 課税所得水準 居住費 食費
一般(第4段階) 住民税課税世帯 69000円 41400円
第3段階 住民税非課税世帯で、合計所得が80万円以下の人 39300円 19500円
第2段階 住民税非課税世帯で、第2段階以外の人 24600円 11700円
第1段階 生活保護受給者相当 9000円

 

➂【地域密着型特別養護老人ホームの月々の負担費用の目安】

 

(1割負担の場合)

 

地域密着型特別養護老人ホーム
特別養護老人ホーム

 

地域密着型特養の方が少し高くなります。 

 

要介護1の方では、月額9万9千円(従来型多床室利用)から13万6千円(ユニット型個室利用)で利用できます。 

 

要介護5の方では、月額10万9千円(従来型多床室利用)から14万6千円(ユニット型個室利用)で利用できます。 

 

もちろん非課税世帯の場合は、低減措置によりもっと負担は低くて済みます。

 

2)認知症対応型共同生活介護(グループホーム)の費用負担目安

 

グループホームは、介護保険地域密着型サービスの一つで認知症高齢者が地元で生活できるためのケア付き住宅です。 

 

認知症の方5〜9人で1ユニットを組みスタッフから日常生活(食事、排泄、入浴など)の生活支援や機能訓練のサービスを受けて共同生活を送る施設です。 

 

ホームによっては2ユニット以上の施設もあります。 

 

建物の形態には、民家型、アパート型、ミニ施設型などがあります。 

 

入居要件は、施設のある地域住民で「要介護1」以上の方が対象ですが、「要支援2」の方も、介護予防として利用可能です。 

 

施設利用に掛かる費用項目は、特養とほぼ同じで、介護サービスを受ける基本料金と個人別に受ける各種サービスの加算料金のほかに家賃等に相当する居住費及び食費や日常生活費からなります。

 

@基本料金(施設介護サービス費)及び同加算料金(各種付加サービス費)

 

基本料金については、下記の基準額が厚労省のホームページで示されています。

 

 

A居住費や食費

 

住居費、食費等の基準については、厚労省のホームページでは何も示されていません。

 

これらは、地域や環境によって大きな物価等の違いがあるためと思われます。 

 

従って、居住費や食費等は各地区でかなりばらつきがありますので、必要であればその施設のホームページでご確認願います。 

 

居住費と食費合わせれば、平均的には、月額13万から15万円ぐらいかかるようです。

 

➂「認知症対応型共同生活介護(グループホーム)」の月々の負担費用の目安(1割負担の場合)

 

要介護の状況及び施設のユニット数等により月々の負担費用は下表のような金額が相場となっています。

 

月々の費用負担は、介護費、居住費、食費、その他を含めて総額16万4千円から18万7千円の範囲となっています。
費目的にみると、介護サービス費は、地域や、要介護度、ユニット数等による費用のばらつきは大きくないのですが、居住費や食費には地域や施設・設備によるばらつきが大きくなっています。
従って、施設の検討には当該施設のホームページで確認する必要があります。

 

6.補足A:特別養護老人ホームには3種類ある!

 

元々ある「特別養護老人ホーム」は、29人以上の大規模施設で他府県からでも入居可能であるため「広域型特別養護老人ホーム」と呼びます。 

 

しかし、地域限定でないため希望者が多く入居待ち状態が定着しなかなか入居できないので問題になっています。 

 

2025年問題を控え、高齢化の中で住み慣れた地域で最後まで生活できるための地域包括システム(住まい、医療、介護、介護予防、生活支援を一体として提供できる仕組み)構築の一環で、地域住民だけが利用できる「地域密着型特別養護老人ホーム」の整備が進められています。 

 

地域住民だけが入居できる29人以下の小規模施設「地域密着型特別養護老人ホーム」が整備されています。 

 

また、自宅介護者を24時間体制で見守りサポートする施設「地域サポート型特別養護老人ホーム」の整備も進められています。 

 

「地域密着型特別養護老人ホーム」には、「単独型」と「サテライト型」がある。

 

3種類の特別養護老人ホームの違い

 

特別養護老人ホームの種類

定員 入居可能地域 介護体制
(1)広域広域型特別養護老人ホーム 30人以上 問わず 単独介護体制
(2)地域密着型特別養護老人ホーム サテライト(設立)型 29人以下 地元住民のみ利用可能 本体と共同介護体制
単独(設立)型 29人以下 単独介護体制
(3)地域サポート型特別養護老人ホーム 24時間見守り

 

V.最後に

 

以上のように、介護保険では、自宅での在宅介護が難しくなった場合、介護保険の公的施設である「特別養護老人ホーム」や「介護老人保健施設」か、民間運営の住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅に入所して介護サービスを受けて介護生活が続ける道があります。 

 

民間施設は、入居基準がさほどきつくなく入居できますが、施設費として大きな一時金を必要とする上、介護サービスは自ら契約して居宅介護を受けなければなりません。 

 

一方、公的施設は、要介護度等の入居基準を満たす必要があり、施設数の制約から簡単に入居できない制約がありますが、施設費の一時金負担はなく月々の居住費や食費等の発生費用負担のみで済み、24時間、施設で介護サービスの提供が受けらることができます。

 

従って、万一に備えて、公的施設への入居基準や費用がどの程度掛かるかを知っておくことが重要です。 

 

なお、施設入居の場合は、一旦入居すると簡単に変更はできないので、施設決定に際しては直接施設に赴いてスタッフと面会し、施設の状況やスタッフの対応、施設の立地、自宅からの距離等を勘案して、他と比較して決定されることをおすすめします! 

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

ーーーーーーーーーーー 完  ーーーーーーーーーー

 

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2022年12月12日

介護保険➂|居宅サービスの種類と負担費用概算及び利用留意点(リニュアル)

介護保険の「居宅サービス」は、介護の必要な人が自宅で生活を続けるためにはなくてならないサービスです!しかし、費用は年金生活者に重圧では? 

 

居宅サービスは、高齢者が介護や支援が必要となった時に自宅で生活を続ける上で大きな支えとなってくれるしくみです。 

 

介護は、高齢者にとって身近な問題です。

 

特に年金暮らしの場合は、「年金でやっていけるのだろうか?」いったことが心配になります。 

 

居宅サービスを利用するために必要な手続きや費用等が一目でわかるように整理しました。 ご参考になれば幸いです。

 

 

T.居宅(介護)サービスとは

 

1.自宅生活を長く続けるには居宅サービスの上手な利用が大事!

高齢で介護や支援が必要になった時に、一人住まいの方はもちろん、高齢者夫婦のみの世帯、あるいは、二世帯同居であっても、日常生活に負荷が掛かります。 

 

「居宅サービス」は、それらの負荷を軽減し要介護・要支援者が自宅で生活が続けられるように行う訪問サービスや通所サービスなどの一連の介護保険サービスです。 

 

自宅生活を長く続けていくためには、介護サービスを上手に利用し自立した生活が続けられるようにすることが必要となります。 

 

そのためには、自宅生活維持に必要な介護サービスのしくみ、内容、費用等をよく知って、利用できるものは利用して負荷を軽減し自宅生活が維持できるよう準備しておくことが重要です。

 

2.居宅サービスは「訪問」「通所」「短期滞在」「その他」からなる一連のサービス」の総称

居宅サービスとは、介護や支援が必要な高齢者が自宅で生活しながら介護保険から受けられるさまざまなサービスの総称です。 

 

ヘルパーさんなどが自宅に来て介護してくれる「訪問型サービス」だけではなく、介護施設に出向いてリハビリなどを受ける「通所型サービス」や、宿泊して生活支援を受ける「短期滞在型サービス(ショートステイ)」、あるいは、自宅で生活し易くするための「福祉用具」や「住宅改修」等の援助も含まれます。 

 

なお、有料ホームなどの施設に入っていても、特別養護老人ホームなどの介護保険施設でない場合は、そこが居宅と見なされ、同様の居宅サービスが受けられます。

 

3.居宅サービスの種類

 

要介護者を対象とした居宅サービスは、大きく分けて、「訪問型サービス」、「通所型サービス」、「短期滞在型サービス」、「その他サービス」があり、要支援者にも、介護予防を目的とした同様の居宅支援サービスがあります。

 

1)「要介護者」を対象にした居宅サービス

 

要介護者には下表のような居宅サービスが用意されています。 

 

各サービスは、介護度(要介護や要支援)の状態によって受けられる支援範囲や頻度及び費用の負担額(限度額等)は異なります。

 

サービス名 サービス内容
訪問 訪問介護 「ホームヘルパー(介護職員初任者研修終了)」が自宅を訪問し、身体介護(排せつ、食事、入浴など)や生活援助(調理、洗濯、買い物、掃除など)などの日常生活の支援を行う。
通院の移送等も可能。
なお、「医療行為」と「日常生活の範躊を超える介助」はできない。
訪問看護 「看護師」が自宅を訪問し、医師の指示に基づいた療養上の世話や診療の補助を行う
訪問入浴介護 「介護スタッフと看護師」が浴槽等を持ち込み、自宅で入浴介助を行う
訪問リハビリテーション 「理学療法士や作業療法士、言語聴覚士などのリハビリ専門家」が自宅を訪問し、日常生活の自立や心身の機能回復や維持のリハビリを行う
居宅療養管理指導 「医師や薬剤師、管理栄養士、看護師など」が、本人や家族に必要な指導などを行う
通所 デイサービス 施設に通い、食事や入浴などの日常生活の支援を受けたり、機能の維持・向上のための訓練を受けたりする
デイケア 病院や診療所、老人保健施設などの施設に通い、機能を維持・向上をするための訓練や日常生活の支援などを受ける
短期滞在 短期入所 生活介護 一時的に特別養護老人ホームなどに入居し日常生活の支援や機能訓練などを受ける(ショートステイ)。
家族の負担軽減に有効
短期入所 療養介護 病院や介護老人保健施設などに一時的に入居し、医療や看護ケア、機能訓練などを受ける。
家族の負担軽減に有効。
その他 レンタル事業 介護ベッド、車イスなどのレンタル(1割負担で)
購入費助成 入浴、排せつ関係具の購入費助成(年間10万円が上限)
補助金支給 手すり、バリアフリー、トイレ等改修(20万円迄)

 

※なお、上表に含まれないサービスとして、「特定施設入居者生活介護サービス」があります。

 

これは、介護付き有料老人ホームやケアハウス、サービス付き高齢者向け住宅などの入居者が、施設が行う介護や日常生活上の世話などを「居宅サービス」として介護保険で受けることができるサービスです。

 

2)「要支援者」が受けられる予防居宅サービス

 

要支援者も、要介護者と同様の種類の支援サービスが受けられますが、あくまでも、要介護状態にならないための予防支援という形で、心身状態の維持あるいは悪化をできる限り防ぐために必要なサービスに限定されます。 

 

以下の予防サービスから、自分に合ったサービスが利用できます。

 

サービス名 サービス内容
訪問 介護予防 訪問入浴介護 看護師と介護職が自宅に訪問して入浴介助を行います。
介護予防 訪問看護 看護師が自宅を訪問して医療的ケアを行います。
介護予防 訪問リハビリ 理学療法士や作業療法士、言語聴覚士が自宅に訪問してリハビリを行います。
介護予防居宅療養管理指導 医師、歯科医師などが通院が困難な要介護者の自宅を訪問し、介護予防を目的とした療養上の管理や指導をします。
通所 介護予防通所リハビリ 利用者がリハビリ施設に通い、リハビリを受けます。(デイケア)
介護予防認知症対応型通所介護 認知症ケアを専門とした通所施設に通って食事や入浴などの支援を受けます。
介護予防小規模多機能居宅介護 施設への通いを中心に、訪問サービスや短期の宿泊サービスを受けます。
短期宿泊 介護予防短期入所生活介護 介護老人保健施設や特別養護老人ホームなどの施設に短期間宿泊するサービスです。(ショートステイ
介護予防短期入所療養介護 医療機関や介護老人保健施設などで医療ケアを受けながら短期間宿泊するサービスです。(医療型ショートステイ
その他 福祉用具貸与 専門知識を持った業者から福祉用具をレンタルするサービスです。
特定福祉用具販売 専門知識を持った業者から福祉用具を購入するサービスです。

 

4.居宅サービスを受けるには(要件や申請手続き等)

 

1)要介護・要支援の認定が必要

 

居宅サービスを利用するためには、介護認定で要介護1〜5または要支援1〜2と判定される必要があります。 

 

このため、住んでいる市町村の窓口に申請し審査の上、認定を受けます。

(申請後、本人との面談等を経て審査が行われ、原則として30日以内に結果が通知されます。)

 

◎要介護・要支援認定7ランクの身体状況(行動困難度)

 

「要支援1及び2」は、ほぼ日常の生活は自分でできるが、立ち上がりや歩行などの移動及び掃除などにややサポートが必要な状態です。

要支援2は1より若干サポートがより必要な状態。 

 

「要介護1〜5」は、身体機能や認知機能面で日常生活に介助が必要な状態で、

「要介護1〜2」は、何らかの介助が必要、

「要介護3〜5」は、一人でできないことが多く、日常生活(食事、排泄、入浴、移動、更衣等)全般に介助が必要な状態です。

 

要介護度 介護度認定の目安
要支援1 日常生活はほぽ自分でできるが、立ち上がり動作や掃除などの日常生活の一部に多少支援が必要な場面がある状態。
要支援2 日常生活はほぽ自分でできるが、立ち上がる際だけでなく歩くときにも手助けが必要で日常生活に支援が必要な状態
要介護1 部分的な介護が必要な状態立ち上がりや歩行が不安定で排泄や入浴などに部分的な介助が必要。
要介護2 要介護1よりも日常生活能力や理解力が低下し、食事や排せつなど身の回りのことについても一部又は全介助が必要
要介護3 立ち上がりや歩行などが自力では困難。日常においても食事や排泄、入浴、衣服の着脱など身の回りのこと全てに介助が必要。
要介護4 排泄、入浴、衣服の着脱など日常生活の全般において全面的な介助が必要。日常生活能力の低下がみられる
要介護5 日常生活全般において介護が無ければ生活が不可能で、意志の伝達も困難な程、重度な状態。

参考:厚生労働省の介護に掛かる1日の延べ時間でみたランク表

ランク 介護にかかる1日の総時間
要支援1 25分以上32分未満
要支援2 32分以上50分未満
要介護1
要介護2     50分以上70分未満
要介護3 70分以上90分未満
要介護4 90分以上110分未満
要介護5 110分以上

 

 

 

2)居宅サービスを受けるまでの手続きの流れ

 

認定を受けた要介護者は、市区町村の介護保険課に「居宅介護支援事業者」(ケアマネージャーが常駐している事業所)を申請します。

 

要支援者は、市区町村の指定を受けた「地域包括支援ケアセンター」に申請します。 

 

以降は、事業所が決まったら、居宅サービスを受けるためのケアマネジャーが選任され、担当ケアマネジャーは、利用者の心身状況や生活環境を把握し、サービスの種類や回数を決めまて、ケアマネジャーを通してサービス事業者と契約を行い、ケアプランに基づいたサービスが開始されます。

 

U.居宅サービス利用にかかる費用の目安

 

1.介護サービスは、原則、利用料の1割負担で受けられる

 

介護保険適用のサービス利用に伴う自己負担は、原則、利用料の1割となります。 

 

介護サービスには様々なサービスがありますが、介護保険が適用される介護サービスは、全て原則利用料の1割が本人負担となります。(残りは介護保険が負担します) 

 

但し、現役並みの所得がある高所得者(年金収入とその他の合計所得額が下表の水準である場合)は、2割又は3割負担となります。

 

1)負担割合の決定は毎年、前年の所得によって7月に決定される

 

負担割合は、介護サービスを受ける為に認定を受けた際、その時の前年の年収で決定されます。 

 

なお、それ以降は、毎年実施される再認定時に合わせ、前年の所得によって負担割合が決定され、「介護負担割合通知書」が毎年7月に市区町村から送られてきて8月から翌年7月までの1年間に適用されます。

 

2)高所得者は、2~3割負担となる

 

現役並みの所得がある高所得者(年金収入とその他の合計所得額が下表の水準である場合)は、2割又は3割負担がとなります。 

 

但し、あくまでも「介護サービスを受け乍らそれだけの収入(所得)がある人」です。

 

◎「2割負担、3割負担の基準表」

 

「年金収入そのほかの合計所得」と「世帯人数」により2割~3割負担が決まります。

 

  2割負担 3割負担
単身世帯者 280万円以上340万円未満 340万円以上
夫婦世帯者 346万円以上463万円未満 463万円以上

つまり、介護サービスを受けなければならなくなった時に、その時の前年年収がサラリーマン世帯収入と同様の収入があれば2割~3割負担になる可能性があるということです。

 

2.1割負担で利用できるサービス料は、要介護度に応じた月間の限度額が定められている!

