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昔は「Trados さん、頑張って!」とお祈りしながら訳文生成していませんでしたか? 今も、たまにそんな気分になるときがあります。Trados って本当にわからないことばかりです。特に、日本語の情報は少ないですよね。いくら翻訳者とはいえ、日本語の情報が欲しいのです。Trados ユーザーの方々といろいろ情報交換できたらと思っています。




2021年04月29日

CAT ツール比較:次の分節に進む

先日、またまた緊急事態宣言が出されてしまいました。去年の宣言のときに、桜は来年も咲く、連休は来年もやってくると言われていたような気がします。もちろん桜は咲いたし、連休もやってきますが、こんな状況とは思っていませんでした。

こんな日々ですが、CAT ツール比較の第 2 弾をしてみたいと思います (第 1 弾は繰り返しの自動入力についてでした)。このところ Trados と Memsource ばかりで memoQ を使う機会がなかったのですが、ようやくその機会が訪れたので、この 3 つのツールを比較してみます。

今回注目するのは「次の分節に進む」機能です。どのツールでも、入力して、次の分節に進んで、入力して、次の分節に進んで、と作業していくわけですが、この「次の分節に進む」という操作がなかなか面倒です。なぜなら、次の分節として期待する分節が状況によって違うからです。まっさらな新規翻訳ならすぐ下の分節が「次の分節」ですが、そんな仕事ばかりではありません。ロックされた分節が交じっていることもあれば、改訂翻訳で半分以上が 100% マッチのこともあります。また、自分でいったん訳してすべての分節を確定した後に、チェック作業としてファイルの先頭から見直していくこともあります。

いろいろな状況があるので、そのときどきに応じて自分で設定を変更する必要があります。ツールごとに細かい機能や名称は異なりますが、何を「次の分節」とするかは、たいてい次のような条件で決まります。

 ・ロック
 ・マッチ率
 ・確定済みかどうか
 ・自分で変更を加えたかどうか

ロックされている分節はスキップしたい、未確定の分節に移動したいなど、1 つの条件で決められることもありますが、複数の条件を組み合わせて考えなければならないこともあります。未確定だけれどもロックされている、100% マッチだけれども手を加えた、99% マッチだけれどもそのまま確定したなどなど、可能性のある組み合わせはさまざまです。

また「次の分節に進む」動作を発生させるタイミングも考えます。普通に翻訳をしているときなら、現在の分節を確定すると同時に次の分節に進むことを期待しますが、翻訳後のチェック時なら、確定しなくても次の分節に移動してくれる方が便利です。この辺りはツールによって考え方が異なり、次の分節に進む動作が確定処理の中に含まれる場合と、「ジャンプ」というような名称の独立した機能が実装されている場合があります。

さらに、フィルターと組み合わせて使うことも考えます。上に挙げた 4 つの条件は、多くの場合フィルターの条件としても使用できます。フィルターをかけて分節を非表示にすることに不都合がなければ、次の分節に進む機能を使うのではなく、フィルターで希望の分節だけを表示するという手もあります。

では、ここから各ツールの設定を見ていきます。まず Trados ですが、これは便利なところと、そうでないところがあります。Memsource は、ほかの機能と同様、ごくシンプルな作りになっています。最も充実しているのが memoQ ですが、これはこれでかなり複雑です。



Trados ― 確定時の動作は便利だが、ジャンプ機能は使いにくい



・確定時の動作: 3 種類の確定操作から毎回選ぶ
・ジャンプ機能: Ctrl+G で設定、Ctrl+J で移動
        Ctrl+下矢印で次の分節に移動、Ctrl+上矢印で前の分節に移動



確定時の動作は、変更はできないが、便利!

Trados では、確定時の動作が下図のように決まっています。何を「次の分節」とするのかをあらかじめ設定しておくのではなく、確定の操作によってその都度移動先を決めます。私はこの方法をとても便利に感じています。これができるのは Trados だけで、ほかの 2 つのツールは、どこに移動するのかをあらかじめ設定しておく必要があり、移動先を確定時にその都度変えることはできません。

77_1.png

1 つ目の「未確定分節」は、ロックされていなくて未確定の分節です。未確定のステータスのままロックされている分節はスキップされます。2 つ目の「次の分節」は、ロックされていない次の分節です。確定済みかどうかにかかわらず、ロックされていない分節に移動します。3 つ目の「次の分節に移動しない」は、そのままの意味で、確定をしてもカーソルが現在の分節にとどまります。

