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2016年10月22日
ユダヤ人強制収用所に移送の主導者アイヒマンの裁判を放送した人々「アイヒマンショー」2015年制作 劇場公開2016年1月
ウィキペディアから引用しよう『アドルフ・アイヒマン(1906年3月19日 – 1962年6月1日)は、ドイツの親衛隊(SS)の隊員。最終階級は親衛隊中佐。ドイツのナチス政権による「ユダヤ人問題の最終的解決」(ホロコースト)に関与し、数百万の人々を強制収容所へ移送するにあたって指揮的役割を担った。
戦後はアルゼンチンで逃亡生活を送ったが、1960年にイスラエル諜報特務庁(モサド)によってイスラエルに連行された。1961年4月より人道に対する罪や戦争犯罪の責任などを問われて裁判にかけられ、同年12月に有罪・死刑判決が下された結果、翌年5月に絞首刑に処された』とある。
映画は、1961年4月11日からイスラエルのエルサレムで始まった裁判を、テレビ放送した人々を描く。若きプロデューサーのミルトン・フルックマン(マーティン・フリーマン)は、共産主義者を排斥するいわゆる赤狩りの対象になったドキュメンタリー映画の監督レオ・フルヴィッツ(アンソニー・ラパリア)に演出を依頼した。
レオは被告席に座るアイヒマンの表情、特に目に注目。その変化を映像に収めたいと思っている。一方ミルトンは、裁判の全体をという意見。真っ向から対立する二人だが、そこはプロ、引くところは引いて仕事を進める。
裁判は大詰めを向かえアウシュヴィッツ、ベルケナウ、ベルゼンの虐殺の実際。銃、ガスを用いた大量虐殺のドキュメンタリー映像を見つめるアイヒマン。
それまで112人の証言にもたじろがず平然としていたアイヒマンが目を動かし顔をしかめる表情が出る。カメラは執拗にそれを追う。レオは「ドキュメンタリー映像は抑圧した感情が嫌でも露呈する。それが映像の力だ」今まさにそのことが起こった。
アドルフ・アイヒマンは、生まれついての殺人者ではない。ウィキペディアで彼の生い立ちを読んでいると、ホロコーストを主導したいきさつが推測できる。
彼は頭脳明晰でもなく卓越した才能もないが、アイディアを出す能力はあったようだ。「アドルフは学校の成績が悪く、リンツのカイザー・フランツ・ヨーゼフ国立実科学校を卒業することができなかった。なお全くの偶然であるが、アドルフ・ヒトラーもこのカイザー・フランツ・ヨーゼフ国立実科学校に通っていたことがあり、同じく卒業できずに退学している」とウィキペディア。
それでもゲシュタポ(保安警察)のユダヤ人課に配属され、その頃からユダヤ人問題の専門家となりヒトラーの命令とはいえ「ユダヤ人問題の最終決着」ホロコースト、大量虐殺へとなだれ込む。恐らくこの頃はサディストそのものになりきっていたのではないか。
親衛隊中佐までしか昇進できなかったのを見ると、学歴もない一介の男の限界が見える。しかし、そこまで行くのにでも命令に従順であり、その命令を踏まえてアイディアを加え、十分な成果を挙げる実行力を発揮せざるを得ない。それに応えたアイヒマン。
映画は最後に次のメッセージを伝える。「自分は他者より優秀に創られたと一度でも考えた者はアイヒマンと同じ地平にいます。そして一度でも鼻の形や肌の色や信仰する神の違いによって、他者に悪意を抱いた者は理性の喪失が狂気への道と知るべきです。このようなことから全てが始まったのです」
それにしてもあのドキュメンタリー映像は、正視に堪えられない程ひどいものだった。その強い衝撃は、レイの泊まる小さなホテルの女主人ミセス・ランドー(レベッカ・フロント)が言う「世間の人が理解する手助けになった」
それは彼女の左手首には番号が刺青されている。つまり彼女は強制収用所出身者で、その番号を見た人から質問を受けてナチの拷問を話しても信じてくれなかった。「このテレビ中継のお陰で世界の人が知るようになってよかったと思う」と。
監督
ポール・アンドリュー・ウィリアムズ1973年イギリス、イングランドポーツマス生まれ。
キャスト
マーティン・フリーマン1971年9月イギリス、イングランド生まれ。
アンソニー・ラパリア1959年1月オーストラリア、アデレード生まれ。