 

介護保険で受けられる介護サービスは様々なものがありますが、利用料は、サービスの内容や密度(時間等)によって決まります。 

 

介護サービスは、原則1割の自己負担で受けられますが、要介護度に応じて介護保険が適用される1か月の限度額が定められています。
(限度額は、介護度が高いほど高額に設定されている)
 

 

従って、限度額までは1割(高所得者は2~3割)負担で受けられますが、それを超える部分は全額自己負担となります。 

 

例えば、5万円が限度額である場合、月間5万円の介護サービスを受けても自己負担は5千円(5万円✕1割)で済みますが、7万円使うと2万5千円(5万円✕1割+(7万円−5万円))の自己負担となり、結局、35%もの自己負担となってしまいます。 

 

もちろん、要介護度が高くなると、サービスがより必要になることから限度額も高く設定されているので、その限度額までなら1割負担で済みます。 

 

限度額が10万円であれば、10万円のサービスを受けても1万円で済みますが、15万円のサービスを受けると6万円の自己負担となり、40%もの自己負担割合となってしまいます。 

 

従って、極力、限度額以内で利用できる介護サービスの利用を設計することが重要です。

 

【要介護度別の1か月の保険適用限度額と自己負担額の計算方法】

 

ご覧のとおり、1割負担で済む限度額は、要介護度が高くなるほど高い限度額が設定されており、大抵のサービスは、限度額の範囲で利用できる設定となっています。

 

要介 護度 介護度認定の目安 限度額 自己負担額の計算方法 (1割負担の場合)
要支援1 日常生活はほぽ自分でできるが、要介護状態予防の為に少し支援が必要 50,030円 50,030円までであれば1割負担で済むが、50,030円以上の利用料であれば、5003円+50030円を上回った額全額
要支援2 要支援1よりは、立ち上がりや掃除などの日常生活にサポートが必要な状態 104,730円 104,730円までであれば1割負担で済むが、104,730円以上の利用料であれば10473円+104730円を上回った額全額
要介護1 立ち上がりや歩行が不安定。日常の中で排泄や入浴などに部分的な介助が必要 166,920円 166,920円までであれば1割負担で済むが、166,920円以上の利用料であれば、16692円+166920円を上回った額全額
要介護2 自力での立ち上がりや歩行が困難。排泄、入浴などに一部又は全介助が必要 196,160円 196,160円までであれば1割負担で済むが、196,160円以上の利用料であれば、19616円+196160円を上回った額全額
要介護3 日常においても排泄、入浴、衣服の着脱など全面的な介助が必要 269,310円 269,310円までであれば1割負担で済むが、269,310円以上の利用料であれば、26931円+269310円を上回った額全額
要介護4 排泄、入浴、衣服の着脱など日常生活全般に介助が必要で生活力低下がみられる 308,060円 308,060円までであれば1割負担で済むが、308,060円以上の利用料であれば、30806円+308060円を上回った額全額
要介護5 日常生活全般において、全面的な介助が必要であり、意志の伝達も困難 360,650円 360,650円までであれば1割負担で済むが、360,650円以上の利用料であれば、36065円+360650円を上回った額全額

 

3.要介護度別に見たサービスの利用プランと費用の目安

 

介護が必要となった時に、真っ先に気になるのは、「どんな在宅サービスを受ければ、在宅のままで生活していけるのか?」、また、「費用はどの程度になり、年金でやっていけるのか?」といったことではないでしょうか? 

 

要介護度別に、受ける居宅サービスの種類とその場合の自己負担額がどの程度になるかのモデル例を作ってみました。 

 

あくまでもイメージを掴んでいただくことが狙いなので一般的なケアプラン設定としています。

 

なお、各サービスは「地域係数」により多少の地域差が生じますが、東京1級地の地域係数を用いています。 

 

要介護度別に限度額が決められていますが、限度内でうまくやっていけるかの見当がつけられると思います。

 

1)要支援1の在宅介護モデル(利用料が限度額以内)

 

要支援1の本人(75歳)と夫(78歳、腰痛)との二人暮らしを想定
〈ケアプラン〉
・週2回の介護予防訪問介護(生活援助が中心)と週1回のデイサービスを利用

 

介護サービス月間利用料総額は39,990円で限度額50,030円以内のため、自己負担額は1割の3,999円で済みます。

 

試算表

身体介護と生活介助の自立支援を週2回、デイサービスを週1回受けるようなプランですが、月間利用料が39,990円で限度額50,030円内ですむため、本人負担は、1割負担の3,999円ですみます。

 

2)要介護1の在宅介護モデル(利用料が限度額以内)

 

要介護1で75歳の本人と夫(78歳、腰痛)との二人暮らしを想定
〈ケアプラン〉
・訪問介護として週2回の自立支援と週2回の入浴介助のほかに週2回のデイサービスを利用

 

介護サービス月間利用料総額は135,807円で限度額166,920円以内のため、自己負担額は1割の13,576円で済みます。

 

試算表

入浴介助を週2回、掃除及び買い物等の自立支援を週4回、デイサービスを身体介護と生活介助の自立支援を週2回、デイサービスを週2回受けるようなプランですが、月間利用料が135,807円であり、166,920円の限度額以内なので自己負担は、13,576円ですみます。

3)要介護3の在宅介護モデル(利用料が限度額以内)

要介護3で75歳の本人と夫(78歳、腰痛)との二人暮らしを想定
〈ケアプラン〉
・週4回の訪問介護と週1回の訪問看護のほかに週3回のデイサービスを利用、他にベッド、車椅子、歩行器のレンタルを利用。

 

介護サービス月間利用料総額は250,285円で上限の269,310円以内のため、自己負担額は1割の25,030円で済みます。

 

試算表

買い物や調理、掃除の外に健康管理などの生活援助などを週5回、デイサービスを週3回、他に用具のレンタル料などを利用して、月間250,285円の利用料が掛かっているが、限度額が269,310円の範囲内なので、1割の25,030円が自己負担となります。

 

4)要介護5の在宅介護モデル(利用料が限度額以上)

 

要介護5で75歳の本人と夫(78歳、腰痛)との二人暮らしを想定
〈ケアプラン〉
・週15回の訪問介護と週2回のデイサービス、さらに週1回の1泊2日のショートステイを利用、他にベッド、車椅子、エアマットのレンタル利用。

 

介護サービス月間利用料総額はショートステイ料金除きで401,507円と既に限度額360,650円を超過しているため、限度額の1割に相当する36,065円に限度額超過額40,857円を加算した76,922円が自己負担になります。 

 

さらに、ショートステイ料金が全額が自己負担となるため、月間の自己負担分は10万円近くになりそうです。

 

試算表

毎日の朝昼夜の排泄と昼夜の食事介助、週2回のデイサービスで月額401,507円となり、限度額360,650円を超えているため自己負担額は、76,922円(40,857+36,065)となる。
さらに週1回のショートステイは、全額自己負担になるため、合わせると月額10万円近くの自己負担となります。

 

この要介護5のモデルは、非常に重い介護の必要性がある状態を想定していますが、それでも「特別養護老人ホーム(特養)」による施設介護サービス(10万円〜20万円)よりは自己負担は安く済みます。 

 

本人の自宅願望が強ければ居宅サービスで生活していければ何よりですが、それでも家族の協力がなければできません。如何に居宅サービスを有効に利用するかが問われます。

 

V.安心できる居宅介護サービスを受けるには

 

介護が必要となり介護サービスに期待を寄せる本人にとって、サービス提供者の質や相性は、非常に重要な心のよりどころとなります。 

 

従って、居宅サービスを支えに老後を安心して過ごしていくためには、地域に密着した介護基盤づくりが重要であると同時に、如何に良質なサービスを提供してもらうかがカギとなります。 

 

特に、頼りとなる子供達が近隣にいない場合は、いざというときに備えて、早めに居宅介護への情報集め等の準備はしておくべきと考えます。

 

1.介護認定審査には子供が極力付き添いましょう!

 

介護認定審査には、市区町村の担当者の聞き取り調査がありますが、この際は極力、実際の日頃の親の実態を熟知している子供が立ち合うことをおすすめします。 

 

本人は、聞き取り調査の主旨を解せず無理して介護の必要性を薄める対応をしがちになる処があります。 性格にもよりますが、自分はまだしっかりしているところを見せたがるものです。これは、毎年の介護認定更新聞き取り時も同様です。 

 

そのことが、十分なサービスを受けられなくする原因にもなります。 

 

また、審査には主治医の意見書添付が求められ医師との面談がありますが、やはり、この場合も、子どもが付き添い主治医により正確に記述してもらうべきです。

 

2.居宅介護支援事業所やケアマネージャー選定にも必ず子供が付き添いチェックしましょう!

 

介護認定を受けると、次は介護サービスを受ける為の「居宅介護支援事業所」及び「ケアマネージャー」の選定が非常に重要となります。 

 

「居宅介護支援事業所」は市区町村の担当窓口や地域包括センターなどで紹介してくれますので、あせらずにじっくり信頼のできる事業所を選ぶべきです。

 

 途中でも変えられますが、やはり最初が肝心です。 

 

このため、直接、事業所に出向くなり来てもらうなりして担当者と面談し、事業所の信頼性や、その事業所が派遣するケアマネージャーの資質について直接話を聞いて日頃の対応ぶりを確認することが大事です。

 

この際、必ず子どもが直接立ち会うことは非常に重要です。 

 

また、介護が始まると、いろいろと問題が生じてくることもあります。

 

従って、子供は、再々に亘って、状況把握を確認していく必要があります。 

 

永い居宅サービスで自宅生活を続けて行くためには、必要性があれば、ヘルパー交代や事業所変更などに手を打つ事態も生じてくる可能性があります。 

 

実際には、ケアマネージャーとのやり取りは子の役割になると考えるべきです。

3.身体の状況に応じて介護サービスをチェックし必要ならサービスの変更を行いましょう!

数年経てば体の状況も変わっていきますので、状況にあった介護サービスへの変更も必要になります。 

 

ケアマネージャーも時々チェックして連絡をくれますが、早めの対応に心がけましょう!

 

4.自宅生活を可能にする居住環境(バリアフリー化や手すり取り付け、トイレ・風呂改修等)の整備をしましょう!

 

自宅介護を可能にするためには、要支援・要介護者の日常生活が容易になるよう居住空間の整備が不可欠になります。 

 

要支援・要介護者の状況に合わせて床のバリアフリー化、玄関や風呂・トイレの段差があるところでの手すりの取り付け、トイレの洋式化等々の改善が必要であり、介護保険から出る住宅改修費(上限20万円)などを活用して整備しましょう。

 

W.最後に

 

高齢者は、介護が必要になっても長年暮らした自宅で過ごしたい気持ちは強いもので、自宅生活であればこそ、自立生活のための気力は継続されやすいものです。 

 

介護保険の居宅サービスは、そういった思いの強い高齢者にとって大きな支えとなってくれる重要なしくみです。 

 

高齢になれば、介護は身近な問題となりますが、介護が必要になってからでは何かにつけて自分では身動きが取れず、適切な介護も受けられなくなる可能性があります。

 

特に、子供が近隣に在住していない場合は、元気なうちに、居宅サービスの仕組みを理解し、適切な居宅サービスが受けられるよう情報集めや地域との接触関係作りをしておきたいものです。 

 

特に、居宅サービスを利用するために必要な手続きや費用等の理解を深めておくことが大事です。この記事が役立てば幸いです。 

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

ーーーーーーーーーー 完 ーーーーーーーーーーー

 

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2022年12月11日

介護保険A|介護サービスにはどのようなサービスがあるかご存知?(リニュアル)

介護保険にはどのような介護サービスが利用できるかご存知ですか? 

 

あなたや遠隔地に住む老親に介護の必要性が生じた時、どんなサービスが受けられるかを知っていれば、適切なサービスが思い浮かび慌てずに済みます。 

 

知らないと、いきなり施設介護などと誤った選択をしてしまいかねません。 

 

従って、いざと言うときの為にも、介護サービスにはどのようなものがあるかを知っておくことは大切なことです。

 

 

 

T.「介護」を取り巻く環境

 

高齢化に伴い、介護サービスを必要とする高齢者は増加の一途となっています。

 

1.要介護者比率、65歳以上18%、75歳以上33%を占める

 

厚生労働省の調査によると、65歳以上に占める要支援を含む要介護者の割合は18%(資料@)、75歳以上に占める割合は32.5%(資料A)と、75歳以上では、実に3人に一人が何らかの支援が必要であることを示しています! 

 

(資料@)

◎65歳以上の第一号被保険者数3,446万人に対し要介護(含む要支援者)認定者数は633万人と18%を占め、5人に一人が介護を必要としています。
17年前の2000年には10人に一人であったので、約2倍の比率となっています。


 

 

(資料A)

◎65歳以上74歳未満の被保険者数に占める要介護者数は4.3%(1.4+2.9)であるのに対し、75歳以上の被保険者数に占める要介護者数は、32.5%を占め、3人に一人が何らかの支援を必要としています。


 

 

 

2.介護が必要になった原因は、「認知症」、「脳血管」、「骨折転倒」、「関節疾患」、「心疾患」等が多くを占める!

 

介護が必要となった原因は、「認知症」が最も多く、「脳血管疾患」、「高齢による衰弱」、「骨折・転倒」、「関節疾患」、「心疾患」となっており、多くは突発的な発症で介護が必要となった様です。 

 

 

3.人口の3人に1人が65歳以上社会で介護は身近な問題

 

「我が国の総人口(2022年9月15日現在推計)は、前年に比べ82万人減少している一方、65歳以上の高齢者人口は、3627万人と、前年に比べ6万人増加し、過去最多となりました。

 

総人口に占める割合は29.1%と、前年(28.8%)に比べ0.3ポイント上昇し、過去最高となりました」(総務省統計局) 

 

従って、私たちの周囲は、親を含めて高齢化が進み、介護支援を必要とする方が身近な存在になっていると言えるのではないでしょうか?

 

4.身近に高齢者がおられる場合は、介護サービスについて理解を深めておくことが重要です!

 

自分たちを含めて、高齢者がいる場合は、いつ何時、介護が必要になるかはわかりません。 

 

介護保険には、どのような介護サービスが用意されており、どのような場合にどういう形でサービスが受けられるかを知っておくと、いざという時に、自宅で介護サービスを受けてやっていけるといった判断ができます。 知らないと、いきなり施設入所といった不幸な判断をしかねません。 

 

介護は、他人事ではなく、身近なものとして基本的な知識、特に、どういうサービスがあるかは理解しておくことがじゅうようであると考えます。

 

U.介護保険で受けられる介護サービスの種類

 

1.介護サービスのベースは「居宅介護サービス」

 

要介護の状態にもよりますが、高齢者の方にとっては、急に住環境を変えるのは心理的にリスクが大きいため、可能であれば、やはり、住み慣れた自宅で生活できることを第一に考えるのが最善だと考えます。 

 

従って、在宅で利用できる介護サービスについての理解を深めておくことが第一と考えます。 

 

もちろん、要介護状態によっては、直ちに施設介護が必要な場合もあるので、その心配がある場合は施設介護についても理解を深めておく必要があります。

2.介護サービスは「早めに」利用しましょう!

