2018年02月06日
ソーシャルレンディングの仕組みが変わる:ファンド預かり金の2週間ルールについて
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重要な情報です
けにごろう氏のブログに、重要かつ貴重な情報が掲載されていました。
・「ファンド運用資金の2週間規制」が始まる
(けにごろうのはじめてのソーシャルレンディング日記)
ソーシャルレンディングの仕組みを大きく変える内容ですので、許可をいただいて当ブログにおいても
この話題を取り上げたいと思います。
今回予定されている指導内容は以下の通りです(けにごろう氏の記事より転載させていただきました)。
@投資前のデポジット金
⇒ファンドを特定する前に投資資金を預かることは禁止
A償還・分配後の資金
⇒ファンド運用終了後においては、2週間以内に償還金・分配金を投資家の銀行口座へ送金すること
※2週間以内に、投資家が再投資先を特定し、再投資した場合を除く
この件に関して想定される影響と、私自身の意見を紹介したいと思います。
なお、上記記事にて紹介されていましたが、この指導の元は「東京財務事務所理財第7課」とのこと。
こちらのページを見ますと、第7課の監督対象は
「第二種金融商品取引業者、第二種少額電子募集取扱業者を含む、適格機関投資家等特例業務届出者」
となっています。
従って、第一種を持っている事業者(クラウドバンク等)や、そもそもソーシャルレンディングではなく
預かり金という概念のない事業者は、今回の指導対象に含まれない事になります。
想定される影響
この指導の結果、想定される影響を考えてみます。
@投資家側面
・「入金したが投資できず、引き出すにも手数料が必要」という困った状況は解消
→特にオーナーズブックが影響大。
サーバレースになりやすいのは他にSBI SLとラッキーバンクがあるが、SBI SLはそもそも預かり金
自体がなく、ラッキーバンクは出金手数料が無料のため。
・SBI SL以外でサーバレースが激化する
→特にオーナーズブックとラッキーバンク。他にもサーバレースが常態化する事業者が出てくるかも。
預かり金がなくても出資申し込みができてしまうため、参加者の増加が見込まれる。
結果として、サーバレースの激化が予想される(SBI SLは現状の混み具合が継続すると予想)
・特に少額投資家にとっては、資金効率が悪化する
→投資資金が少額の場合、相対的に銀行振込手数料が占める割合が高くなり、投資効率が悪化。
特に少額かつ事業者を分散している場合、この影響が顕著になる。
投資家側としては、投資効率の改善のため振込手数料の無料数を多く確保することが必要となる。
(参考:私の場合は住信SBIで月7回、楽天銀行で月5回、大和ネクストで月3回確保しています)
A事業者側面
・手続き変更による影響
これまでのデポジット→案件選択→出資決定の場合と比べ、出資申し込み→振込→出資決定の場合は
出資決定するために外部データ(銀行への振り込み事実)を確認する必要が発生する。
これを人手で行う場合は管理工数が増加、自動で行う場合にはシステム改修費用が発生する。
・手数料の問題
現時点で引き出し手数料が有料の業者の場合、無料化すれば当然その分の費用が発生する。
(分配金から手数料が引かれるのはさすがに投資家が嫌気するので、おそらく無料化すると予想)
結果、事業者の負担は増し、その分が投資案件の条件改悪に繋がる事が懸念される。
・事業者の優勝劣敗が加速
→人気のある案件に申し込みが殺到する事が予想され、「預かり金があるから投資しておこう」という
惰性による投資が減少すると見込まれる。
特に、相対的に実績の乏しい業者は、キャンペーンなどによる販促の必要性が高まる。
Bその他、不明な点、気になる点
・滞留資金は2週間以内なら再投資に回せるが、「再投資専用ファンド」のような物は登場するのか?
事業者側にとっては資金を滞留させておきたいはずだが、同時に新規の出資も欲しいところ。
いずれにせよシステム改修が必要になりそう。
・第一種業者(クラウドバンクなど)は預かり金口座を維持するのか?
それとも、ソーシャルレンディング全体の流れに沿って、他事業者と同様の対応を取るのか?
