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ペン牛といいます。子供の頃から怖い話が好きで、ブログを始めたいけどネタがない、と悩んでいたところ辞書からランダムに選んだ言葉を使って怖い話を書けないかと思いつき、やってみたら案外できることが判明、気がついたらブログを開設していた。こんなですが、どうぞよろしくお願いします。なお当ブログはリンクフリーです。リンクしてもらえるとすごく喜びます。にほんブログ村アクセスランキング、人気ブログランキング、アルファポリスに参加中です。 


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2016年02月28日

六十話 お題:文字通り(文字に書かれた通り) 縛り:天測(自分の現在いる場所の経度や緯度を知るために六分儀などを使って天体を観測すること)、パリティー計算(農産物などの値段を物価の変動に合わせて決める計算方法)、地滑り(山腹などの斜面が滑り落ちる現象)、野手(野球で内野・外野を守る人)

 幼馴染の男の話である。


彼はなんでも異世界に行ったことがあるそうだ。
「俺中学の頃野球部でさ、野手やっててショートだったんだけど、試合中に何の前触れもなく違う世界に飛ばされてさ」
 彼はその世界の商人と共に色んなところを巡ったという。船旅も多く、船の位置を知るための天測にはずいぶん苦労したそうだ。
「まぁその世界のあちこちを見て回ったけど、ほんとこっちの方がずっと恵まれてるってことがよくわかったよ。こっちでは野菜を食べる側じゃなくて作る側を守るためにパリティー計算なんてことまでするじゃん。余裕がある証拠だよなぁ」
 私が彼にただ夢を見ていただけではないか、と聞くと、
「いやいや、ちゃんと消えてたんだって。証人は当時の試合の関係者全員な。つーか消えてたのは一時間くらいだって言われたんだけど俺向こうの世界で十年くらい生きてたからまぁ感覚狂っちまって困ったわ。段々直ってったけどさ」
 ふと、十年もいたのなら未練もあるのではないかと思い、聞いてみると、
「まぁ全くないって言えば嘘になるけどさ。でもやっぱりあの世界には最後まで馴染めなかったよ。だって地滑りが起きてもそれが巻き戻って元通りとか普通にあるんだぜ? 文字通り世界が異なってるんだよ」
 それを聞いて思わず、一生に一度くらいはその光景を見てみたいと思ってしまった。

posted by ペン牛 at 12:47 | Comment(0) | TrackBack(0) | 怖い話
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