レベッカ・フロント1964年5月イギリス生まれ。
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2016年10月20日
夫婦って本当に理解しあっているのだろうか?「さざなみ45years」2015年制作 劇場公開2016年5月
イギリスの片田舎に住むジェフ(トム・コートネイ)とケイト(シャーロット・ランブリング)夫妻は、その週の土曜日に結婚45周年記念のパーティを予定している。信頼し助け合った夫婦のあかし。
愛犬の散歩から帰ったケイトが結婚式で踊ったプラッターズの「煙が目に沁みる」を鼻歌交じりで手紙をジェフの前に置いた。ドイツ語で書かれた手紙には、50年前アルプスの山中で深いクレパスに落ちた女性カチャの遺体が発見されたという連絡だった。
ジェフはケイトと結婚する前、カチャと同行していた。ジェフはカチャのことをすべてを話したと思っているが、ケイトは聞いたかもしれないがそんなことは忘れたという。しかし、カチャが発見されたことでジェフの心は50年前に戻ったようだ。初恋の女性は忘れられないと言うが、まさにそれがジェフに起こった。
ことあるごとにカチャの名前が出る。そして決定的なのは「もし生きていれば結婚をした」とケイトの質問に答えたことだ。クレパスという溝が50年後にこの夫妻に溝をもたらし始めた。
人生で教訓を学ぶとすれば、「絶対に過去のことは話すな」があるだろう。「今あるあなたが好き」これに尽きるのだ。ジェフはバカがつくほどの真面目人間だったのかもしれない。女性関係で揉まれていないと、独りよがりな男になる可能性が大きい。失恋も人生経験。痛みが分かってこそ、相手への気遣いが生まれる。
ジェフの今の状態では、まさに独りよがりといえる。そして迎えた結婚45周年記念パーティ。ジェフはスピーチで「君と結婚できたことは人生で最高の選択だった。本当に申し訳ない。なぜなら、そのことを君に伝えてなかったからだ。僕にとって今がそのときなんだ。そのために今夜がある。僕の思いは伝えたよ。あとはひとつだけ、愛している。感謝している。こんなボクに長年付き合ってくれて。こらからも頼むよ」
これは字幕の文章で、選択という言葉が気になる。選択という言葉は、多くの中からいいもの、目的にかなうものを選ぶという意味があるから、こういう結婚記念日には不適切だろう。実際、英語のスピーチではbest thingと聞こえた。「最良の出来事」がいい雰囲気に思うが。
アンダーラインの部分は、「カチャと結婚した」発言を取り消しの印象だが、ケイトはどう受けとったんだろう。それは最後に明らかになる。女を怒らすと、本当に怖いという教訓がここにある。
この映画の監督アンドリュー・ヘイは、リアリティにこだわるようで、鳥の鳴き声や犬が吠える声、風の音、部屋の時計の音、蛇口から落ちるしずくの音、遠くの車の音が混じる地球の雑音などが背景を飾る。また、ケイトが車を降りて鍵をかける場面があるが、これも日常の実際を映し出している。
この映画は、ケイト役を演じたシャーロット・ランブリングのひときわ目立つ演技が余情豊かにしている。それもそのはず、ベルリン国際映画祭で銀熊賞(女優賞)を受賞している。
この映画は、60代以上の人が観ると、多分自分が主人公になった錯覚を覚えるのではないだろうか。その年代の人をあまねく描いてあるからだ。若い人が観ると、未来を知見できるかも。
監督
アンドリュー・ヘイ出自不詳
キャスト
シャーロット・ランブリング1946年2月イギリス生まれ。
トム・コートネイ1937年2月イギリス、ヨークシャー州生まれ。本作でベルリン国際映画祭で銀熊賞(男優賞)受賞。
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2016年10月18日
ホラー映画ではあるが男の弱点をつく怖い女二人 2015年制作「ノック・ノック」劇場公開2016年6月
豪雨の真夜中、ノックの音がする。ずぶ濡れの若い女二人が戸口に立っていた。
よもやこいつらに自分のキャリアを無茶苦茶にされ、妻の芸術作品や部屋中も打ち壊されるとは思っても見なかった。そうは言っても無害で冷たい雨に小鳥のように震えている女の子を無碍に断れないのも見識のある大人の態度だろう。
