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2018年12月10日
答案返却日
今日は答案返却日。一日中、答案を返却するための授業が行われた。
6時間授業なので、授業で返却できる教科は6つ。授業コマが入らない技能教科系は、SHRで担任より返却される。
期末考査が終わり、「今日で一気に返却して、先生方の成績報告を受け、一気に成績処理に突入」するのである。素点は校務ソフトに入力し、素点の個人成績表を印刷し、生徒にもう一度確認してもらう。そのあと、総合成績の算出に入る。
だから、私の授業中に、
「この時間内しか、採点間違いは受けつけません。」
などと、傲慢なことを言って、生徒にやり直しや再確認を促す。
幸い私のクラスでは、点数が下がる場合でも正直に点数を修正に来る生徒が多い。
ほとんどの先生は、上からの指示により、答案をPDFで保管している。
だから、不正があれば、証拠が残っている訳で、これがある程度の抑止力になっているのかも知れない。
だが、こうしたことがなくても、正々堂々とできる生徒を育てたいものだ。
点数に執着している生徒は、私が説明している最中に、
「僕の順位どれくらいですか?」
などと発言する。
そのたびに、私から注意を受ける。
あるいは、
「部分点もらえませんか?」
などと、いやらしく食い下がる生徒もいる。
どちらもも持って生まれた性格というか、私ごときの注意では、そうそう改善されるものではない。
慎ましやかに、じっと点数を見つめ、悔しさを胸に秘めながら、じっくりとやり直しをして、
「次は絶対に間違えないぞ!」
とばかり、真剣に解き直ししている生徒の方を、どうしても応援したくなる。
ただ、社会に出たら、自己主張をしてすぐに行動するタイプの方が、出世できたり、給料が高くなるようだ。
教師は、自分の好みの生徒になるように育ててはいけない。
夕方遅く、一番成績が悪かった生徒がぽつりと言う。
「先生、勉強、足りなかったですね…。ダメダメでした。」
私が何か語るい及ばず、彼は自分自身で分かったいるのだ。
きっと新たな一歩を踏み出してくれるだろう。
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6時間授業なので、授業で返却できる教科は6つ。授業コマが入らない技能教科系は、SHRで担任より返却される。
期末考査が終わり、「今日で一気に返却して、先生方の成績報告を受け、一気に成績処理に突入」するのである。素点は校務ソフトに入力し、素点の個人成績表を印刷し、生徒にもう一度確認してもらう。そのあと、総合成績の算出に入る。
だから、私の授業中に、
「この時間内しか、採点間違いは受けつけません。」
などと、傲慢なことを言って、生徒にやり直しや再確認を促す。
幸い私のクラスでは、点数が下がる場合でも正直に点数を修正に来る生徒が多い。
ほとんどの先生は、上からの指示により、答案をPDFで保管している。
だから、不正があれば、証拠が残っている訳で、これがある程度の抑止力になっているのかも知れない。
だが、こうしたことがなくても、正々堂々とできる生徒を育てたいものだ。
点数に執着している生徒は、私が説明している最中に、
「僕の順位どれくらいですか?」
などと発言する。
そのたびに、私から注意を受ける。
あるいは、
「部分点もらえませんか?」
などと、いやらしく食い下がる生徒もいる。
どちらもも持って生まれた性格というか、私ごときの注意では、そうそう改善されるものではない。
慎ましやかに、じっと点数を見つめ、悔しさを胸に秘めながら、じっくりとやり直しをして、
「次は絶対に間違えないぞ!」
とばかり、真剣に解き直ししている生徒の方を、どうしても応援したくなる。
ただ、社会に出たら、自己主張をしてすぐに行動するタイプの方が、出世できたり、給料が高くなるようだ。
教師は、自分の好みの生徒になるように育ててはいけない。
夕方遅く、一番成績が悪かった生徒がぽつりと言う。
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2018年12月09日
練習前にちょっと寄り道
ライブカメラを見ると、近くの山では雪が降っている。
学校でも北風に乗って雪がちらついている。気温は約3℃。風があるのでかなり寒く感じる。
「こんな日は、野球どころではないな…。」
そこで、部活の練習を少し送らせて、皆を連れて山に出掛けた。
ものの30分くらいで、1000mを超える山へ行けるのだ。
「ちょっとは気分転換になるかな…。」
と、イタズラ心を起こしたのだ。
徐々に道路に雪がついてくる。
子供たちの歓声が上がる。