この 3 種類の操作は決められていて、設定で変更することはできません。これ以外の分節に移動したいときは、確定操作ではなく「ジャンプ」機能を使います。


ジャンプ機能は使いにくい

ジャンプ機能は、はっきり言って、使いにくいです。操作方法としては、Ctrl+G で設定画面を表示し、Ctrl+J で次へ次へと進みます。

48_3.PNG

設定画面では、「カテゴリ」と「ステータス」で上記のような設定ができます。ただ、「カテゴリ」と「ステータス」の両方の条件を同時に設定することはできません。また、ここにはロックの条件がないので、ロックされている分節をスキップすることもできません。

さらに、高度な表示フィルタにはある「Interactive」の条件もありません。「Interactive」は、自分が変更を加えた分節を表示できる条件です。これは、厳密に考えるとよくわからない条件なんですが、大まかにいうと、新規で訳文を入力した分節か、メモリからの訳文を編集した分節です。ですので、この条件があれば、100% マッチをそのまま使って自分では手を加えていない分節を除外できます。


「次の分節に移動」と「前の分節に移動」のショートカット キーがある

ジャンプ機能は使いにくいですが、それとは別に分節を移動するショートカット キーが用意されています。Ctrl+下矢印で次の分節に移動、Ctrl+上矢印で前の分節に移動です。実際のショートカット キーの設定は [ファイル] > [オプション] > [ショートカット キー] > [エディタ] で「次の分節に移動」と「前の分節に移動」を確認してください。

このショートカット キーの移動先は、ロックされていなくて未確定の分節です (移動先を設定で変えることはできません)。一番上の分節にカーソルを置いて Ctrl+下矢印を押してもカーソルが動かなければ、すべての分節を確定済みということになります。また、「前の分節に移動」するショートカット キーがあるのは Trados だけです。まあ、確定済みの分節には飛ばないので、あまり使い途はありません。

というわけで、Trados のジャンプ機能はあまり便利ではありませんが、それに変わるショートカット キーは一応用意されています。で、そうしたジャンプ機能を潔く削ってしまっているのが Memsource です。



Memsource ― とってもシンプル



・確定時の動作: あらかじめ設定しておく ([設定] > [CAT] > [セグメントを確定したら、以下へジャンプ])
・ジャンプ機能: なし (Ctrl+G でセグメント番号を指定してジャンプはできる)



確定時の動作を変更できる

Memsource は、Trados と違い、確定する操作は Ctrl+Enter のみです。確定時にその都度移動先を選ぶのではなく、あらかじめどの分節に進むのかを設定しておきます。(ちなみに、Enter キーを単独で押すと、現在の分節は確定せずそのままで、ロックや確定に関係なくすぐ下の分節に移動します。)

77_2.png

 次のセグメント: ロックに関係なく、すぐ下の分節に移動
 次の未確定セグメント: ロックされていなくて、未確定の分節
 次の確定済セグメント: ロックされていなくて、確定済みの分節
 次の前段階のワークフローステップ〜: 前段階の人が確定した分節 (??)

「次」といっても Trados とは条件が微妙に違います。1 つ目のオプションはロックされている分節をスキップしません。2 つ目と 3 つ目のオプションはロックされている分節をスキップします。よく使うのは 2 つ目と 3 つ目のオプションで、翻訳作業時は [次の未確定セグメント] で未確定の分節へと移動し、すべて確定した後のチェック時は [次の確定済セグメント] を使って確定済みの分節に移動していきます。最後の [次の前段階のワークフローステップ〜] は、私はあまり使いませんが、翻訳者とレビュアーが異なる場合に、翻訳者が確定した分節を、レビュアーがチェックするというような用途と思われます。


ジャンプ機能はない

Memsource の場合、確定時の動作以外で次の分節に移動するようなジャンプ機能はありません。かろうじて、[ツール] > [セグメントを指定して移動] という機能はありますが、これはセグメント番号を指定できるだけです。

Memsource は、全体的にそうですが、とてもシンプルです。で、反対にとても複雑なのが memoQ です。



memoQ ― 最も充実しているが、複雑



・確定時の動作: あらかじめ設定しておく
       ([編集] > [次へ移動] > [設定]
        > [次のセグメントへ移動] > [自動でジャンプ] > [確定後自動的に次へ進む] )
・ジャンプ機能: [編集] > [次へ移動]、[設定]



確定時の動作は、ジャンプ機能の一部として設定

memoQ は、Memsource とは対照的に、ジャンプ機能がとても充実しています。確定時の動作もジャンプ機能の一部として設定します。

77_6.png

[編集] > [次へ移動] > [設定] で上図のような設定画面を表示します。ここで、[自動でジャンプ] の [確定後自動的に次へ進む] チェックボックスをオンにすると、確定時に自動的に次の分節に進みます。「次の分節」をどこにするかは、この [一般的なフィルタ] タブと、[状況]、[変更と競合]、[コメントとタグ] の各タブで設定します。


