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2018年11月14日

グランクレスト戦記 24話・全体感想 登場人物の信念描写が特筆的なファンタジー戦記

24話 皇帝聖印


あらすじ
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テオと近侍の数人は吸血鬼の王ディミトリエの招きにより常闇の森へと召喚される。
混沌の力に圧倒されるが、プリシラの聖杯の加護とエマたちの兄イオンの犠牲をもって撃退する。
テオたちはエーラムへと戻りフベルトスと対峙、混沌儀からパンドラの理念を伝えられる。
破滅の過去と未来を提示されるも、テオは現在を生きる民のため混沌の時代の終結を選択する。
3年後、テオたちとアレクシスたちの結婚式が合同で行われ皇帝聖印が誕生、世界の混沌が消滅する。
さらに後、テオは帝位をアレクシスへと禅譲し、システィナでシルーカたちと平穏な日々を送る。
感想
ついに最終回です。また長く空いてしまいました……総評的なものも含めたので書いても書いても終わらなくて過去最長に。まさか5000文字を超えるとは思わなかった。

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ついにディミトリエとの最終決戦。冒頭でカッコよく登場したイオン兄さんだが、一体なぜこのタイミングでここにいるのだろう。ディミトリエがテオたちをここに招くことは予測しえないはずだが……。また、本体を見つけた時点で殺しておかなかったことも疑問である。原作にも説明がない(展開も多少違う)のでいろいろ考えてみたが、
・いずれディミトリエが帰ってくること自体は予測できる
・彼の死を確認しておきたい
という二点から、「彼と対面した上で本体を殺すためにずっとここで待っていた」のかもしれない。(そうするとテオたちと共闘になったのはたまたまということになる。)気の長い話だが、転移能力を持つ対象をむやみに探すよりは確実性が高い。吸血鬼ほどでなくても人狼は寿命が長いのかもしれない。
小説媒体はこういうツッコミどころを地の文で解消していく作品が多い印象だが、今回それがなされていないのは、ここもプリシラの最期と同じように急いで終わらせた(※推測)弊害なのかもしれない。イオンが本体を探す前振りはしっかりなされていただけにそう思う。

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謎のディミ顔ルーレットは怖いような可笑しいような、なかなかシュールな演出。しかし荘厳かつ不吉なテイストのBGMがラスボス戦にふさわしい。バトルシーンもさすがの迫力である。混沌の海に落ちるような描写はアニメオリジナル。ファンタジックになって視覚的に映えるようになっている。プリシラさんが完全にメインヒロインの風格である。彼女の全体描写量がシルーカの半分ほどでもあれば、きっとここで大泣きしていたことだろう。彼女の力とイオンの執念・犠牲によって勝利。

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怯えて逃げるディミトリエの残滓。ラスボスならもっとカッコよく散って欲しい……と思いがちだが、ここはむしろディミトリエのキャラクターを貫徹させた見事な描写だと思う。5話や今回で描写されたとおり、彼はただ「生き続けたい」という理念で行動してきたので、殺されそうになったら命乞いをするのが正しいのである。ラスボスが見苦しくなろうとも信念の描写を優先させたのは、テーマの一貫性という意味でさすがと言える。
ただエマルナが見逃したところで最終的には全ての混沌が消滅する展開なので、結局は描写外のところで彼は死んでしまうのだが……。ちなみに原作のディミトリエにはかなり違った結末が用意されているため、このシーンも若干ニュアンスが変わっている。

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瞬時にエーラムに戻ってくるテオたち。この描写と原作記述を参照するに、常闇の森まで移動したわけではなく、結界内が常闇の森になったということだろうか。招いていないイオンが現れているので、”結界内を実際の常闇の森とリンクさせた”というのが正しいのかもしれない。

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「あなたがフベルトスか」
フベルトスの名前が作中で呼ばれるのは初めてなので若干唐突な印象を受ける。
「混沌の時代を、終わらせてはなりません」
パンドラの正体は現存する人物ではなく、質問に回答する機能がついた記録のような存在だった。パンドラが生きた時代の先文明が発達しきった結果、究極のエネルギーによる滅亡が予見されたため、回避するために世界を混沌で満たした、という筋書きが説明される。
パンドラのCVは冬馬由美さん。ご存知和製エルフの始祖、ロードス島戦記のディードリット役であり水野良ファンには嬉しいキャスティング。そして彼女の理念は同作品の灰色の魔女カーラのそれと酷似している。ファンにとっては作品をまたいだリンクにニヤリとするところであり、同時に「またそれか!」と思うところでもある。

