2010年06月17日
FPに相談する前に:生命保険の金額(1/2):1級FPが解説
‐ 『1級ファイナンシャル・プランニング技能士』の解説シリーズ 1 - 3/5-(ページ分割1/2)
生命保険:必要な金額の検討
前回に説明したように、生命保険の大雑把なイメージとしては、人の身体、そして生死に関する保障をする保険だと考えてもらえばよいと思います。
死亡・後遺障害や病気やけがによる入院(通院)を含めのようにあって欲しくない?リスクだけでなく、無事長生きしたために発生するリスクもあります。
前者は代表的な死亡をとらえて『死亡リスク』、後者は『生存リスク』と呼ばれています。
危険、つまりリスクが事前に予想・予期できるものであり、かつ金銭的に評価し対処できるのであれば、準備しておいたほうが好ましいわけです。この一連の準備(金銭的な手当)はリスク・マネジメントと呼ばれています。
この基本的な考えをもとに『死亡リスク』と『生存リスク』に対処して行きましょう。
ところで、リスクの検討の前にお聞きします。
あなたに、生命保険は必要ですか?
何をいまさら、とおっしゃるかもしれません。しかし、少し考えてみてください。
例えば、あなたがDINKSだったとします。Double Income No Kids. つまり、夫婦共働きで、子供をつくらない。
この場合、入院保険は別としても死亡保険は不要ではないでしょうか?
長生きしたとしても、共働きを続ける訳なので、十分なたくわえを別途用意できる。そうすれば、生命保険の必要性は低いでしょう。
そんな優雅じゃないよ。子供は小さく俺だけで家族を養っているんだ。おれが死んだらどうするんだよ。生命保険は、残された家族が路頭に迷わないよう、十分な額がぜひとも必要だよ。それに、年金だけじゃ到底暮らせない!
と、おっしゃるかもしれません。
多くの場合、一人暮らしでなければ、死亡・後遺症・入院への備えは必要でしょう。また、老後の準備も必要でしょう。一人暮らしであっても、入院の手当と老後の準備は必要でしょう。
私も、それさえも否定するわけではありません。ただ、保障は必要な時に必要なだけあれば十分であるし、老後の準備も生命保険ですべて賄うべきではないと思うのです。
もしかしたら、独身の場合は、特に社会保険に加入できていれば、生命保険はなくてもよいかもしれません。
少額の共済に加入しているだけ、または別途ガン保険に加入しているだけ、これだけでも十分な人は多いのではないでしょうか?
最初に述べた2つのリスクに分けて検討してみましょう。
1.『死亡リスク』
病気や事故による、死亡・後遺症・入院(通院)。
(1) 死亡の場合
家族の大黒柱が無くなった場合、残された家族が路頭に迷う、か?
まず、大黒柱が無くなった場合、同じレベルの生活を維持しようとした場合、一般には生前の2/3の収入の確保が必要です。本人の生活費や仕事で使うスーツやその他本人分の支出額が、一般には1/3とされています。
ですから、その後残された家族が毎年必要とする残りの2/3の金額を算出して、それに見合った金額の補償が求められるわけです。
(従来その額は、ホフマン係数などを利用し利息分を天引きしていますが、現在では金利の上昇が見込めていないのでそのままの金額を使用したほうがよいでしょう。)
ただ、この残された家族の必要とする金額は、家族構成による各種のイベントで変わります。つまり、子どもがいれば、進学の費用や結婚費用を準備しておきたいですし、持ち家があれば、改修費用なども必要でしょう。
支出の見込みを、あらかじめ見積もらなければ、必要な保障額が出てきません!
ここで重要なのは、いまからいつまではいくらの保障が必要か、それ以降はいくら必要なのか。これらの把握が最重要課題です!
※なお、勤め人の場合は、厚生年金からの遺族年金や死亡退職金制度があれば、この金額を差し引かないとムダに保険を掛けることになります。
このため『ライフイベント表』を作成し、必要な時に必要な金額の手当を加えた『ライフプランニング』が欠かせません!
『ライフイベント表』
収入の見込みと支出の見込みを家族全員分、年度ごとにいくらになるか一覧表で作成します。要はあなたの家族のキャッシュフロー(収入・支出状況の予想)を作るわけです。
表計算ソフトでざっと作ってみましょう。イベントの記入はあとです。
次に作り方の例をざっと説明しますが、今まで作ったことがなければ、『ライフイベント表』で検索すると表を入手できます。
さらに、『ライフプランシミュレーション』などで検索すると、年金の計算までシミュレーションしてくれるサイトもあります。
試してみてはいかがでしょうか?
