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2016年04月03日

石綿 別の高架下店舗でも中皮腫の死者「電車通過で飛散」

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大阪府内の鉄道高架下の貸店舗でアスベスト(石綿)による中皮腫の死者が出た問題で、近くの別の店で働いていた男性(当時66歳)も昨年、中皮腫で死亡していたことが2日、関係者への取材で分かった。
同じ高架下に関係して2人の死者が出たことになり、識者は「全国の鉄道で同様の事例がないか、点検と対策が必要」と指摘する。
遺族は鉄道会社側に補償や危険性の周知を求める。

 2人目の死亡例が判明したのは、近畿日本鉄道(大阪市)の高架下。男性は喫茶店の店長として、1977〜2000年に勤務した。店舗は2階建ての構造で、1階に客席があった。
事務所と倉庫、更衣室を兼ねた2階の壁に、毒性が強い青石綿が吹き付けられていたが、知らずに出入りしていた。

 別の仕事をしていた14年、胸膜中皮腫と診断され、労災申請していたが、昨年1月に死亡。4カ月後、労働基準監督署は「電車通過時の振動で、喫茶店2階の石綿が飛散した可能性がある」と指摘して労災認定した。

 この高架下では、喫茶店から約150メートル離れた文具店2階の壁でも青石綿が吹き付けられ、店長の男性(当時70歳)が02年に中皮腫を発症して死亡。遺族が損害賠償訴訟を起こし、大阪高裁は14年2月の判決で、近鉄に建物を管理する所有者としての責任を認めて約6000万円の賠償を命じ、確定している。

 現在高架下を管理する近鉄不動産(大阪市)によると、高架下には延長約200メートルに41の店舗用区画があり、70年ごろに耐火用の石綿が吹き付けられた。文具店長だった男性の遺族の要望を受け、05年度から除去や封じ込めの対策を進め、現在は飛散の恐れはないという。

 しかし、中皮腫の発症までの期間は20〜60年あるため、対策前に同じ高架下の店舗に勤務した人の健康被害が懸念される。
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 近鉄不動産は「ご遺族には心から哀悼の意を表したい。補償の申し出があれば誠意をもって対応する。高架下の店舗で勤務していた人への注意喚起も検討したい」としている。


 喫茶店長だった男性の妻(64)は「知人から同じ高架下で1人目の死者が出ていたことを教えてもらい、労災申請できた。まさか自分たちが石綿被害に直面するとは想像できなかった。過去に働いたことのある人たちへ危険性を知らせてほしい」と話している。

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