それがこんなことになるとは……その主人公は、エヴァン(キアヌ・リーヴス)という建築家。建築家と言うだけに玄関から寝室まで長い廊下の洒落た家に住んでいる。室内に入れてもらった女二人は、「ワォ、素敵な家ね」。
エヴァンは仕事熱心で今夜もパソコンで建物の作図をしていた。夜中の12時前になるとバカンスに行っている妻や子供とタブレットでチャット、「愛しているよ」とお休みの挨拶。
そんな家庭人の男でも美女ジェネシス(ロレンツァ・イッツォ)とベル(アナ・デ・アルマス)の二人にせまられたらイチコロ。3Pでハメを外した。
翌朝にはこの女達は態度が一変。やり放題へと転げ落ちていく。それを見ていて私はだんだん腹が立ってきた。大の男のエヴァンがやられ放題だからだ。それも女の嘘にだまされて。「未成年とのセックスは懲役20年だよ」20歳を過ぎた女が言って脅す。
結局何もかも無茶苦茶にされて、挙句の果てには首だけ出した姿で埋められてバイバイとなる。ああ、情けなや! くれぐれも美女にはご注意を……
この映画のブログは書く気がなかったが、暴力亭主や暴力ボーイフレンドをお持ちの女性の方々の鬱憤晴らしには格好の映画かもしれない、また、これを参考に実践するのも一興だろうと思ったわけですよ。
お話はお話として、二人の美女はチリ産とキューバ産なんだ。チリは安いワインしか知らないし、キューバは国民全員真っ黒と思っていたから、こんな白いのがいるとは驚き。でも、結構可愛いよ。映画では悪女をやっていたけど、本当は優しいんだろうなあ。おいおいそんなこと言ってると騙されるぞ!
さて、この映画を監督したのは、新世代のホラー映画監督として注目されるイーライ・ロス。ワル女ジェネシスを演じたロレンツァ・イッツォは妻で出演料の節約になる。
そして最後に注意事項=絶対に子供を含めた家族と一緒に観ないこと。3Pなんて見せられない。劇場公開2016年6月
監督
イーライ・ロス1972年4月マサチューセッツ州ボストン生まれ。
キャスト
キアヌ・リーヴス1964年9月レバノン、ベイルート生まれ。
ロレンツァ・イッツォ1989年9月チリ生まれ。
アナ・デ・アルマス1988年4月キューバ、ハバナ生まれ。
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2016年10月16日
スパイ小説の大家ジョン・ル・カレ原作のBBC制作「ナイトマネージャー」 Amazonプライム・ビデオ
オープニングの音楽からして重厚な雰囲気。アメリカのドラマと一味違う感じ。
ホテル支配人ジョナサン・パイン(トム・ヒドルストン)が英諜報機関にリクルートされ、世界を股にかける武器商人ローパー(ヒュー・ローリー)を追うというお話。
007もそうだが、女性関係は結構派手。トムも負けてはいない。オープニングから、これも武器商人の愛人に迫られ情を通じるというプレイボーイぶり。
そして英諜報機関の要請は、ローバーにうまく取り入って潜入せよというものだった。潜入の仕方や潜入してからの動きが結構面白い。それにまたまた、ローパーの愛人ジェド(エリザベス・デビッキ)に惚れられるというめぐり合わせ。うらやましいよ。
それよりもローパーを演じるヒュー・ローリーに違和感がまとわりついた。変わり者の天才医師を演じた「ドクター・ハウス」の印象が強く、まだ残像が残っている故だろう。
配信地域が英国、米国と日本だけらしいから観たほうがいいかも。
監督
スサンネ・ビア1960年4月デンマーク、コペンハーゲン生まれ。
原作
ジョン・ル・カレ「ナイトマネージャー」
製作参加
トム・ヒドルストン、ヒュー・ローリー
キャスト
トム・ヒドルストン1981年2月イギリス生まれ。
ヒュー・ローリー1959年6月イギリス、オックスフォード生まれ。
オリヴィア・コールマン1974年1月イギリス生まれ。
エリザベス・デビッキ1990年8月フランス、パリ生まれ。
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2016年10月14日
自分の息子や娘が行方不明になったり殺されたら……2015年制作「ミッシング・サン」劇場未公開