身体に不自由性がを感じたら無理を続けず早めに介護サービスを利用して本人及び家族の負担を軽減することが大事です。 

 

過剰に無理を続けると、本人ばかりでなく家族にもストレスが募り、却って身体の不自由性を助長させてしまいかねません。

 

特に高齢の夫婦二人世帯や一人世帯の場合は早めに利用の準備することをおすすめします。

 

その為には、介護サービスの種類や内容を知っておく必要があります

 

介護保険には、様々な介護サービスが容易されています。 

 

大抵は、よく知らないために、サービスを受けるのが遅くなったり、費用対効果の乏しいサービスを受け続けることになったりします。 

 

介護サービスは、要介護(要支援)の認定ランクによってサービスの種類や内容、時間等が決められていなすが、どんなものが利用できるかを知っておくだけでもいざと言うときには役立ちます。

 

3.介護サービスは「居宅」「施設」「地域密着型」に分類されます

 

介護サービスには、「居宅サービス」、「施設サービス」、「地域密着型サービス」、「その他サービス」の4区分があります。

 

なお、歩行器やベッドなどの補助具の「レンタル」や住宅改築費の「補助」が受けられるサービス「その他サービス」は居宅サービスに含まれます。 

 

なお、「施設介護」は、要介護の認定がなければサービスを受けられませんが、「居宅サービス」及び「地域密着型サービス」には、「要支援者」の方も受けられるサービスがたくさんあります。

 

1)「居宅サービス」で受けられる各種サービス

 

「居宅サービス」は、現在の居宅に住んだまま受けられる介護サービスです。 
 

「訪問型サービス」、「通所型サービス」、「短期滞在型サービス(ショートステイ)」、「福祉用具」、「住宅改修」等の区分により、各種サービスが用意されています。

 

<「居宅サービス」の各種サービス>

類型 サービス名 サービス内容
訪問型   訪問介護 「ホームヘルパー(介護職員初任者研修終了)」が自宅を訪問し、「身体介護」(排せつ、食事、入浴など)や「生活援助」(調理、洗濯、買い物、掃除など)などの「日常生活の支援」を行う。通院の移送等も可能。 なお、「医療行為」と「日常生活の範躊を超える介助」はできない。
訪問看護 「看護師」が自宅を訪問し、医師の指示に基づいた療養上の世話や診療の補助を行う
訪問入浴介護 「介護スタッフと看護師」が浴槽等を持ち込み、自宅で入浴介助を行う
訪問リハビリテーション 「理学療法士や作業療法士、言語聴覚士などのリハビリ専門家」が自宅を訪問し、日常生活の自立や心身の機能回復や維持のリハビリを行う
居宅療養 管理指導 「医師や薬剤師、管理栄養士、看護師など」が、本人や家族に必要な指導などを行う
通所型   デイサービス 「施設に通い」、食事や入浴などの日常生活の支援を受けたり、機能の維持・向上のための訓練を受けたりする
デイケア 「病院や診療所、老人保健施設などの施設に通い」、機能を維持・向上をするための訓練や日常生活の支援などを受ける
短期滞在型   短期入所生活介護 「一時的に」特別養護老人ホームなどに入居し日常生活の支援や機能訓練などを受ける。家族の負担軽減に有効
短期入所療養介護 病院や介護老人保健施設などに「一時的に」入居し、医療や看護ケア、機能訓練などを受ける。家族の負担軽減に有効。
特定施設入居者生活介護 「介護付き有料老人ホームやケアハウス、サービス付き高齢者向け住宅などの入居者」が、施設が行う介護や日常生活上の世話などを「介護保険で」受けることができる
福祉 用具 レンタル事業 介護ベッド、車イスなどのレンタル(1割負担で)
購入費助成 入浴、排せつ関係具の購入費助成(年間10万円が上限)
住宅 改修 補助金支給 手すり、バリアフリー、トイレ等改修(20万円迄)

2)「施設サービス」で入居できる3施設(介護保険適用)

「施設サービス」は、「特別養護老人ホーム」「介護老人保健施設」「介護療養型医療施設」「介護医療院」などに入所して24時間の介護を受けられるサービスです。 

 

介護保険適用の施設サービス対象施設は、「特別養護老人ホーム(特養)」、「介護老人保健施設(老健)」、「介護療養型医療施設⇒順次「介護医療院」へ切り替え中」の3種類があります。 

 

なお、「特老」は、永年入居可能であり、入居時に一時金の必要性がなく、かつ、月額利用料も有料老人ホームに比べて割安なため満室が多く、待機者も多いのが通常になっています。 

 

このため、急には入居できない可能性大であることに注意が必要です。 

 

また、「老健」は3か月の期間限定ですが、3か月の自宅介護の後、再度受け入れてくれる可能性が高いので、自宅介護で何とか凌げる状況の場合は、過重な家族の負担軽減と本人の自宅願望を叶えるために「老健」の利用をおすすめします。 

 

これにより、特老や有料老人ホームへの転居を凌ぐことができ、自宅での生活ができるだけ永く続けられます。手続きは少し煩わしいですが、是非活用されることをおすすめします! 

 

また、「地域密着サービス」が非常に充実してきており、そちらのサービスを利用した方が本人も、家族も安心して地域に密着した生活が過ごせるようなので、「施設サービス」を検討する必要があるような事態には、是非、「地域密着サービス」を最優先に検討されることをおすすめします!

 

<「施設サービス」の各種サービス>

特徴 サービス名 入居基準とサービス内容
終身入居 特別養護老人ホーム (特養) 「常に介護を必要とする方対象」の施設で、食事や入浴などの日常生活の支援や機能訓練、療養上の世話などを受けることができる。

原則として、「要介護度3以上」が入居要件。

但し、要介護度1〜2の方は、やむを得ない理由などで入居できる可能性もある。
期間限定入居 介護老人保健施設 (老健) 「在宅復帰を目指している方を対象」とした施設で、医療や介護、リハビリなどが受けられる施設設です。

3か月が限度。但し、期間を開ければ再入居は可能!(従って、3か月施設サービス利用、3か月自宅でデイサービス等利用、再度施設サービス3か月利用等で繋げていければ家族の負担軽減に繋がる)

「要支援1〜2の方」は利用することができません
療養期間⇒廃止し「介護医療院」へ転換 介護療養型医療施設 ⇒介護医療院 長期に亘って療養が必要な方」を受け入れる施設です。(普通、入院先病院での療養が長引けば病院で紹介されます?

必要な医療や介護、リハビリテーションなどを受けることができます。

「要支援1〜2の方」は利用することができません

なお、「介護療養型医療施設」制度は廃止され「介護医療院へ順次移行中。
指定有料老人ホーム 特定の指定を受けた有料老人ホーム 介護保険適用の施設サービスに該当しません。

但し、自治体から「特定施設入居者生活介護」の指定を受けている有料老人ホームは、「介護付き」と呼ばれ介護サービスに介護保険が適用され、提供される介護サービスのぽとんどを「定額制(包括報酬)」で受けられる。

 

3)「地域密着サービス」で受けられる各種サービス

 

「地域密着型サービス」は、要介護高齢者や認知症高齢者が、介護度が重くなっでも、居宅サービスや施設サービスが身近な自宅の近くで受けられるサービスです。

 

市町村により指定された事業者がサービスを行い、その地域に住む住民が対象となります。 

 

特徴としては、「地域密着型サービス」における訪問介護や訪問看護、デイサービス、ショートステイは、同一事業所からのサービスに限定されるため、「居宅サービス」に比べてスタッフが顔なじみとなり家族のような安心感を得ることができます。 

 

「地域密着サービス」の利用は、原則、「要介護者」対象ですが、「要支援者」の方も、「介護予防」として受けられるサービスがあります。 

 

「要支援1、2」の方は、小規模多機能型居宅介護、認知症対応型通所介護を、「要支援2」の方は、更に認知症対応型共同生活介護(グループホーム)も利用可能です。

 

<「地域密着サービス」の各種サービス>

類型 サービス名 サービス内容
居宅 小規模多機能型居宅介護 施設へのデイサービス(「通い」)中心に、スタッフの自宅への「訪問」や短期間の「宿泊」も組み合わせた支援を行うサービスです。 「通い」はおおむね15名以下の小人数定員となっており、家庭的な環境で過ごすことができます。

・利用料は介護度による定額制で利用できる事業所は一か所に限定。ケアマネージャーも事業所に在籍するケアマネージャーに変更。

「要支援1・2」でも、介護予防として利用可能
看護小規模多機能型 居宅介護 小規模多機能型居宅介護に「訪問看護」が加わった介護と看護が一体となったサービスです。

看護師が配置されるため、医療ケアが必要な人に向いています。
訪問型 定期巡回・随時対応型 訪問介護看護 ・日中夜間を通して24時間365日体制で利用者の状態に合わせて、定期的に訪問したり、必要に応じて介護や看護のサービスを提供します。
夜間対応型 訪問介護 夜間の定期巡回による訪問介護と利用者の要請による随時訪問介護端末を設置し通報に対応するサービスも提供。
通所型     地域密着型 通所介護 利用定員18名以下の小規模な通所介護(デイサービス)で、通常のデイサービスと同様の食事、入浴、レクや機能訓練などをサービスを行います。
認知症対応型 通所介護 認知症高齢者を対象とした通所サービスで、定員12名以下の少人数で家庭的な雰囲気の中で、食事、入浴、レクや機能訓練などをサービスを行います。

「要支援1・2」でも介護予防として利用可能
施設型 認知症対応型 共同生活介護(グループホーム) 認知症高齢者が5~9人の少人数で利用者が家事を分担するなど共同生活をしながら日常生活の支援や機能訓練のサービスを受ける。

・「要支援1」は利用できないが、「要支援2」は、介護予防として利用可能
地域密着型 特定施設入居者生活介護 入居定員が30人未満の軽費老人ホームや有料老人ホームのうち、指定を受けた施設で、日常生活の支援や機能訓練などを受けることができます。
地域密着型 介護老人福祉施設入居者 生活介護 ・定員が30人未満の「介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)」です。

・「特老」と同様に、常に介護が必要な方を受け入れ、日常生活の支援や機能訓練などを行います。

 

V.最後に!

 

以上が、介護が必要となった時に利用できる介護保険サービスの全容です。 

 

利用には、要介護・要支援認定によって受けられるサービスと受けられないサービス、あるいは利用頻度や利用料金は異なりますが、原則、上限以内であれば利用料のT割負担で受けられます。 

 

介護サービスは、介護を必要とする人を社会で支える制度です。 

 

万一、介護が必要な方が生じた場合は、適切なアドバイスや面倒がみられるよう介護サービスについて知識を深めておきたいものです。 

 

なお、介護サービスの利用を実際に検討される場合には、不自由なご本人に代わって、身内の方が、実際に行動される事が重要です。 

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

ーーーーーーーーーーー 完  ーーーーーーーーーーー

 

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2022年11月17日

介護保険@|今更聞けない介護保険制度のしくみと保険料等基礎知識(リニュアル)

介護保険制度は、介護が必要になった高齢者を社会全体で支えるためのしくみです。 

 

介護が必要となった高齢者にとって介護保険制度は大変重要なしくみです。 高齢化の中で、あなたを取り巻く親や兄弟においても、いつ何時、介護が必要になる事態が生じるかもしれません。 

 

そんなとき時、介護保険制度の仕組みやサービス、費用等を知っていれば大変役立ちます。 

何よりも、介護保険の仕組みの基本は理解しておきたいものですね!

 

 

 

T.介護保険制度の目的、しくみ

 

1.目的は、社会全体で介護を必要とする高齢者を支える

 

介護保険制度は、「介護が必要となった高齢者を社会全体で支える」ことを目的として2000年にできました。 

 

高齢で介護が必要となった時に適切な介護サービスが受けられることを目的とした制度です。(以前は市町村が指定したものしか受けられなかった) 

 

介護保険制度は、高齢で介護が必要となっても住み慣れた地域で安心して暮らせる社会を実現するため、住居地の市区町村が保険者(運営主体)となり、40歳以上の地域住民が被保険者となって地域連携の介護サービスを充実させるしくみになっています。

 

2.財源は、40歳以上被保険者の保険料と国・地方拠出との折半

 

介護保険制度は、40歳以上の被保険者が収める保険料と国・地方の折半負担による財源で、65歳以上(65歳未満は特定疾病などに限定)の被保険者が、原則1割負担で介護サービスが受けられるしくみになっています。

 

財源は、40歳以上の被保険者が払う保険料とそれに見合う国・地方の拠出で賄う

40歳以上の保険料:国・地方の拠出金=1:1

 

3.介護保険事業の運営構成

 

介護保険は、国が制度の運営方針や制度改訂を行い、その指針に従って都道府県は市町村を指導援助します。

 

実際の運営は、市町村が保険者として、被保険者の要介護・要支援認定等の管理や把握、保険給付を行ったり、サービス事業者の審査や事業計画を立てたり、財政運営をしたり、住民の窓口を担っています。 

 

介護保険の事業運営の構成は以下のようになっています。

 

保険事業の運営 区分(役割) 当事者
運営主体 保険者 市区町村が担当
加入者 第1号被保険者 65歳以上の市区町村住民
第2号被保険者 40歳以上65歳未満の市区町村住民

 

4.介護保険サービスの種類

 

介護サービスは、大きく「居宅サービス」、「施設サービス」、「地域密着サービス」の3つに分類されます。 

 

「居宅サービス」は、現在の居宅に住んだまま受けられる介護サービスです。 

 

「施設サービス」は、「特別養護老人ホーム」「介護老人保健施設」「介護療養型医療施設」「介護医療院」に入所して受けられるサービスです。 

 

「地域密着型サービス」は、身近な地域で生活し続けられるように事業所のある地域の住民が受けられるサービスです。

 

1)「居宅サービス」

 

類型 サービス名 サービス内容
訪問型サービス 訪問介護 「ホームヘルパー(介護職員初任者研修終了)」が自宅を訪問し、「身体介護」(排せつ、食事、入浴など)や「生活援助」(調理、洗濯、買い物、掃除など)などの「日常生活の支援」を行う。
通院の移送等も可能。なお、「医療行為」と「日常生活の範躊を超える介助」はできない。
訪問看護 「看護師」が自宅を訪問し、医師の指示に基づいた療養上の世話や診療の補助を行う
訪問入浴介護 「介護スタッフと看護師」が浴槽等を持ち込み、自宅で入浴介助を行う
訪問リハビリテーション 「理学療法士や作業療法士、言語聴覚士などのリハビリ専門家」が自宅を訪問し、日常生活の自立や心身の機能回復や維持のリハビリを行う
居宅療養管理指導 「医師や薬剤師、管理栄養士、看護師など」が、本人や家族に必要な指導などを行う
通所型サービス デイサービス 「施設に通い」、食事や入浴などの日常生活の支援を受けたり、機能の維持・向上のための訓練を受けたりする
デイケア 「病院や診療所、老人保健施設などの施設に通い」、機能を維持・向上をするための訓練や日常生活の支援などを受ける
短期滞在型サービス 短期入所生活介護 「一時的に」特別養護老人ホームなどに入居し日常生活の支援や機能訓練などを受ける。家族の負担軽減に有効
短期入所療養介護 病院や介護老人保健施設などに「一時的に」入居し、医療や看護ケア、機能訓練などを受ける。家族の負担軽減に有効。
特定施設入居者生活介護 「介護付き有料老人ホームやケアハウス、サービス付き高齢者向け住宅などの入居者」が、施設が行う介護や日常生活上の世話などを「介護保険で」受けることができる
福祉用具 レンタル事業 介護ベッド、車イスなどのレンタル(1割負担で)
購入費 助成 入浴、排せつ関係具の購入費助成(年間10万円が上限)
住宅改修 補助金 支給 手すり、バリアフリー、トイレ等改修(20万円迄)

 

2)「施設サービス」

 

特徴 サービス名 入居基準とサービス内容
終身入居 特別養護老人ホーム(特養) 「常に介護を必要とする方対象」の施設で、食事や入浴などの日常生活の支援や機能訓練、療養上の世話などを受けることができる。
原則として、「要介護度3以上」が入居要件。
但し、要介護度1〜2の方は、やむを得ない理由などで入居できる可能性もある。
期間限定入居 介護老人保健施設(老健) 「在宅復帰を目指している方を対象」とした施設で、医療や介護、リハビリなどが受けられる施設設です。
3か月が限度。但し、期間を開ければ再入居は可能!(従って、3か月施設サービス利用、3か月自宅でデイサービス等利用、再度施設サービス3か月利用等で繋げていければ家族の負担軽減に繋がる)
「要支援1〜2の方」は利用することができません
療養期間⇒廃止し「介護医療院」へ転換 介護療養型医療施設 ⇒介護医療院 長期に亘って療養が必要な方」を受け入れる施設です。(普通、入院先病院での療養が長引けば病院で紹介されます?)
必要な医療や介護、リハビリテーションなどを受けることができます。
 「要支援1〜2の方」は利用することができません なお、「介護療養型医療施設」制度は廃止され「介護医療院へ順次移行中。
指定有料老人ホーム 特定の指定を受けた有料老人ホーム 介護保険適用の施設サービスに該当しません。
但し、自治体から「特定施設入居者生活介護」の指定を受けている有料老人ホームは、「介護付き」と呼ばれ介護サービスに介護保険が適用され、提供される介護サービスのぽとんどを「定額制(包括報酬)」で受けられる。

 

3)「地域密着サービス」

 

類型 サービス名 サービス内容
居宅サービス 小規模多機能型居宅介護 施設へのデイサービス(「通い」)中心に、スタッフの自宅への「訪問」や短期間の「宿泊」も組み合わせた支援を行うサービスです。
「通い」はおおむね15名以下の小人数定員となっており、家庭的な環境で過ごすことができます。
・利用料は介護度による定額制で利用できる事業所は一か所に限定。ケアマネージャーも事業所に在籍するケアマネージャーに変更。
「要支援1・2」でも、介護予防として利用可能
居宅サービス 看護小規模多機能型居宅介護 小規模多機能型居宅介護に「訪問看護」が加わった介護と看護が一体となったサービスです。
看護師が配置されるため、医療ケアが必要な人に向いています
訪問型サービス 定期巡回・随時対応型訪問介護看護 ・日中夜間を通して24時間365日体制で利用者の状態に合わせて、定期的に訪問したり、必要に応じて介護や看護のサービスを提供します。
訪問型サービス 夜間対応型訪問介護 夜間の定期巡回による訪問介護と利用者の要請による随時訪問介護端末を設置し通報に対応するサービスも提供。
通所型サービス 地域密着型通所介護 利用定員18名以下の小規模な通所介護(デイサービス)で、通常のデイサービスと同様の食事、入浴、レクや機能訓練などをサービスを行います。
通所型サービス 認知症対応型通所介護 認知症高齢者を対象とした通所サービスで、定員12名以下の少人数で家庭的な雰囲気の中で、食事、入浴、レクや機能訓練などをサービスを行います。
「要支援1・2」でも介護予防として利用可能
施設サービス 認知症対応型共同生活介護(グループホーム) 認知症高齢者が5~9人の少人数で利用者が家事を分担するなど共同生活をしながら日常生活の支援や機能訓練のサービスを受ける。
 ・「要支援1」は利用できないが、「要支援2」は、介護予防として利用可能
施設サービス 地域密着型特定施設入居者生活介護 入居定員が30人未満の軽費老人ホームや有料老人ホームのうち、指定を受けた施設で、日常生活の支援や機能訓練などを受けることができます。
施設 地域密着型介護老人福祉施設入居者生活介護 ・定員が30人未満の「介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)」です。
・「特老」と同様に、常に介護が必要な方を受け入れ、日常生活の支援や機能訓練などを行います。

