2021年11月13日

父の思い出 その3

母方の祖母の葬儀の時、火葬を待つ間、親戚が一堂に会した。
その時私は、父の隣に座っていた。

父の手は、すでに皺だらけの老人の手になっていた。

今、私の手も、当時の父の手に近づきつつある。

人生の苦労が手に現れている気がした。
この頃には、父とは普通に会話ができるようになってはいたが、お互い遠慮していることには変わりなかったと思う。

生前、元気だった頃の父は、早朝から犬の散歩をしていた。
一時間以上もの間、毎日何キロも歩いていたようだ。

今、私は毎朝、暗闇の中で犬の散歩をしている。

「なんだ、結局同じじゃないか…。」
と、時々思う。

父のように酒を飲んで暴れることはないが、すぐにキレてしまう性格は、なかなか直すのに時間がかかった。
好きなことに没頭するのは、父親譲りなのだろう。

私は、この父のもとで育ち、たくさんの学びを得たように思う。

言葉の調律、心のコントロール…。
家族のために全力で働く姿勢。
家族関係のあり方。

もしかしたら、私にとっては反面教師になる部分が多かったかも知れないが、そのお陰で今の私があるのだ。

父の逝去後、私は何度か父と話をした。

「もう、還らなきゃいけないのか?」
精進落としで父はそう呟いた。

その後、父は迎えが来てあの世に旅立っていったようだ。

父さん、ありがとう…。
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