ジャンプ機能には適切な設定が必要

おそらく、きちんと設定を理解して使えば、相当に複雑なファイルでも希望どおりの動きを実現できると思います。設定を確定するボタンも、[OK] ボタンと [記憶する] ボタンの 2 種類が 4 つのタブすべてに配置されています。2 種類のボタンがあることによって、普段はこういう動作だけど、今回だけはこう動作して、という設定ができるのだと思いますが、すみません、正直にいってよくわかりません。私はもっぱら [記憶する] ボタンを使っています。

[状況] タブでは、ロックされていなくて未確定の分節を設定できます。適切な [行の状況] と [ロック解除されている行のみ] を選択します。

77_4.png


[変更と競合] タブでは、自分が変更を加えたかどうかを条件にできます。[挿入されたマッチが編集されています] チェックボックスをオンにすると、メモリからの訳文に編集を行った分節にジャンプします。

77_5.png



ツールの比較は以上です。最後に、ここまで長々と書いておいて今さらですが、私は、ツールの「次の分節に進む」機能に頼りすぎないようにしています。100% マッチとはいっても、どのメモリとのマッチなのかわからないですし、変更を加えたかどうかも、どの時点からの変更なのかがツールの想定と自分の想定とで違うかもしれません。自分で設定をするときは、間違っても必要な分節をスキップしてしまうことがないように、どちらかといえば多くの分節がヒットしてくる安全な設定を使うようにしています。

CAT ツールは、全般的に、上から順に 1 回で訳文を確定することを前提とした作りになっていると思います。しかし実際の作業では、現在の分節を確定した後に数行前の分節に戻ったり、最後まで確定した後に最初から見直したり、自分で独自に使っているメモリがあったり、何か失敗してメモリを当て直したり、といろいろなことをしています。順番が前後することもあれば、何回も書き直すこともありますが、そうした操作は CAT ツールにとっては想定外のものだと考えておくのが安全かもしれないです。ああ、ホントに CAT ツール面倒だわ(;。;)





  




2021年04月08日

同時に複数の画面を開く

先日アップグレードした Trados 2021 は、まあまあ順調に動いているので、今回こそは、その前の記事で予告していた内容を取り上げたいと思います。

Trados の画面は同時に複数開くことができます。これって常識ですか? 私は以前にうっかり開いてしまったことがあり、かなり驚きました。IT のマニュアル風に言えば「1 つまたは複数のインスタンスを同時に実行できる」となりますが、平たく言えば、何かの作業中にもう 1 つ Trados を立ち上げて別の作業をできるということです。

複数立ち上げて別の作業をできると言えば聞こえはいいですが、それは同じファイルを複数の画面で開けてしまうということでもあります。開くときに何の警告もありません。ちょっと恐ろしいです。今回は、いくつか便利な活用方法を紹介しますが、くれぐれも、同じファイルを同時に開くことがないように注意してください。画面は複数でも、翻訳ファイルもメモリも用語集も当然ながら実体は 1 つです。十分注意してご使用ください。


メモリのアップグレード


Trados 2017 以降、しばしばメモリのアップグレードを求められるようになりました。翻訳会社さんからパッケージを受け取ったときもアップグレードが必要になることがあります。警告マークが表示されるので、ついついすぐにボタンをクリックしてしまいますが、アップグレードは、メモリの大きさによっては、相当な時間がかかります。


77_1.png


よく考えずクリックしてから、進行状況バーを見て、あぁ、しまったぁと思うことがよくあります。そんなときは、その画面はそのままにして、もう 1 つ別に Trados を起動します。これで、メモリをアップグレード中でも他の作業を進められます。

アップグレード中は、メモリのファイルが書き換えられている可能性があるのでそのメモリにアクセスするような作業はしないようにします。パッケージを受け取ったばかりだったら、メモリのアップグレードをしている間に、用語集を確認したり翻訳ファイルがそろっているかを確認したりします。もちろん、他のプロジェクトの作業を進めることもできます。


サーバー メモリの参照


最近、サーバー メモリを使う案件が増えてきましたが、サーバー メモリは扱いに少々困ります。Trados のエディタはメモリの検索機能がとても貧弱なため、私はメモリの検索に Xbench を使っています。sdltm ファイルを SDLTMExport アプリで tmx ファイルに変換し、それを Xbench に取り込みます (この辺りの手順は、また別の機会に説明したいと思います)。しかし、サーバー メモリはファイルとしてダウンロードすることができないので、Xbench での参照ができません。