 

U.介護保険料

1.40歳以上の全国民が被保険者となって負担する

 

介護保険は、加入者(被保険者)の保険料を重要な財源とし、40歳以上の全国民が被保険者となり負担します。

 

1)被保険者区分

 

被保険者のうち、介護を必要とする可能性の高い「65歳以上」を「第1号被保険者」、それを支える現役世代の「40歳以上65歳未満者」を「第2号被保険者」として区分されます。

 

65歳以上の全国民 第1号被保険者
40歳以上〜65歳未満の全国民 第2号被保険者

 

2)介護保険の保険料徴収窓口

 

被保険者は、65歳以上の高齢者を「第1号被保険者」、40歳から64歳までの現役世代を「第2号被保険者」として区分されますが、それぞれには、「会社員で会社健保に加入している方」と「自営業などで国民健保に加入している方」とがあります。

〈加入健保〉
  会社勤務 自営業や無職
第1号被保険者(65歳以上) 会社健保に加入 国民健保に加入
第2号被保険者(40歳〜64歳) 会社健保に加入 国民健保に加入

 

〈介護保険の徴収窓口〉

 

介護保険料は、最終的には市区町村の介護保険へ納入されますが、被保険者からの徴収は、会社員の場合は、健康保険組合等が、自営業等国民健康保険加入者の場合は、国民健康保険がそれぞれの医療保険の徴収に合わせて介護保険料を「代行徴収」します。 

 

但し、65歳以上の第1号被保険者については、会社員であろうと自営業であろうと全て年金からの代行徴収となります。

 

年齢区分 被保険者区分 所属 徴収(天引き)窓口
40歳〜64歳 第2号被保険者 会社員 健康保険料と併せて健保組合等が代行徴収
自営業等 国民健康保険料と併せて国民健康保険が代行徴取
65歳以上 第1号被保険者 会社員 年金から代行徴収(健保組合等から分離)
自営業等 年金から代行徴収(国民健康保険から分離)

※代行徴収とは、市区町村に代わって徴収するという意味です。

 

3)それぞれの徴収窓口での徴収方法

 

第2号被保険者:40歳以上65歳未満

 

加入健保 徴収方法
会社健保加入者 介護保険料は、給与や賞与などを基にした標準報酬月額に介護保険料率を乗じた金額が天引きされます。
国民健保加入者 介護保険料は、国民健康保険料と併せて徴収されます。前年の所得に応じた所得割と世帯数に応じた均等割や平等割、資産割などで決められた金額が徴収されます。

 

<第1号被保険者:65歳以上>

 

加入健保 徴収方法
会社健保加入者 全て年金からの徴収となり、保険料は、前年度の所得による所得割と世帯数に応じた均等割や平等割、資産割などで決められた金額が徴収されます。
国民健保加入者

 

4)それぞれの窓口での介護保険料の算定及び負担方法(概略)

 

第2号被保険者:40歳以上65歳未満

 

加入健保 保険料算定方法
会社健保加入者 ・介護保険料は、給与や賞与などを基にした標準報酬月額に介護保険料率(令和2年改定1.79%)を乗じて算定。
・保険料負担は労使で折半被扶養者(配偶者等)は負担なし
国民健保加入者 ・介護保険料は、前年の所得に応じた所得割と世帯数に応じた均等割や平等割、資産割などで算定。(料率等は各自治体で異なる)
・保険料は全額本人負担
被扶養者(配偶者)は世帯主の保険料に含まれる(被扶養者が65歳以上の場合は、自分で納付する形になる。)

 

<第1号被保険者:65歳以上>

 

加入健保 徴収方法
会社健保加入者 ・介護保険料は、会社の健康保険料天引きとは切り離され、自分で納付する(年金から天引きされる)
・保険料は前年度所得により決定される
国民健保加入者

 

2.介護保険料の算定方法(詳細)

 

保険料の決定方法を対象区分ごとに見ていきます。

 

 

1)第2号被保険者(40歳以上65歳未満)

 

〈会社員(組合健保被保険者)〉

基本的には、標準報酬月額表に基づき算出されます。 

 

下表は協会けんぽの東京都の月額表です。(地区によって差はあります)

 

 組合健保も同様なテーブルで算定されます。(但し、組合によって差はあります) 

 

下表では、第2号被保険者の介護保険料は、健康保険料に含まれています。 

 

介護保険料相当額は、下表の11.66%(第2号被保険者適用率)から9.87%(第2号被保険者以外適用率)を差し引いた1.79%が相当します。

 

〈自営業等:国民健康保険被保険者〉

国民健康保険は、「医療分」と「後期高齢者医療支援分」と「介護保険分」で構成されます。 

 

「介護保険分」は、40歳以上(第2号被保険者)のみが対象になり、下表の算式で「介護保険相当分」が決定されます。 

 

※被扶養者(配偶者)の介護保険料は、均等割額で含まれることになります。 (例示:平塚市の場合)

 

   

 

ー試算例ー 

 

前年度の所得が500万円で被扶養家族が妻1人であれば、次の計算により介護保険料は年間、約年間14万円となります。

 

所得割額:500万円-33万円×2.37%=11.07万円
均等割額:1.224万円×2人=2.448万円
平等割額:1世帯 0.611万円
合計:14.129万円

 

2)第1号被保険者(65歳以上)

 

65歳以上の第1号被保険者の介護保険料は、会社員であろうと国民健康保険であろうと、全て年金から天引きされる徴収方法となります。

○保険料は「所得段階別介護保険料テーブル表」に当てはめ決定される!

65歳以上の保険料は、「前年の本人の合計所得」及び「世帯の所得」の状況により、ランク付けられた「所得段階別介護保険料テーブル表」に当てはめられて該当するランクの保険料額が決定されます。

 

  「所得段階別介護保険料テーブル表」は、次の手順(@〜➂)で各自治体で独自に設定されています。

@65歳以上の第1号被保険者全員で介護費用総額の22%を負担する(ルール)
介護保険の財源は、公費(国、都道府県、市区町村)5割、保険料5割とされており、保険料5割の内、第1号被保険者は22%、第2号被保険者は28%とされています。
つまり、65歳以上の第1号被保険者全員で「介護費総額の22%分」を負担するルールになっています。

 

A次に、65歳以上の第1号被保険者一人当たり負担すべき金額が「基準額」として決定される!

介護費総額の22%を65歳以上被保険者数で一人当たりに換算した額が、「基準額」となります。

(3年に一度改定)

基準額=(介護費総額×65歳以上の負担割合22%÷65歳以上人数)

 

➂この「基準額」を負担能力に応じた負担とするため、所得の状況による累進割り増しを用いて「所得段階別保険料額表」を作成(3年に一度改定)

一人当たりの基準額を「所得の負担能力」に応じて調整(負担能力のある世帯には割り増しを、そうでない世帯には軽減を)して設定されたのが「所得段階別保険料年額表」(呼称は仮称です)です。 

 

※この「所得段階別保険料年額表」の所得段階は、地域によって区々です。

しかし、大体は、次のような本人及び同世帯の所得状況によって段階づけられています。

 

本人及び世帯全員が非課税の場合・・・合計所得で3段階 本人が非課税で世帯に課税対象者がいる場合・・・合計所得で2段階 本人の所得が一定以上ある場合・・・本人所得で12段階

 

実際の所得段階表は次のようになっています。 [横浜市の実例]

 

   

 

注釈:保険料算定(テーブル当てはめ)に用いられる合計所得は、前年度の合計所得金額が用いられます。 

年金や給与、不動産、配当、譲渡などの各所得金額の合計で、医療費控除や扶養控除などの所得控除を引く前の金額となります。

 

(注)介護保険料の負担能力の捉え方は「収入重視主義」と思えます。

なぜならば、国民健康保険や他の算定に用いられる所得の捉え方は、実質所得(収入を得る為の経費などは除く)を重視したものですが、介護保険の場合、「収入額重視主義」ともいえるほど、収入から扶養控除や社会保険料控除さらに基礎控除すら認めないばかりか損失の繰越控除すら認めない捉え方となっています。 従って、確定申告で分離課税で損失の繰越や相殺をしても、介護保険算定のための所得は損失分を除く前の数字が用いられます。

参考:「確定申告で損しない為の留意点|住民税や社会保険料へのはね返り防止OK?」
「介護保険料算定は、国民健康保険料算定の場合と違って、過去の損失の繰越控除との損益通算は考慮されないため、今年度に発生した損益のみの所得認識となります。
従って、過去の繰越損で損益通算されない形で介護保険料算定が行われることに注意が必要です。」

 

従って、前年度の総所得合計でランク表にあてはめて介護保険料が決定されることになります。

3.保険料額は「介護保険料額決定通知書」で確定

毎年7月上旬に、市区町村から前年の住民税所得にもづいて決定された「介護保険料額決定通知書」が送られてきます。 

 

この通知により、年金等からの天引き額を確認することになります。 

 

なお、介護保険料の支払い方法については、年金年額が18万円以上の場合は年金より天引き(特別徴収という)となり、18万円以下の場合は納付書(普通徴収)により個別に収めることになります。

V.最後に

介護保険制度は、介護が必要となった高齢者を支える大変重要な仕組みです。 

 

高齢で介護が必要となった場合に、日常生活を継続していくためには、介護保険サービスをうまく活用していくことが重要となります。 

 

かなりの方は、利用できる良いサービスがありながら、知らずに無理を重ねている側面があり、家族にとってもつらい限りとなります。 

 

そうならないためには、介護保険制度の仕組みや利用方法等をを知ってことが重要です。 

 

また、介護サービスは、与えられるままに受け入れるのではなく、実際に目と耳で確認した上で決めていくべきです。 

 

特に、施設入居などは、直接施設に赴いて、スタッフと面会し、施設の状況やスタッフの対応、施設の立地、自宅からの距離等を勘案して決定すべきで、よもやネット検索の空き情報で決めてしまうようなやり方は、大事な人を毎日、不快にさせることになります。 

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

ーーーーーーーーーーーー 完 ーーーーーーーーーーーーーーー
快適な生活のサポート情報!
日々の活動を楽にして快適な毎日に!

2021年07月26日

7月に届く「介護保険料額決定通知書」の見方と保険料決定のしくみ

毎年7月に、65歳以上の被保険者宛てに市区町村から前年の住民税所得に基づき決定された今年度分の「介護保険料額決定通知書」が送られてきます。 

 

見方が分からず引き出しにしまわれてしまいがちですが大変重要な確認書です。 

 

少なくとも先月送られてきた住民税決定通知書とつき合わせたり、介護保険料が前年と違う場合はどうしてか位は理解しておきましょう。 

 

介護保険料はワンランク違いで大きくかわります。

 

今後の節税のためにも住民税の課税所得が介護保険料決定にどうかかわるか位は理解を深めておきましょう!

 

 

 

「介護保険料額決定通知書」の見方

 

介護保険料は、前年中の所得と本人及び世帯者の市民税納入有無に基づいて所得別に定められた保険料ランク表から該当ランクに定められた保険料年額が決まり、その年度の月別(4月〜翌年の3月まで)保険料額が決定します。 

 

それを被保険者に通知するのが介護保険料額決定通知書です。 通知書は各市区町村によってフォームは様々ですが、基本的には下記の@A➂の3構成になっていると思います。

 

@「名前」と「通知書番号」と「算定内容」

あなたの介護保険料は、下表の「算定内容」によって決定されています。

 

[参考のための記載例]

  算定内容  
所得段階区分 第7段階 別表ランク表の何段階かを明示
市民税の 課税状況 本人 課税 本人は市民税を納めているを明示
世帯 世帯課税 世帯者が市民税を納めている
合計所得金額 189万円 市県民税「総所得金額」-10万円※
課税年金収入 -円  
月額保険料 A 7,250 円 計算順序は、ランク表で87000円が決まり、12か月で割り月当りにすると7250円になることを表示
対象月数 B 12 か月
保険料額 A×B 87,000 円
減免額 ------ 該当せず
減免後保険料額 ------

合計所得が10万円を超える場合は一律10万円を控除した金額となります。

 

A介護保険料の納付方法と保険料額

下表のような表で各月の納付金額が割り当てられています。

 

[例示表の説明] 

 

4月、6月は昨年の決定に基づく保険料ですが、実質は今年度分の保険料になります。 

 

従って、@で決まった今年度の保険料年額(例示87,000円)から既に支払った4月6月保険料68,400円(34,200+34,200)を引くと18800円になります。 

 

この18,800円を8.10.12.2月に振り分けると下表のような月別保険料額になります。

 

通常は前年度2月と同額ですが、今年度保険年額決定で8月が変わる場合があります。(仮徴収) 今年度の保険料年額から、左の仮徴収分を差し引いた額を3回に分けて天引きされます(本徴収)
4月 6月 8月 10月 12月 2月
34,200円 34,200円 4,600円 4,800円 4,600円 4,600円
⇐ 73,000円 ⇒ ⇐ 14,000円 ⇒
保険料年額  87,000円(第7段階)

 

➂徴収方法と月別保険料明細

年金から天引きされる「特別徴収分」と納付書又は口座振替で納付する「普通徴収分」の各月の保険料額が記載されています。 

 

なお、介護保険料の納入方法は、年金年額が18万円以上の場合は年金より特別徴収となり、18万円以下の場合は納付書による普通徴収により個別に収めることになります。   

 

特別徴収分

  4月 6月 8月 10月 12月 2月
本徴収       4,800 4,600 4,600
仮徴収 34,200 34,200 4,600      

普通徴収分 納付は毎月度

  7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月
徴収

この通知書により、年金等からの天引き額を確認することになります。  

 

介護保険料決定の基本的仕組みのおさらい

年齢による被保険者区分

介護保険は、40歳以上の国民全員が被保険者になり、介護を必要とする可能性の高い65歳以上を「第1号被保険者」、それを支える現役世代の40歳以上65歳未満者を「第2号被保険者」で構成されています。

 

保険料を徴収する義務者

介護保険料は、最終的には市区町村に納入されますが、被保険者からの徴収は、会社員の場合は健康保険組合等が、自営業等国民健康保険加入者の場合は、国民健康保険が介護保険料を代行徴収します。 

 

但し、65歳以上の第1号被保険者は、会社員、自営業問わず全て国民年金からの代行徴収となります。

 

年齢 区分 被保険者区分 所属 介護保険料徴収(天引き)窓口
40〜64歳 第2号 被保険者 会社員 健保組合等が健康保険料と併せて代行徴収
自営業等 国保が国民健康保険料と併せて代行徴取
65歳 以上 第1号 被保険者 会社員 年金から代行徴収(健保組合から分離)
自営業等 年金から代行徴収(国保から分離)

※代行徴収とは、市区町村に代わって徴収するという意味です。

 

65歳以上第1号被保険者の保険料率決定の仕組み

 
@65歳以上第1号被保険者全員で負担する総額をまず決定

 

介護保険の財源は、国、都道府県、市区町村が5割、保険料収入で5割と決められています。 そして、保険料5割の内、第1号被保険者は22%、第2号被保険者は28%負担とされています。

 

   

 

つまり、65歳以上の第1号被保険者全員で介護費総額の22%分を負担するルールになっています。  

 

 

A次に、65歳以上の第1号被保険者一人当たり負担すべき金額が「基準額」として決定される!

