2016年05月12日
百三十四話 お題:印象批評(芸術作品から受ける主観的な印象を元になされる批評) 縛り:覆刻(書物などの以前に出版したものを新しく版を作り直し、元の通りに覆刻すること)、仰天(ひどくびっくりすること)
ある本にまつわる話である。
その本は私が若い頃に出版されたもので、長らく絶版になっていたが最近になって覆刻されることが決まった。出版された当時に買ったものはすっかりボロボロになっていたので復刻版を一冊買おうと思い、行きつけの書店に行ってみると簡単に手に入ったのだが、家に帰ってそれを読んでみたところ私は仰天した。復刻版の内容が元の本とはかけ離れたものになっていたのだ。もしかして間違えて買ったのかと思ったが、本の題名と作者の名前は一致している。知り合いに私と同じように若い頃その本を買い、復刻版も買った男がいたので、彼に復刻版が元の本とは完全に違う内容に変わっていないかと聞いてみたところ、
「何も変わってないだろう。今読んでも全く魅力が色褪せていない素晴らしい内容だ」
という返事だった。最初は釈然としなかったが、元の本と復刻版のどちらの内容も素晴らしく面白いものだったので、今ではむしろ人より得をしたのではないかと思っている。
その本は私が若い頃に出版されたもので、長らく絶版になっていたが最近になって覆刻されることが決まった。出版された当時に買ったものはすっかりボロボロになっていたので復刻版を一冊買おうと思い、行きつけの書店に行ってみると簡単に手に入ったのだが、家に帰ってそれを読んでみたところ私は仰天した。復刻版の内容が元の本とはかけ離れたものになっていたのだ。もしかして間違えて買ったのかと思ったが、本の題名と作者の名前は一致している。知り合いに私と同じように若い頃その本を買い、復刻版も買った男がいたので、彼に復刻版が元の本とは完全に違う内容に変わっていないかと聞いてみたところ、
「何も変わってないだろう。今読んでも全く魅力が色褪せていない素晴らしい内容だ」
という返事だった。最初は釈然としなかったが、元の本と復刻版のどちらの内容も素晴らしく面白いものだったので、今ではむしろ人より得をしたのではないかと思っている。
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