息子や娘が行方不明や殺されたら、心の動揺はいかばかりか。天才医師のドラマ「ドクター・ハウス」で部下の医師を演じたオリヴィア・ワイルドの魅力にぞっこん惚れ込んでしまった。
そのオリヴィア・ワイルドが主演、製作にも関与するこの作品は、非常に地味で起伏のないストーリーもあって、公開は電気の無駄遣いと配給会社は思ったのかもしれない。
夫はニューヨーク市警の警官フィル(ルーク・ウィルソン)。主人公のサラ(オリヴィア・ワイルド)は小学校の教師という共働きの夫婦。
息子ジェシー(コージー・ウォーカー)を連れてニューヨーク州中部のトンプキンス郡イサカの実家へ行く途中立ち寄ったガソリン・スタンドからジェシーが行方不明になる。
残された夫婦はがらりと生活が変わる。サラは抗うつ薬のお世話になるし、フィルは同じ事情を抱えた人たちの交流会で心を落ち着けようとする。生活が一変した二人にはもう昔の面影はない。
あんなに魅力的だったオリヴィア・ワイルドも、口紅もアイシャドウもマニキュアもない疲れ果てた顔は別人のようだ。よくこの役を引き受けたなあ、 と思いながら観ていた。多分、息子を失った母親というテーマに関心があったのだろう。
フィルが行く交流会での友人が言う。「娘をひき逃げ事故で亡くした。犯人と地下鉄の駅で会ったとする。そいつを突き飛ばし電車に轢かれて八つ裂きになるのを見たい」
実際は出来ないにしても、遺族の気持ちは極刑、つまり死刑を望んでいるのは確かだ。私は一人の人間の命を奪ったら、己の命を差し出すのが当然という考えの一人だ。だから死刑は賛成だ。
ところが死刑廃止運動の人たちもいる。そういう考えも一つの選択だから何も言うまい。ただ、この間の新聞記事で瀬戸内寂聴が遺族を侮辱するような発言があったと伝えた。
要旨は「人間が人間を殺すことは一番野蛮なこと。『殺さない』ってことを大きな声で唱えてください。そして、殺したがるばかどもと戦ってください」このアンダーラインの部分が物議を醸している。
ばかどもというのは、被害者も含めて死刑賛成の人たちに向けたものと受け止められた。この映画を観るまでもなく、良識があればバカとはいえない筈。
寂聴も90歳を超えて耄碌したのかな。超高齢ということで許してあげてもいいかな。それにしてもこの映画を観ながら寂聴を連想するとは思いもよらなかった。もう、寂聴の本は読まないことにしたよ。ちなみに日本国民の80%は、死刑容認とのこと。
余談ながら、このイサカという町は、人口3万人弱、自然が豊かでアウトドアには格好の地らしい。コーネル大学があって日本人の留学生も多いと聞く。したがって和食ブームの影響なのか日本料理店もあるそうな。ニューヨークから3時間の道のりのようで、一度は行ってみたいかな。
監督
リード・モラーノ1977年4月ネブラスカ州オマハ生まれ。
製作参加オリヴィア・ワイルド
キャスト
オリヴィア・ワイルド1984年3月ニューヨーク州ニューヨーク生まれ。
ルーク・ウィルソン1971年9月テキサス州ダラス生まれ。
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2016年10月12日
素人は手を出すな! という警告か 2016年制作「マネーモンスター」劇場公開2016年6月
株式投資の不条理を暴く社会派サスペンス。ジョディ・フォスターが監督した本作は、第69回カンヌ国際映画祭でスタンディングオーベーションが4分ほど続いたと言われている。
テレビスタジオがハイジャックされる。FNN局の人気番組リー・ゲイツ(ジョージ・クルーニー)の「マネーモンスター」を放送中、見知らぬ男が押し入ってきた。局の連中は冗談かと思っていると、男は拳銃をぶっ放した。これは本物だというわけでディレクターのパティ(ジュリア・ロバーツ)は、放送を中断した。その男カイル(ジャック・オコンネル)は放送しろと脅迫。やむなく犯行現場の生中継となった。
そしてカイルの言い分は「祖母の遺産8億ドルをこの番組が推薦したアイビス社の株に投資したが、暴落してすべてを失くした。これはアイビス社が操作したに違いない」責任者を出せ! という具合。
その責任者は海外出張中で不在。テレビ局は時間稼ぎをしながら、暴落の真実を探るために調査を開始。サスペンスの色合いが濃くなっていく。やがて見えてきたのはアイビス社の詐欺まがいの実態だった。