介護費総額の22%を65歳以上被保険者数で一人当たりに換算した額が、「基準額」となります。(3年に一度改定)

 

基準額=(介護費総額×65歳以上の負担割合22%÷65歳以上人数)

 

 

➂この「基準額」を負担能力に応じた負担とするため、所得の状況による累進割り増しを用いて「所得段階別保険料額表」が作成される(3年に一度改定)。

 

 

一人当たりの基準額を「所得の負担能力」に応じて調整(負担能力のある世帯には割り増しを、そうでない世帯には軽減を)して設定されたのが「所得段階別保険料年額表」(呼称は仮称です)です。 

※この「所得段階別保険料年額表」の所得段階は、地域によって区々です。

 

しかし、大体は、次のような本人及び同世帯の所得状況によって段階づけられています。

 

本人及び世帯全員が非課税の場合・・・合計所得で3段階
本人が非課税で世帯に課税対象者がいる場合・・合計所得で2段階
本人の所得が一定以上ある場合・・・本人所得で12段階

 

実際の所得段階表は次のようになっています。

 

 [横浜市の実例] 

基準額(65歳以上被保険者数一人当たりに負担額)74,400円を1とし、最低負担層を0.25、最高負担層を3.0として16段階を設定。

 

介護保険料の算定に用いられる所得

保険料算定に用いられる合計所得は、前年度の合計所得金額が用いられます。 

 

年金や給与、不動産、配当、譲渡などの各所得金額の合計で、医療費控除や扶養控除などの所得控除を引く前の金額となります。(※できるだけ徴収を大きくするため)

 

※介護保険料の負担能力の捉え方は「収入重視主義」と思えます。

なぜならば、国民健康保険や他の算定に用いられる所得の捉え方は、実質所得(収入を得る為の経費などは除く)を重視したものです。

しかし、介護保険の場合は、「収入額重視主義」ともいえるほど、収入から扶養控除や社会保険料控除さらに基礎控除すら認めないばかりか損失の繰越控除すら認めない捉え方となっています。

従って、確定申告で分離課税で損失の繰越や相殺をしても、介護保険算定のための所得は損失分を除く前の数字が用いられます。(注意必要)
参考:「確定申告で損しない為の留意点|住民税や社会保険料へのはね返り防止OK?」

 「介護保険料算定は、国民健康保険料算定の場合と違って、過去の損失の繰越控除との損益通算は考慮されないため、今年度に発生した損益のみの所得認識となります。

介護保険の場合、過去の繰越損で損益通算されない形で介護保険料算定が行われることに注意が必要です。」

 

従って、前年度の総所得合計でランク表にあてはめて介護保険料が決定されることになります。 

(40歳以上の第2号被保険者で会社員の場合は、給与や賞与などを基にした標準報酬月額に介護保険料率を乗じた金額で決定が天引きされます。 また、国民健保では、前年の所得に応じた所得割と世帯数に応じた均等割や平等割、資産割などで決められます。)

 

最後に

年々高齢化に伴う要介護者が増加しており、財源確保のための保険料引き上げの動きが活発になっています。 

 

今年の3月に新聞社が実施し回答があった73市区の約78%にあたる57市区で、65歳以上の介護保険料基準額は月額6千円以上になることがわかりました。 

 

繰り返しますが、介護保険料は、住民税の課税所得が算定基礎になっています。 

 

介護保険料負担軽減のために住民税の節減対策に努められることをおすすめします。

 

 

ーーーーーーーーーーー 完 ーーーーーーーーーーーー

 

 

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2020年08月31日

介護保険D|一目でわかる地域密着型特養・グループホームの利用料

「地域密着型サービス特別養護老人ホーム」「認知症対応型グループホーム」の1か月当たりの施設利用料は?

 

「地域密着型サービス」は、介護度が重くなっても住み慣れた地域で住み続けられるように創設された「地域連携の介護サービス」です。

 

「地域密着型サービス」には、自宅近くで24時間介護を受け乍ら生活できる「地域密着型特別養護老人ホーム(地域密着型特養)」と「認知症対応型共同生活介護(グループホーム)」の介護施設が整ってきました。

 

今回は、両施設の特徴、入居要件と施設入居の場合にかかる負担費用の概算をご紹介しますので、ご参考になれば何よりです。

 

 

目 次

  • 「域密着型特別養護老人ホーム(特養)」と「地域密着型グループホーム」とは?
  • 「地域密着型特別養護老人ホーム(特養)」の入居費用の目安

  • 「認知症対応型共同生活介護(グループホーム)」の月々の負担費用
  • 最後に!

 

「域密着型特別養護老人ホーム(特養)」と「地域密着型グループホーム」とは?

 

「地域密着型サービス」は、要介護高齢者や認知症高齢者が、介護度が重くなっでも、住み慣れた地域でいつまでも生活でさるように創設された介護サービスです。

 

市町村により指定された事業者がサービスを行い、その地域に住む住民が対象となります。

 

介護保険では、公的介護施設として、

「特別養護老人ホーム(特養)」

「介護老人保健施設(老健)」

「介護療養型医療施設(療養病床)」

「介護医療院(療養病床から移行進む)」

がありますが、

「地域密着型サービス」にも介護施設として

「域密着型特別養護老人ホーム(特養)」と

「地域密着型グループホーム」

とがあります。

 

近年、「地域密着型サービス」のこれら介護施設が充実してきており、地域に密着した生活が続けられることから注目されています。

 

<「地域密着サービス」における施設介護サービス>

 

類型 サービス名 サービス内容
施設介護サービス類似 認知症対応型共同生活介護(グループホーム)

認知症高齢者が5〜9人の少人数で利用者が家事を分担するなど共同生活をしながら日常生活の支援や機能訓練のサービスを受ける。

 

・「要支援1」は利用できないが、「要支援2」は、介護予防として利用可能

※補足 特定施設 地域密着型特定施設入居者生活介護

介護保険適用の施設サービスに該当しません(公的介護保険施設ではありません)。

 

・入居定員が30人未満の軽費老人ホームや有料老人ホームのうち、指定を受けた施設で、日常生活の支援や機能訓練などを受けることができます。

施設介護サービス類似 地域密着型介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)入居者生活介護

・定員が30人未満の「介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)」です。

 

・「特老」と同様に、常に介護が必要な方を受け入れ、日常生活の支援や機能訓練などを行います。

 

 

「地域密着型特別養護老人ホーム(特養)」の入居費用の目安

 

入居要件(基本は要介護3以上)等は、「特別養護老人ホーム(特養)」とほぼ同じですが、利用できるのは、施設と同じ市区町村内の住民に限られます。

 

利用に掛かる費用項目と仕組みは、「特養」とほぼ同じです。

 

 

@「施設介護サービス費」及び「同加算費」

 

「地域密着型特別養護老人ホーム」は、29人以下の少人数利用施設であるため、一般的に「施設介護サービス費」及び「同加算費」は、上述の「特別養護老人ホーム」よりも個人負担は若干高く設定されています。また、地域により差があります。

 

 

厚労省が示す「施設介護サービス費」の基準金額は下記の通りとなっており、地域密着型の方が少し高く設定されています。

 

 「施設サービス加算費」は、厚労省には具体的基準は示されていませんが、「地域密着型特別養護老人ホーム」では介護体制の充実等から結構個人負担がかかるようです。  

 

◎地域密着型特別養護老人ホーム

 

キャプチャ地域密着型サービス特養施設サービス費.PNG

 

参考:特別養護老人ホーム キャプチャ特養施設サービス費厚労省.PNG

 

◎厚労省が示す日額の基準表ですが、地域密着型特養の方が少し高めに設定されています。

 

A居住費や食費

 

部屋タイプや世帯所得状況により決められていますが、「地域密着型養護老人ホーム」の方が高く設定されています(市区町村で区々)。

 

少人数による内容の充実等によるものと考えられますが、地域密着事業者の運営に関わる部分のため施設によるばらつきがあります。

 

なお、住居費及び食費については、本人を含めて世帯全員が非課税の場合は低減措置が設けられております。(ここでは割愛します)

 

(例示)

世帯の住民税の課税状況及び本人の所得状況で居住費と食費に大きな低減措置があります。

 

例えば、居住費が一般(第4段階)で月額69000円であった場合に、第3段階では39300円、第2、第1段階では24600円とかなり低減され低所得者対策がとられています。

 

食費においても、一般(第4段階)で月額41400円であった場合に、第3段階では19500円、第2段階では11700円、第1段階では9000円と、かなりの低減措置となっています。

 

 

課税水準段階 世帯及び本人の所得水準 居住費 食費
一般(第4段階) 住民税課税世帯 69000円 41400円
第3段階 住民税非課税世帯で、合計所得が80万円以下の人 39300円 19500円
第2段階 住民税非課税世帯で、第2段階以外の人 24600円 11700円
第1段階 生活保護受給者相当 9000円

 

 

➂【地域密着型特別養護老人ホームの月々の負担費用の目安】(1割負担の場合)

 

◎地域密着型特別養護老人ホーム

 

 

キャプチャ地域特養費用一覧.PNG

 

参考:特別養護老人ホーム キャプチャ特養費用一覧.PNG

 

◎地域密着型特養の方が少し高くなります。

要介護1の方では、月額9万9千円(従来型多床室利用)から

13万6千円(ユニット型個室利用)で利用できます。

 

要介護5の方では、月額10万9千円(従来型多床室利用)から

14万6千円(ユニット型個室利用)で利用できます。

もちろん非課税世帯の場合は、低減措置によりもっと負担は低くて済みます。

 

認知症対応型共同生活介護(グループホーム)」の月々の負担費用

 

グループホームは、介護保険地域密着型サービスの一つで認知症高齢者が地元で生活できるためのケア付き住宅です。

 

認知症の方5〜9人で1ユニットを組みスタッフから日常生活(食事、排泄、入浴など)の生活支援や機能訓練のサービスを受けて共同生活を送る施設です。

 

ホームによっては2ユニット以上の施設もあります。

 

建物の形態には、民家型、アパート型、ミニ施設型などがあります。

 

入居要件は、施設のある地域住民で「要介護1」以上の方が対象ですが、「要支援2」の方も、介護予防として利用可能です。

 

施設利用に掛かる費用項目は、特養とほぼ同じで、介護サービスを受ける基本料金と個人別に受ける各種サービスの加算料金のほかに家賃等に相当する居住費及び食費や日常生活費からなります。

 

@基本料金(施設介護サービス費)及び同加算料金(各種付加サービス費)

 

基本料金については、下記の基準額が厚労省のホームページで示されています。

 

 

 

A居住費や食費

 

住居費、食費等の基準については、厚労省のホームページでは何も示されていません。

 

これらは、地域や環境によって大きな物価等に違いがあるためと思われます。

 

従って、居住費や食費等は各地区でかなりばらつきがありますので、その施設のホームページでご確認願います。

 

居住費と食費合わせれば、平均的には、月額13万円から15万円ぐらいかかるようです。  

 

 

➂「認知症対応型共同生活介護(グループホーム)」の月々の負担費用の目安(1割負担の場合)

 

要介護の状況及び施設のユニット数等により月々の負担費用は下表のような金額が相場となっています。

 

月々の費用負担は、介護費、居住費、食費、その他を含めて総額16万4千円から18万7千円の範囲となっています。

 

費目的にみると、

介護サービス費は、地域や、要介護度、ユニット数等による費用のばらつきは大きくないのですが、

居住費や食費には地域や施設・設備によるばらつきが大きくなっています。

 

従って、施設の検討には当該施設のホームページで確認する必要があります。

 

 

最後に!

 

「地域密着型サービス」にも24時間介護・ケア付きの施設として「地域密着型介護老人福祉施設入居者生活介護」と「認知症対応型共同生活介護(グループホーム)」があります。

 

各施設には様々な環境要因(立地、ホームの運営方法やスタッフの対応、給食への配慮等々)の違いと居住費・食費に大きなばらつきがあります。

 

施設選びの際は、是非、事前に施設に赴いてスタッフと面会し、施設の状況やスタッフの対応、施設の立地、自宅からの距離等を勘案して、慎重に決定されることをおすすめします!

 

 

 

なお、下記の関連記事もご覧いただければ幸いです。 介護保険制度

介護保険C|これは便利!一目でわかる特養・老健等施設の利用料負担明細

介護保険施設に入居すると毎月どのくらいの費用がかかるの?入居の要件は?

 

自宅での介護サービスを利用してきたが、「介護度が進み自宅での生活が大変になってきた」、「本人の希望で施設サービスを利用したい」、「家族の負担を軽くしたい」など、いろいろな要因で介護施設の利用を考える場面があると思います。

 

かといって、有料老人ホームは、入居時に大きな一時金が必要であるばかりか、月々の負担も大きく、有料老人ホームは、相当な準備がなければ踏み切れません。

 

介護保険施設の場合は、入居時の一時金が要らないばかりか、月々の負担も割安であるため、家族の負担軽減やリハビリ目的の一時的利用も含めて検討することは、永い介護生活の乗り切り対策にもなります。

 

今回は公的介護施設の利用方法や費用面での検証してみますのでご参考になれば何よりです。

 

 

目  次

  • 公的な介護保険施設にはどんな種類があるの?
  • 「特養」「老健」等の公的介護施設の特徴と入居基準
  • なお、「地域密着型サービス」にも類似の施設介護があります
  • 「特養」「老健」「療養病床」等各施設の入居費用の目安1.各施設の利用に伴う費用項目2.居室タイプにより「施設介護サービス費」や「居住費」が異なります
  • 【特別養護老人ホームの月々の負担費用の目安】
  • 【介護老人保健施設の月々の負担費用の目安】
  • 【介護療養型医療施設の月々の負担費用の目安】
  • 【介護医療院の月々の負担費用の目安】
  • 最後に!

 

公的な介護保険施設にはどんな種類があるの?

介護保険サービスが受けられる公的介護保険施設(社会福祉法人や医療法人等が運営)には、

 

「特別養護老人ホーム(特養)」

・「介護老人保健施設(老健)」

・「介護療養型医療施設(療養病床)」

「介護医療院」(療養病床から移行進む)

 

があり、これらを「介護保険施設」と呼びます。

(この他にも、「地域密着型グループホーム、」等があります)

 

必要とする介護の内容によって入所できる施設が違います。

 

「施設介護サービス」とは、「介護保険施設」に入居して受ける介護サービスです。

 

「特養」「老健」等の公的介護施設の特徴と入居基準

「施設介護サービス」は、施設に入居して24時間の介護を受けられるサービスです。

 

 ・入院後やリハビリで療養や機能回復のため短期的に施設で介護やリハビリを受けたい

 ・自宅介護で時々ショートステイを利用しているが、もう少し長期間、施設で介護を受けたい

 ・自宅介護が難しくなってきたので、しばらく介護施設で介護を受け機能回復に専念したい

 ・長期的に介護施設で介護を受けたいが有料老人ホームは費用的に無理

 

などといった場合は、まず、公的介護保険施設の利用を検討しましょう!

各施設の特徴や入居要件等は下表の通りです。

いずれの施設も、入居要件や入居期間の定めがあります。

 

なお、「特養」は、永年入居可能で入居時に一時金の必要性がなく月額利用料も有料老人ホームに比べて割安なため満室が多く、待機者が多いのが通常になっています。

このため、急には入居できない可能性が大であることに注意が必要です。

 

また、「老健」は3か月の期間限定ですが、3か月の自宅介護の後、再度受け入れてくれる可能性が高いので、自宅介護で何とか凌げる状況の場合は、過重な家族の負担軽減と本人の自宅願望を叶えるために「老健」の利用をおすすめします。

これにより、「特養」や「有料老人ホーム」への転居を凌ぐことができ、自宅での生活ができるだけ永く続けられます。手続きは少し煩わしいですが、是非活用されることをおすすめします!

 

<各施設の特徴・サービス内容・入居基準等>
特徴 サービス名 入居基準とサービス内容
「終身」入居

特別養護老人ホーム(特養)

「介護老人福祉施設」とも言う

「常に介護が必要で、自宅での介護が困難な方対象」の施設で、 食事や入浴などの日常生活の支援や機能訓練、療養上の世話などを受けることができる。

原則として、「要介護度3以上」が入居要件。

但し、要介護度1〜2の方は、やむを得ない理由(世話する家族がいない、一人暮らしの認知症の方等)などで入居できる可能性もある。

「期間限定」入居 介護老人保健施設(老健)

「在宅復帰を目指している方を対象」とした施設で、 医学的な管理の下に医療や介護、リハビリなどが受けられる施設設です。

3か月が限度。但し、期間を開ければ再入居は可能!(従って、3か月施設利用、3か月自宅でデイサービス等利用、再度施設利用等で繋げていければ家族の負担軽減に繋がる)

原則として、「要介護度1以上」が入居要件。

「要支援1〜2の方」は利用することができません

「療養」期間入居   介護療養型医療施設⇒介護医療院へ転換

長期に亘って療養が必要な方」を受け入れる施設です。(普通、入院先病院での療養が長引けば病院で紹介されます?) 必要な医療や介護、リハビリテーションなどを受けることができます。

原則として、「要介護度1以上」が入居要件。

「要支援1〜2の方」は利用することができません

なお、「介護療養型医療施設」制度は廃止され「介護医療院へ順次移行中。

※補足

 「指定」有料老人ホーム

特定の指定を受けた有料老人ホーム

介護保険適用の施設サービスに該当しません。

但し、自治体から「特定施設入居者生活介護」の指定を受けている有料老人ホームは、「介護付き」と呼ばれ介護サービスに介護保険が適用され、提供される介護サービスのぽとんどを「定額制(包括報酬)」で受けられる。

 

なお、「地域密着型サービス」にも類似の施設介護があります

「地域密着型サービス」は、要介護高齢者や認知症高齢者が、介護度が重くなっでも、住み買れた地域でいつまでも生活でさるように創設された介護サービスです。

 

市町村により指定された事業者がサービスを行い、その地域に住む住民が対象となります。

 

 「地域密着型サービス」が非常に充実してきており、こちらのサービスを利用した方が、本人も家族も地域に密着した生活が過ごせるようなので、是非「地域密着型サービス」も併せて検討されることをおすすめします!

