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2016年06月18日
スラムダンク その後 〜Another Story 国体編 Part66 桜木の喝
神奈川 48
秋田 47
牧「ナイスだ藤真。」
藤真「来ると思ったぜ。」
普段はライバルの二人だが、今日は勝利という二文字のために、心が通じ合っていた。
松本「すぐ取り返そう!」
松本から深津へボールが回った。
深津は不思議と落ち着いていた。前半、屈辱的な戦法を取られていたが、自分を取り戻していた。
深津は、左手を高く上げて指を三本立てた。
三井「サインプレーだ。何か仕掛けてくるぞ!」
三井が叫んだ時には、深津が野辺に向かってドリブルをしていた。
仙道が深津の動きに反応していた。
しかし、一瞬で深津はストップし、仙道に背を向けた。
その瞬間に松本が深津の手からボールを受け取った。
松本を追おうとした三井が深津にぶつかった。仙道も深津が邪魔になりワンテンポ遅れた。
松本がフリーの状態でシュートを打とうとしていたところに赤木が強烈なハエタタキの体制に入った。
赤木「くらえっ!」
しかし、松本はそのプレーを読んでいた。
松本「甘いっ!!」
左手にボールを持ち替え、そちらの手でボールを左に落とした。
そのボールを受け取った河田が、凄まじい勢いでダンクを決めた。
神奈川 48
秋田 49
赤木「ちっ。」
三井「すまん。深津にしてやられた。」
珍しく三井が謝った。ここまで、いいところがない赤木に対して気を遣ったのだ。
赤木はその三井の優しさがわかっていて、かえってつらかった。
あれだけ対河田に向けて特訓をしてきたはずだったのに、全く歯が立っていないからだ。
そして、その気持ちがよりプレーに現れ、悪循環になっていった。
三井の3Pシュートがリングに嫌われた。
その際のポジション取りが完全に河田と野辺に赤木、仙道が負けてリバウンドをあっさり取られたのだ。
そのプレーを見ていた桜木がものすごく苛立っていた。
そして桜木は立ち上がって、ベンチの方へ歩き出した。
その間に、中山が絶妙のポジション取りでフリーになり、3Pを決めた。
ディフェンスの際でも、ポジション取りに赤木が河田に負けていた。
神奈川 48
秋田 52
桜木が1Fのフロアに降り立って、入ろうとした際に、警備員に止められた。
警備員「ここからは、関係者でないとは入れません。」
桜木「関係者だ!!ふんぬーーー」
と言い放ち、警備員に頭突きをかまして失神させた。
桜木「ちがーーーーーーーーう!!」
大きな声で桜木が叫んだ。
赤木「!?」
三井「あのバカっ!」
安西先生、彩子さんが流川の付き添いに行っていたため止める人がいなかったのだ。
桜木「こらーーー、ゴリッ。この天才に教えた基本ができてなーーーーい。
リバウンドはポジションが大事だっていってただろう。
天才に甘えすぎてサボってるから基本を忘れてるんだーー。」
そうこうしているうちに他の警備員も駆け寄ってきた。
桜木「リバウンドを制する者が試合を制するんだろう!?
丸ゴリなんかに負けんな!」
赤木「・・・。」
赤木はインターハイの山王戦で魚住が現れた時のことを思い出した。
奇しくも桜木に言われたことが魚住に言われた「泥にまみれろよ。」という言葉を思い出したのだ。
赤木は、打倒河田という個人的な目標でチームに貢献できていないことに気づいたのだ。
そしてその頃流川と安西先生が帰って来ている最中で、桜木の言動の一部始終を見ていた。
安西「逆転されていますね。」
流川「・・・。」
流川は何とも言えない顔をしていた。
安西「赤木君が河田君を意識しすぎているのは前半から気づいていましたが、それを桜木君がわからせてあげましたか・・・。あなたのライバルも成長してきてますね。」
流川は自分が怪我をしていて苛立っていたので、安西が流川のライバルという表現をしたことに対して反応しなかった。どこかでライバルとして認め始めていたのかもしれなかった。
(続く)
2016年06月12日
スラムダンク その後 〜Another Story 国体編 Part65 牧と高頭
神奈川 46
秋田 47
神奈川ベンチでは、牧と高頭が見つめあっていた。
幾度も困難な場面を乗り越えた二人だ。高頭は、牧のそろそろ出番ではないですか?という言葉ですべてを悟っていた。
牧の俺に任せてくださいという強い決意を。
高頭「よしっ。花形と牧交代だ。赤木、仙道っ。お前たち二人にインサイドを任せる。
赤木、河田だけでも大変だが、神奈川ナンバーワンセンターの実力を見せてくれ。
仙道、野辺は花形をバテさせるほどだが、お前のセンスに期待する。
そして、藤真よ・・・。」
藤真は交代を覚悟していた。花形が牧と交代とのことなので、アウトサイドを中心に、三井、神のスリーポインターを中心に攻めるのだろうということは、普段監督をしている藤真には容易に想像できたからだ。
高頭「お前は、この試合はゲームメイクはしなくていい。ここからは牧に任せろ。
高校に入学した直後のインターハイ予選で海南をてこずらせたポイントゲッターの姿を見せてくれ。外からでも中からでも好きなタイミングでシュートを打てばよい。
三井っ。バテてないか?」
三井「へっ。バテるはずがないぜ。ここからが本番だ。」
高頭「お前の爆発力にも期待している。不調なようなら神に変えるぞ。」