(作成の仕方の例)
横に年度(西暦のほうがわかりやすい)、
縦に、収入の部と支出の部、加えて差し引きの欄を作ります。
(縦・横は、逆にしても構わないです。好みです。)
さらに、借入金額の残高と貯蓄の残高も必要です。各メンバーの年齢は収入の部に入れておきましょう。年齢によりイベントがつかみやすくなります。
表は、自分で自分に合ったように工夫すべきですが、最初は出来合いの表で作ってみるのもよいでしょう。
(ライフイベント表・ライフプランニング表・キャッシュフロー表などで検索できます。)
(例)ごく簡単なものを記載
(罫線が消えて使い物にならないので削除しました)
(ライフイベント表などは、検索すると多数見つかりますので、
恐れ入りますが、そちらをご覧ください)
(ライフイベント表は、数十年にわたる収入・支出等の一覧表です)
最初は、難しいかもしれません。
子供の教育のイベントの金額の見積もりが煩わしいでしょう。
また、どう利用したらよいのか見当がつきにくいかもしれません。
もし、『ライフイベント表』がうまく作れないとか、使い方がわからないのであれば、FPへ相談してはいかがでしょうか?
無料のFP相談をしているところもたくさんあります。
ページの最後にいくつかご紹介しておこうと思いますので、相談されてはいかがですか?
相談が、無料のもののみ掲載しておきます。
FPは、保険をいくらつけたらよいかもアドバイスしてくれます。
FPへ相談の際には、できれば収入と支出の見込み(わかっているものだけでOK)をあらかじめメモして行くとよいでしょう。話が進みやすく、無駄がありません。
最近では、各地でFPが仕事を始めています。管理人が住んでいるような田舎町でもFPが営業しています。ネットで住むのであれば、ネット上のFPでもよいでしょう。そうでなければ、お近くのFPを探してみることをお勧めします。
もし、FPに相談後、保険などを依頼するかどうか迷った場合は、次を判断の基準としてはいかがですか?基本は、信頼できるかです!
質問に対し、きちんと説明してくれるか?
説明は、わかりやすいか?
その説明は、質問に対する回答となっているか?
例えば、補償内容の質問をしているのに、この保険は他と比べて安いですよと価格を返答するとか、保障は十分ですと具体的な内容の返答がない、などは論外です。
このような場合は、お礼を言って家で家族と再検討してみます、などと返答して帰ってくるべきです。もちろんその後契約はお断りです。
随分と長くなりました。
生命保険に加入するときだけに必要なのではありませんが、
『ライフイベント表』を作成し、『ライフプラン』を検討するのは、あなたに必要なことです。
生命保険に加入するだけのためでも、本来は必要なものです。
(次のページをご覧ください)
生命保険:必要な金額の検討
前回に説明したように、生命保険の大雑把なイメージとしては、人の身体、そして生死に関する保障をする保険だと考えてもらえばよいと思います。
死亡・後遺障害や病気やけがによる入院(通院)を含めのようにあって欲しくない?リスクだけでなく、無事長生きしたために発生するリスクもあります。
前者は代表的な死亡をとらえて『死亡リスク』、後者は『生存リスク』と呼ばれています。
危険、つまりリスクが事前に予想・予期できるものであり、かつ金銭的に評価し対処できるのであれば、準備しておいたほうが好ましいわけです。この一連の準備(金銭的な手当)はリスク・マネジメントと呼ばれています。
この基本的な考えをもとに『死亡リスク』と『生存リスク』に対処して行きましょう。
ところで、リスクの検討の前にお聞きします。
あなたに、生命保険は必要ですか?
何をいまさら、とおっしゃるかもしれません。しかし、少し考えてみてください。
例えば、あなたがDINKSだったとします。Double Income No Kids. つまり、夫婦共働きで、子供をつくらない。
この場合、入院保険は別としても死亡保険は不要ではないでしょうか?
長生きしたとしても、共働きを続ける訳なので、十分なたくわえを別途用意できる。そうすれば、生命保険の必要性は低いでしょう。
そんな優雅じゃないよ。子供は小さく俺だけで家族を養っているんだ。おれが死んだらどうするんだよ。生命保険は、残された家族が路頭に迷わないよう、十分な額がぜひとも必要だよ。それに、年金だけじゃ到底暮らせない!
と、おっしゃるかもしれません。
多くの場合、一人暮らしでなければ、死亡・後遺症・入院への備えは必要でしょう。また、老後の準備も必要でしょう。一人暮らしであっても、入院の手当と老後の準備は必要でしょう。
私も、それさえも否定するわけではありません。ただ、保障は必要な時に必要なだけあれば十分であるし、老後の準備も生命保険ですべて賄うべきではないと思うのです。
もしかしたら、独身の場合は、特に社会保険に加入できていれば、生命保険はなくてもよいかもしれません。
少額の共済に加入しているだけ、または別途ガン保険に加入しているだけ、これだけでも十分な人は多いのではないでしょうか?
