バス内では飲食禁止はもちろん、話をすることすら制限された。
今年は「おやつのない遠足」であり、「バスレク」もない。
バス内では、ひそひそ声は聞こえるが、運転席から流れる音楽ばかりが響く。
それでも久しぶりの外出に、彼等は大喜びである。
昼食時、他校の団体と一緒になった。
コロナ感染が少し収まりを見せている昨今、この時期に遠足をする学校は多いのだろう。
観光地に行った他の学年も、昼食場所に苦労したとのことだ。
どこの学校の生徒も、遠足を楽しみにしていたようだ。
近隣では折しも紅葉シーズン。
赤や黄色の木々たちが、楽しさにさらに彩りを添える。
…そう思うのは、年寄りばかりかも知れないが、やはり青空と紅葉の対比は美しい…。
体力の落ちている私は、最後の見学地の頃には、足が痛くなってきた。
疲れもピークに達し、一人、まどろみに浸っている時間もあった。
熱帯の魚を展示している水族館は、温室のようだった。
その温度差も、疲れを一層引き立ててのかも知れない。
先ほどの極寒が嘘のようだ。
南米の大きな川魚が、大水槽の中を回遊している。
今回の遠足も、私は撮影係。
彼等生徒達の生き生きとした一瞬を切りとることができたかな?
彼等は中1。卒業時には高3だ。
今の姿は、今だけの宝物。
その姿を残し、いい思い出として残してあげるのも、私たちの仕事の一つだろう。
「この写真、保護者も欲しいだろうな…」、と思いつつ、私はほくそ笑む。