77_2.png


そこで仕方なく使うのが Trados の [翻訳メモリ] ウィンドウです。ここでは、サーバー メモリでもローカル メモリと同じように検索を行うことができます。翻訳作業中に [エディタ] と [翻訳メモリ] のウィンドウを切り替えるのは面倒ですので、エディタで翻訳ファイルの作業をしつつ、もう 1 つ Trados を立ち上げ、そこで [翻訳メモリ] ウィンドウを開きます。1 つの画面内で切り替えをするより、複数画面を開いた方が便利です。

とはいっても、[翻訳メモリ] ウィンドウでは、1 つのメモリしか検索できないうえ、検索する語句の入力も面倒です。Xbench の便利さには到底及びません。Trados さん、エディタのメモリ検索機能、もう少しなんとかならないですかねぇ。



ファイルのエクスポート


私は、翻訳ファイルのバックアップを取っておくために一括処理の [ファイルのエクスポート] をよく使います。ただ、この処理を行うにはエディタ上のファイルをいったん閉じる必要があり、作業の真っ最中のときなどは面倒に感じる場合もあります。


77_3.png


そんなときは、エディタを開いて作業している画面とは別にもう 1 つ Trados を立ち上げ、そこにファイル一覧を表示しておきます。こうすることで、エディタ上のファイルは開いたまま、もう 1 つの Trados の方でファイルをエクスポートできます。

この方法は、かなり便利ですが、注意もかなり必要です。 ファイル一覧を表示していると、ついそこからファイルをエディタに開いてしまいそうになります。もし開いてしまうと、2 つの Trados で同じファイルを開くことになるので、とても危険な状態になります。くれぐれも、一方の Trados ではエクスポートを行うだけにし、ファイルを開くことがないように注意してください。


[ファイルのエクスポート] という一括処理はとても便利ですので、ここで少し説明しておきます。この一括処理では、バイリンガル ファイル (.sdlxliff ファイル) と訳文生成したファイルのどちらでもエクスポートでき、さらにエクスポート先を指定することが可能です。実は、バイリンガル ファイルのエクスポートや訳文生成を行う機能は Trados ではいくつか用意されています。その中でも [ファイルのエクスポート] は細かい点でとても便利です。

たとえば、バイリンガル ファイルのエクスポートには、[ファイル] > [高度な保存] > [コピーを別名で保存] も使用できます。しかしこちらは、エディタに開いているファイルをすべて保存しようとします。1 つのファイルを開いているときはどちらの機能を使ってもあまり変わりませんが、たくさんのファイルを開いているときは、[コピーを別名で保存] を使うとすべてのファイルにダイアログボックスが表示されてきます。

また、訳文生成には、当然ながら、一括処理の [訳文の生成] も使用できます。ただ、この機能では訳文をどこに保存するかを指定できず、訳文ファイルは必ずプロジェクトの訳文フォルダー内に生成されます。このため、別の場所に訳文を保存したいときは [ファイルのエクスポート] を使います。(ただし、2 つの機能で生成される訳文が完全に同じかどうかは、わかりません。ちょっと、検証が必要な気もしています。)


今回は以上です。私は意図せず Trados の画面を複数開いてしまったときはちょっと焦りましたが、気を付けてさえいれば複数の画面はとても便利です。何度も言いますが、くれぐれも同じファイルを開かないようにお気を付けください。




  


2021年03月19日

Trados Studio 2021 にアップグレードしました

昨年にライセンスを購入していた SDL Trados Studio 2021 ですが、ようやくアップグレードしました。前回の記事では、次回の記事の内容として他のことを予告していたのですが、すみません、今回は 2021 の紹介とさせてください。予告していた内容は、次回に書きたいと思います。

さて、SDL Trados Studio 2021 はもう SR1 が出ているので、現在のバージョンは以下のとおりです。


76_2b.png


実際に使ってみた感想としては、2019 とほとんど変わらない、というのが一番の印象です。ただ、全体的に少し動きが速くなっているかもしれないです。はっきりとはわからないですが、2019 では upLIFT Match Repair (一致の修正) の動作があまりに遅く、いつもこの機能をオフにしていましたが、2021 ではとりあえずオンにしたまま使えています。この機能は、タグの挿入などにも機能が拡張されているはずなので、しばらくオンにして使ってみようと思っています。この他にも、もちろん、いくつか良くなっているところはあるので紹介したいと思います。