最初に述べた2つのリスクに分けて検討してみましょう。
1.『死亡リスク』
病気や事故による、死亡・後遺症・入院(通院)。
(1) 死亡の場合
家族の大黒柱が無くなった場合、残された家族が路頭に迷う、か?
まず、大黒柱が無くなった場合、同じレベルの生活を維持しようとした場合、一般には生前の2/3の収入の確保が必要です。本人の生活費や仕事で使うスーツやその他本人分の支出額が、一般には1/3とされています。
ですから、その後残された家族が毎年必要とする残りの2/3の金額を算出して、それに見合った金額の補償が求められるわけです。
(従来その額は、ホフマン係数などを利用し利息分を天引きしていますが、現在では金利の上昇が見込めていないのでそのままの金額を使用したほうがよいでしょう。)
ただ、この残された家族の必要とする金額は、家族構成による各種のイベントで変わります。つまり、子どもがいれば、進学の費用や結婚費用を準備しておきたいですし、持ち家があれば、改修費用なども必要でしょう。
支出の見込みを、あらかじめ見積もらなければ、必要な保障額が出てきません!
ここで重要なのは、いまからいつまではいくらの保障が必要か、それ以降はいくら必要なのか。これらの把握が最重要課題です!
※なお、勤め人の場合は、厚生年金からの遺族年金や死亡退職金制度があれば、この金額を差し引かないとムダに保険を掛けることになります。
このため『ライフイベント表』を作成し、必要な時に必要な金額の手当を加えた『ライフプランニング』が欠かせません!
『ライフイベント表』
収入の見込みと支出の見込みを家族全員分、年度ごとにいくらになるか一覧表で作成します。要はあなたの家族のキャッシュフロー(収入・支出状況の予想)を作るわけです。
表計算ソフトでざっと作ってみましょう。イベントの記入はあとです。
次に作り方の例をざっと説明しますが、今まで作ったことがなければ、『ライフイベント表』で検索すると表を入手できます。
さらに、『ライフプランシミュレーション』などで検索すると、年金の計算までシミュレーションしてくれるサイトもあります。
試してみてはいかがでしょうか?
(作成の仕方の例)
横に年度(西暦のほうがわかりやすい)、
縦に、収入の部と支出の部、加えて差し引きの欄を作ります。
(縦・横は、逆にしても構わないです。好みです。)
さらに、借入金額の残高と貯蓄の残高も必要です。各メンバーの年齢は収入の部に入れておきましょう。年齢によりイベントがつかみやすくなります。
表は、自分で自分に合ったように工夫すべきですが、最初は出来合いの表で作ってみるのもよいでしょう。
(ライフイベント表・ライフプランニング表・キャッシュフロー表などで検索できます。)
(例)ごく簡単なものを記載
(罫線が消えて使い物にならないので削除しました)
(ライフイベント表などは、検索すると多数見つかりますので、
恐れ入りますが、そちらをご覧ください)
(ライフイベント表は、数十年にわたる収入・支出等の一覧表です)
最初は、難しいかもしれません。
子供の教育のイベントの金額の見積もりが煩わしいでしょう。
また、どう利用したらよいのか見当がつきにくいかもしれません。
もし、『ライフイベント表』がうまく作れないとか、使い方がわからないのであれば、FPへ相談してはいかがでしょうか?
無料のFP相談をしているところもたくさんあります。
ページの最後にいくつかご紹介しておこうと思いますので、相談されてはいかがですか?
相談が、無料のもののみ掲載しておきます。
FPは、保険をいくらつけたらよいかもアドバイスしてくれます。
FPへ相談の際には、できれば収入と支出の見込み(わかっているものだけでOK)をあらかじめメモして行くとよいでしょう。話が進みやすく、無駄がありません。
最近では、各地でFPが仕事を始めています。管理人が住んでいるような田舎町でもFPが営業しています。ネットで住むのであれば、ネット上のFPでもよいでしょう。そうでなければ、お近くのFPを探してみることをお勧めします。
もし、FPに相談後、保険などを依頼するかどうか迷った場合は、次を判断の基準としてはいかがですか?基本は、信頼できるかです!
質問に対し、きちんと説明してくれるか?
説明は、わかりやすいか?
その説明は、質問に対する回答となっているか?
例えば、補償内容の質問をしているのに、この保険は他と比べて安いですよと価格を返答するとか、保障は十分ですと具体的な内容の返答がない、などは論外です。
このような場合は、お礼を言って家で家族と再検討してみます、などと返答して帰ってくるべきです。もちろんその後契約はお断りです。
随分と長くなりました。
生命保険に加入するときだけに必要なのではありませんが、
『ライフイベント表』を作成し、『ライフプラン』を検討するのは、あなたに必要なことです。
生命保険に加入するだけのためでも、本来は必要なものです。
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