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2021年04月20日
スラムダンク その後 〜Another Story 国体編 Part81 延長戦前
神奈川 92
秋田 92
第4Qの激戦をもってしても、決着はつかなかった。
弥生「ふーっ、最後のプレーは見ごたえがあったわ。仙道君もイカシてたし。」
中村「僕の記者人生で、山王VS湘北戦に勝るとも劣らない名勝負です!」
(ポカッ)← 弥生が、ぶった。
弥生「あんたの記者人生って、そんなにないやないの。
しかし、最後の牧君の顔は不満そうだったわね。」
そのころ、神奈川ベンチは揉めていた。
牧「神、なぜゴールを狙わなかった!!お前なら、打てたはずだ。」
神「・・・。」
三井「何を怒ってんだ。とりあえず確実な方法を取っただけだろう!?」
牧「三井はすっこんでろ」
三井「!?なんだと」
三井が怒り狂う前に、赤木が制した。
赤木「牧よ。あの場面、仙道へのパスで間違いなかったと思うが。
高頭監督も難しいようなら仙道へのパスでという作戦だったはずだ。」
牧「甘いな、赤木。あの形は、海南では何千、何万回と練習してきた必勝の形だ。
あのくらいのマークで打てなくなるようなやわな鍛え方をしていない。
神、答えろ!」
神「確かに、打てたタイミングだと思います。ただ、打てなかった。
気づいたら仙道にパスをしていた。」
神は正直に答えた。
牧は神を責めたいわけではなかった。ただ、来年、海南を引っ張るのは間違いなく神なのだ。
来年の神は、チームを引っ張る立場だ。他者に頼らず、自分で切り開くくらいの気概が欲しかったのだ。
たとえ外しても勝負に行ける場面では勝負にいってほしかった。そういう思いが強く、強い口調で責めたのだ。
同学年の仙道がプレッシャーを感じずむしろ楽しんでプレーをしているところも牧を苛立たせた。
高頭「牧、神。今は、海南のことより神奈川のチームのことを考えるべきだ。
確かに、神には、勝負に行くという気持ちが三年生のお前たちに比べると薄いのかもしれない。
ただ、逆に三年生の試合を自分で壊せないという思いは強いのは感じてやれ。
神よ、これから考えるより先に動けるように帰ったら猛特訓だ。」
神「は、はいっ。」
高頭「さて、延長戦だ。なーんもかんがえておらん。が、ここまで来たら気持ちの問題だ。
牧、赤木、藤真、三井、仙道。お前たちで勝負を決めてこい。」
高頭は、今考えられる調子が良い5名の名を告げた。
一方、秋田ベンチは、
堂本「やられたな。まさかシュートでなく、パスでくるとはな。」
深津「やられたらやり返すだけピョン。まだ負けてないピョン。」
河田「ふー、本当に面白れぇな。神奈川は。赤坊主や流川がいなくても仙道みてぇな沢北に似たやつもいる。」
堂本「延長戦は体力の限り走れ。跳べ。それだけだ。
お前らは体力では負けん。
河田、深津、野辺、松本、美紀男。お前ら、インターハイの悔しさは忘れてないな!
全力で勝負を決めてこい。あいつらは疲れてシュートの精度も落ちる。
リバウンドを河田、野辺、美紀男で制空権を支配しろ。」
両監督は、最後の作戦タイムを終了した。
(続く)
2021年04月19日
スラムダンク その後 〜Another Story 国体編 Part80 ホイッスル
神奈川 90
秋田 92
牧は、ずっと考えていた。
日本一になるにはどうすればよいかを。2年のインターハイでベスト4になってからずっとだ。
それには、自分がインサイドでかき乱し、アウトサイドで強力な3Pシューターが射貫くという
ゲームプランが必要だと。
3Pが決まれば守備が広がり、自分自身が活動しやすくなるし、自分にマークが集まれば
3Pシューターは、マークが薄くなり、高確率でシュートを決められる。
その牧が描いた戦略を実行するには、神の成長が不可欠であり、その期待に答えたのも
神だった。
三井、藤真、仙道と強力なシューターがそろった神奈川を代表するメンバーが揃っていても
その信頼は薄れるものではなかった。
牧から、矢のようなパスが神へ放たれた。
一ノ倉がそれに反応し、素早く神へ体を寄せる。
神は、会場の熱気とは裏腹に恐ろしいまでに静かにシュート体制に入った。
一ノ倉は必死に、ゴールと神の間の直線をふさいだ。
しかし、神は、躊躇することなくシュートを放った。
一ノ倉「なに、このコースでは入らないはず・・・。」
瞬間(とき)がとまろうとしていた。
しかし、その静寂は、一瞬でかき消された。
それはシュートではなく、パスだったのだ。
空中にあるボールに一本の手が伸びてきた。
仙道の右手だ!