<「地域密着サービス」における施設介護サービス>
類型 サービス名 サービス内容
施設介護サービス類似 認知症対応型共同生活介護(グループホーム)

認知症高齢者が5〜9人の少人数で利用者が家事を分担するなど共同生活をしながら日常生活の支援や機能訓練のサービスを受ける。

・「要支援1」は利用できないが、「要支援2」は、介護予防として利用可能

※補足 特定施設 地域密着型特定施設入居者生活介護 入居定員が30人未満の軽費老人ホームや有料老人ホームのうち、指定を受けた施設で、日常生活の支援や機能訓練などを受けることができます。
施設介護サービス類似 地域密着型介護老人福祉施設入居者生活介護

・定員が30人未満の「介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)」です。

 ・「特老」と同様に、常に介護が必要な方を受け入れ、日常生活の支援や機能訓練などを行います。

 

「特養」「老健」「療養病床」等各施設の入居費用の目安

いずれの施設も入居時に一時金は不要です!

 

また、基本的には各施設には、ベッドや簡単な家具は備え付けられていますので初期費用は不要です。

従って、各施設で負担する費用は、月々の利用料や生活費に相当するもののみとなります。

 

1.各施設の利用に伴う費用項目

費目的には、月々の「施設介護サービス費」、「同加算(設備やプラスサービス等に伴うもので施設によるためここでは算定に入れず)」、「居住費(家賃に相当)」、「食費(1日3食)」、「日常生活費(理美容、レク代等)」等で構成されます。

 

各費目の算定基準

費用項目 算定基準
施設介護サービス費

24時間体制ケアで受けられる介護サービス費で要介護度、部屋タイプで決められている。

後ほど紹介する「施設介護サービス費」の数値は、「1割負担」の場合の計算値です。

同 加算費 当該施設での特別な設備費や人員体制増強等で付加される負担
居住費

家賃に相当、部屋タイプで負担すべき限度額が定められており、超えた分は保険者が負担します。

また非課税世帯などの低所得者には負担軽減措置が採られている。

食費

1日3食セットの食事代で限度額が定められており、超えた分は保険者が負担します。

また非課税世帯などの低所得者は負担軽減措置が採られている。

日常生活費 おむつ代は含まれないが、歯ブラシ、石鹸、化粧品、理美容代、電話代等は、原則、実費負担。

 

2.居室タイプにより「施設介護サービス費」や「居住費」が異なります

◎居室には、施設の造りから「従来型タイプ」と「ユニット型タイプ」があります。

従来型タイプは、各居室(個室や相部屋)が廊下に沿って並べられた造りであるのに対し、ユニット型タイプは、各居室(個室や相部屋)がリビングに接して設置されワンフロア―でユニット(まとまり)が構成される造りとなっています。

 

居室タイプ

従来型・個室 個室
従来型・多床室 定員2人以上の相部屋
ユニット型・個室 共用のリビングに接した個室
ユニット型・多床室 共用のリビングに接した多床個室(天井との隙間がある仕切り区分)

 

なお、ユニット型は、10名前後の少人数グループごとに職員を配置するなどコミュニケーション重視の運営になっています。

 

従って、ユニット型の方がファミリー的な雰囲気で生活できるのでそういう雰囲気を好む方にはユニットがおすすめです。

 

また、ユニット型は個室が多いため居住費が若干高いので入居待ちが少ない傾向にあります。このため、早く入居したい場合は狙い目です。

 

◎「施設介護サービス費」は、従来型ホームとユニット型ホーム別に要介護度によって費用負担額が定められている。

施設介護サービス費用

  従来型個室、従来型多床 ユニット型個室、ユニット型多床
要介護度 日額 月額(30日) 日額 月額(30日)
要介護1 559円 1万6770円 638円 1万9140円
要介護2 627円 1万8810円 705円 2万1150円
要介護3 697円 2万910円 778円 2万3340円
要介護4 765円 2万2950円 846円 2万5380円
要介護5 832円 2万4960円 913円 2万7390円
 
◎住居費、食費には負担限度額が設定されています

住居費、食費については限度額が設けられており、これを上回る部分については介護保険で負担することになり、結局、この限度額が負担すべきMax額となります。

 

なお、住居費及び食費については、本人を含めて世帯全員が非課税の場合は低減措置が設けられており、本人の所得により下表の通り3ランクに分けて軽減されています。

 

例えば、居住費の場合、下表でみると、従来型個室は、課税世帯では35,130円の負担になりますが、非課税世帯で本人所得が80万円以下の場合は、12,600円ですみます。

 

食費も、課税世帯では41,760円の負担になりますが、非課税世帯で本人所得が80万円以下の場合は、11,700円ですみます。

 

(注意:地域区分は東京1級地を適用、従って、ご利用の地域で若干数字が変わります。2020年8月時点)  

 

【特別養護老人ホームの月々の負担費用の目安】

「特別養護老人ホーム」では、寝たきり状態や常時介護を必要とする重度の要介護者(原則要介護3以上)が、食事や排泄の介助などの介護サービスを受け乍ら、各種レクレーションなども行われ、少ない費用負担で長期(永年)に入所できる公的介護施設です。

 

入居要件:原則として、要介護3以上(特段の事情によっては要介護1〜2も入居可の)の人を対象とした介護施設です。

※特段の事情例:認知症で一人暮らしのため、常に見守りが必要な場合や同居家族の介護が無理な場合など

 

特別養護老人ホームの月々の負担費用は下表のようになります。

 

この表でわかりますように、要介護1の方では、従来型多床室(相部屋)で1か月96,600円で利用できます。

要介護5の方では、ユニット型個室の一番高い部屋で1か月141,800円で利用できます。

もちろん食費込みですので、年金でやっていける可能性がありますね。(年金が少ない方は、低減措置適用で、もっと負担額は低くて済みます!)

 

【特別養護老人ホームの負担費用月額目安】(要介護別・居室別)

(注意:地域区分は東京1級地を適用、従って、ご利用の地域で若干数字が変わります。2020年8月時点)  

 

【介護老人保健施設の月々の負担費用の目安】

介護老人保健施設は、「要介護度1以上」が入居要件です。

 

また、療養及びリハビリ目的ですから入居期間は最長3か月となっています。

 

介護老人保健施設の月々の負担費用は下表のようになります。

 

この表でわかりますように、「要介護1」の方では、従来型多床室(相部屋)で1か月81,320円で利用できます。

 「要介護5」の方では、ユニット型個室の一番高い部屋で1か月136,730円で利用できます。

もちろん食費込みですので、年金でやっていける可能性がありますね。(年金が少ない方は、低減措置適用で、もっと負担額は低くて済みます!)

 

【介護老人保健施設の負担費用月額目安】(要介護別・居室別)

(注意:地域区分は東京1級地を適用、従って、ご利用の地域で若干数字が変わります。2020年8月時点)  

 

【介護療養型医療施設の月々の負担費用の目安】

病院に入院後のケースが多いのですが、長期療養のための施設です。

 

従って、療養の必要性がなくなれば退去しなければなりません。 介護療養型医療施設は、「要介護度1以上」が入居要件です。

 

介護療養型医療施設の月々の負担費用は下表のようになります。

 

この表でわかりますように、「要介護1」の方では、従来型多床室(相部屋)で1か月80,540円で利用できます。

 

 「要介護5」の方では、ユニット型個室の一番高い部屋で1か月145,340円で利用できます。

 

もちろん食費込みですので、年金でやっていける可能性がありますね。(年金が少ない方は、低減措置適用で、もっと負担額は低くて済みます!)

 

【介護療養型医療施設の負担費用月額目安】(要介護別・居室別)

(注意:地域区分は東京1級地を適用、従って、ご利用の地域で若干数字が変わります。2020年8月時点)  

 

【介護医療院の月々の負担費用の目安】

介護療養型医療施設と同様の長期療養施設です。

 

介護医療院は、「要介護度1以上」が入居要件です。

 

介護医療院の月々の負担費用は下表のようになります。

 

この表でわかりますように、「要介護1」の方では、従来型多床室(相部屋)で1か月80,240円で利用できます。

 

 「要介護5」の方では、ユニット型個室の一番高い部屋で1か月146,210円で利用できます。

 

もちろん食費込みですので、年金でやっていける可能性がありますね。(年金が少ない方は、低減措置適用で、もっと負担額は低くて済みます!)

 

【介護医療院の負担費用月額目安】(要介護別・居室別)

(注意:地域区分は東京1級地を適用、従って、ご利用の地域で若干数字が変わります。2020年8月時点)

 

最後に!

以上のように、公的介護保険施設は、在宅介護が難しい、あるいは、在宅介護を続けながら、一時的に、リハビリに集中し機能改善に取り組みたい、一時的に家族の介護負担を軽減したい、などといった際に利用できる施設です。

 

なお、「地域密着型サービス」にも類似の施設として「地域密着型介護老人福祉施設入居者生活介護」や「認知症対応型共同生活介護(グループホーム)」などもあります。

 

在宅介護が大変になれば、是非、これら介護施設を有効に利用されることをおすすめします。

 

お、施設入居の場合は、一旦入居すると簡単に変更はできないので、施設決定に際しては直接施設に赴いてスタッフと面会し、施設の状況やスタッフの対応、施設の立地、自宅からの距離等を勘案して、他と比較して決定されることをおすすめします!

 

下記の関連記事もご覧いただければ幸いです。 介護保険制度

2020年08月25日

介護保険➂|居宅介護サービスの種類と費用の目安及び利用の留意点

居宅介護サービスは、どのくらいの費用がかかるの?年金生活でやっていけるの?

離れて住む高齢の両親に介護が必要になった場合、どんな介護サービスを受ければ二人が在宅のままで生活していけるのか、二人が安心して介護サービスを受けられる様にするにはどうしたらいいのか、年金生活者である二人が十分な介護サービスを受けてやっていけるのか、等々いろいろ心配になりますよね。

2017年の厚労省の統計によると、75歳以上では3割以上の方が何らかの形で介護を必要としているとのことですので、親の年齢がそれに近い人は、そういう時が突然やってくるかも知れません。

そんな時が突然来た場合に適切に対応できるよう介護サービスについての理解を深めておくことは大切なことだと思います。

介護サービスには。自宅で様々な介護を受ける方法と施設に入所して介護を受ける方法がありますが、やはり、自宅願望が圧倒的に多いと言われます。

今回は自宅で受けられる介護サービスにはどんなものがあり、どれくらいの負担で受けられるか、安心してサービスを受けるにはどのような点に留意すべきか等についてご紹介したいと思います。

ご参考になれば幸いです。

目  次

  • ・自宅ではどんな介護サービスが受けられるの? <「居宅サービス」の各種サービス>
  • ・受けられる介護サービスは、介護度の状態によってある程度利用範囲や利用頻度が決められている?                                                  介護度7ランクの大まかな区分は? 介護度により受けられる介護サービスの種類は?
  • ・介護サービスは、原則「利用料の1割(高所得者は2〜3割も)負担」で受けられます! 但し、高所得者は2〜3割負担
  • ・要介護度に応じて介護サービスの月間に利用できる限度額が定められている!  【要介護度別1か月の保険適用限度額と自己負担の計算方法】
  • ・要介護度別に見た在宅介護サービスの利用モデルと費用の目安          要介護度別在宅介護サービスケアプランと自己負担のモデル例                 要支援1の在宅介護モデル 要介護1の在宅介護モデル 要介護3の在宅介護モデル 要介護5の在宅介護モデル
  • ・安心できる居宅介護サービスを受けていくためには               介護認定には子供が極力付き添いましょう!                            居宅介護支援事業所やケアマネージャー選定にも必ず子供が付き添いチェックしましょう!        親の状況に応じて介護サービスのチェックと必要なら変更を考えましょう!
  • ・自宅生活を可能にする居住空間(バリアフリー化や手すり取り付け、トイレ・風呂改修等)の整備

高齢の親が認知症や身体の不自由によって介護が必要となった時、極力本人の自立ある生活を支えつつ、かつ家族への過剰な負担を和らげ一家が平穏を維持していくためには介護サービスの活用は極めて重要になります。

自宅ではどんな介護サービスが受けられるの?

介護保険で受けられる「居宅サービス」には、下表の通り、「訪問型サービス」、「通所型サービス」、「短期滞在型サービス(ショートステイ)」、「福祉用具」、「住宅改修」等の区分により各種介護サービスや介護用具、住宅補修の支援制度が準備されています。

<「居宅サービス」の各種サービス>
類型 サービス名サービス内容
訪問型 サービス訪問介護

「ホームヘルパー(介護職員初任者研修終了)」が自宅を訪問し、

 「身体介護」(排せつ、食事、入浴など)や「生活援助」(調理、洗濯、買い物、掃除など)などの「日常生活の支援」を行う。

通院の移送等も可能。

なお、「医療行為」と「日常生活の範躊を超える介助」はできない。

訪問看護

「看護師」が自宅を訪問し、

医師の指示に基づいた療養上の世話や診療の補助を行う

訪問入浴介護

「介護スタッフと看護師」が浴槽等を持ち込み、

自宅で入浴介助を行う

訪問リハビリテーション

「理学療法士や作業療法士、言語聴覚士などのリハビリ専門家」が自宅を訪問し、

日常生活の自立や心身の機能回復や維持のリハビリを行う

・居宅療養管理指導「医師や薬剤師、管理栄養士、看護師など」が、 本人や家族に必要な指導などを行う
通所型 サービスデイサービス

「施設」に通い

食事や入浴などの日常生活の支援を受けたり、機能の維持・向上のための訓練を受けたりする

デイケア

「病院や診療所、老人保健施設などの施設」に通い、

機能を維持・向上をするための訓練や日常生活の支援などを受ける

短期滞在型サービス (ショートステイ短期入所生活介護

「一時的に」 特別養護老人ホームなどに入居し

日常生活の支援や機能訓練などを受ける。

族の負担軽減に有効

短期入所療養介護

病院や介護老人保健施設などに「一時的に」入居し、

医療や看護ケア、機能訓練などを受ける。

家族の負担軽減に有効。

特定施設入居者生活介護 「介護付き有料老人ホームやケアハウス、サービス付き高齢者向け住宅などの入居者」が、 施設が行う介護や日常生活上の世話などを「介護保険で」受けることができる
福祉用具レンタル事業 介護ベッド、車イスなどのレンタル(1割負担で)
購入費助成入浴、排せつ関係具の購入費助成(年間10万円が上限)
住宅改修補助金支給手すり、バリアフリー、トイレ等改修(20万円迄)
受けられる介護サービスは、介護度の状態によってある程度利用範囲や利用頻度が決められている?

介護サービスを受ける為には、前もって「介護認定」を受ける必要があります。

介護予防が必要と認められれば「要支援1〜2」が、自立支援のための介護が必要と認められれば「要介護1〜5」の認定が与えられます。

実際に介護サービスを受ける際は、ケアマネージャーと相談の上、ケアマネージャーが作成するケアプランに沿って各種サービスを受けることになります。

介護度7ランクの大まかな区分は?

要支援及び要介護は、自立の困難度により下表の通り7ランクに区分されます。

「要支援1及び2」は、「食事や排泄等は自分でできるが、立ち上がりや歩行などの移動及び掃除などの日常生活にやや苦労するのでサポートが必要な状態です。要支援2は1より若干サポートがより必要な状態。 「要介護1〜5」は、身体機能や認知機能で日常生活に介助が必要な状態で、「要介護1〜2」は、何らかの介助が必要、「要介護3〜5」は、一人でできないことが多く、日常生活(食事、排泄、入浴、移動、更衣等)全般に介助が必要な状態です。 介護度により受けられる介護サービスの種類は? 「要支援1〜2」が受けられる介護サービス

1)自宅でのサービス利用

介護予防訪問介護、介護予防訪問入浴介護、介護予防訪問リハビリテーション、介護予防居宅療養管理指導、介護予防訪問看護、

2)施設に通って受けるサービス

介護予防通所リハビリテーション

3)短期間宿泊サービス

介護予防短期入所生活介護、介護予防短期入所療養介護

4)生活環境を整えるサービス

介護予防福祉用具貸与、特定介護予防福祉用具購入、介護予防住宅改修、

5)地域密着型サービスの一部

地域発行情報参照

「要介護1〜5」が受けられる介護サービス

基本的には、上表で掲げた「居宅サービス」の全てが受けられます。  

介護サービスは、原則「利用料の1割(高所得者は2〜3割も)負担」で受けられます!