当初アイビス社は、アルゴリズム取引のバグが原因だと主張していた。つまりプログラムの不具合という。このアルゴリズム取引にはいくつかのパターンがあるらしく、すべてコンピューターが売り買いの発注を行う。超高速取引という売買システムで1000分の1秒単位の注文が可能とされていて、 日本でも60%がこの取引らしい。
このプロの世界に研究不足のアマチュアが入り込むとカイルのような悲劇に遭遇することになる。第一、テレビからの情報を丸呑みするというのはリスク管理の不備と言われても仕方がない。
しかし、映画が指摘するようにアルゴリズムを隠れ蓑に悪事を働く企業があるということ。カイルはアイビス社の「悪かった」という謝罪を引き出したが気持ちが治まらない。
アイビス社の責任者に着せた時限爆弾のスイッチを押そうとしたとき、狙撃銃からの弾丸が心臓を貫いた。格差の広がる現代、一人の若者が死んだ。しかも責任者に着せた時限爆弾のチョッキはにせものだった。
テレビ画面を見つめていた多くの視聴者は、複雑な表情を見せる。次の投資の犠牲者は俺かもしれない。
監督
ジョディ・フォスター1962年11月カリファルニア州ロサンジェルス生まれ。1988年「告発の行方」、1991年「羊たちの沈黙」でアカデミー賞主演女優賞受賞。
キャスト
ジョージ・クルーニー1961年5月ケンタッキー州レキシントン生まれ。2005年「シリアナ」でアカデミー賞助演男優賞受賞。
ジュリア・ロバーツ1967年10月ジョージア州生まれ。2000年「エリン・ブロコビッチ」でアカデミー賞主演女優賞受賞。
ジャック・オコンネル1990年8月イギリス、イングランド生まれ。
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2016年10月10日
レンタルより一足早くアマゾン・プライムで「CSI:科学捜査班シーズン15(ファイナル・シーズン)」
販売、レンタルともシーズン15(ファイナル・シーズン)−1〜3は、開始日が11月11日。シーズン15−4〜6は、12月2日となっている。アマゾンのプライム会員なら今無料で視聴できる。
2000年10月に放映開始以来20014年9月シーズン15ファイナルで放映終了として長寿番組の幕が下りた。出演者も当初からかなり代わっていて、シーズン1から15までの出演者はニック・ストークス役のジョージ・イーズとサラ・サイドル役のジョージャ・フォックス(途中一時降板があるが)、シーズン1ではゲスト出演だったがシーズン15まで出ていた解剖医のアル役ロバート・デヴィッド・ホール、これもゲストだったがレギュラー出演になったグレッグ役エリック・スマンダたちだ。
ジョージ・イーズは33歳から49歳まで演じ、ジョージャ・フォックスも32歳から48歳まで演じ続けたことになる。画面からは歳相応の雰囲気が漂う。例えば、犯行現場で証拠物の確認に膝をつく場面などは、立ち上がるのに若いときと違うぎこちなさが見えるというのがある。勿論、30代の顔の艶も陰りが見える。終わるのには丁度いい時期といえる。
お話というのは、当初アメリカには存在しなかった部署、科学捜査班が最先端の機器を使って犯人に迫るというもの。しかも舞台がラスヴェガスという何でもありの歓楽を抱えた地域。毎回同じパータンをよくも16年間も続いたと思う。
個人的には魅力的な女優の出演があれば、もっと楽しめたかもしれない。例えば、「ドクター・ハウス」のジェニファー・モリソンやオリヴィア・ワイルドだ。
このドラマでも時々出ていたSMクラブの経営者レディ・へザーを演じたメリンダ・クラークが魅力的だった。シーズン1からシーズン9までのチーフ、ギル・グリッソム(ウィリアム・ピーターセン)がよろめきかけたくらいだ。
この科学捜査班といのは、鑑識を主な任務としている。 が、彼らは犯人逮捕に同行する。勿論、拳銃の携行もある。尋問もする。一般の鑑識とはずいぶん違う。
ところがこのテレビ映画によって影響されたものも大きいという。ウィキペディアから引用しよう。「そもそも米国の警察組織では、科学捜査を行う鑑識のチームが実在しているのは他の多くの国と同様である。しかし、このドラマの舞台となるCSI(Crime Scene Investigation = 邦題 科学捜査班)なる名称のセクションは、このドラマ以前には現実には存在していなかった。完全にTVドラマ用のフィクションであった。