Cまとめ
平たく言うと今回の指導、誰も得をしません。
それどころか、三方一両損みたいな事態となることが予想されます。
感想
このような指導が入る事になったのは、第二種金融商品取引業者がデポジットを預かる事ができるという
法的根拠がない、と言う事に立脚しています。
金融庁としては、みんなのクレジット事件などを受けて対策を検討した結果このような指導をすることに
なったのでしょうが、正直言って的外れな指導だと考えます。
無策を指摘されないために何かしなければならない、とは言ってもこれまでの方針を変えると責任問題に
発生するし、面倒な仕事は増やしたくない。
だから、実効性とか影響はさておき楽なところを攻めた、と解釈されても仕方ないでしょう。
少なくともお題目が投資家保護であるのなら、そちらに立脚した指導内容とすべきではないでしょうか。
預かり金口座を一律に禁止するのではなく、預かり金口座を置く場合は事業者と資本関係にない保証会社で
保全する、と言うような方法もあるかと思います。
貸付先の匿名化廃止は一度決まった事だけに撤回は難しいかもしれませんが、他にも方法はあります。
・ソーシャルレンディング事業者は経営母体や資本関係を明示する事
・貸付先の財務情報の概略を明示する事
こういった事を、第二種金融商品取引業協会と歩調を合わせて考え、パブリックコメントも参考にしつつ
改善に向けてあるべき姿を探り、効果的な指導を行うのが役人本来の仕事のはずです。
まあ、多分仕事が増えるのでやりたくないのでしょうが。
解決案(冗談ですよ?)
以下、この問題を解決するための私案を、冗談で考えました。
なお、関連法規制を網羅して言っているわけではありませんので、もしも的外れな事を言っておりましたら
指摘いただければ嬉しいです。お叱りでもいいですが、お手柔らかにお願いします。
・「滞留資金専用ファンド」案
「滞留資金は2週間以上置いておけない」「ファンドを特定しない預かり金は禁止」を逆に言えば、
「特定のファンドに置いておくならOK」という事だと思います。
証券会社におけるMRFのように、従来で言う預かり金専用の貸付ファンドを作るのはどうでしょうか。
例:利率年0.1%、貸付期間は1日(自動更新)、償還元利はこのファンドに自動繰入。
貸付先は匿名化しないといけないので、SL事業者でペーパーカンパニーを用意。
貸付額が大きく変動することから担保は設定できないと思われるため、SL事業者、もしくは
経営母体による連帯保証を設定する。
貸付期間1日なので、毎日引き出しが可能。
投資家はあらかじめファンドを選んで出資を申し込み、このファンドから資金を出す。
(もちろん、資金を銀行口座に引き出すのもここから)。
要は預かり金口座の名前を変えただけのもの。
なんて言いますか、アイディアの時点で金融庁から胸ぐら掴まれそうですが。
いずれにせよ、各事業者がこの指導を受け、どのように対応するのかは興味があります。
その方法が指導内容に沿い、かつ、ソーシャルレンディング発展に水を差さないような明暗であることを
期待したいと思います。
あと個人的には、maneoファミリーはもういっそのことファミリー全体で第一種を取り、預かり金口座を
正々堂々と作ってしまえばいいと思います。
(他はともかく、maneoファミリーくらいならできそうだと思うのですが)
ランキングに参加しています。
リンク先には同じ話題を取り扱うブログが沢山あります。こちらもいかがでしょうか。
posted by SALLOW at 10:30
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コメントありがとうございます。
ハレルヤ様の意見とは異なる個人的な意見となりますが、手数料を有料のままバッチ処理をするというのはやはり悪手だと思うのです。
現時点では投資単位が1万円という業者が多いので、例え再投資したところで端数の金額が残り、それが2週間経って強制出金される事になると、結果として毎月手数料を払うという事になります。
そうなれば当然不満の声は上がりますし、何より風評被害が大きくなります。
投資委金額を1円単位にするにはシステム改修が必要と思いますし、端数計算の都合上どうしても1円単位での投資ができないこともあるでしょう。
さらに、端数の金額が出金手数料を下回ったら、口座金額をマイナスにするのかという問題も発生します。
未確認情報ですが、maneoの瀧本社長は本指導内容に怒りをあらわにしていた、という噂も聞いていますので、maneoとしても望ましくない指導であり、かつ素直に言う事を聞くということは今のところなさそうです。
いずれにせよ、現時点で決定していることは何もなく、まずは金融庁が(軽くない)ジャブを放ってきたということではないでしょうか。
なお、これは完全な当てずっぽうですが、既存銀行からの圧力はあまりないと思うのです。それよりも無策を指摘されない+自分たちの仕事を増やさない方法を選んだように思います。
もし私に金融庁の知り合いがいたら、「この指導内容でみんクレ事件は未然防止できると思ってる?」と聞きたいところですね。
この内容であれば、預託口座を残しつつ利金毎月分配を元利金一括償還に変更するだけで解決するように感じます。