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「たとえ終わりの始まりになろうとも、俺は混沌ではなく秩序の時代を選ぶ」
混沌が存在すれば文明の先鋭化はありえない(3話で描写されたように容易に火も使えない)ので絶対の安全を期すのであれば、混沌を残した上で上限付きの繁栄を目指すのが施政者として無難な選択だろう。実際、原作ではシルーカはパンドラの理念への共感を表明している。
しかしそれでもテオが混沌を消す選択をしたのは、プリシラとの約束も影響しているだろうが、これまで作中で描かれてきたテオの信念の通りの行動だと思う。何度も書いてきたが、テオの思想はマクロよりミクロ、”全”より”個”を優先する傾向がある。パンドラの理念は”全”の管理であり、混沌を残したのではそれは変わらないので、秩序の時代をもって人類”個”人の選択権を”全”体管理から取り戻したい、というテオの信念が見える。
キャラクターの行動理念を要所要所で披露しつつ、最初から最後まで一貫させる見せ方は快い読後感を与えてくれる。さすがベテラン作家と言う他ない。

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結婚式のキスシーン、マリアレ組が堂に入っているのに対し若干不格好なテオシル組が微笑ましい。ザ・ラスト・オブ・しるかわ。
マリーネのドレス、原作では大講堂の惨劇のときと同じ白ドレスだったのだが、アニメでは黒に変更されている。原作では「惨劇を過去にする」という意味をもたせたものだっただけに、アニメで変更した理由が気になるところである。確かにマリーネの印象は原作読者とアニメ組で異なるかもしれないので、まだ喪に服す心境にあるのが相応しいということだろうか。ちなみにアニメでは即位→3年→結婚式で皇帝聖印誕生、混沌消滅という流れだが、原作では即位→直後に結婚式→7年→皇帝聖印誕生で混沌消滅という流れである。混沌消滅と結婚式を同時に描くためか、地味に大幅変更されている。結果としてクライシェ家の喪中が3年伸びたことに……。

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混沌が消滅しシルーカの腕の中で消えるバルギャリー殿下。でんかあああぁぁ!この別れについてもいくらでも描写できる余地があったように思うが、物語の取捨選択のつらさを感じる。今後の原作外伝などに期待したい。

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あっさりと帝位をアレクシスに譲るテオ。テオ本人の意向が大きいのだろうが彼の全より個というスタンスは世界を長い期間統治するには不向きかもしれない。左スミに消息不明だったへそ出し三姉妹の一人、コリーンさんの姿を発見。よかった生きてた。ちなみに原作ではちゃんと生存過程が描かれているのだが、アニメの描写と矛盾する。以下ネタバレ→原作ではウルリカに殺されかけたところをジード・フリントの人狼兄弟に助けられてジードと脱出、逃げそこねたフリントはウルリカの配下(ペット)になるのだが、アニメではフリントがテオ陣営に健在である。まあ似たようなことがあったのだろうと補完しておこう。ちなみにウルリカさんの姿は……ないようだ。彼女のその後が気になる方は原作をどうぞ。しかし、元皇帝がごく自然に農夫をしてるのはなかなか衝撃的な光景である。

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「シルーカ、俺の魔女。すべて君のおかげだよ。」
テオがシルーカの手を取る、初めて出会ったときとの対比となるカット。この二人に始まりこの二人に終わる、大変きれいな感慨深いラストである。全24話半年間(+感想遅れ4ヶ月)ありがとう。そしておつかれさまでした。