また、警察内部でもこのような地味ともいえる職種を志望する人員は極めて少数であり、常に人手不足という問題を抱えていたと言われる。ところが本作の大ヒットにより、多くの人がCSIは警察に実在する組織と誤認、ここに就職したいとの志望者が殺到した。
そこで各警察署でも科学捜査を行うセクションを独立させ、CSIと命名した、とのことである。そして、このドラマの世界的ヒットにより、各国の警察も米国と同様に組織改編を行ったと言われている。TVドラマの影響力が現実の科学捜査の進展に大いに寄与しており、フィクションであるドラマが現実を動かした好例の一つと言える」
ここに記載した俳優の出自を書いておこう。
ウィリアム・ピーターセン1953年2月イリノイ州生まれ。
ジョージ・イーズ1967年3月テキサス州生まれ。
ジョージャ・フォックス1968年7月ニューヨーク州ニューヨーク生まれ。
ロバート・デヴィッド・ホール1947年11月ニュージャージー州生まれ。
エリック・スマンダ1975年7月ウィスコンシン州ミルウォーキー生まれ。
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2016年10月08日
漆黒の闇に紛れ愛する人はそばにいる。永遠のラブ・ストーリー2015年制作「追憶の森」劇場公開2016年4月
映画を観ていてびっくりするのはあまりないこと。ホラーやSFは観ないし、アクションや戦争ものもびっくりすることって滅多にない。
ところがこの映画にはびっくりさせられた。あっ、と声を上げたくらいだ。妻ジョーン(ナオミ・ワッツ)が脳腫瘍の手術を受け、医師から良性だったと告げられ、術後の観察に別の病院に移ることになった。救急車に乗せられ夫アーサー(マシュー・マコノヒー)が自分の車で追尾する。走行中携帯電話で話をしながら笑い転げ、今までの不和が嘘のようだ。グッド・ニュースは気分を高揚させる。
ところがわき道からものすごいスピードで救急車の脇腹に激突したトラック。救急車は、道路の反対側まで飛ばされた。アーサーは必死で駆け寄ったがジョーンはこと切れていた。
アーサーは、富士山麓にある青木が原樹海の立ち入り禁止のプレートが張ってあるロープをまたいだ。はるばるアメリカからやってきたのは、妻ジョーンの手術12時間前に「病院で死ぬのはいや、愛する人に見守られて死にたい。あなたも死に場所を選んでね」と言ったのを心に刻まれたからだった。ネットで検索して選んだのがここだった。
樹林に囲まれた岩の上で睡眠薬を1錠のみ、次いでまた1錠ペットボトルの水で流し込んだ。そして周囲を見渡すと一人の男ナカムラ・タクミ(渡辺謙)がよろよろとさ迷っている。近づいて声をかけると「道に迷った。出口はどこだ?」
自殺をしに来たアーサーが人助けをする皮肉な展開。嵐に見舞われたり、崖から転げ落ちたりしながら出口を求めてさ迷い歩く二人の男。結論から言うとこの映画は大人の童話だ。
アーサーが立ち入り禁止のロープをまたいでしばらく歩くと女性の死体が転がっている。テントを見つけて中を覗くと死体が並んでいる。その死体から衣服を剥ぎ取り身につける。もう冥界をうろついているのは確かだ。
夜の焚き火を前にしてタクミが言う「ここはただの森ではない。漆黒の闇に紛れ愛する人はそばにいる。たとえ死んでいても。霊があの世へ行くとき花が咲くと言われている。彼女は君といる。この森が呼び寄せた」そして家族は妻がキイロという名前、娘がフユだという。
フラッシュバックで妻ジェーンの葬儀場。棺の前でうなだれながらアーサーが言う「妻を知らなかった。よく知らない。彼女の自動車保険の更新日なんかは知っていた。社会保障番号も、大事そうなことはね。でも、好きな色を知らなかった。好きな季節も、好きな本も」
現実に戻ると病院のカウンセラーの女性から「テント付近からは誰も発見していない」と言われる。アーサーは樹海に戻った。今度は慎重に白いビニールテープを張って進む。テープが終わるとメモ帳を引きちぎり帰路の目印にする。灌木の向こうにテントが見えた。