介護保険適用の介護サービスを受ける場合は、原則、利用料の1割が自己負担となります。

介護サービスには様々なものがありますが、介護保険が適用される介護サービスは、原則として本人負担は、利用料の1割となります。(残りは介護保険が負担します)

但し、高所得者は2〜3割負担

高所得者(現役並みの所得がある場合)は、「年金収入とその他の合計所得額」が下表の水準である場合に2割又は3割負担がとなります

但し、あくまでも「介護サービスを受け乍らそれだけの収入(所得)がある人」です。

負担割合は、介護サービスを受ける為に認定を受けた際、その時の前年の年収で決定され「負担割合証」が送られてきます。

この「負担割合証」は、8月から翌年7月までの1年間を適用するもので、毎年実施される再認定時に合わせ、前年の所得によって負担割合証が送られてきます。

(「介護負担割合通知書」は毎年、7月に市区町村から送られてくる)

       「2割負担、3割負担の基準表」

「年金収入そのほかの合計所得」と「世帯人数」により2割~3割負担が決まります。

 2割負担 3割負担
単身世帯者280万円以上340万円未満340万円以上
夫婦世帯者346万円以上463万円未満463万円以上

つまり、介護サービスを受けなければならなくなった時に、その時の前年年収がサラリーマン世帯収入と同様の収入があれば2割~3割負担になる可能性があるということです。  

要介護度に応じて介護サービスの月間に利用できる限度額が定められている! 受けられる介護サービス(給付)には様々なものがあり介護の必要度に応じて利用できますが、介護利用料は、受けるサービスの内容や密度(時間等)によって決まります。

しかし、要介護度に応じて介護保険が適用される1か月の限度額が定められており、限度額までは1割(高所得者は2~3割)負担で受けられますが、それを超える部分は全額自己負担となります。

5万円が限度額である場合、月間5万円の介護サービスを受けても自己負担は5千円で済みますが、7万円使うと2万5千円の自己負担となり結局、35%もの自己負担となってしまいます。

もちろん、要介護度が高くなるとその分(サービスが必要になるので)限度額も高く設定されているので、その限度額までなら1割負担で済みます。

限度額が10万円であれば、10万円のサービスを受けても1万円で済みますが、15万円のサービスを受けると6万円の自己負担となり、40%もの自己負担割合となってしまいます。

従って、極力、限度額までで利用できる介護サービスの利用設計を考えましょう!

もちろん、介護の必要度や世帯構成の状況にもよりますが、

【要介護度別1か月の保険適用限度額と自己負担の計算方法】

要介護度

介護度認定の目安

(ニチイの介護サイト抜粋)

限度額

自己負担額の計算方法

(1割負担の場合の計算法)

要支援1日常生活はほぽ自分でできるが、要介護状態予防の為に少し支援が必要(排泄、食事は自分でできるが、立ち上がり動作や掃除などの日常生活の一部にサポートが必要な状態)50,030円限度内であれば1割負担で済むが、限度以上の利用料であれば、5003円+50030円を上回った額全額
要支援2日常生活に支援が必要だが、要介護に至らずに機能が改善する可能性が高い(排泄、食事は自分でできるが、要支援1よりは、立ち上がりや歩行動作や掃除などの日常生活にサポートが必要な状態)104,730円限度内であれば1割負担で済むが、限度以上の利用料であれば、10473円+104730円を上回った額全額
要介護1立ち上がりや歩行が不安定。日常の中で、排泄や入浴などに部分的な介助が必要166,920円限度内であれば1割負担で済むが、限度以上の利用料であれば、16692円+166920円を上回った額全額
要介護2自力での立ち上がりや歩行が困難。排泄、入浴などに一部又は全介助が必要 196160円限度内であれば1割負担で済むが、限度以上の利用料であれば、19616円+196160円を上回った額全額
要介護3立ち上がりや歩行などが自力ではできない。日常においても排泄、入浴、衣服の着脱など全面的な介助が必要 269,310円限度内であれば1割負担で済むが、限度以上の利用料であれば、26931円+269310円を上回った額全額
要介護4排泄、入浴、衣服の着脱など日常生活の全般において全面的な介助が必要。日常生活能力の低下がみられる308,060円限度内であれば1割負担で済むが、限度以上の利用料であれば、30806円+308060円を上回った額全額
要介護5日常生活全般において、全面的な介助が必要であり、意志の伝達も困難360,650円 限度内であれば1割負担で済むが、限度以上の利用料であれば、36065円+360650円を上回った額全額
要介護度別に見た在宅介護サービスの利用モデルと費用の目安

介護が必要となった時に、真っ先に気になるのは、「どんな在宅サービスを受ければ、何とか在宅のままで生活していけるのか?」、その「費用はどの程度になるのか?本人の年金でやっていけるのか?」といったことではないでしょうか?

要介護度別在宅介護サービスケアプランと自己負担のモデル例

要介護度別に、受ける在宅介護サービスの種類とその場合の自己負担額がどの程度になるかのモデル例を作ってみました。

あくまでもイメージを掴んでいただけることが狙いなので一般的なケアプラン設定にしました。

また各サービスには地域係数により多少地域差が生じますが、東京1級地の地域係数を用いています。

遠く離れたご両親が介護が必要となり、自宅で何とか生活を続けたい場合には極力在宅介護サービスを上手に利用されることが大変重要になります。

その際、在宅介護サービスにはどのくらいの費用が必要になり、年金生活者であるご両親は介護生活を年金でやっていけるのかが気になります。

要介護度別に限度額が設定されていますが、果たして限度内でうまく在宅介護サービスを利用して生活していけるのか心配ですね。

是非、これらモデルを参考に適切な介護サービスが受けられるよう見守ってあげましょう!

<要支援1の在宅介護モデル>

要支援1で75歳の本人と夫(78歳、腰痛)との二人暮らしを想定

 

・ケアプラン:週2回の介護予防訪問介護(生活援助が中心)と週1回のデイサービスを利用

介護サービス月間利用料総額は39,990円で上限の50,030円以内のため、自己負担額は1割の3,999円で済みます。

<要介護1の在宅介護モデル>

要介護1で75歳の本人と夫(78歳、腰痛)との二人暮らしを想定

 

・ケアプラン:訪問介護として週2回の自立支援と週2回の入浴介助のほかに週2回のデイサービスを利用

介護サービス月間利用料総額は135,807円で上限の166,920円以内のため、自己負担額は1割の13,576円で済みます。

 
<要介護3の在宅介護モデル>

要介護3で75歳の本人と夫(78歳、腰痛)との二人暮らしを想定

 

・ケアプラン:週4回の訪問介護と週1回の訪問看護のほかに週3回のデイサービスを利用、他にベッド、車椅子、歩行器のレンタルを利用。

介護サービス月間利用料総額は250,285円で上限の269,310円以内のため、自己負担額は1割の25,030円で済みます。

 
<要介護5の在宅介護モデル>

要介護5で75歳の本人と夫(78歳、腰痛)との二人暮らしを想定

 

・ケアプラン:週15回の訪問介護と週2回のデイサービス、さらに週1回の1泊2日のショートステイを利用、他にベッド、車椅子、エアマットのレンタル利用。

介護サービス月間利用料総額はショートステイ料金除きで401,507円と既に限度額360,650円を超過しているため、限度額の1割に相当する36,065円に限度額超過額40,857円を加算した76,922円が自己負担になります。

さらに、ショートステイ料金が全額が自己負担となるため、月間の自己負担分は10万円近くになりそうです。

 

この要介護5のモデルは、非常に重い介護の必要性がある状態を想定していますが、それでも「特別養護老人ホーム(特養)」による施設介護サービスよりは自己負担は安く済みます。

本人にとって自宅願望が強ければ何とか居宅サービスで生活していければ何よりですが、家族の協力がなければできません。

要介護5で自宅に居ながら各種サービスを受けるにも家族にかなりの負担が強いられるからです。

安心できる居宅介護サービスを受けていくためには

介護が必要となり介護サービスに期待を寄せる者にとって、介護サービスの提供者の質や相性は、非常に重要な精神のよりどころとなります。

従って、的安心して居宅介護サービスを居宅介護で老後を安心して過ごしていくためには、地域に密着した生活基盤づくりが重要です。

特に年老いた親に介護の必要性が感じられ始めたら早めに考えをめぐらすことが重要だと考えます。

介護認定には子供が極力付き添いましょう!

介護認定は、市区町村の担当者の聞き取り調査がありますが、この際は極力、実際の日頃の親の実態を熟知している子供が立ち会うことをおすすめします。

年寄りは、聞き取り調査の主旨を解せず無理して介護の必要性を薄める対応をしがちになる処があります。

性格にもよりますが、自分はまだしっかりしているところを見せたがるようです。

これは、毎年の介護認定更新聞き取り時も同様です。

また、主治医にも意見書添付を求められますが、やはり、子どもが付き添い主治医により正確に記述してもらうべきです。

居宅介護支援事業所やケアマネージャー選定にも必ず子供が付き添いチェックしましょう!

介護認定を受けると、次は介護サービスを受ける為の「居宅介護支援事業所」及び「ケアマネージャー」の選定が非常に重要となります。

 「居宅介護支援事業所」は市区町村の担当窓口や地域包括センターなどで紹介してくれますので、あせらずにじっくり信頼のできる事業所を選ぶべきです。

途中でも変えられますが、やはり最初が肝心です。

直接、事業所に出向くなり来てもらうなりして担当者から事業所の信頼性を確認しましょう。

また、その事業所がはけんするケアマネージャーの資質についても直接話を聞いて日頃の対応ぶりを確認しましょう。

これらは、必ず、子どもが直接立ち会って確認しましょう。それが後々効果が表れてきます。

実際に、介護が始まると、再々に亘って、状況確認やヘルパーの交代要請などが生じてくる可能性があります。

実際には、ケアマネージャーとのやり取りは子の役割になると考えてください。

親の状況に応じて介護サービスのチェックと必要なら変更を考えましょう!

数年経てば体の状況も変わっていきますので、状況にあった介護サービスへの変更も必要になります。

ケアマネージャーも時々チェックして連絡をくれますが、早めの対応に心がけましょう!

自宅生活を可能にする居住空間(バリアフリー化や手すり取り付け、トイレ・風呂改修等)の整備

自宅介護を可能にするためには、要支援・要介護者の日常生活が容易になるよう居住空間の整備が不可欠になります。

要支援・要介護者の状況に合わせて床のバリアフリー化、玄関や風呂・トイレの段差があるところでの手すりの取り付け、トイレの洋式化等々の改善が必要であり、介護保険から出る住宅改修費(上限20万円)などを活用して整備しましょう。

下記の関連記事もご覧いただければ幸いです。

2020年08月11日

介護保険A|介護サービスにはどのようなものがあるの?受けるには?

遠隔地に住む老親が介護の必要性が生じたら貴方はどうしますか?

要介護(含む要支援)者は、65歳以上で18%、75歳以上で33%を占める

 

厚生労働省の調査によると、65歳以上に占める要介護者(含む要支援)の割合は18%(資料@)、75歳以上に占める割合は32.5%(資料A)となっています。

 (資料@)

(資料A)

 

介護が必要になった原因は、認知症、脳血管、骨折転倒、関節疾患、心疾患と突発的発症が多くを占める。

介護が必要となった原因は、認知症が最も多く、脳血管疾患、高齢による衰弱、骨折・転倒、関節疾患、心疾患となっており、多くは突発的な発症で介護が必要となった様です。

高齢の親がいる場合は、介護サービスにはどういうものがあるか理解を深めておくことも重要

高齢の親がいる場合は、いつ何時、介護が必要になるかはわかりません。 介護サービスにはどんなものがあるかを知っておけば、後で取り返しのつかない判断をせずに済むかも知れません。

介護の基本は在宅介護

基本は、住み慣れた自宅で生活できるよう在宅介護サービスを利用するのが一番だと思います。その上でどうしても在宅では無理となれば施設サービスの利用を考えることになります。

早めに介護サービスを利用して自分も家族にも無理が生じないようにしましょう!

身体に不自由性が生じ日常生活に苦労が感じはじめたら無理を続けず早めに介護サービスを利用して本人も家族も日常を失わないようにすることが大切です。

特に高齢の夫婦二人世帯や一人世帯の場合は早めの準備が必要です。

介護サービスにはどのようなものがあり、どんな時に利用できるかを知っておきましょう!

介護サービスは、種類が多くややこしいですが、どんなものがあるかを確認しておくだけでもまさかの折には役立ちますので、取り敢えず目を通しておきましょう!    

介護サービスにはどんなものがあり、どんなサービスが受けられるの?

 

介護サービスは、サービスの受け方によって大きく「居宅サービス」、「施設サービス」、「地域密着サービス」の3つに分類されます。

「居宅サービス」は、「要介護・要支援者」が現在の居宅に住んだまま提供が受けられる介護サービスです。

「施設サービス」は、「要介護者」が「特別養護老人ホーム」「介護老人保健施設」「介護療養型医療施設」「介護医療院」に入所して提供されるサービスです

 「地域密着型サービス」は、2005年に新設された制度で、高齢者が身近な地域で生活し続けられるように、事業所のある市町村の「要介護者・要支援者」に提供されるサービスで、「訪問・通所・短期入所等によるサービス」、「認知症の方向けのサービス」、「特定施設や介護保険施設におけるサービス」などが提供されます。

(一部サービス内容は「居宅サービス」と被る面があります。)  

 

なお、「施設介護」は、要介護の認定がなければサービスを受けられませんが、「居宅サービス」及び「地域密着型サービス」には、「要支援者」の方も受けられるサービスがたくさんあります。

また、訪問介護及び通所介護(デイサービス)は、地域連携・地域密着化の考え方から、一部介護保険から市区町村へ運営が移管されています。

このため、介護認定手続きなども和らいでこれらサービスがより一層利用し易くなっていると思われます。  

「居宅サービス」で受けられる各種サービスとサービス内容

「訪問型サービス」、「通所型サービス」、「短期滞在型サービス(ショートステイ)」、「福祉用具」、「住宅改修」等の区分により

各種介護サービスや介護用具、住宅補修の支援制度が準備されています。

 

<「居宅サービス」の各種サービス>

類型サービス名 サービス内容
訪問型 サービス訪問介護

「ホームヘルパー(介護職員初任者研修終了)」が自宅を訪問し、

「身体介護」(排せつ、食事、入浴など)や「生活援助」(調理、洗濯、買い物、掃除など)などの「日常生活の支援」を行う。

通院の移送等も可能。

 

なお、「医療行為」と「日常生活の範躊を超える介助」はできない。

訪問看護

「看護師」が自宅を訪問し

医師の指示に基づいた療養上の世話や診療の補助を行う

訪問入浴介護

「介護スタッフと看護師」が浴槽等を持ち込み

自宅で入浴介助を行う

訪問リハビリテーション

「理学療法士や作業療法士、言語聴覚士などのリハビリ専門家」が自宅を訪問し

日常生活の自立や心身の機能回復や維持のリハビリを行う

・居宅療養管理指導

「医師や薬剤師、管理栄養士、看護師など」

本人や家族に必要な指導などを行う

通所型 サービスデイサービス

施設に通い

食事や入浴などの日常生活の支援を受けたり、

機能の維持・向上のための訓練を受けたりする

デイケア

「病院や診療所、老人保健施設などの施設」に通い

機能を維持・向上をするための訓練や日常生活の支援などを受ける

短期滞在型サービス (ショートステイ短期入所生活介護

一時的に

特別養護老人ホームなどに入居し日常生活の支援や機能訓練などを受ける。家族の負担軽減に有効

短期入所療養介護

病院や介護老人保健施設などに「一時的に」入居し、

医療や看護ケア、機能訓練などを受ける。家族の負担軽減に有効。

特定施設入居者生活介護

「介護付き有料老人ホームやケアハウス、サービス付き高齢者向け住宅などの入居者」が、

施設が行う介護や日常生活上の世話などを「介護保険で」受けることができる

福祉用具レンタル事業介護ベッド、車イスなどのレンタル(1割負担で)
購入費助成入浴、排せつ関係具の購入費助成(年間10万円が上限)
住宅改修補助金支給手すり、バリアフリー、トイレ等改修(20万円迄)

「施設サービス」で入居できる3施設(介護保険適用)と入居基準

施設サービスは、施設に入居して24時間の介護を受けられるサービスです。

介護保険適用の施設サービス対象施設は、「特別養護老人ホーム(特養)」、「介護老人保健施設(老健)」、「介護療養型医療施設⇒順次介護医療院へ切り替え中」の3種類があります。

なお、「特老」は、永年入居可能であり、有料老人ホームに比べて入居時に一時金の必要性がなく、かつ月額利用料も割安なため満室が多く、また、待機者も多いため急には入居できない可能性大であることに注意が必要です。

また、「老健」は3か月の期間限定ですが、3か月の自宅介護の後、再度受け入れてくれる可能性が高いので、自宅介護で何とか凌げる状況の場合は、過重な家族の負担軽減と本人の自宅願望を叶えるために「老健」の利用をおすすめします。

これにより、特老や有料老人ホームへの転居を凌ぐことができ、自宅での生活ができるだけ永く続けられます。手続きは少し煩わしいですが、是非活用されることをおすすめします!

また、「地域密着サービス」が非常に充実してきており、そちらのサービスを利用した方が本人も、家族も安心して地域に密着した生活が過ごせるので、「施設サービス」を検討する必要があるような事態には、是非、「地域密着サービス」を最優先に検討されることをおすすめします!

<「施設サービス」の各種サービス>

特徴サービス名 入居基準とサービス内容
終身入居特別養護老人ホーム(特養)

「常に介護を必要とする方対象」の施設で、

食事や入浴などの日常生活の支援や機能訓練、療養上の世話などを受けることができる。

 

原則として、「要介護度3以上」が入居要件。

但し、要介護度1〜2の方は、やむを得ない理由などで入居できる可能性もある。

期間限定入居介護老人保健施設(老健)

「在宅復帰を目指している方を対象」とした施設で、

医療や介護、リハビリなどが受けられる施設設です。

 

3か月が限度。但し、期間を開ければ再入居は可能!(従って、3か月施設サービス利用、3か月自宅でデイサービス等利用、再度施設サービス3か月利用等で繋げていければ家族の負担軽減に繋がる)

 

 「要支援1〜2の方」は利用することができません

療養期間⇒廃止し「介護医療院」へ転換介護療養型医療施設⇒介護医療院

長期に亘って療養が必要な方」を受け入れる施設です。

(普通、入院先病院での療養が長引けば病院で紹介されます?

