職員室前に昨年春の大学合格者が掲示されている。
彼等の名前を見ていると、今や、非常に懐かしさを感じる。
「みんな元気にやっているかな…。」
と、しばし立ち止まる…。
懐かしいな…。
私はめっきり歳を取ったようだ。
彼等との楽しい学校生活が、少しずつ蘇ってくる。
「どうか高校を卒業するときは、静かに消えるようにいなくなってくれ。淋しくて泣いちゃうから…。」
そう言って卒業させた学年。
私は、努めて距離をとり、情が移らないように、わざと疎遠にして、卒業式を迎える。
そうしなければ、悲しくてやっていられない。
大学合格者の中には、浪人生もいる。
今が正念場なのだろう。
私はじっと「吉報」を待つしか、すべはないのだ。
私の学校では、系列大学に進学が決まっても、さらに他の大学を受かって卒業することを求めている。
最後の恩返しとして、合格実績を作れ、ということだ。
来月の高3卒業式が終わると、これらはこの春の合格者に張り替えられる。
来年の今ごろ、私はまた、彼等の雄姿を見て、物思いにふけるのだろうか…。
こんなふうに学校の時間は流れていく。