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2015年05月19日
AV女優の引退後の人生
ふと、「AV女優の引退後って?」と思い、
『職業としてのAV女優(幻冬舎新書)』
をちらと立ち読みしてみた。
すると、次のようなことがわかった。書いてみると、なあんだ、当然じゃないか、と思うレベルの事実であるが、なるべく丁寧に書いてみたい。
まず、現役時代に、アイドル的な人気を得ていたAV女優の場合。
03年にマルチタレントに転身した及川奈央は、子供番組である『炎神戦隊ゴーオンジャー』にレギュラー出演したり、NHK大河ドラマ『竜馬伝』に主演したりするなど、すっかり芸能界に韜晦する(紛れ込む)ことに成功(どうも性交という言葉がよぎってしまう)している。
そして、この及川奈央が、その後のAV女優たちの芸能界での活躍の分水嶺になっている、と作者は言及している。
その後、インターネットの普及と、AVの世界市場化、それに伴う海賊版の流出により、日本のAV女優の人気は、実は日本国内よりも、国外のアジア圏内での方が凄まじいのだそうだ。
例えば、蒼井そらや小澤マリアなどが、香港や台湾や中国を訪問するときは、SPの人がつくほどの人気らしい。特に小澤マリアは、中国の某大手検索サイトによる、「美女検索ランキング」「女性スター検索ランキング」の両方で1位を獲得するほどの人気と知名度があるそうだ。
そこにとどめをさすかのように、08年に放送開始した、テレビ東京系深夜番組『おねがい! マスカット』に出演するAV女優たちによって結成された、アイドルグループ『恵比寿マスカッツ』が大ブレイクし、日比谷野音でのライブがソールドアウトになったことは、記憶に新しい。
こうした「脱がないAV女優」の活躍がめざましいのには理由がある。00年代に突入して以降、性同一性障害が社会問題として注目されたりするうちに、大衆の性的マイノリティーに対する意識の変容があり、結果、「性意識のポップ化」が進んだ。ゆえに現在、ニューハーフやオカマのタレントがお茶の間を賑わす、という光景が当たり前になっている。
話を元に戻すと、現役時代、アイドル的人気を得ていたAV女優ならば、引退直後、例えば、「元AV女優の○○と焼肉デート!」等の権利を、オークションで数万円で落札させることも可能らしい。また、政財界などから、「あのAV女優を抱きたい!」という依頼が、モデルプロダクションにくることもあるらしい。
では、それ以外の人たちの「第二の人生」はどうなっているのか、といえば、その3分の2が、いわゆる風俗業に流れているという。
残りの3分の1は、というと、AV女優時代に貯蓄したお金で、資格習得のため学校へ行き直す人が多いという。ことにも、看護学校や、ヘアメイクを目指す人が多いらしい。なので、AVの撮影現場で、元AV女優が、ヘアメイクとして働いている姿は、よく見かける光景だそうだ。
当然だが、企業への就職は厳しいそうだ。木下いつきという元AV女優は、システムエンジニアに転職できたらしいが、さすがにレアケースである、と作者も言っている。その他の門戸(いや、イヤラシイ響きですな)としては、AVメーカーにおける広報やADの仕事だったり、所属していたモデルプロダクションのAV女優を管理するマネージャーとしての仕事などがある。
ところで、モデルプロダクションに所属してはいるものの、一度も仕事をしていないAV女優を含めると、年間で4000人〜6000人のAV女優が生まれ、そして、消えているらしい。
作者は、AV女優がAV女優を辞める理由を、9つに要約しているが、中でも、ここでは@だけをあげておく。曰く、「企画単体」から「企画」へとランクが落ちて、ギャラが減ったから、というものだ。
これに関していえば、そもそも、一番上のランクである「単体」は、基本的に、3本/3ヶ月契約であり、当然、販売成績が悪ければ契約更新にはならず、その一つ下のランクである「企画単体」に降格することになる。
また、その「企画単体」ですら、設定した値段で売れなければ、容赦なく10万単位でギャラは下がっていくそうである。
しかも、実際の仕事内容は、「単体」よりも過激になるので、過剰労働のわりにリターンが少なくなり、結果、AV女優を続けていく意欲が削られるそうだ。