途中、道路脇に温度計があったが、-3℃であった。標高約800m付近。
温泉脇では硫化水素の臭いが車中に入ってくる。硫黄泉好きでなければ、けっこう辛い臭い…。
子供たち全員、鼻を抑えて興奮状態。
ところが、使った車がどうも調子がよくない。
快調に山道を登っているようで、時々スリップ防止が働く。
「スタッドレスタイヤが古いのかな。」
とも思ったが、ふと気づく。
「四駆じゃないからだ…。」
以前の四駆は廃車になったので、私が買い取ったのだった。
「やっぱり走りにくいな…。これは帰り道は気をつけなければいけないな。」
と、思いながら、歓声を聞きながら山道を登っていく。
「この辺が限界かな…。」
と、スキー場直下で停車。
「さぁ、遊べ。」
と、車から追い出すと、すぐさま雪遊びを始めた。
積雪はまだまだ5cmほど。
「こんなんじゃぁ…つまらんな…。」
と思う間もなく、子供たちは雪を投げ合い、じゃれ合い、楽しんでいる。
そんな折、別の生徒から電話が入る。農家の息子のY君だ。
「先生、グランドの草刈しますよ。迎えに来て下さい。」
「そうは言っても、今は山にいるからなあ…。」
早速、遊んでいる子供たちを引き上げ、帰路につく。
雪の積もり始めで、滑りやすいので慎重に運転。
三十分ほどで、電話の生徒をピックアップして、グランドへ。
早速、Y君は刈り払い機を動かし、草刈を始める。
他のメンバーは、ピッチングマシンでバッティング練習。
早朝よりは寒さが和らいでいるが、まだまだ風は強い。
彼らの共に過ごしていると、何だか至福の時を過ごしているようにも思える。
根っからの子供好きなのかも知れない…。
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学校でも北風に乗って雪がちらついている。気温は約3℃。風があるのでかなり寒く感じる。
「こんな日は、野球どころではないな…。」
そこで、部活の練習を少し送らせて、皆を連れて山に出掛けた。
ものの30分くらいで、1000mを超える山へ行けるのだ。
「ちょっとは気分転換になるかな…。」
と、イタズラ心を起こしたのだ。
徐々に道路に雪がついてくる。
子供たちの歓声が上がる。
途中、道路脇に温度計があったが、-3℃であった。標高約800m付近。
温泉脇では硫化水素の臭いが車中に入ってくる。硫黄泉好きでなければ、けっこう辛い臭い…。
子供たち全員、鼻を抑えて興奮状態。
ところが、使った車がどうも調子がよくない。
快調に山道を登っているようで、時々スリップ防止が働く。
「スタッドレスタイヤが古いのかな。」
とも思ったが、ふと気づく。
「四駆じゃないからだ…。」
以前の四駆は廃車になったので、私が買い取ったのだった。
「やっぱり走りにくいな…。これは帰り道は気をつけなければいけないな。」
と、思いながら、歓声を聞きながら山道を登っていく。
「この辺が限界かな…。」
と、スキー場直下で停車。
「さぁ、遊べ。」
と、車から追い出すと、すぐさま雪遊びを始めた。
積雪はまだまだ5cmほど。
「こんなんじゃぁ…つまらんな…。」
と思う間もなく、子供たちは雪を投げ合い、じゃれ合い、楽しんでいる。
そんな折、別の生徒から電話が入る。農家の息子のY君だ。
「先生、グランドの草刈しますよ。迎えに来て下さい。」
「そうは言っても、今は山にいるからなあ…。」
早速、遊んでいる子供たちを引き上げ、帰路につく。
雪の積もり始めで、滑りやすいので慎重に運転。
三十分ほどで、電話の生徒をピックアップして、グランドへ。
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他のメンバーは、ピッチングマシンでバッティング練習。
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2018年12月08日
隣のクラスと合唱お披露目
合唱コンクールまで一週間と迫ってきた。
今日は、お隣のクラス同士で自由曲のお披露目会。
「お互い自由曲を歌い、良いところを学び、課題を克服してゆこう」、というものだ。
まずは私のクラスから歌う。
私はまだ音楽的な指導はほとんどしていないが、ハーモニーやバランスはよい。
相変わらずボリュームは小さいものの、小さいながらもまとまっている感じ…。
なんと言っても、簡単な曲でありながら、簡単な曲に聞こえないところがいい。
結構お隣のクラスから褒めてもらえた。
だが、
「非常にいいハーモニーでした。ただ、そうなると口を開けていない人が目立ってしまうので、気をつけて下さい。」
と、お隣のクラスのパートリーダーが指摘する。
その通りだ。お披露目の前の僅かな練習時間でも、私はそのことを指摘している。
