で、『ザ・ファブル』なんすけど、
テレビがつまらんとか言うけど、『水曜日のダウンタウン』とならんで深夜の時間帯、ホンマ奇跡みたいに登場する数少ない伝説的アニメって、ゾクゾクする面白さで、
深夜に放映するから表現の自由度も高いわけで、
今でも鮮烈に思い出すのは、なんか寝苦しくて仕方ないからテレビ付けたら、セリフも聞き取れない絶叫みたいな激しいロックが流れてきて、それが初めて耳にした『カイジ2』のオープニング、
正式名称は『逆境無頼カイジ破戒録編(ぎゃっきょうぶらい かいじ はかいろくへん)』(全26話)ですが、
放映が始まってひと月くらいのころで、地下強制労働施設で、班長大槻(はんちょう おおつき)のいかさまギャンブルに負けたカイジが身ぐるみ剥(は)がされ、四五組(よんごうぐみ)のひとりとして借金生活を始めるあたり、
その次が『ジョジョの奇妙な冒険 ダイアモンドは砕(くだ)けない』全39話、
これもなんか寝苦しくてしゃあないし部屋の明かりとテレビを付けたら偶然放映中で、こちらも始まって数話過ぎたあたりから観はじめて、結果メチャメチャおもろなって来て、
それまで、ジョジョのジョの字も知らなかったんすか、
恥ずかしい話やけど、マンガ自体ぜんぜん読まんから、放映されてるアニメじたいが初体験なわけで、
そういう意味では逆に新鮮かもしれませんね、
予備知識とか無いから、原作とアニメの比較とかしないで済むし、最終的には声優さん達の熱演が決め手になって、引き付けられることがほとんど、
じゃあどちらかと言えば、目より耳から感動を得てると、
耳といえば、ジョジョのこのシリーズ、オープニングテーマが何曲も変わるのが新鮮で、アニメ化にあたって原作者を初めとする作り手たちがどれほどノリノリだったかようわかる、
今回の『ザ・ファブル』も、声優さん達の関西弁(かんさいべん)がじつに素晴らしいので、ヤクザがらみのけっこうハードな世界やけど、グングン引き込まれて、週1ペースの放映じゃぜんぜん物足りひん、
関西弁といえば、カイジ2の後半でカイジと組んで裏カジノに乗り込む坂崎孝太郎、通称「オッチャン」の関西弁はイマイチというかぜんぜんダメでした、
押しの強さでなんとか乗り切ったけど、まったくいけてない関西弁はとても残念・・・それに比べると舞台がずっと大阪ということもあって事前準備もバッチリしたようで、『ザ・ファブル』で聞く関西弁はどれも完璧(かんぺき)な発音でうれしい、
しかし、カイジ・ジョジョ・ファブル、どのアニメもオープニングとエンディングにそれぞれ良い音楽が、
まあ回数見てると、さすがに飽きてくるけど、良いアニメほどついて回る音楽も素晴らしいのは確かで、
主人公ファブルこと佐藤 明(さとう あきら)については、
独特のしゃべり方に好き嫌いはあると思うけど、これはこれでええんちゃう、
三流お笑い芸人「ジャッカル」については、
ジャッカルと言えば、フランス大統領ドゴールの暗殺未遂(みすい)事件で映画化された『ジャッカルの日』で有名なんで、そのイケメンでクールな殺し屋「ジャッカル」を知ってるほど、その落差で笑えるわけやけど、はたして今の若い世代がこの古い名画を知ってるかどうか、
『邪狩(ジャッカル)』消臭剤のCMにも出演してますね、間違って自分にもスプレーして消えてくという、
第1話からさっそく登場する殺し屋とお笑い芸人の組み合わせは確かに新鮮で、伝説の殺し屋なのに猫舌で焼き魚をフウフウしてもらったり、偽造運転免許証の顔写真が変だったり、お笑いの要素をあちこちに散りばめて裏社会の深い闇を少しでもマイルドに見せようとするねらいも、
逆に言うとそれだけ裏社会の描写が生々しいと、
声優さんの関西弁が素晴らしいから、ヤクザもふくめた関西人の姿が生き生きと描き分けできていて、じつはそこがいちばんの魅力なのかも、
やっぱり最後は人間像がしっかり描(えが)けてるかどうか、
たとえばアニメ『逆境無頼カイジ破戒録編』でいえば、前半でカイジを食い物にする地下強制労働施設の班長大槻(おおつき)や、後半でカイジと行動を共にする坂崎孝太郎(さかざき こうたろう)、このふたりだけ見ても、それぞれに人間性が生々しく描けていて、だからそのキャラにひかれて次から次へ見続けてまう、
坂崎のオッチャンについては関西弁イマイチでそこだけ残念ですが、
それだけに、今回の『ザ・ファブル』はどの登場人物の関西弁も素晴らしいから、もしかしたら日本アニメ史上もっとも関西弁が成功した作品として人々の記憶に残るかも、