必要な医療や介護、リハビリテーションなどを受けることができます。

 

 「要支援1〜2の方」は利用することができません

 

なお、「介護療養型医療施設」制度は廃止され「介護医療院へ順次移行中。

指定有料老人ホーム 特定の指定を受けた有料老人ホーム

介護保険適用の施設サービスに該当しません。

但し、自治体から「特定施設入居者生活介護」の指定を受けている有料老人ホームは、介護サービスに介護保険が適用される。

「地域密着サービス」で受けられる各種サービスとサービス内容

地域密着型サービスは、

要介護高齢者や認知症高齢者が、介護度が重くなっでも、住み慣れた地域でいつまでも生活でさるように創設された介護サービスで、

市町村により指定された事業者がサービスを行い、その地域に住む住民が対象となります。  

特徴としては、

「地域密着型サービス」における訪問介護や訪問看護、デイサービス、ショートステイは、同一事業所からのサービスに限定されるため、

「居宅サービス」のそれと比べてスタッフが顔なじみとなり家族のような安心感を得ることができます。  

 「地域密着サービス」の利用は、原則、「要介護者」対象ですが、

「要支援者」の方も、「介護予防」として受けられるサービスがあります。

 「要支援1、2」の方は、小規模多機能型居宅介護、認知症対応型通所介護を、

「要支援2」の方は、更に認知症対応型共同生活介護(グループホーム)も利用可能です。  

<「地域密着サービス」の各種サービス>

類型 サービス名サービス内容
居宅サービス小規模多機能型居宅介護

施設へのデイサービス(「通い」)中心に、

スタッフの自宅への「訪問」や短期間の「宿泊」も組み合わせた支援を行うサービスです。

「通い」はおおむね15名以下の小人数定員となっており、家庭的な環境で過ごすことができます。

 

・利用料は介護度による定額制で利用できる。また委託できる事業所は一か所に限定。このため、ケアマネージャーも事業所に在籍するケアマネージャーに変更が必要。

 

「要支援1・2」でも、介護予防として利用可能

居宅サービス看護小規模多機能型居宅介護

小規模多機能型居宅介護に「訪問看護」が加わった介護と看護が一体となったサービスです。

 

看護師が配置されるため、医療ケアが必要な人に向いています。

訪問型サービス定期巡回・随時対応型訪問介護看護

・日中夜間を通して24時間365日体制で

利用者の状態に合わせて、定期的に訪問したり、必要に応じて介護や看護のサービスを提供します。

訪問型サービス夜間対応型訪問介護

夜間の定期巡回による訪問介護と、

利用者の要請による随時訪問介護

端末を設置し通報に対応するサービスも提供。

通所型 サービス地域密着型通所介護

利用定員18名以下の小規模な通所介護(デイサービス)で、

通常のデイサービスと同様の食事、入浴、レクや機能訓練などをサービスを行います。

通所型 サービス認知症対応型通所介護

認知症高齢者を対象とした通所サービスで、

定員12名以下の少人数で家庭的な雰囲気の中で、食事、入浴、レクや機能訓練などをサービスを行います。

 

「要支援1・2」でも介護予防として利用可能

施設サービス認知症対応型共同生活介護(グループホーム)

認知症高齢者が5〜9人の少人数で、

利用者が家事を分担するなど共同生活をしながら

日常生活の支援や機能訓練のサービスを受ける。

 

・「要支援1」は利用できないが、「要支援2」は、介護予防として利用可能

施設サービス地域密着型特定施設入居者生活介護

入居定員が30人未満の軽費老人ホームや有料老人ホームのうち、指定を受けた施設で、

日常生活の支援や機能訓練などを受けることができます。

施設 地域密着型介護老人福祉施設入居者生活介護

・定員が30人未満の「介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)」です。

 

・「特老」と同様に、常に介護が必要な方を受け入れ、日常生活の支援や機能訓練などを行います。

最後に!

以上が、介護が必要となった時に利用できる介護保険サービスの全容です。

 

介護サービスの利用を実際に検討される場合は、対象となる施設情報を幅広く収集することをおすすめします。

中でも、施設サービスのように長期入居の場合は、直接施設に赴いて、スタッフと面会し施設の状況やスタッフの対応、施設の立地、自宅からの距離等を勘案して、他と比較して決定されることをおすすめします!

よもやネットで検索して、空き情報のみで決めてしまうような安易な決定は後悔のもとになります!

大事な人が少なくとも楽しく生活できる場は責任を持って汗を流して見つけてあげましょう!

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2020年08月07日

介護保険@|今更聞けない介護保険制度のしくみと保険料の計算・支払い

介護保険制度は老後の安心、家族の安心の礎、しっかり理解しておきたいものです!

高齢化で自分の周りに親兄弟等を含めて今後介護が必要になりそうな方はいらっしゃらないですか?

将来の備えのためにも、是非、大切な介護保険の仕組みの基本は理解しておきたいものですね!



 

目  次


・介護保険制度はどのような目的、しくみになっているの?(介護保険制度のしくみ)

・介護保険事業はどのような構成(関連図)になっているの?(介護保険事業の構成)

・介護保険料はどのようにして集められているの?(徴収窓口)

1)被保険者区分と保険料徴収窓口

2)それぞれの徴収窓口での徴収方法

・介護保険料は何を基にどの様にして決定されるの?(算定方法)

1.40歳〜64歳の第2号被保険者

<会社員等組合健保被保険者>

<自営業等国民健康保険被保険者>

2.65歳以上の第1号被保険者

1)保険料は「所得段階別介護保険料テーブル表」に当てはめ決定される!

2)保険料算定(テーブル当てはめ)に用いられる合計所得とは?

3)7月上旬に市区町村から「介護保険料額決定通知書」が届き保険料額が確定
 


介護保険制度はどのような目的、しくみになっているの?)


介護保険制度は、介護が必要となった時に誰でも適切な介護サービスが受けられることを目的とした制度です。(以前は市町村が指定したものしか受けられなかった)

急速な高齢化の進展に伴い「介護が必要となった高齢者を社会全体で支える」ことを目的として2000年にできました。

市区町村が保険者(運営主体)となり、地域住民が被保険者となって、「高齢で介護が必要となっても住み慣れた地域でいつまでも安心して暮らせる社会」を実現するための保険です。

地域連携の介護サービス充実を目指すため、住居地の市区町村が保険者となって運営します。

40歳以上の全員が被保険者となって収める保険料と国・地方の負担によって、財源が賄われ、65歳以上(65歳未満は特定疾病などに限定)の被保険者が、介護が必要となった時は、原則1割負担で地域の適切な介護サービスが受けられます。(保険料と国・地方の負担割合は1:1)

介護サービスは、認定された提供事業者により介護の状況に応じた様々なサービスが用意されています。

なお、介護サービスを受ける為には、介護認定等一定の手続きが必要になります。

また、介護サービスは、ケアマネージャーによるケアプランなどに基づいて受けることになります。


介護保険事業はどのような構成(関連図)になっているの?

まず、はじめに介護保険運営の構成をさらっと見て見ましょう。

以下のような構成で成り立っています。


運営主体(保険者)市区町村が担当
加入者(被保険者)第1号被保険者65歳以上の市区町村住民
第2号被保険者40歳以上65歳未満の市区町村住民
サービス事業者による提供サービスの大まかな分類自宅に住む人のためのサービス(居宅サービス)<訪問型サービス>・訪問介護・生活援助・身体介護・訪問看護・訪問入浴介護・訪問リハビリテーション・きゃたく療養管理指導・定期巡回及び随時対応型訪問看護など<通所型サービス>・デイサービス・デイケア・認知症対応型通所介護など<短期滞在型サービス>・ショートステイ(短期間宿泊滞在支援)
施設に入居するサービス(施設サービス)・特別養護老人ホーム(特養)・介護老人保健施設(老健)
・介護療養型医療施設(療養病床)
福祉用具サービス・介護ベッド、車イス等のレンタル
・入浴、排せつ関係福祉用具購入費助成
住宅改修・手すり、バリアフリー、洋式トイレ改修等の補助
 


介護保険料はどのようにして集められているの?(徴収窓口)

介護保険は、加入者(被保険者)の保険料を重要な財源とします。

介護保険は、40歳以上の国民全員が被保険者になりますが、介護を必要とする可能性の高い65歳以上を「第1号被保険者」、それを支える現役世代40歳以上65歳未満者を「第2号被保険者」として区分されます。

保険料の収め方や算定の仕方は、「第1号被保険者」と「第2号被保険者」とではかなり異なるので分かりにくい面があります。

以下で理解を深めておきましょう!

1)被保険者区分と保険料徴収窓口

被保険者は、65歳以上の高齢者を「第1号被保険者」、40歳から64歳までの現役世代を「第2号被保険者」として区分されます。

それぞれの世代には、「会社員で何らかの会社健保に加入している方」と「自営業などで国民健保に加入している方」とがあります。

介護保険料は、最終的には市区町村の介護保険へ納入されますが、被保険者からの徴収は、会社員の場合は、健康保険組合等が、自営業等国民健康保険加入者の場合は、国民健康保険がそれぞれの医療保険の徴収に合わせて介護保険料を代行徴収します。

但し、65歳以上の第1号被保険者については、会社員であろうと自営業であろうと全て年金からの代行徴収となります。




年齢区分被保険者区分所属徴収(天引き)窓口
40歳〜64歳第2号被保険者会社員健康保険料と併せて健保組合等が代行徴収
自営業等国民健康保険料と併せて国民健康保険が代行徴取
65歳以上第1号被保険者会社員年金から代行徴収(健保組合等から分離)
自営業等年金から代行徴収(国民健康保険から分離)

※代行徴収とは、市区町村に代わって徴収するという意味です。

 

2)それぞれの徴収窓口での徴収方法

<第2号被保険者>

会社健保では、介護保険料は、給与や賞与などを基にした標準報酬月額に介護保険料率を乗じた金額が天引きされます。

国民健保では、前年の所得に応じた所得割と世帯数に応じた均等割や平等割、資産割などで決められた金額が徴収されます。

<第1号被保険者>

全て年金からの徴収となり、保険料は、前年度の所得による所得割と世帯数に応じた均等割や平等割、資産割などで決められた金額が徴収されます。

会社健保加入者国民健康保険加入者
徴収・算定方法等徴収窓口徴収・算定方法等徴収窓口
40歳〜 64歳第2号被保険者

・徴収は、健康保険料と併せて給与天引きされる

・介護保険料は、給料(標準報酬月額)に介護保険料率(令和2年改定1.79%)を乗じて算定。

・保険料負担は労使で折半

・被扶養者(配偶者等)は負担なし
健康保険組合等・徴収は、国民健康保険料と併せて徴収される・介護保険料は、前年所得に応じた所得割の外に均等割、平等割、資産割で算定。(料率等は各自治体で異なる)・保険料は全額本人負担
・被扶養者(配偶者)は世帯主の保険料に含まれる。(被扶養者が65歳以上の場合は、自分で納付する形になる。)
国民健康保険(市区町村)
65歳以上第1号被保険者・介護保険料は、会社の健康保険料天引きとは切り離され、自分で納付する(年金から天引きされる)・保険料は前年度所得により決定される年金(市区町村)・介護保険料は、国民健康保険料天引きから切り離され、自分で納付する(年金から天引きされる)・保険料は前年度所得により決定される年金(市区町村)
 


介護保険料は何を基にどの様にして決定されるの?(算定方法)

保険料の決定方法を対象区分ごとに見ていきます。


1.40歳〜64歳の第2号被保険者

第2号被保険者には、会社健保に加入されている人と国民健保に加入している人がいます。

<会社員等:組合健保被保険者>

基本的には、標準報酬月額表に基づき算出されます。

下記表は協会けんぽの東京都の月額表です。(地区によって差はあります)

組合健保も同様なテーブルで算定されます。(但し、組合によって差はあります)

下表では、第2号被保険者の介護保険料は、健康保険料に含まれています。

介護保険料相当額は、下表の11.66%(第2号被保険者適用率)から9.87%(第2号被保険者以外適用率)を差し引いた1.79%が相当します。



 

<自営業等:国民健康保険被保険者>

国民健康保険は、「医療分」と「後期高齢者医療支援分」と「介護保険分」で構成されます。

介護保険分は、45歳以上(第2号被保険者)のみが対象になります。

介護保険分は、下表の算式で「介護保険相当分」が決定されます。

※被扶養者(配偶者)の介護保険料は、均等割額で含まれることになります。

(例示:平塚市の場合)



ー試算例ー

前年度の所得が500万円で被扶養家族が妻1人であれば、次の計算により介護保険料は年間、約年間14万円となります。

所得割額:500万円-33万円×2.37%=11.07万円
均等割額:1.224万円×2人=2.448万円
平等割額:1世帯 0.611万円
合計:14.129万円
 

2.65歳以上の第1号被保険者

65歳以上の第1号被保険者の介護保険料は、会社員であろうと国民健康保険であろうと、全て年金から天引きされる徴収方法となります。


1)保険料は「所得段階別介護保険料テーブル表」に当てはめ決定される!

65歳以上の保険料は、「前年の本人の合計所得」及び「世帯の所得」の状況により、ランク付けられた「所得段階別介護保険料テーブル表」に当てはめられて該当するランクの保険料額が決定されます。

「所得段階別介護保険料テーブル表」は、次の様な手順(@〜➂)で各自治体で独自に設定されています。

@65歳以上の第2号被保険者全員で介護費用総額の22%を負担する(ルール)

介護保険の財源は、公費(国、都道府県、市区町村)5割、保険料5割とされており、保険料5割の内、第1号被保険者は22%、第2号被保険者は28%とされています。



つまり、65歳以上の第2号被保険者全員で介護費総額の22%分を負担するルールになっています。

A次に、65歳以上の第1号被保険者一人当たり負担すべき金額が「基準額」として決定される!

介護費総額の22%を65歳以上被保険者数で一人当たりに換算した額が、「基準額」となります。(3年に一度改定)
基準額=(介護費総額×65歳以上の負担割合22%÷65歳以上人数)
 

➂この「基準額」を負担能力に応じた負担とするため、所得の状況による累進割り増しを用いて「所得段階別保険料額表」を作成(3年に一度改定)

一人当たりの基準額を「所得の負担能力」に応じて調整(負担能力のある世帯には割り増しを、そうでない世帯には軽減を)して設定されたのが「所得段階別保険料年額表」(呼称は仮称です)です。

※この「所得段階別保険料年額表」の所得段階は、地域によって区々です。しかし、大体は、次のような本人及び同世帯の所得状況によって段階づけられています。

本人及び世帯全員が非課税の場合・・・合計所得で3段階
本人が非課税で世帯に課税対象者がいる場合・・・合計所得で2段階
本人の所得が一定以上ある場合・・・本人所得で12段階


実際の所得段階表は次のようになっています。

[横浜市の実例]



2)保険料算定(テーブル当てはめ)に用いられる合計所得とは?

保険料算定に用いられる合計所得は、前年度の合計所得金額が用いられます。

年金や給与、不動産、配当、譲渡などの各所得金額の合計で、医療費控除や扶養控除などの所得控除を引く前の金額となります。

(注)介護保険料の負担能力の捉え方は「収入重視主義」と思えます。
なぜならば、国民健康保険や他の算定に用いられる所得の捉え方は、実質所得(収入を得る為の経費はなどは除く)を重視したものですが、介護保険の場合、「収入額重視主義」ともいえるほど、収入から扶養控除や社会保険料控除さらに基礎控除すら認めないばかりか損失の繰越控除すら認めない捉え方となっています。
従って、確定申告で分離課税で損失の繰越や相殺をしても、介護保険算定のための所得は損失分を除く前の数字が用いられます。
参考:「確定申告で損しない為の留意点|住民税や社会保険料へのはね返り防止OK?」

「介護保険料算定は、国民健康保険料算定の場合と違って、過去の損失の繰越控除との損益通算は考慮されないため、今年度に発生した損益のみの所得認識となります。従って、過去の繰越損で損益通算されない形で介護保険料算定が行われることに注意が必要です。」


従って、前年度の総所得合計でランク表にあてはめて介護保険料が決定されることになります。

3)7月上旬に市区町村から「介護保険料額決定通知書」が届き保険料額が確定

毎年7月上旬に、市区町村から前年の住民税所得にもづいて決定された「介護保険料額決定通知書」が送られてきます。

この通知により、年金等からの天引き額を確認することになります。

なお、介護保険料の支払い方法については、年金年額が18万円以上の場合は年金より天引き(特別徴収という)となり、18万円以下の場合は納付書(普通徴収)により個別に収めることになります。


















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