順番が逆になってしまったが、ここで、AV女優のカテゴリーと、そのカテゴリーごとのお金の動きをおさらいしておこう。
「単体」
これに属するAV女優は、AV業界のトップといえよう。主役として、まるまる一本の作品に出演できる。モデルプロダクションは、AVメーカーと主演本数・契約期間を取り決め、ギャラを交渉することになる。逆に言うと、契約を結んだメーカー以外のAVには出演できない。
「企画単体」
これは、「単体」によくある『○○デビュー!』というような、大々的なデビューができるわけではないが、「単体」と同じく、一本の作品で主演をはれるAV女優たちを指す。「単体」との最大の違いは、ギャラの仕組みである。「企画単体」の場合、ギャラは、一日単位での計算である。ネガティブなように聞こえるかもしれなが、メーカーとの契約がないということは、言い換えれば、どんな作品に主演しようが自由ということでもある。現在の、AV業界を支えているのは、この「企画単体」のAV女優さんたちである。
「企画」
この「企画」と、一つ前の「企画単体」の最大の違いは、名前が出ないことだ。よって、いつまで経っても知名度が低いままだ。撮影会や、ストリップも、名前がなければ、集客はできない。当然、ギャラも、「企画単体」と比べて、格段に安くなる。いわば、アルバイト的な立ち位置である。
AV業界のギャラは、「入れ込み」と呼ばれる、撮影当日の待ち合わせ場所で、担当マネージャーに現金を手渡しするのが、これまでの慣例だったそうだ。
90年代までは、モデルプロダクション自体が、法人化しないことで税収から逃れる地下業者のようなところが多かったらしく、いわば人身売買のような趣があったそうだが、現在では、それもだいぶ改善されてきているそうだ。多くのモデルプロダクションは、その求人広告で、「即金、当日払い」を謳っている。
では、どうやって、お金が動くのか。
例えば、「元グラビアアイドル」という箔がついており、ある程度の販売が見込める場合、モデルプロダクション側主導で交渉され、その価格も跳ね上がる。逆に、そのモデルプロダクションが、まず「単体」という冠をつけさせておいて、将来的には「企画単体」として長期的に売り出したいと考えている場合、AVメーカー主導となり、当然、価格はだいぶ抑えられる。
「単体」として契約した場合、値幅はかなりあるが、一本あたり100万〜250万程度の金が動くそうだ。これが、以下に記すように、「企画単体」や「企画」になってくると、話は違ってくる。
AV業界では、セックス行為を「絡み」と呼び、セックス行為なしを「擬似」と呼ぶ。
一日の仕事を仮に「2絡み+1擬似」だとすると、「企画単体」は、30万〜80万、「企画」は、15〜25万が日当として支払われるそうだ。ここから、モデルプロダクションと、AVメーカーとの交渉がはじまる。
例えば、「2絡み+1擬似」=20万を前提とした場合、もし「企画」女優が「1絡み」しかしないとすると、ギャラはその半額の10万になったりする。これは、「1擬似」の価値が相当に低いことを意味している。
また、「2絡み+1擬似」セットを、同じモデルプロダクションからもう一人使ってやりたいから、10%値引いて18万にしてくれ、などという交渉も行われる(グロス価格というらしい)。ギャラ交渉の大きな決め手はやはり「絡み」で、「擬似」だけだと、それこそ、3〜5万で行われることもあるそうだ。
しかも、AV業界は現在不況であるから、例えば、100万円の出演料を組んだ場合でも、次のように様々に組み合わせを変え、なるべく低コストで高リターンを得ようと画策する。
@「企画」の「1絡み=10万」×10人
A「企画単体」の「2絡み+1擬似=40万円」×1人+別会社の「企画単体」の「2絡み+1擬似=30万円(人数が増えた分値引きされる)」×2人
今までは、@のように、パッケージに多くの女性の顔が載っている方が「お得感」があって目を引きやすかったが、現在では、Aのような方式の方が売り上げがいいようである。
などと長々書いてきてしまったが、このへんでよす。
僕は、こういう現実を前に、何も言えない。ただ、身につまされるだけだ。
・・・けれども、やっぱりAV、観ちゃうんだよねぇ。