結局、歌の自信がない生徒は口を大きく開けることができない。
勇気がないというより、怖いのだろう。
音が取れなくて、皆と合わせられない恐怖。
「歌えてないぞ。」
と、周りに言われる恐怖。そうしたものがあるはずだ。
次にお隣のクラスが歌う。
ドラマチックなピアノ伴奏の曲。だが、指揮も未熟で、ピアノがどうしても遅くなるので、今日は要所要所だけ伴奏が入ったバージョン。
バスケの大会で数人抜けているが、なかなかいい。
男子が一生懸命歌っている。
実は、私のクラスは女子のハーモニーが良いのだが、お隣は女子がなかなかやる気が出なくて困っていると担任がいう。逆に男子がいい。
学年全体で歌えば、結構いい合唱になりそうだ…。
だが、この合唱練習を通して、クラスのチームワークを学んでいる。
最大限活用しなくっちゃ…。
どちらも「まずまず」の仕上がり。
「去年の一年生のときよりは、レベルが高いから…。」
と、自分のクラスにも励ましてみた。
中一、中二、中三と順調に上手くなっていく…。
まだまだ私のクラスが入賞するには及ばないが、あと一週間。
「そろそろ、私の音楽指導を入れようかな…。」
と、つぶやくと隣の席の音楽担当のM先生が、
「先生がやるなら、私は引きますよ。」
と言う。もっといい言い方ないんだろうか、とも思ったが、
「担任の方が、言う聞きますから…。」
と畳みかける。
まったく、フォローにも何にもなっていない。
そう言えば、去年は些細な言い争いで、M先生とは一ヶ月不仲だったっけ…。
中一の学年主任が言う。
「M先生が合わせるな!、って言うんですよ。どうしたらいいの?」
去年と同じだ。これが言い争いのきっかけだった。
「パート練習が完璧になってから合わせるんです。不十分なまま合わせてしまったら、直すの大変なんですから…。」
M先生は、すべてのクラスのレベルを上げることに命をかけているのだ。
本番まであと一週間。
生徒たちの姿を見て、「ちょっとやる気が出てきたか」、とほくそ笑む。
不真面目な生徒が公欠でいなかったというファクターもあるが…。
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相変わらずボリュームは小さいものの、小さいながらもまとまっている感じ…。
なんと言っても、簡単な曲でありながら、簡単な曲に聞こえないところがいい。
結構お隣のクラスから褒めてもらえた。
だが、
「非常にいいハーモニーでした。ただ、そうなると口を開けていない人が目立ってしまうので、気をつけて下さい。」
と、お隣のクラスのパートリーダーが指摘する。
その通りだ。お披露目の前の僅かな練習時間でも、私はそのことを指摘している。
結局、歌の自信がない生徒は口を大きく開けることができない。
勇気がないというより、怖いのだろう。
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次にお隣のクラスが歌う。
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男子が一生懸命歌っている。
実は、私のクラスは女子のハーモニーが良いのだが、お隣は女子がなかなかやる気が出なくて困っていると担任がいう。逆に男子がいい。
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だが、この合唱練習を通して、クラスのチームワークを学んでいる。
最大限活用しなくっちゃ…。
どちらも「まずまず」の仕上がり。
「去年の一年生のときよりは、レベルが高いから…。」
と、自分のクラスにも励ましてみた。
中一、中二、中三と順調に上手くなっていく…。
まだまだ私のクラスが入賞するには及ばないが、あと一週間。
「そろそろ、私の音楽指導を入れようかな…。」
と、つぶやくと隣の席の音楽担当のM先生が、
「先生がやるなら、私は引きますよ。」
と言う。もっといい言い方ないんだろうか、とも思ったが、
「担任の方が、言う聞きますから…。」
と畳みかける。
まったく、フォローにも何にもなっていない。
そう言えば、去年は些細な言い争いで、M先生とは一ヶ月不仲だったっけ…。
中一の学年主任が言う。
「M先生が合わせるな!、って言うんですよ。どうしたらいいの?」
去年と同じだ。これが言い争いのきっかけだった。
「パート練習が完璧になってから合わせるんです。不十分なまま合わせてしまったら、直すの大変なんですから…。」
M先生は、すべてのクラスのレベルを上げることに命をかけているのだ。
本番まであと一週間。
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2018年12月07日