「戻ってくる」と約束をしてタクミにかけたレインコート持ち上げた。タクミがいない。白い花弁の花が岩の上に咲いていた。アーサーはそれを持ち帰った。
アーサーは科学者で学生に教える立場。一人の学生との対話のとき、その学生が本に挟んだメモを見て「キイロは色のこと。フユは季節のこと」と言った。アーサーはやっと気づいた。妻の好きだった色は「黄色」、好きだった季節は「冬」、好きな本も童話の「ヘンゼルとグレーテル」というのも。
科学者のアーサーでも世の中の不思議に魅了されたのかもしれない。タクミは魔女だったのかもしれない。あるいはジョーンの魂だったのかもしれない。
そして湖畔に建つ家の庭にその花を植えた。ジョーンが好きだった風景を見られるように。彼女とはいつまでも一緒なんだ。ようやく心の安らぎを得たアーサー。
ウィキペディアによると、撮影は主にマサチューセッツ州フォックスボロで行われたという。よく似た景観があるらしいが、そういえば木道を歩いていたし、森の中をさ迷う場面では溶岩が見あたらなかったし、普通の岩の景観だった。
青木が原には歩道が整備してあって歩いたことがある。溶岩の上に土を敷き詰めたように感じた。その歩道以外は草に埋もれた溶岩が目についた。
また、2015年5月16日、本作は第68回カンヌ国際映画祭で初めて上映されたが、多くの観客からブーイングを浴びたとも言われる。ブーイングを浴びせるほどワルい映画とは思えない。宗教や文化の違いなのか霊の云々は受け入れられないようだ。
監督
ガス・ヴァン・サント1952年7月ケンタッキー州ルイビル生まれ。1997年「グッドウィル・ハンティング/旅立ち」、2008年「ミルク」がアカデミー賞監督賞にノミネート。本作はカンヌ国際映画祭でパルム・ドール賞にノミネート。
キャスト
マシュー・マコノヒー1969年11月テキサス州ウバルテ生まれ。2013年「ダラス・バイヤーズ・クラブ」でアカデミー主演男優賞受賞。
渡辺謙1959年10月新潟県小出町生まれ。2003年「ラスト・サムライ」でアカデミー賞助演男優賞にノミネート。
ナオミ・ワッツ1968年9月イギリス、ショアヘム生まれ。2003年「21グラム」2012年「インポッシブル」でアカデミー賞主演女優賞にノミネート
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価格:3,159円 |
2016年10月06日
果てしなき夢を追って……「遠い空の向こうに」1999年制作
19歳のジェイク・ギレンホールが主演し順調なスタートを切った作品。
1957年10月、世界初といわれる人工衛星、ソ連のスプートニク1号が打ち上げられた。アメリカ、ヴァージニア州の小さな炭鉱町で、10月の空を横切るスプートニクを見た高校生四人のうちの一人、ホーマー・ヒッカム(ジェイク・ギレンホール)は宇宙への憧れを抱く。
高校のミス・ライリー先生(ローラ・ダーン)から「素質があるんだから、もっと数学を勉強したほうがいい」という助言もあって、ロケット作りに没頭する。当時はこういう小さな炭鉱町では、父の跡を継いで炭鉱夫というのは常識といえる世界だった。それが小さなおもちゃを飛ばして遊んでいるとしか見えない息子のロケット狂ぶりには当然父親ジョン・ヒッカム(クリス・クーパー)は渋い顔。
男子憧れのミス・高校の女の子からも大して関心をもたれないホーマー。しかし、地味ではあるがホーマーを励ます女の子もいる。こんなエピソードを交えながら、インテル国際学生科学フェアで優勝するまでを描く。
元NASAの技術者だったホーマー・H・ヒッカムの著書「ロケット・ボーイズ」が原作。夢を追うことが少なくなった現代、今一度夢への挑戦を考えてみてはと思う。
ちなみにインテルというのは、半導体素子メーカーのことでパソコン関連でもおなじみの企業だ。インテル国際学生科学フェアは、「毎年5月に行われる高校生を対象とした世界最大の科学コンテストである」とウィキペディアにある。
この映画の初めに1957年に大ヒットしたエルビス・プレスリーの「監獄ロック」が流れる。かなり時代を意識した作風で、懐かしい気分になる。そんなの知らないよという人もいるだろうから、どんなものかちょっと聴いてみて!
