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2019年06月01日

犬のしつけ

私の元に来た柴犬は、人が見ている前では餌を食べない。
「人間の食べ物は食べてはいけないし、欲しがってもいけない」、としつけられているからだ。
だから目の前に餌を出しても、人がいなくなるまでは食べない。
もし、餌のそばに赤ん坊が近づいても、犬は餌から離れると言う。
人間が主人で、犬である自分は従なる存在だと思っている訳だ。

もちろん吠えることもなければ、噛むこともしない。
散歩でも、リードを緩めた時以外は、私と一緒に歩く。

「ずいぶん従順な犬だな…。」
と、思う一方で、果たして自分自身、
「いつかはこんな風にしつけられるのだろうか。」
とも思う。

私の生活も一変した。
毎朝五時前に起きて、隠れ家へ行く。
犬は私の来るのをちゃんと待っており、すぐに散歩に出かける。
小一時間の散歩の後、再び家に戻り、出勤準備をする。

日中、出かけることがあれば、隠れ家に顔を出せるが、普段は部活前か後に、隠れ家を訪ねる。
そのまま練習に連れて行くこともあれば、すべて終わってから散歩を楽しむこともある。

「丹澤先生、犬を飼い始めたんですか?」
と生徒に尋ねられ、
「犬は、裏切らないからね…。」
と、答えてみたが、果たして生徒に裏切られたことが、教員人生であっただろうか。

いい意味で、裏切られ、活躍している卒業生も多いのは事実だが…。

犬を迎えてから、まもなく一週間。
もう少し環境に慣れるまで時間がかかりそうだが、生徒だって、一週間で打ち解けることは珍しかろうし、大人だって同じだ。

犬舎から譲ってもらった犬だが、
「人によっては、犬に三種類くらいの名前をつけている人もいるんですよが。」
と、教えられた。

褒めてやるときや餌をやるなど、犬にとっていいことがある名前、子供が遊ぶときの名前、それから登録名だ。

「叱るときは決して餌をやるときの名前を呼ばないようにしてください。」
とも注意された。

動物を育てる中に、何だか教育に生かせるヒントがたくさんあるようにも思えるのは面白い。








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