試験問題の印刷間違い
試験も最終日。
監督に行き、いざ問題を配ろうと封筒を開けると、何と初日の試験と同じ問題がはいっているではないか。急いで作問した先生に連絡をしてみてもらうと、確かに初日の問題。どうやら間違えて印刷してしまったらしい。
試験開始時間は迫っている。焦る…。
「先生、違いますよ。」
と慌てて作問者に言うも、
「すいません。刷り直します…。」
とのこと。「えっ、試験時間が始まっちゃうよ」、とますますドキドキ。
生徒には、「問題を刷り直していますから、もう少し待っていてください。」、と言ったものの、さすがに試験開始のチャイムがなると、生徒たちだって焦る。「大丈夫なのか…」、と。
どうなっているのかと、印刷室を見に行ったら、なんとも落ち着いて印刷中であった。
冊子印刷なので、一クラス分印刷するにも、五、六分はかかる。おまけに、途中で、印刷機がクリーニングモードに入り、さらに時間を費やしている。
「やばい、試験もう始まってるんだ…。」
印刷を終えた先生から書き込み式の冊子問題を受け取ると、教室へ走る。
「ごめん、遅くなって。これから配ります。試験時間はこれから50分です。少し延長します…。」
と、7分遅れのスタート。「もう、勘弁してくれよ…。」
かなり年上の年配の先生なので、あからさまに苦情を言うこともできず、自分はただただ焦るばかり…。もうちょっと、慌てる素振りでも見せてくれればいいのだが、なんだがでーんと構えて動じない。
試験が終わって、
「先ほどは、ご迷惑をおかけしました。」
と、謝罪されたので、とりあえず気持ちは落ち着いただが、「一体何をやっているのだ…。」、とい気持ちには変わらない。「自分が刷った問題をチェックしないのだろうか…。」
「試験時間が終わってからも延長したのですけど、廊下がざわついていて、集中できなかったかも知れません。」
これが、私の精一杯の抵抗だ。
彼は、何も言わずに答案を受け取った…。
◇◇◇◇◇
「いやぁ、参った。痛恨のミスである。こんなこと教員人生で初めてのことだ。」
私は試験の問題用紙を印刷し、封筒に入れるときは、かなり気を遣う。
・枚数が足りないことがないだろうか。
・印刷ミスはないだろうか。
・複数学年を担当しているので、封筒への入れ待合はないだろうか。
などと、何度も確認している。
ところがである。その盲点を突く形で大きなミスを犯してしまった。
今回は解答できる部分を広くしようと、B4サイズ一枚ものの両面印刷ではなく、冊子印刷にして、その中に解答を書き込むスタイルをと取った。時々こうした方法はとる。
どうせならと、担当クラス全部、つまり6種類の試験を作ったのだ。
ところが、今日の中1の試験で、数日前に行った試験問題を、何の疑いもなく印刷し、そのまま封筒に入れてしまった。
つまり、試験はすでに終えた問題で科目が違う。
監督の先生が慌てるのもうなずける。
表紙をぱっと見た感じでは、ほとんど同じデザイン。もちろん科目名が違うのだが、学年ばかりを意識してチェックしていた私の網をすり抜けた。
「あ〜、なんと言うことだ。」
これまで長く教員を務めていて、試験の時一番緊張するのが、試験開始直後。
何だが大きなミスをしていないか、一番不安になるのがその時。
そして、その時がやってきた。
本当に情けない。
監督の先生には大変迷惑をかけた。
「本当にごめんなさい。」
監督に行き、いざ問題を配ろうと封筒を開けると、何と初日の試験と同じ問題がはいっているではないか。急いで作問した先生に連絡をしてみてもらうと、確かに初日の問題。どうやら間違えて印刷してしまったらしい。
試験開始時間は迫っている。焦る…。
「先生、違いますよ。」
と慌てて作問者に言うも、
「すいません。刷り直します…。」
とのこと。「えっ、試験時間が始まっちゃうよ」、とますますドキドキ。
生徒には、「問題を刷り直していますから、もう少し待っていてください。」、と言ったものの、さすがに試験開始のチャイムがなると、生徒たちだって焦る。「大丈夫なのか…」、と。
どうなっているのかと、印刷室を見に行ったら、なんとも落ち着いて印刷中であった。
冊子印刷なので、一クラス分印刷するにも、五、六分はかかる。おまけに、途中で、印刷機がクリーニングモードに入り、さらに時間を費やしている。
「やばい、試験もう始まってるんだ…。」
印刷を終えた先生から書き込み式の冊子問題を受け取ると、教室へ走る。
「ごめん、遅くなって。これから配ります。試験時間はこれから50分です。少し延長します…。」
と、7分遅れのスタート。「もう、勘弁してくれよ…。」