監督
ジョー・ジョンストン1950年5月テキサス州生まれ。
キャスト
ジェイク・ギレンホール1980年12月カリフォルニア州ロサンジェルス生まれ。2005年に監督賞、脚色賞、作曲賞を受賞した「ブロークバック・マウンテン」でアカデミー賞助演男優賞ノミネート。
クリス・クーパー1951年7月ミズーリ州カンザスシティ生まれ。2002年「アダプテーション」でアカデミー賞助演男優賞を受賞。
ローラ・ダーン1967年2月カリフォルニア州ロサンジェルス生まれ。
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2016年10月04日
夫婦喧嘩や浮気があっても人生は続くよ。どこまでも「フレンチなしあわせのみつけ方」2004年制作
国や人種が違っても人間のやることは皆同じ。人間というのは同じ姿勢を長く続けられない宿命を帯びていると言ってもいいかもしれない。
早い話が一晩中、棺おけに入っている寝姿で朝を迎える人はそう多くないだろう。寝返りを打って、うつぶせになったり横になったりしている筈。
我が家のネコを見ていると、同じ姿勢で1時間でも2時間でも平気な顔をしている。人間は新しい服を何回か着るうちに、別の服が欲しくなるように飽きるのも早い。
結婚生活も同様、数年経てばなにか満たされないものが汚泥のごとく沈殿する。お互いに飽きてはいないが、自己主張が前面に出てくる。
例えば、夕食後の食器を片付けたり洗うのを妻は文句を言う。要するに「あんたも少し手伝え」と言うわけ。ここに三人の男がいる。ヴァンサン(イヴァン・アタル)とジョルジュ(アラン・シャバ)とフレッド(アラン・コーエン)の親友三人組。
ヴァンサンとフレッドは、同じ自動車販売会社の社員。ジョルジュは、ホテル勤務。ランチはこの三人が共にする。妻のことや目についた女性の品定めが主な話題。「いいケツしてる」が口ぐせ。どこの国の男とも変わらない食事風景。
妻といえばヴァンサンにはガブリエル(シャルロット・ゲンズブール)がいて、子供ジョセフを抱える。家にいるとやっぱり文句を言われる。
フレッドは独身で昼間から情事にふける。悲惨なのはジョルジュで、いつも強い口調で非難する妻ナタリー(エマニエル・セニエ)にはお手上げで「家に帰りたくない」と嘆く。こういうのを見ていると、日本の男と変わらない。
この映画の主役はガブリエルで、不動産業に勤めている。いわゆる町の不動産屋といったとろ。ヴァンサンとの夫婦仲も悪くはないが、なぜか心が他の男を求めているようだ。
レコード売り場でヘッドホーンをつけてCDに耳を傾けていると、横に男(ジョニー・デップ)が立って同じCDの曲をヘッドホーンで聴き始める。イギリスのバンド、Radioheadの「Creep」という曲で演奏の佳境と思われるところで、お互いに顔を見つめ頷く。
やがて男はCDを手にとってガブリエルにそれを見せて去っていく。しばらく音楽を聴いていたガブリエルが突然男を追う。人ごみに見失ったが別のレコード棚で目を合わせる。ガブリエルは微笑むがそれ以上は進めない。
このcreepとうのは、オートマ車の踏んでいたブレーキを外すと自然に動き出す現象だが、他方で感情などが知らず知らずのうちに入り込むという意味もある。そう、ガブリエルはそんな感情に支配されていた。このシーンは伏線でラスト・シーンにつながる。
男探しを何度かトライするもなかなか一線を越えられない。夫のヴァンサンはというと、ガブリエルが子供を連れてバカンスに出かけたのを幸いに長く続いている恋人との逢瀬を楽しむ。ガブリエルもなんとなくその気配を感じているが……。どこにでもある日常が切り取られ心の琴線が波打つ。
ガブリエルは、アパートの案内依頼電話を受ける。アパートの前で待っていると、やってきたのはCD売り場の男(ジョニー・デップ)だった。三人も乗れば一杯になるエレベータが上昇する。
会話はほんの二言三言。「英語喋れる?」「ウィ」と男。エレベーターはどこまで行くんだろう。二人にクリープ現象が起きたのか、やがて熱いキス。めでたしめでたし。人生は続くよ。どこまでも……
追って、この映画の中で最後まで気づかなかった人がいた。それはヴァンサンの母親だ。レストランの俯瞰アングルから通常のアングルに移動するが、そこにヴァンサンの両親が食事をする場面がある。歳を重ねた夫婦は言葉を必要としない。それは以心伝心すべてを分かり合えた男と女の姿。
華麗な雰囲気の中の女性が、後で調べてみるとあのアヌーク・エーメだった。その映像を見ながらこういう人ならいいなあと憧れの気持ちにもなった。出演当時72歳のアヌーク・エーメの色香も衰えていなかった。
それではレコード店での「Creep」をどうぞ!
監督
イヴァン・アタル1965年1月イスラエル、テルアビブ生まれ。共演のシャルロット・ゲンズブールは妻。
キャスト
シャルロット・ゲンズブール1971年7月イギリス、ロンドン生まれ。監督のイヴァンは、夫役で共演。
アラン・シャバ1958年11月フランス生まれ。
エマニエル・セニエ1966年6月フランス、パリ生まれ。
アラン・コーエン1958年1月生まれ。
ジョニー・デップ1963年6月ケンタッキー州オーウェンズボロ生まれ。
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