安いダンスホールは
たくさんの人だかり
陽気な色と音楽と
タバコのけむりにまかれてた
ぎゅうぎゅうづめのダンスホール
しゃれた小さなステップ
はしゃいでおどりつづけてる
おまえを見つけた
子猫のような奴で なまいきな奴
小意気なドラ猫ってとこだよ
おまえはずっとおどったね
気取って水割りのみほして
なれた手つきで火をつける
気のきいたはやりもんくだけに
おまえは小さくうなずいた
次の水割り手にして
わけもないのにかんぱい
こんなものよとほほえんだのは
たしかにつくり笑いさ
少し酔ったおまえは考えこんでいた
夢見る娘ってとこだよ
決して目覚めたくないんだろう
「あたいグレはじめたのは
ほんのささいなことなの
彼がいかれていたし
でもほんとはあたいの性分ね
学校はやめたわ
今は働いているわ
長いスカートひきずってた
のんびり気分じゃないわね
少し酔ったみたいね
しゃべり過ぎてしまったわ
けど 金がすべてじゃないなんて
きれいには言えないわ」
ゆうべのくどき文句も忘れちまって
今夜もさがしに行くのかい
寂しい影 落としながら
あくせくする毎日に 疲れたんだね
俺の胸で眠るがいい
そうさおまえは孤独なダンサー
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