かなり年上の年配の先生なので、あからさまに苦情を言うこともできず、自分はただただ焦るばかり…。もうちょっと、慌てる素振りでも見せてくれればいいのだが、なんだがでーんと構えて動じない。
試験が終わって、
「先ほどは、ご迷惑をおかけしました。」
と、謝罪されたので、とりあえず気持ちは落ち着いただが、「一体何をやっているのだ…。」、とい気持ちには変わらない。「自分が刷った問題をチェックしないのだろうか…。」
「試験時間が終わってからも延長したのですけど、廊下がざわついていて、集中できなかったかも知れません。」
これが、私の精一杯の抵抗だ。
彼は、何も言わずに答案を受け取った…。
◇◇◇◇◇
「いやぁ、参った。痛恨のミスである。こんなこと教員人生で初めてのことだ。」
私は試験の問題用紙を印刷し、封筒に入れるときは、かなり気を遣う。
・枚数が足りないことがないだろうか。
・印刷ミスはないだろうか。
・複数学年を担当しているので、封筒への入れ待合はないだろうか。
などと、何度も確認している。
ところがである。その盲点を突く形で大きなミスを犯してしまった。
今回は解答できる部分を広くしようと、B4サイズ一枚ものの両面印刷ではなく、冊子印刷にして、その中に解答を書き込むスタイルをと取った。時々こうした方法はとる。
どうせならと、担当クラス全部、つまり6種類の試験を作ったのだ。
ところが、今日の中1の試験で、数日前に行った試験問題を、何の疑いもなく印刷し、そのまま封筒に入れてしまった。
つまり、試験はすでに終えた問題で科目が違う。
監督の先生が慌てるのもうなずける。
表紙をぱっと見た感じでは、ほとんど同じデザイン。もちろん科目名が違うのだが、学年ばかりを意識してチェックしていた私の網をすり抜けた。
「あ〜、なんと言うことだ。」
これまで長く教員を務めていて、試験の時一番緊張するのが、試験開始直後。
何だが大きなミスをしていないか、一番不安になるのがその時。
そして、その時がやってきた。
本当に情けない。
監督の先生には大変迷惑をかけた。
「本当にごめんなさい。」
2018年12月06日
寝たら窓全開
「寝たら窓を全開にするぞ!」
これが私の、試験期間中の口癖である。
試験時間は原則50分。 出題者が適切な問題を作れば、生徒たちの時間が余って寝るしかない、ということは起こらない。
ただ、もともとほとんど勉強していない生徒にとっては、解ける問題がなくなれば、やることがなくなることは事実。
だが、私は試験中に寝ることを許さない。「問題が解き終わり、100点間違いない」、という生徒でも駄目だ。いろいろな理由はあるが、「チャイムが鳴るまで、一生懸命試験に臨む」、というのが私のポリシーだ。
私の高校は、試験問題を解き終わったら、教室から退出することが許されていた。私が現役の高校生だったときの話である。
つまり、試験が解き終わり、100点にはならないだろうけれども、「これでよし」、と思ったならば、監督者に合図して、教室から外に出て良いのだ。
もっとも、教室を出たところで、いられる所は廊下くらいしかないのだが、その時間を利用して、次のテストの対策ができるという訳である。
私は、たとえ試験が早く終わったとしても、このシステムを一度も使ったことはなかった。
周りを見ていると、成績の良い人で、先に教室を出てしまう人がいなかったのだ。それに、私には試験の途中で教室を出てしまうような勇気はなかった。
母校には、のちに非常勤として勤めたことがあるが、その時にはそのシステムがなくなっていたから、最近はもうやっていないだろう。
今日は、冷たい雨が雪に変わるのではないか、と思われるほどのこの冬一番の寒い一日であった。
もちろん窓を開けると、冷たい空気が教室を吹き抜ける。
私は、出勤すると教室と廊下の窓を開け放っているので、廊下はまだ窓が開いたままだ。
「冷たい空気が気持ちいい…。」
生徒たちは、「寒っ」、といいながらもだんだんと寒さに慣れ、廊下に出れば、空気の悪くなった教室内よりすっきりする。
試験が始まる前、一度窓を開け放った。
教室には歓声(?)が走る。
数分で窓を閉めて、私はニコっと笑う。
教室内の空気を入れ換えて、新鮮な空気にしたところで、ピリッと頭も冴えて、さぁ、いよいよ試験の開始。
私はこの方法で、試験中寝かせないようにしている。
万一、寝てしまった生徒が出ると、さっと窓を開けるので、また空気が入れ替わり、眠気も吹っ飛ぶ。多少の寒さは否めないが、「酸欠状態で空気の悪くなった教室の環境整備には、いい方法なのではないかな」、と思っている。
普段の授業でも、
「授業前には必ず窓を全開にしない。」
と、指示している。
私が教室に入ったとき、窓が開いていれば、授業中は窓を閉める。
そうでなければ、窓を全開にする。
多少傲慢だが、
