2016年09月09日
報道しなかったら誰が責任を取るんだ!2015年制作「スポットライト世紀のスクープ」劇場公開2016年4月
2001年、新編集局長にニューヨーク・タイムズからマーティ・バロン(リーヴ・シュレイバー)が派遣された。
受けるボストン・グローブの面々、チーム「スポットライト」のデスク、ウォルター・“ロビー”・ロビンソン(マイケル・キートン)、マイク・レゼンデス(マーク・ラファロ)、サーシャ・ファイファー(レイチェル・マクアダムス)、マット・キャロル(ブライアン・ダーシー・ジェームズ)は、次の会話に見られるように親会社から派遣されてくる上司を揶揄する。どこの会社にもある風景だ。
「また二人転職よ」とサーシャ。「タイムだろ。吸血鬼だな」と言うのはマット。「局長がうちに来る」「ボストンは初めてだろ?」「そうさ、地図をプレゼントしよう」とマイク。「リストラの名人だって」とサーシャが追い討ちをかける。
そういう悪口は束の間でマーティからは、以前ちょっと報道したゲーガン事件をもっと掘り下げて証拠を中心としたものにすべきという指示を受けてスポットライトは動き出す。
ゲーガンは、六つの教区で30年間虐待を繰り返しているというものだった。それが中途半端の報道に終わっていた。映画は、実際の出来事がベースになっているので余計な脚色がない。その分、娯楽色が薄まりドキュメンタリー的な緊迫感をかもし出している。
私たちは新聞記事をスーパーマーケットのチラシと同じように毎日眺めている。しかし、実際の取材というのは、セールスの個別訪問を連想させるような門前払いもしょっちゅうの苦労の多いもの。記者に感情移入するとうんざりしてくる。まとわりつくハエのように胡散臭く見る人もいるし、味方が来たと思って饒舌になる人もいる。人それぞれだ。
カトリック教会というのは絶大な力を持っているようで、80件にも及ぶ子供に対する性的虐待が裁判記録にもない事実が明らかになる。
2001年9月11日には、ニューヨーク・マンハッタンのワールド・トレード・センター二棟が旅客機によるテロで焼け落ちるという惨事が発生する。こういう状況で教会を叩くという記事は得策ではない。
クリスマス後の年末に発表することが決定された。記事は大反響を呼び被害者からの電話が途切れることがなかった。そしてエンドクレジットに「2002年スポットライトは、600本近い虐待の記事を掲載。249人の神父が性的虐待で告発された。被害者の数は推定1000人以上にのぼる」と字幕が流れる。
この作品は、第88回アカデミー賞では作品賞、監督賞、助演男優賞 (マーク・ラファロ)、助演女優賞 (レイチェル・マクアダムス)、脚本賞、編集賞の6部門にノミネートされ、作品賞と脚本賞を受賞した。なお撮影には日本人のマサノブ・タカヤナギが担当している。
教会側の男に「こんなのを報道して誰が責任をとるんだ?」と迫られ「報道しなかったら誰が責任をとるんだ?」とマイクが言い返した。
この映画は、巷のメディアに携わる人々にしっかりと観てもらいたい。「報道しなかったら誰が責任をとるんだ」の意味を充分に理解してもらいたい。単に記事にして報道すればいいというものでもないからだ。
監督
トム・マッカーシー1966年1月ニュージャージー州生まれ。本作でアカデミー脚本賞受賞。
撮影マサノブ・タカヤナギ群馬県富岡市生まれ。アメリカン・フィルム・インスティチュートで学ぶ。
キャスト
マーク・ラファロ1967年11月ウィスコンシン州ケノーシャ生まれ。
マイケル・キートン1951年9月ペンシルヴェニア州生まれ。
レイチェル・マクアダムス1978年11月カナダ、オンタリオ州生まれ。
リーヴ・シュレイバー1967年10月カリフォルニア州サングランシスコ生まれ。
スタンリー・トゥッチ1960年11月ニューヨーク州生まれ。
ブライアン・ダーシー・ジェームズ1968年6月ミシガン州生まれ。
ご面倒ですが、クリック一つで私は幸せになります!
にほんブログ村
【先着特典】スポットライト 世紀のスクープ(クリアファイル付き) [ マーク・ラファロ ] 価格:3,078円 |
この記事へのコメント
コメントを書く
この記事へのトラックバックURL
https://fanblogs.jp/tb/5414595
この記事へのトラックバック