分配日は月1と決まっているので、2週間再投資しないと手数料もそのままで強制出金というバッチ処理というシステム変更で落ち着くように思います。マネオグループでは案件数が大量なので強制出金も原理上ないでしょう。
今後は投資効率を上げるために再投資せざるを得ない状況になるので、マネオは小口投資家を切り分けるステータス制度がこれから真打ちを発揮すると思います。
優良案件やおいしい案件はブロンズ以上が常態化し、小口投資家が少額資金を出し合い余りを埋める型を予想しています。
当然、事業者により再投資案件がない場合もあるでしょうが手数料は客負担のままという営業の跳ね返りが少ない方法になるのかなと。
役人は自分達の監督業務を減らすばかりで、見当違いの指導で必要な指導はしないですね。本業の銀行業界団体の圧力でもあるのでしょうかね…
こちらこそ、お世話になっております。
早速の調査と情報提供、誠にありがとうございます。
問いあわせれば良いと思いつつ、どうにも不精が治りません。困ったものです。
クラウドバンクは営業戦略的に、第一種の強みを生かす事にしたということでしょうか。
第二種協会での内部ルール(貸付先が資本関係にある場合にそれを明記する、など)に沿う形の対応をしていただけに、もしかしたら今回も第二種に倣うのかもしれない、と思っていました。
個人的に、クラウドバンクの評価が少し上がっています。後は経営母体の赤字が解消されれば、自信を持って余所様に推奨できるSL事業者となりますので、期待したいところです。
maneoの対応については、私も興味深く思っています。
案件複数化を実質形骸化した実績を持つ瀧本社長ですし、maneoとしても今回の指導は自らの利害と相反するところが多いと思いますので、どうやって対応するか楽しみです。
>・第一種業者(クラウドバンクなど)は預かり金口座を維持するのか?
> それとも、ソーシャルレンディング全体の流れに沿って、他事業者と同様の対応を取るのか?
先日、クラウドバンクに問い合わせをして、以下の回答をいただきましたので、情報を共有したいと思います。
「弊社は証券会社ですので、証券取引に係る預り金につきましては信託保全しておりますが、クラウドファンディングに係る預り金につきましては、現在は金融商品取引業等に関する内閣府令第125条の規定に基づき、銀行への預金による分別管理を行っております。
今後、金融庁等の指導により、当該規定による分別管理が困難となった場合には、証券取引に係る預り金と同様に信託保全での分別管理を検討しておりますので、現在と同様にクラウドファンディング口座にてご資金をお預かりできるものと、現時点では考えております。」
ここでも、クラウドバンクは、第一種(証券会社)の強みを発揮しそうですね。
maneoの出方は興味深いですね。
やり手の瀧本社長のことですから、投資家目線に立ったあっと驚くような対応を期待したいです。
コメントありがとうございます。
そうでした。出金額があまりに少額の場合はマイナスなんていう可能性もありましたね・・・。
そうなったらさすがにクレームどころでは済まないでしょうし、下でyos様もおっしゃっているように手数料は無料にしつつも理利率などを調整するのではないかと思います。
要は利率が少し下がるということになるのではないかと。
申し出をいただきました件、承知いたしました。
私の大まかな結論としては、sanpuu様がおっしゃっている通り「一喜一憂しても仕方ない」で、対策と言えるほど対策を取っているわけではありません。
(そもそも、仮想通貨はともかく株価については、ここのところの上がりすぎが一服したくらいかな? とも思っています)
現在の相場についてどのようなスタンスと考えでSL投資を行っているのか、について、少し自分語りも入ってしまうかも知れませんが、記事にさせていただきたいと思います。
アイディアをありがとうございます。
いつも有益な記事のご提供有難うございます。
私も強制出金にかかる振込手数料は業者持ちにならないと
納得のいかない出資者で溢れかえると思います。(下手するとマイナスにもなりかねません。)
何か良い対案を期待したいところです。
貴ブログで、SLの良いところに株式や為替と違い、価格の水準に一喜一憂しなくてすむ
というのを挙げられていたと思います、私も全く同感なのですが、
流石に最近の株価の下落や為替変動が出資しているSLの案件の担保への影響等が気になります。
それこそ一喜一憂しても仕方ないのですが、SALLOW様は何か対策をとられますでしょうか?
記事にしていただければ読者にとって大きな指針になると思います。
宜しくお願い致します。
コメントありがとうございます。
はい、おそらく小金部分についても強制的に出金、ということになると思います。SBI SLで今行われている出金方法が全ての事業者に適用される、ということでしょう。
おっしゃる通り、強制出金で手数料をさっ引くのは悪手ですので、各事業者は金利を少し調節するなりして帳尻を合わせると思われます。
お菓子とかで値段を上げず中身を少し削るのと同じ考えですね。
それで手数料を取られたらどうにも参りますね。
まあ見た目は出金手数料無料にして、実際は金利を少し下げることで、会社側は手数料分の帳尻を合わせることもできるでしょうけど。