ゴール前に駆け寄った仙道が神のはなったパスをそのままリングに叩き込んだ!!
仙道「よっしゃ!」
神奈川 92
秋田 92
彦一「ア、アンビリーバブルや」
三井「や、やりやがった」
藤真「ふー、ギリギリだな。」
そう、高頭は何重にも作戦を立てていたのだ。
3Pシュータが多くはいることで、外に警戒がいく。
そこで牧が決められるようなら切り込んで決める。
牧にマークが集中するようなら、神の3Pで勝負をかける。
最後に、神にもマークがくれば、守備が外に向いている状態なので
インサイドはマークが薄くなるので、仙道が決める。
こういったプランを立てていたのだ。
しかし、どれも紙一重の作戦だ。まして、相手は王者。
1回こっきりのチャンスでうまくいくかハッキリ言って100%の自信があったわけではなかった。
結果的にも考えていたシナリオの最終段階まで追い詰められた。
が、選手たちを信じて送り出したのだ。
桜木「戻れーーーーーー。ヤマオーは狙ってくるぞ。」
桜木は、学習していた。
残り5秒。秋田は、守りを固めた神奈川を崩すことができず、ホイッスルが鳴った。
牧「延長か・・・。」
河田「仙道か。沢北みてーな奴だな。延長では俺が相手してやる。」
思った以上に、秋田に落ち込みはなかった。
むしろ、まだ試合を楽しめるという高揚感もあったのだ。
彼らは常勝軍団であり、大学生と試合をしても勝ってしまうため、
こういった緊迫した試合は楽しくて仕方がないのだ。
長き戦いは延長戦へともつれ込んだ・・・。
(続く)
2021年04月17日
スラムダンク その後 〜Another Story 国体編 Part79 作戦2
神奈川 90
秋田 92
高頭監督は最後のタイムアウトを取った。
あと残り35秒。
攻撃のチャンスは1回切りだ。
正直迷っていた。体力勝負になると分が悪いことが目に見えていたからだ。
あれだけの練習をこなしているメンバーにもかかわらず、体力の限界が目に見えていた。
それに対して、秋田の連中は、まだまだ体力に余力があるように見えた。
3点を取りに行くべきか?それとも・・・。
そう考えていると応援席から大きな劇が飛んできた。
「高頭ーーーー!選手たちを信じろ!」
その声は、田岡だった。田岡の方を見上げると力強くこぶしを突き出していた。
見渡すと安西もうなずいていた。
牧「延長になっても大丈夫ですよ。こいつら、諦めだけは悪いですから。」
三井「諦めたらそこで試合終了だからな!!」
高頭は、決心した。
高頭「よし、最後の作戦を伝える。」
一方、堂本は、
堂本「よくやった。この一本は大きい!ただ、ここで油断をするな。
インターハイで高い授業料を払っただろ。しっかり勝ちきれ!」
堂本は続けた。
堂本「最後は、牧だ。いくら仙道、三井の調子が良くても、神奈川は、
牧のチームだ。牧さえ止めれば勝てる。」
しかし、フィールドに立っているメンバーは、仙道、三井の勢いが凄いことを
肌で感じていた。残り時間と点差も考えると本当に牧で2点を取りに来るか?
ということが頭によぎっていたのだ。
河田「ここまで来たら、頭で考えても仕方がねぇ。各々が自分がすることをしっかりするだけだ。」
深津「そうだピョン。しっかりとやるべきことをやるピョン。延長にはならないピョン。」
そして、試合が再開されようとした際に、神奈川のメンバーを見て、驚愕した。
赤木と花形を下げて、神と藤真を投入していたのだ。
堂本「何!?逆転を狙いに来たのか?」
そしてフエがなった。
藤真「行くぞ!!」
藤真がボールを入れた。
この陣営では、リバウンドが取れないことは明らかだ。
スピードで秋田を混乱させるしかない。
しかし、最後の最後で秋田も全力で走って、マークを外さない。
牧「よこせ!!」
牧は、神の横を通り抜けて、ボールをもらった。
残り15秒。
牧にボールが渡り、緊張感がマックスとなった。
牧の集中力も研ぎ澄まされていた。
牧の前に立ちはだかったのは、深津。
深津「最後は抜かせないピョン。」
牧は、深津を背にし、中へ切れ込もうとしたが、深津も懸命に守っている。
それだけではない。
深津は、牧をうまく河田の方へ誘導していったのだ。
河田、深津のダブルチームで牧をマークした。
牧「これを待っていたんだ。」
牧以外全員が3Pシュートを打てるメンバーだった。
牧が最後に選択したのは・・・。
(続く)