アプリおよびプラグインが統合されました


Trados の大きな強みはアプリやプラグインが豊富にあることなのですが、これの扱いが今までは面倒でした。2021 では、Trados 内から直接インストールできるようになっています。これまでのように、自分で SDL のウェブサイトにアクセスする必要はありません。

[ようこそ] 画面の左側のサイドメニューから [SDL AppStore] をクリックすると、下図のような画面が表示されます。これは、既にいくつかのプラグインをインストールした状態です。


76_9.png


わざわざ SDL のウェブサイトに行かなくても、この画面からインストールできます。さらに、インストール後に更新がある場合は、Trados 本体の更新と同じように、オレンジ色のマークで通知がされます。かなり、便利です。

ここからインストールできるものは、厳密には 2 種類に分かれます。Trados 本体の外で独立して実行される「アプリ」と、Trados 本体の中に組み込まれて実行される「プラグイン」です。たとえば、以前から何回か紹介している Glossary Converter はアプリです。一方、上図のスクリーンショットに表示されているものはすべてプラグインです。アプリまたはプラグインをインストールすると以下のようなメッセージが表示されます。上段はアプリの場合のメッセージ、下段はプラグインの場合のメッセージです。アプリは、いったん Trados から離れてインストールを行う必要がありますが、それでも、以前より便利です。


76_7.png


上図のメッセージにあるように、プラグインをインストールしたら Trados を再起動する必要があります。1 つずつ再起動しなくても、いくつかインストールした後にまとめて再起動で大丈夫そうです。で、再起動しようとしたら、以下のような微妙なダイアログボックスが表示されてきました。[再開] ボタンは「再起動」の意味だと思いますが、3 秒くらい悩みました。


76_8.png



ファイル名を指定できるようになりました


実は、Trados では今まで、特定のプロジェクト内でファイル名を入力してファイルを開くことができませんでした。エディタとしてごく基本的な機能のはずですが、できませんでした。


76_3.png


2021 では、上図のように、[ファイル] 画面に [ファイル名] という入力ボックスが表示されてきます。ここにファイル名を入力すると、そのファイルを開くことができます。ただ、UI の文言にあるように、この機能は「フィルタ」の一種なので、通常の「ファイルを開く」ダイアログボックスなどとは少し動作が違います。それでも「ファイル名を指定する」という機能としては十分です。

今まで、たとえば Excel のワークシートにファイル名の一覧があって、そこから 1 つのファイルを開きたいときなど、ファイル名をコピペできず、本当に面倒でした。これで、ファイル名をコピペしてファイルを開くことができます。ああ、なんてすばらしい。

  

高度な表示フィルタ 2.0


高度な表示フィルタ 2.0 は 2021 の目玉機能です (たぶん、目立った追加機能はこれくらいしかありません)。2019 では「Community Advanced Display Filter」というプラグインでしたが、これが 2021 では「高度な表示フィルタ 2.0」として本体に組み込まれました。しかも、日本語化されています。

76_4.png

繰り返しの [固有の出現] もちゃんとあります。「固有の出現」という日本語はよくわからないですが、元の英語は「Unique Occurrences」です。これは、すべての分節を 1 回だけ表示してくれる機能です。つまり、繰り返しでない普通の分節はそのまま表示し、繰り返しの分節は初出のみを表示します。(詳しくは、以前の記事「■プラグイン■ フィルタで繰り返しを除外する」を参照してください。)


76_5.png


右クリックのメニューも日本語化されていました。こちらの動作については、以前の記事「さらに高度な表示フィルタが便利!」を参照してください。



SDL Trados Live


2021 で忘れてはいけない目玉機能がもう 1 つありました。SDL Trados Live です。が、私はまだ使っていません。SDL Trados Live は 1 年間無料ですが、この無料期間はライセンスをアップグレードしたときから始まるそうなので、なるべく早めに試してみたいと思います。



不具合?? QA Checker の単語リスト


QA Checker の単語リストの登録ができない場合がありました。ただ、できる場合もあったので、今後、要調査です。今回、登録できなかったのは、古いバージョンの設定ファイルをインポートして既にたくさんの単語が登録してある状態で、新たに単語を追加しようとしたときでした。[OK] ボタンが押せず、[キャンセル] ボタンを押して画面を閉じるしかありませんでした。当然、[キャンセル] ボタンを押しているので、単語は登録されません。設定ファイルをインポートしたことが原因でしょうか。よくわからないですが、また後で少し確認したいと思います。



今回は以上です。アップグレードしてから 3 日間作業しましたが、その間、1 回だけエディタが強制終了しました。これは、どうなんでしょう。今までの私の経験からすると、わりといい方なんじゃないかと思っています (^_^;)