2023年08月29日
「人間失格」*太宰治
高校生の時に読んでみたものの、私自身の知能と経験値が薄い為に、その本の素晴らしさを全く理解出来なかった作品が数冊ある。太宰治の「人間失格」はその一冊である。
「人間失格」*太宰治(新潮文庫)
価格:308円 |
先日、北千住の商店街を散策していた時のこと。
味のある昔ながらの書店に立ち寄った。
今なら新潮文庫の100冊で特製栞もいただける上に、この書店のレトロなブックカバーが可愛いとネットで書かれていたので「人間失格」を購入。(以前買ったものは、古書店に売ったと思われる)
若き時とは違い、冒頭から一気に惹きつけられてしまった。
この本が今の世でも愛され続けているのは、”この本に登場する人物の誰か” に共感する人が少なくないからではないだろうか。(無論、そんな気持ちとは全く無縁の方も少なくないと思うが)
そもそも恥の多い人生を現在進行形で送っている私は、葉蔵のお道化る気持ちがよく分かる。
本心とは裏腹に自分の意図する所とは別の顔を装うあまり、結局は虚無感に襲われ、空ろな世界に迷い込みながらも、あーだこーだと苦悩してしまうのも頷ける。
私は葉蔵とは違い全くモテない人生を過去も今も過ごしている訳だが、それでも共感する部分が多い。
自分の行く末もこうなるのだろうか・・と、ふと恐怖さえ感じてしまう。
そもそも太宰治自身の姿を赤裸々に綴った、遺書的作品なのではないかとも言われているだけに共感する自分が怖かったりする。
若い時に読んでみたものの、その良さがイマイチだった本(純文学)を今一度読み直してみようかな。
素敵な読書タイムを。
posted by mysterynovels at 21:54| JAPAN