最後に、おススメの一本を紹介して、筆を置く。
小倉ゆず 中出し超高級ソープ嬢 [DVD]
『職業としてのAV女優(幻冬舎新書)』
をちらと立ち読みしてみた。
すると、次のようなことがわかった。書いてみると、なあんだ、当然じゃないか、と思うレベルの事実であるが、なるべく丁寧に書いてみたい。
まず、現役時代に、アイドル的な人気を得ていたAV女優の場合。
03年にマルチタレントに転身した及川奈央は、子供番組である『炎神戦隊ゴーオンジャー』にレギュラー出演したり、NHK大河ドラマ『竜馬伝』に主演したりするなど、すっかり芸能界に韜晦する(紛れ込む)ことに成功(どうも性交という言葉がよぎってしまう)している。
そして、この及川奈央が、その後のAV女優たちの芸能界での活躍の分水嶺になっている、と作者は言及している。
その後、インターネットの普及と、AVの世界市場化、それに伴う海賊版の流出により、日本のAV女優の人気は、実は日本国内よりも、国外のアジア圏内での方が凄まじいのだそうだ。
例えば、蒼井そらや小澤マリアなどが、香港や台湾や中国を訪問するときは、SPの人がつくほどの人気らしい。特に小澤マリアは、中国の某大手検索サイトによる、「美女検索ランキング」「女性スター検索ランキング」の両方で1位を獲得するほどの人気と知名度があるそうだ。
そこにとどめをさすかのように、08年に放送開始した、テレビ東京系深夜番組『おねがい! マスカット』に出演するAV女優たちによって結成された、アイドルグループ『恵比寿マスカッツ』が大ブレイクし、日比谷野音でのライブがソールドアウトになったことは、記憶に新しい。
こうした「脱がないAV女優」の活躍がめざましいのには理由がある。00年代に突入して以降、性同一性障害が社会問題として注目されたりするうちに、大衆の性的マイノリティーに対する意識の変容があり、結果、「性意識のポップ化」が進んだ。ゆえに現在、ニューハーフやオカマのタレントがお茶の間を賑わす、という光景が当たり前になっている。
話を元に戻すと、現役時代、アイドル的人気を得ていたAV女優ならば、引退直後、例えば、「元AV女優の○○と焼肉デート!」等の権利を、オークションで数万円で落札させることも可能らしい。また、政財界などから、「あのAV女優を抱きたい!」という依頼が、モデルプロダクションにくることもあるらしい。
では、それ以外の人たちの「第二の人生」はどうなっているのか、といえば、その3分の2が、いわゆる風俗業に流れているという。
残りの3分の1は、というと、AV女優時代に貯蓄したお金で、資格習得のため学校へ行き直す人が多いという。ことにも、看護学校や、ヘアメイクを目指す人が多いらしい。なので、AVの撮影現場で、元AV女優が、ヘアメイクとして働いている姿は、よく見かける光景だそうだ。
当然だが、企業への就職は厳しいそうだ。木下いつきという元AV女優は、システムエンジニアに転職できたらしいが、さすがにレアケースである、と作者も言っている。その他の門戸(いや、イヤラシイ響きですな)としては、AVメーカーにおける広報やADの仕事だったり、所属していたモデルプロダクションのAV女優を管理するマネージャーとしての仕事などがある。
ところで、モデルプロダクションに所属してはいるものの、一度も仕事をしていないAV女優を含めると、年間で4000人〜6000人のAV女優が生まれ、そして、消えているらしい。
作者は、AV女優がAV女優を辞める理由を、9つに要約しているが、中でも、ここでは@だけをあげておく。曰く、「企画単体」から「企画」へとランクが落ちて、ギャラが減ったから、というものだ。
これに関していえば、そもそも、一番上のランクである「単体」は、基本的に、3本/3ヶ月契約であり、当然、販売成績が悪ければ契約更新にはならず、その一つ下のランクである「企画単体」に降格することになる。
また、その「企画単体」ですら、設定した値段で売れなければ、容赦なく10万単位でギャラは下がっていくそうである。
しかも、実際の仕事内容は、「単体」よりも過激になるので、過剰労働のわりにリターンが少なくなり、結果、AV女優を続けていく意欲が削られるそうだ。
順番が逆になってしまったが、ここで、AV女優のカテゴリーと、そのカテゴリーごとのお金の動きをおさらいしておこう。