「丹澤の授業だ。あきらめてくれ。」
と、言っている。
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スキマ時間でちょっとリッチに。|マクロミル
これが私の、試験期間中の口癖である。
試験時間は原則50分。 出題者が適切な問題を作れば、生徒たちの時間が余って寝るしかない、ということは起こらない。
ただ、もともとほとんど勉強していない生徒にとっては、解ける問題がなくなれば、やることがなくなることは事実。
だが、私は試験中に寝ることを許さない。「問題が解き終わり、100点間違いない」、という生徒でも駄目だ。いろいろな理由はあるが、「チャイムが鳴るまで、一生懸命試験に臨む」、というのが私のポリシーだ。
私の高校は、試験問題を解き終わったら、教室から退出することが許されていた。私が現役の高校生だったときの話である。
つまり、試験が解き終わり、100点にはならないだろうけれども、「これでよし」、と思ったならば、監督者に合図して、教室から外に出て良いのだ。
もっとも、教室を出たところで、いられる所は廊下くらいしかないのだが、その時間を利用して、次のテストの対策ができるという訳である。
私は、たとえ試験が早く終わったとしても、このシステムを一度も使ったことはなかった。
周りを見ていると、成績の良い人で、先に教室を出てしまう人がいなかったのだ。それに、私には試験の途中で教室を出てしまうような勇気はなかった。
母校には、のちに非常勤として勤めたことがあるが、その時にはそのシステムがなくなっていたから、最近はもうやっていないだろう。
今日は、冷たい雨が雪に変わるのではないか、と思われるほどのこの冬一番の寒い一日であった。
もちろん窓を開けると、冷たい空気が教室を吹き抜ける。
私は、出勤すると教室と廊下の窓を開け放っているので、廊下はまだ窓が開いたままだ。
「冷たい空気が気持ちいい…。」
生徒たちは、「寒っ」、といいながらもだんだんと寒さに慣れ、廊下に出れば、空気の悪くなった教室内よりすっきりする。
試験が始まる前、一度窓を開け放った。
教室には歓声(?)が走る。
数分で窓を閉めて、私はニコっと笑う。
教室内の空気を入れ換えて、新鮮な空気にしたところで、ピリッと頭も冴えて、さぁ、いよいよ試験の開始。
私はこの方法で、試験中寝かせないようにしている。
万一、寝てしまった生徒が出ると、さっと窓を開けるので、また空気が入れ替わり、眠気も吹っ飛ぶ。多少の寒さは否めないが、「酸欠状態で空気の悪くなった教室の環境整備には、いい方法なのではないかな」、と思っている。
普段の授業でも、
「授業前には必ず窓を全開にしない。」
と、指示している。
私が教室に入ったとき、窓が開いていれば、授業中は窓を閉める。
そうでなければ、窓を全開にする。
多少傲慢だが、
「丹澤の授業だ。あきらめてくれ。」
と、言っている。
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2018年12月05日
試験中のトイレ
二学期の期末考査が始まった。
私の学校では中高と同じ日程で行われるので、中学校ながら4日間ある。
一日あたり2〜4科目の試験がある。
この試験だが、私の学校では中学校としては珍しく、「試験中にトイレに行っても、戻ってきてまた試験を続けられる」、というシステムがある。性善説に基づいたものだ。
おそらくは、ほとんどの学校では、「試験中にトイレに行ったら、そこで試験は終了」、というのが一般的だろう。
大学入試でも、英検などの資格試験でも同様のはずだ。「不正行為を防ぐ」という考えでこうしたルールが設定されているのだろうし、「体調管理も実力のうち」という社会の厳しさも見てとれる。
私の学校の教室には、内線電話を設置してあるので、トイレに行きたい生徒が出ると、監督者は職員室に電話をする。監督者が教室を離れることはできないので、別の教員を呼び、その生徒をトイレまで連れて行き、終わるまで待ち、また教室に連れ帰る、のである。
もちろん中学生たちに私は、
「基本的には、お腹が痛いときだけだよ…。」
と指導はしている。だが、そうした指導をしていないと、この権利を遂行し、おしっこがしたくなっても、トイレに行ってしまう。
普段の授業中でも、安易にトイレに行くことは、注意されるべきことであろうから、当然、試験であっても、休み時間に済ませておくべきことだと思う。中にはしかし、
「試験で緊張しているんでしょう。」
と、寛容な先生方もいる。
「我慢するのは、体に良くないんです。」
などと、熱弁を振るう方もいる。
もちろん、体調が悪いときは別だ。
そうなると、
「社会では許されないことが多いよ。でも、うちの学校ではOK何だよ。」
