2019年03月15日
新型Audi A6発売! 輝きを取り戻せるのか?
当方はかつてアウディ車を所有していたこともあるのでブランド的には好きなのですが、ここ数年の日本においてはアウディ車の販売台数が右肩下がりなのは非常に気になるところ。最新のアウディ車を街なかで見かける機会が減ったと感じるのは私だけではないと思います。
SUV系の人気が高まったというのもありますが、新型A4、新型A5(Sportback)は前モデルよりかなり見かける頻度が下がりました。
2018年の販売台数は自販連によると「26,473台」と2014年をピークとして右肩下がりに減少しています。もともとディーゼルエンジンモデルは投入していないので、ディーゼルエンジンの燃費不正事件の影響は直接的にはないはずですが。
2018年はフラッグシップセダンの「A8」、スタイリッシュな「A7」といった最先端の技術を投入した新型車を投入しましたが台数の伸びには貢献しなかった模様、実際に都心部でもその姿を見かけることは極めて稀です。
台数的にはメルセデス・ベンツ、BMW、VWといった著名ブランド(年5万台〜6万台クラス)の「半分」程度の規模となってしまい、日本においては「ジャーマン3」という言葉は使われなくなる日も遠くないかもしれません(人気が急上昇しているVOLVOと台数を競うことになる日も遠くない?)
新型「A6」において、車自体は魅力的な部分も多いですが、デザイン面ではどうも以前のような「オシャレ感」がなくなり、メカニカルなカクカクとした直線的なデザイン、特徴的すぎるライト類が今ひとつ受けていないように思います。(個人的にはガンダムチックで割と好きなのですが・・・)
また、日本仕様の装備・内装クオリティが本国仕様に比べ低い、その割に価格が高いという印象が拭えません。
以前は本革だった部分が合成皮革のレザレットに置換されている部分や、樹脂パーツ部分の拡大やこまかなスイッチ類の質感も低下している部分が目立ちます。(PWスイッチ、シート調整スイッチ類など)
しかし、A6、流石に先進装備では、注目すべき点は多いです。
特に先進安全装備では先にデビューしたA8,A7系の装備を引き継いでいます。
・見切りの悪い交差点で左右をモニタリングする「フロントクロスロラフィックアシスト」
・大きな交差点で右折時の対向車を検知する「ターンアシスト」
・降車時に、後方からの車両を検知し、ドアの解錠を抑制する「エグジットワーニング」
などは、日本車では備わってない非常に利便性の高いセーフティー機能を備えています。
しかし、いわゆる360度カメラモニタリングシステムの「アシスタンス・パッケージ」(約11万円〜14万円)がオプションというのが非常にケチくさい感じがします。これはいただけません。
その他、先進的なデジタル液晶メーター「バーチャルコクピット」、ブラックアウトされたナビ・オーディオパネルはインテリアの質感の高さに貢献しており、非常に魅力的です。(センターパネルの操作性には難有りの部分はありますが)
しかし、内装は前モデルと同様、「A6/A7」ではほぼ共通。
A8とは価格差以上の内装の質感差があり、「1000万級」として考えると、もう少し質感が高くても良いように思います。「2.0Lモデル」が700万円台前半あたりで追加設定されれば競争力が出てきそうですが。
最大の問題と思われるのがその価格設定。
新型A4,A5と同様、一言で言うと「高い」と感じてしまいます。
もともとリセールでは弱いとされるA6系ですが、果たして既存オーナーさんが乗り換えできる価格に設定されているかというと・・・?