「単体」
これに属するAV女優は、AV業界のトップといえよう。主役として、まるまる一本の作品に出演できる。モデルプロダクションは、AVメーカーと主演本数・契約期間を取り決め、ギャラを交渉することになる。逆に言うと、契約を結んだメーカー以外のAVには出演できない。
「企画単体」
これは、「単体」によくある『○○デビュー!』というような、大々的なデビューができるわけではないが、「単体」と同じく、一本の作品で主演をはれるAV女優たちを指す。「単体」との最大の違いは、ギャラの仕組みである。「企画単体」の場合、ギャラは、一日単位での計算である。ネガティブなように聞こえるかもしれなが、メーカーとの契約がないということは、言い換えれば、どんな作品に主演しようが自由ということでもある。現在の、AV業界を支えているのは、この「企画単体」のAV女優さんたちである。
「企画」
この「企画」と、一つ前の「企画単体」の最大の違いは、名前が出ないことだ。よって、いつまで経っても知名度が低いままだ。撮影会や、ストリップも、名前がなければ、集客はできない。当然、ギャラも、「企画単体」と比べて、格段に安くなる。いわば、アルバイト的な立ち位置である。
AV業界のギャラは、「入れ込み」と呼ばれる、撮影当日の待ち合わせ場所で、担当マネージャーに現金を手渡しするのが、これまでの慣例だったそうだ。
90年代までは、モデルプロダクション自体が、法人化しないことで税収から逃れる地下業者のようなところが多かったらしく、いわば人身売買のような趣があったそうだが、現在では、それもだいぶ改善されてきているそうだ。多くのモデルプロダクションは、その求人広告で、「即金、当日払い」を謳っている。
では、どうやって、お金が動くのか。
例えば、「元グラビアアイドル」という箔がついており、ある程度の販売が見込める場合、モデルプロダクション側主導で交渉され、その価格も跳ね上がる。逆に、そのモデルプロダクションが、まず「単体」という冠をつけさせておいて、将来的には「企画単体」として長期的に売り出したいと考えている場合、AVメーカー主導となり、当然、価格はだいぶ抑えられる。
「単体」として契約した場合、値幅はかなりあるが、一本あたり100万〜250万程度の金が動くそうだ。これが、以下に記すように、「企画単体」や「企画」になってくると、話は違ってくる。
AV業界では、セックス行為を「絡み」と呼び、セックス行為なしを「擬似」と呼ぶ。
一日の仕事を仮に「2絡み+1擬似」だとすると、「企画単体」は、30万〜80万、「企画」は、15〜25万が日当として支払われるそうだ。ここから、モデルプロダクションと、AVメーカーとの交渉がはじまる。
例えば、「2絡み+1擬似」=20万を前提とした場合、もし「企画」女優が「1絡み」しかしないとすると、ギャラはその半額の10万になったりする。これは、「1擬似」の価値が相当に低いことを意味している。
また、「2絡み+1擬似」セットを、同じモデルプロダクションからもう一人使ってやりたいから、10%値引いて18万にしてくれ、などという交渉も行われる(グロス価格というらしい)。ギャラ交渉の大きな決め手はやはり「絡み」で、「擬似」だけだと、それこそ、3〜5万で行われることもあるそうだ。
しかも、AV業界は現在不況であるから、例えば、100万円の出演料を組んだ場合でも、次のように様々に組み合わせを変え、なるべく低コストで高リターンを得ようと画策する。
@「企画」の「1絡み=10万」×10人
A「企画単体」の「2絡み+1擬似=40万円」×1人+別会社の「企画単体」の「2絡み+1擬似=30万円(人数が増えた分値引きされる)」×2人
今までは、@のように、パッケージに多くの女性の顔が載っている方が「お得感」があって目を引きやすかったが、現在では、Aのような方式の方が売り上げがいいようである。
などと長々書いてきてしまったが、このへんでよす。
僕は、こういう現実を前に、何も言えない。ただ、身につまされるだけだ。
・・・けれども、やっぱりAV、観ちゃうんだよねぇ。
最後に、おススメの一本を紹介して、筆を置く。
小倉ゆず 中出し超高級ソープ嬢 [DVD]
タグ:AV女優 引退 その後