という話をしなくてはならなくなる。
学校の非常識が社会の常識である場合や、学校の常識が社会の非常識である場合などもあり、イノベーションの遅れがちな学校では、ややこしい話が多くなった。
だが、
「たとえそれが社会では許されるようなことであっても、学校だからこその約束事やルールがあっていい。」
と、私は思う。
それが、生徒の成長のためになることもあるし、教員の仕事量を減らすことにつながることだってある。
生徒は発達途上の子供。中学生は中学生なりに、高校生は高校生なりに、許される範囲というものもあるだろう。
もちろん、その基準は難しい。
だが、そうした目に見えないけれども、彼らの道を外させないためのバリアが、学校現場では従来より張り巡らされ、学校運営がなされているのだと思う。
一般的には、『生徒自身に善悪を考えさせ、その中で判断させることを求めている』学校の規則は少ない。
こちらの方が理想だと思うが、善悪を大人ですら判断できなくなっている昨今、教員にそこまで求めるのは、難しかろう…。
私の学校では中高と同じ日程で行われるので、中学校ながら4日間ある。
一日あたり2〜4科目の試験がある。
この試験だが、私の学校では中学校としては珍しく、「試験中にトイレに行っても、戻ってきてまた試験を続けられる」、というシステムがある。性善説に基づいたものだ。
おそらくは、ほとんどの学校では、「試験中にトイレに行ったら、そこで試験は終了」、というのが一般的だろう。
大学入試でも、英検などの資格試験でも同様のはずだ。「不正行為を防ぐ」という考えでこうしたルールが設定されているのだろうし、「体調管理も実力のうち」という社会の厳しさも見てとれる。
私の学校の教室には、内線電話を設置してあるので、トイレに行きたい生徒が出ると、監督者は職員室に電話をする。監督者が教室を離れることはできないので、別の教員を呼び、その生徒をトイレまで連れて行き、終わるまで待ち、また教室に連れ帰る、のである。
もちろん中学生たちに私は、
「基本的には、お腹が痛いときだけだよ…。」
と指導はしている。だが、そうした指導をしていないと、この権利を遂行し、おしっこがしたくなっても、トイレに行ってしまう。
普段の授業中でも、安易にトイレに行くことは、注意されるべきことであろうから、当然、試験であっても、休み時間に済ませておくべきことだと思う。中にはしかし、
「試験で緊張しているんでしょう。」
と、寛容な先生方もいる。
「我慢するのは、体に良くないんです。」
などと、熱弁を振るう方もいる。
もちろん、体調が悪いときは別だ。
そうなると、
「社会では許されないことが多いよ。でも、うちの学校ではOK何だよ。」
という話をしなくてはならなくなる。
学校の非常識が社会の常識である場合や、学校の常識が社会の非常識である場合などもあり、イノベーションの遅れがちな学校では、ややこしい話が多くなった。
だが、
「たとえそれが社会では許されるようなことであっても、学校だからこその約束事やルールがあっていい。」
と、私は思う。
それが、生徒の成長のためになることもあるし、教員の仕事量を減らすことにつながることだってある。
生徒は発達途上の子供。中学生は中学生なりに、高校生は高校生なりに、許される範囲というものもあるだろう。
もちろん、その基準は難しい。
だが、そうした目に見えないけれども、彼らの道を外させないためのバリアが、学校現場では従来より張り巡らされ、学校運営がなされているのだと思う。
一般的には、『生徒自身に善悪を考えさせ、その中で判断させることを求めている』学校の規則は少ない。
こちらの方が理想だと思うが、善悪を大人ですら判断できなくなっている昨今、教員にそこまで求めるのは、難しかろう…。
2018年12月04日
T君を『よしよし』
「丹澤先生、T君を『よしよし』してもらえますか?」
合唱練習をよく見てくれている副担任でもある音楽の先生が言う。
「たぶん、淋しいのだと思うんですよ…。」
彼女の勘は鋭い。
いつも私が注意ばかりしている、だらしないT君。
積極的に合唱練習を妨害して、一生懸命やろうとする他のクラスメイトの気持ちを逆なでするT君。
中1の時には野球部で活躍していたが、私を気に入らない母親の圧力で辞めてしまったT君。
マイペースで、全員が集合していても、いつものんびりと最後にやってくるT君。
「そう言えば最近は、マイナスの指摘ばかりだったなぁ…。」
と、反省。それでも、
「何を言っても、上手くいかなかったよなぁ…。」
などと、作戦を練る。
全体の場では、正しく話を聞けない。だから私の話の一部を切り取り、勝手に解釈して、それが伝言ゲームになって母親に届き、
