王舎城の悲劇は、何を教えたものでしょうか。
一言で言えば、真実の自己を教えています。
真実の自己とは、本当の私の姿です。
王舎城の悲劇を通して、自分の姿、
私にもそういうことはないだろうか、
と見ていくことが大事です。
まず登場人物は、
ビンバシャラ王と韋提希夫人です。
王様夫婦で、何不自由のない生活を送っていました。
しかし、ただ一つ悩みがありました。
それは子供がないことです。
それで、二人はどうしたかというと、
占い師のところに行って、占いをしてもらいました。
占い師は何と言ったでしょうか。
「私の見ろところ、奥山で修行している修行者が死ねば、
王様夫婦の子供が産まれることになっています」
「では、その修行者の命はどれだけか」
「あと5年です」
そこで驚いたのは韋提希夫人です。
5年もすれば、子供の産めない身体になります。
「何とか早く生まれる方法はないの?」
占い師はこう言います。
「それはないこともございませんが・・・修行者さえ早く死ねば、
いえいえ私がすすめるのではございません」
韋提希夫人はそれで、殺してしまえと思うようになりました。
ビンバシャラ王は、家臣を呼んで会議を開きました。
家臣は「あと5年待たれては・・・」
そこで出てくるのが韋提希です。
あなた、ちょっとちょっと、と別室に連れていきます。
「あなた、しっかりしてよ。あの者たちの魂胆が分からないの」
「あと5年もすれば、私は子供の産めない身体になってしまう。
あいつらは後釜を狙っているのよ」
そして、ビンバシャラ王を説得します。
私たちの世継ぎの為、みんな喜ぶこと、修行者も喜ぶわ。
そう言いました。
そこで兵士を従えて殺しに行きます。
ビンバシャラ王は、
「今日はお前の為に来てやったのだ」
しかし修行者は、
「はい、では死にます」
とはなりません。
「修行が成就するまでは死にたくありません」
そこでビンバシャラが激怒した。
「わしの命を聞けぬものは、この国では生かしておけんのだ。やれっ」
修行者は惨殺されます。
ビンバシャラ王と韋提希は、一言で言えば権力者です。
力を持つと、人は本性を表します。
このような自分が得するためなら
人はどうなってもかまわないという
自己中心的な心はないでしょうか?
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