全体感想

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まずはじめに、小説10巻分をアニメ24話に収めるのは非常に難しいと思う。参考までに、「アルスラーン戦記」は6巻分を33話で描写、「とある魔術の禁書目録」は1期が6巻分を24話、2期が8巻分を24話という構成になっている。これらの作品の映像化から類推するに、小説1巻を不足なく映像化するには本来4〜6話ほど必要になると思われる。グランクレスト戦記はオリジナル世界観の説明にも時間がかかるため、構成面は相当ハードルが高かったといえる。
構成・演出
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世界観の説明はとにかくキャラクター同士の会話内で行われている。これは大変スマートで美しいとは思うのだが、原作がTRPGベースだけに世界設定が深く、1話などはほとんどが説明セリフになってしまっている。それでも1話24分という限界があるため、めちゃくちゃ説明しているのに視聴者に理解されないという結果になってしまったことは否めない。以前も書いたが中盤に差し掛かる頃の「アルトゥークは立地的にピンチなので抗戦を訴えねばならない」というストーリーも、地図があまり表示されないために理解の阻害を招いていたように思う。自然さ、スマートさにこだわらずにもっと雑に説明テロップや地図等に頼ってもよかったように思う。実際、テロップ等を駆使した1クール後の総集編はかなり好評で、あれのおかげで後半が面白くなったという意見も掲示板等でよく見かけた。一方で、キャラクターの心情を表現する短い表情カットは随所に挿入されており、地の文を持たない媒体の演出としてお見事だった。
ストーリー
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ストーリー骨子についてはさすが原作者の水野良先生と矢野俊策さんがシリーズ構成を担うだけあって、必要なシーンの取捨選択がお見事だったように思う。リアルタイム視聴時は小説のように前のシーンに戻れないため話を追うのが少し難しかったが、録画でじっくり見返し、考察すると原作未読でも不足なくストーリーが理解できるようになっていた。アニメは初見で話が難解だと見限ってしまう視聴者が多くいるように思うが、自分としては戦記物というジャンルが持つ魅力に溢れた、何度も見返す熱量をいただけるストーリーだった。ただ、それだけに3〜4クール欲しかったなあという気持ちも強い。骨子はともかく肉付けのほうは、マリーネの印象にやや影響が出たり、プリシラの描写が少なかったり、サブキャラの結末が描かれなかったり……といろいろ不満がなくもない。前述したように異例の構成難易度だったことを鑑みれば素晴らしい完成度と言えるのだが。
キャラクター
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キャラクターについては、シルーカさんがメインヒロインとして大変可愛かった。しるかわ。全体としては、多くのメインキャラが視聴者の興味を惹く意外性を持ちながらも、強固で一貫した信念を持っていたことが好感触。どいつもこいつも頑固に描かれていた。ヴィラールなどは登場時の敵味方不明のうさんくさい印象が、最期には完全な味方として悲劇的な先達に変わるのだが、彼の人格はマルグレットの愛を受け入れた事以外、改心や変節をしたわけではない点が面白い。一貫した人格を持たせつつもその公開範囲を操作することで見せ方を変える、というキャラクターの描き方は大変参考になるものがあった。
作画・動画
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作画については全体的にレベルが高かったように思う。まれに崩れることはあったがここ一番での大規模戦闘の動きは圧巻だった。個人的に好きなのはテオの転機となる4話、ヴィラールの散る11話、システィナ解放の14話、ミルザー打倒の17話、ラシック巨人殺しの23話あたり。
主題歌・CV
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OP、EDは4曲とも良かった。後期OPの「凛」が特に好き。綾野ましろさん、ASCAさん、お二人とも透き通った高音と重さのある低音を兼備した本格派のボーカルだと思う。テーマソングのレベルが高いと作品全体の格のようなものがぐんと上がる気がする。CVについては有名どころが揃っていて安定のクオリティという印象。主演の熊谷健太郎さんと鬼頭明里さんは大きくテオとシルーカの印象が自分の中に刷り込まれた。今後はお名前を見かけるたびに嬉しくなると思う。他には、茅野愛衣さんのマリーネの立場と心境に合わせた硬軟を使い分ける演技が大変印象に残った。
おわりに
ファンタジーも戦記物も好きなジャンルであるため久しぶりにハマれる作品に出会えました。毎週ブログで感想を書くというのもはじめてでしたがおかげで深く楽しめたように思います。それだけに原作が終わってしまったのが寂しいですが、外伝と、今度はコミカライズも追ってみようかな。キャラクターの描き方など創作において勉強になるところも多々あり、いい刺激を受けることができました。ありがとうございます。
長らく感想を読んでくださった方にも感謝を。……今になって見返すと、序盤の感想が短いうえに軽くてお恥ずかしい限り。




posted by ぺーた at 21:30 | Comment(0) | TrackBack(0) | アニメ
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