「丹澤先生は自殺したいと思っているのですか。そんな人に担任をしてもらいたくありません…。」
と、母親から苦情が来たこともある。
また、
「やっぱり丹澤先生は信じられません。二年生では担任を変えて下さい。」
と、三月に学年主任に訴えたのだが、当時の学年主任は私に伝えることなくこれを突っぱねた。
ただ、野球部を休んでいる時に、勉強の習慣が身についているので、学力的には相応の実力となってきたことは間違いない。T君は、今日の数学の試験でも、まずまずの出来だった。
帰りの会の合唱練習のときに、早速作戦実行。
男子のパート練習。やっぱり一人離れて参加しようとしないT君を、パートリーダーが歌っている輪の中に押し込んだ。近くで、彼の歌を聴いてみると、なんと歌になっていないではないか。
低い声で、音程を一定にして歌詞を流しているのである。本来T君がきちんと歌えることは、私はよく知っている。
そこで、T君を輪から連れ出し、「音の高さを合わせなきゃ。もし音が取れないなら、個人レッスンするよ。」と警告。私はピアノが弾けるのだ。
すまなそうな顔をしたT君は、輪の中に戻ると、少し音を合わせるようになった。
その後帰宅時には、T君としばらく歩いた。
私がT君のリックをつかんで、引っ張ってもらう形である。
T君は、おどけて走る真似をしながらも、私を引っ張っている。
私はT君とちょっと遊んだのだ。
このところT君への注意が続いているので、説教はだめだ。この遊びも、
「あなたのこと見てますよ。関心を持っていますよ。」
というアピールのようなものだ。
気に入らない生徒だと、心底思ってしまうと、どんどん接点が薄くなる。
嫌だと思って距離を取っていると、生徒はどんどん荒れていく。
意図的に距離を置きつつ、見守るのとは、天地の差だ。
良いところはどんどん褒めてあげよう。
マイナスばかりが目についたとしても、意図してプラスを探そう。
生徒の可能性は無限なのだから…。
合唱練習をよく見てくれている副担任でもある音楽の先生が言う。
「たぶん、淋しいのだと思うんですよ…。」
彼女の勘は鋭い。
いつも私が注意ばかりしている、だらしないT君。
積極的に合唱練習を妨害して、一生懸命やろうとする他のクラスメイトの気持ちを逆なでするT君。
中1の時には野球部で活躍していたが、私を気に入らない母親の圧力で辞めてしまったT君。
マイペースで、全員が集合していても、いつものんびりと最後にやってくるT君。
「そう言えば最近は、マイナスの指摘ばかりだったなぁ…。」
と、反省。それでも、
「何を言っても、上手くいかなかったよなぁ…。」
などと、作戦を練る。
全体の場では、正しく話を聞けない。だから私の話の一部を切り取り、勝手に解釈して、それが伝言ゲームになって母親に届き、
「丹澤先生は自殺したいと思っているのですか。そんな人に担任をしてもらいたくありません…。」
と、母親から苦情が来たこともある。
また、
「やっぱり丹澤先生は信じられません。二年生では担任を変えて下さい。」
と、三月に学年主任に訴えたのだが、当時の学年主任は私に伝えることなくこれを突っぱねた。
ただ、野球部を休んでいる時に、勉強の習慣が身についているので、学力的には相応の実力となってきたことは間違いない。T君は、今日の数学の試験でも、まずまずの出来だった。
帰りの会の合唱練習のときに、早速作戦実行。
男子のパート練習。やっぱり一人離れて参加しようとしないT君を、パートリーダーが歌っている輪の中に押し込んだ。近くで、彼の歌を聴いてみると、なんと歌になっていないではないか。
低い声で、音程を一定にして歌詞を流しているのである。本来T君がきちんと歌えることは、私はよく知っている。
そこで、T君を輪から連れ出し、「音の高さを合わせなきゃ。もし音が取れないなら、個人レッスンするよ。」と警告。私はピアノが弾けるのだ。
すまなそうな顔をしたT君は、輪の中に戻ると、少し音を合わせるようになった。
その後帰宅時には、T君としばらく歩いた。
私がT君のリックをつかんで、引っ張ってもらう形である。
T君は、おどけて走る真似をしながらも、私を引っ張っている。
私はT君とちょっと遊んだのだ。
このところT君への注意が続いているので、説教はだめだ。この遊びも、
「あなたのこと見てますよ。関心を持っていますよ。」
というアピールのようなものだ。
気に入らない生徒だと、心底思ってしまうと、どんどん接点が薄くなる。
嫌だと思って距離を取っていると、生徒はどんどん荒れていく。
意図的に距離を置きつつ、見守るのとは、天地の差だ。
良いところはどんどん褒めてあげよう。
マイナスばかりが目についたとしても、意図してプラスを探そう。
生徒の可能性は無限なのだから…。