三井「悪いが、神、今日は出番がないぜ。」
神「今日のところは、三年に任せますよ。ただし、調子が悪かったらいつでも変わりますから。」
高頭「・・・牧。」
牧は高頭が言いたいことはすべて理解していた。
牧「いくぞ。まだ、たった1点差だ。このまま負けたら流川に笑われるぞ。」
一方、秋田のベンチは盛り上がっていた。
堂本「よしっ。流川には悪いが、こっちのペースだ。中山もこのまま自分を出していけ。」
深津「気を抜くなピョン。まだ1点しかリードしていないピョン。」
河田「そうだな。高さではこちらが有利だが、あっちも開き直ってくるかもしれん。」
堂本「外か・・・。松本、三井には気を付けろっ!」
松本「はいっ。アイツはへばってても、打ってくるので気を付けます。」
さすがに百戦錬磨の秋田なので、気を緩めることなく気を引き締めていた。
試合が再開された。
河田「おっ。花形は変えたのか?ずいぶん小さいチームだな。」
牧「走るぞ。」
牧から藤真へそしてすぐに牧へリターンパスがされた。
深津「今度は、止めるピョン。」
しかし、ここ一番の牧の集中力はすさまじかった。
深津が序盤よりディフェンスに力を入れていることを見抜き、すぐには抜けないことを見抜いていた。
抜くと見せかけていたが、すぐにストップし、流れるように仙道の方へ体を向けた。
仙道がマークを外していたのだ。
それは、中山が作った罠だった。牧が、仙道へパスをしようとした瞬間、中山が動いた。
中山「(ひっかかった)」
そう思った瞬間、牧は、逆方向にノールックでパスを出した。
そこには、藤真が待ち構えていた。
河田がブロックに行こうとしたが、赤木が体を張った。
赤木「打てっ!」
藤真は躊躇なくシュートを放った。
シュートはキレイな弧を描いてリングに吸い込まれた。
神奈川 48
秋田 47
中山「くそっ。うまくはまったと思ったのに。」
深津「狙いはよかったピョン。がっかりする必要はないピョン。
相手は海南の牧。そんなに簡単にはいかないピョン。」
再度神奈川選抜が逆転した。
(続く)
2016年06月05日
スラムダンク その後 〜Another Story 国体編 Part64 逆転
神奈川 46
秋田 43
観客「おおーっ。あっという間に3点差!!」
観客「勢いは完全に秋田になってるな。」
深津「ナイスピョン。それでいいピョン。」
中山「はいっ。」
戦力的には、流川と仙道が入れ替わっただけなので神奈川の戦力にそれほど変更があったわけではなかった。
しかし、流川の退場でムードが変わり、流れが途切れてしまったのだ。
藤真「ちょっと嫌な流れだな。ここが踏ん張りどころだな。」
花形「あぁそうだな。しっかり一本返すぞ。」
神奈川のメンバーもムードが変わりつつあることを実感していた。
藤真は落ち着いてパスを回した。
ハイポストの赤木に一旦ボールを入れ、赤木が右に首を振り、スピンムーヴで切れ込むふりをしたところで、三井が走りこみ、ボールを受け取った。
この辺りはさすがに同じ高校で練習しているだけあって、息があっていた。
しかし、その三井の動きを中山が読んでいた。
中山が三井の前でディフェンスに入った。
三井「おっ、なかなかやるな。けど、まだあめぇな。」
そのまま三井は左に行くと見せて、ローポストにいる花形にパスを入れた。
花形「よしっ。」
花形がシュート体制に入った。ほぼフリーの体制に遅れて野辺がブロックに入った。
完全に決まる体制だった。
が、野辺のブロックが炸裂した。
花形「な、なにぃ。」
野辺「!?な、なぜ届いた!?」
ブロックした野辺も少し驚いていた。
野辺がはじいたボールを取ったのが中山だった。
深津へボールをわたし、すかさず速攻に走った。
深津から松本へボールが渡り、松本が落ち着いてレイアップを決めた。
神奈川 46
秋田 45
福田「なぜあのタイミングで止められた!?」
田岡「考えたくはないが・・・、疲れだな。」
彦一「し、しかし、翔陽は疲れてバテるような練習はしてないはず。
現に、国体の練習の時もものすごい練習量でしたで、カントク!!」
田岡「翔陽は真剣勝負をした試合が今年は決定的に足りていない。
湘北に負けて、決勝リーグに勝ち残っていないのだ。
プレッシャーがある試合をしていない。それがいきなり全国の決勝戦だ。
しかも相手は、全国屈指のリバウンダ―野辺だ。
相当体力が削られているだろう。ジャンプ力が落ちているのだ。」
田岡の推測は当たっていた。それは、高頭もわかっていた。
中が弱くなっていることを感じた三井が3Pを放ったが、外れた。
そして、河田がバテているとわかっている花形のところから攻めた。
軽いフェイクで花形をジャンプさせ、シュートを放った。
普段なら花形は最初のフェイクで体が流れることもなく、もう一度ジャンプし、防ぐことができるのだが、足がもつれた。
神奈川 46
秋田 47
観客「逆転だーーー。」
ここで高頭がタイムアウトを取った。
高頭「(まずいな。流川が負傷して、花形がバテたとなるとインサイドで太刀打ちができなくなる。まだ、3Qだぞ。どうする。)」
高頭は冷静を装っていたが、頭の中はフル回転をしていた。
高頭「(高砂では荷が重いが高砂で行くか!?それとも・・・)」
もう一つの案が高頭の頭でよぎった。しかし、その形は一度も練習をしていない。
悩んでいる高頭に向かって一人の男が、席を立った。
牧「そろそろ出番じゃないですか?監督」
(続く)