エーレンフェストは統計学と量子力学を洗練された形で結びつけたと言えるでしょう。2つの指標。期待値と波動関数を結びつけました。
オーストリアに生まれウィーンで育った
エーレンフェストは研究生活において
非常に恵まれていたと思います。
まず、ボルツマンの講義を受ける環境をもち、熱力学の運動論に大変、感銘を受けます。ミクロの世界と可視下で想像できる質点の世界を繋げる事が出来たのです。更に小旅行でローレンツに出合い互いに刺激を受け、その後、アインシュタインと交友関係を結びます。アインシュタインとエーレンフェストは共にユダヤ系でしたので多くの
思想・話題を共有したことでしょう。
【ローレンツとアインシュタイン_
エーレンフェストの自宅前で
Crediit;:_ pinterest.com_】
冒頭に、エーレンフェストは2つの指標。期待値と波動関数を関連付けたと記載しましたが期待値とは簡単に言えば平均値の事です。例えば、距離で考えてみると精度を上げるほど実測値には幅が出てきます。4.155oだったり4.154oだったりします。そこで数回の測定の平均値をとって確からしいと思われる数値を決めます。期待値です。期待値という言葉を使う時には分散値とか誤差とか併記され統計的な処理がなされていると思って下さい。【より細かい話としては離散値だけでなく連続値に対して期待値・分散値を考えていきます。】
また、エーレンフェストが考えていた他方の概念である波動関数は、細かい世界を表現するにあたり観測にかからない物理量を表現する表現方法です。ミクロの物質には粒子性と波動性が混在するからです。
エーレンフェストの定式化した考えによると
波動性が顕著に表れていると思える現象でも
その運動量や速度が求まり粒子と比較して
議論する事が可能です。2つの手法が繋がるのです。
エーレンフェストは優れた教育者でした。
ライデン大学の教授を務めた彼のもとには
多彩な人材が集まり育っていきました。
彼は弟子達をヨーロッパの研究機関で修行
する事を進め、海外の違った環境で研究を
する事を奨励しました。
ヘンリク・クラマースジェラルド・カイパー
などが学生として所属、
グンナー・ノルドシュトルム、
エンリコ・フェルミ、
イーゴリ・タム、オスカル・クライン、
ロバート・オッペンハイマー、
ハイゼンベルク、ポール・ディラック
_が外国人研究者として
長期間研究をしました。
そして晩年、エーレンフェストは
重度のうつ病に苦しんでいたようです。
アインシュタインが仕事量を減らすように
職場に働きかけたたようです。
最後はダウン症だった末っ子Wassikを
打ち殺し自らも命を絶ちます。
ご冥福をお祈りするしか出来ません。
彼が考え抜いた末の結論だったのです。
そして、エーレンフェストが始めた
ライデン大学での夜間・物理学コロキウムは、
今でも「Colloquium Ehrenfestii」と呼ばれ、
続いているそうです。
〆
【舞台別のご紹介】
以上、間違い・ご意見は
以下アドレスまでお願いします。
最近全て返事が出来ていませんが
全て読んでいます。
適時、改定をします。
nowkouji226@gmail.com
2020/10/21_初版投稿
2021/01/16_改定投稿
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