2024年11月23日
新たに始まった「OBD車検」とは?
「OBD車検」とは、車の車検(定期点検整備)で**車両診断用の自己診断機能(OBD: On-Board Diagnostics)を活用する新しい検査方式**のことです。これは、日本において2024年10月から正式に導入され、従来の車検における排気ガス検査などを一部代替するものです。
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### **OBD車検の特徴**
1. **OBDシステムの活用**
近年の自動車には、故障や異常を検知するためのOBDシステムが標準搭載されています。OBD車検では、このシステムを使い、車両の電子制御装置に記録されたデータをチェックします。これにより、以下のような項目が確認されます:
- 排出ガスの制御装置の正常性
- エンジンやセンサーの異常
- 走行安全に関わる電子制御の状態
2. **排気ガス検査の簡略化**
OBDシステムが正常である場合、従来必要だった物理的な排気ガス測定が不要になるケースがあります。ただし、データに異常がある場合や特定の条件を満たさない場合は、従来通りの測定が必要となることもあります。
3. **環境性能と整備管理の向上**
OBD車検は、車の環境性能の向上を目的としています。異常を早期に発見できるため、未整備のまま運行されるリスクが減り、環境負荷の低減や安全性の向上につながります。
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### **背景**
- **環境規制の強化**
排出ガスの規制が厳しくなる中で、自動車の環境性能を維持・向上させるための新しいアプローチとして採用されました。
- **整備効率の向上**
従来の物理的な検査よりも効率的で、診断の精度も高いことが特徴です。また、自動車の電子制御化が進む中、電子データを用いた検査の必要性が増しています。
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### **対象車両**
- 2024年10月以降の新しい車検では、**平成21年(2009年)以降に製造されたガソリン車やハイブリッド車**が対象です。これは、これらの車両に高い精度のOBDシステムが搭載されているためです。
- 古い車両やディーゼル車については従来の方式が適用されます。
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### **メリットと注意点**
**メリット**
- 環境保護:排出ガスの異常を早期発見し、環境への影響を軽減。
- 整備の簡便化:OBDシステムを用いることで迅速かつ的確な検査が可能。
- ユーザーの負担軽減:異常がなければ物理的な検査が省略されるため、時間と費用が節約される可能性がある。
**注意点**
- 整備不良の車両は異常が記録されるため、早めの点検や整備が必要。
- 車両のソフトウェアや電子システムのアップデートが求められることもある。
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**まとめ**
「OBD車検」は、車両の診断技術を活用し、安全性や環境性能を高める次世代型の車検方式です。従来の検査からの移行期には多少の混乱が予想されますが、効率的で持続可能な車両管理が期待されています。