ラインナップの豊富で価格設定が絶妙なメルセデス・ベンツ Eクラス等に移行してしまうのはやむを得ないと思ってしまいます。
現時点での日本仕様では、3.0LV6ターボエンジン+48Vシステムのマイルドハイブリッド仕様のみがラインナップ。
標準仕様がスポーティな内外装の「S-line」で、なんと大台突破の「10,060,000円」。
しばらくは、お求めやすい「デビューパッケージ」がラインナップされるようですが、それでも「9,200,000円」とかなりの高価格。
セダン系の人気が低下している中、「A8」のような超豪華な内装でもなく、突出したパワーもなく(340ps、51kgm)カタログ上の燃費も平凡(12.3km/L)、質実剛健ではありますが、カタログ映えするような仕様がそれほど多くなく、実用的なフォーマルな4ドアセダン(または5ドアワゴン)としてはかなり高めな値付けのように感じます。
前モデル、2012年〜2013年登録の「A6」だと下取り価格は200万円台でしょうから、追金は800万円超。
残価設定ローンを活用したとしても、リセールが低いと思われるA6では乗り換えするのも躊躇するのではないでしょうか。
(現A6オーナーの乗り換えのハードルが比較的高いように思ってしまいます)
また、「S-line」がベースなのも違和感があります。(スポーティな「A7」はS-lineベースでも違和感はなかったのですが)
「デビューパッケージ」は、「920万円」とカタログ仕様(S-line)より「約86万円」安く設定されており、お買い得に見えますが、S-lineの外見が失われる他、以下のような違いがあるようです。
・HDマトリクスヘッドライトが非装備(約▲320,000円相当)
・20インチホイール&タイヤを特別装着 (約+200,000円相当)
・フロントクロストラフィックアシストを特別装備(約+30,000円相当)
・シートが高品質なバルコナレザーから、本革+合皮の「パーシャルレザー」へ変更(約▲200,000円相当)
・インテリアパネルがアルミから本木目仕様へ (±0)
・ステアリング形状がスポーティな3本スポークから4本スポークへ。
・ルーフ、ピラーのカラー変更
・アンビエントライトのカラー色調整機能なし (約+90,000円相当)
標準の「S-line」だとシートカラーは「ブラック」or「グレー」の2色だけですし、インテリアパネルもアルミ仕様のみ、という1000万円を超える車にしてはちょっと無難すぎる組み合わせ。
また、以下のような気になる点もあります。
■ボディカラーもソリッドブラック以外はすべて有償オプション(A7ではほぼ全色無償)
■先進的なヘッドライトの「レーザーライト」が選択不可。
■シートの送風(ベンチレーション)機能は設定なし。
■助手席のシートポジションメモリー機能はなし。
■ステアリングの電動調整機能はオプション(「パワーアシストパッケージ」ドアのイージークローザー機能とセットで16万円!)
*そのかわり、ドアのイージークローザーがオプションで備わるのはgood!
■フロントグリル内のセンサー(左右2箇所)が非常に目立ってかっこ悪い!(A7も同じ)
これ、アウディのデザイナーは許せるのでしょうか?
https://car.watch.impress.co.jp/img/car/docs/1174/302/html/005_o.jpg.html
その他、目玉装備の一つ、「ダイナミック オールステアリングホイール」(後輪操舵、レクサスでは「VGRS」+「LDH」に相当)は、全車オプションで「4輪ダンピングコントロールサスペンション」とセットでグレードにより38万円〜44万円。
これを装備することで最小回転半径も「5.7m→5.2m」とAWD仕様とは思えないほど小回りが効くようになりますし、ダンパーの4輪独立制御はかなり乗り心地に貢献すると思うので、ぜひ装備したいところですが、なかなか高価なオプションですね。これが3.0L仕様で「標準装備」であるのなら理解はできる価格設定なのですが・・・
インテリアの洗練さはさすがと思いますが、新型A6は一目惚れをするようなデザイン、衝動買いをしてまで欲しくなるような価格設定、仕様ではないように思ってしまいます。厳しいようですが、これでは2019年度のアウディジャパンの販売に勢いはつかないのでは。
首都圏エリアでは、原宿にあった「アウディフォーラム」の閉鎖以後、ショールームも無くなってしまいましたし、以前のようなホテル等での大規模なイベントもあまり行われなくなった感があります。
また、アウディ車のレンタカー(オンデマンド)が開始されましたが、なかなか高価な設定で地域は限定されていますし、「アウディ車との接点が少なくなった」ことも販売面で苦戦の要因でもあるように思います。(結局売れてるのはQ2、A3、Q5などの比較的コスパが良好な車両?)
当方のかつての営業担当者も2名いましたが、どちらも退職してしまいましたし、販売現場のスタッフもかなり厳しいのでは・・・
今後の派生モデル「A6 オールロードクワトロ」などの登場にも期待したいところですが。
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