地方独立行政法人 北海道立総合研究機構、さけます・内水面水産試験場は、令和 5 年(2023 年)の秋サケのの資源状況を発表しました。
このデータで気になるのは、秋に北海道の川に帰ってくる鮭の予測数。近年不漁の傾向があった秋鮭の状況はどうなっているのでしょうか
今年は豊漁!?しかし不安も
発表では、北海道内の令和5年の秋サケ来遊数は 、3,483 万尾と予測しています。
これは、前年の実際の来遊数3347万尾と比較し104%増。
サケ好きとしては楽しみな状況となっています。ところで、なぜ川に帰ってくる鮭の数が予測できるのか、疑問に思いませんか。
サケは、稚魚の時代を川や湖で過ごし、成魚となり、海へ出て数年間を過ごし成熟、婚姻期に生まれた川に舞い戻ってくるという、おなじみの習性があります。
海で鮭がどのように過ごしているかはほとんどわかりませんので、帰ってくる数を予測するのは不可能にも思えます
しかし、実はすべてのサケが同じようなタイムスパンで行動しているわけではなく、海に出てから何年で川に帰ってくるかは、個体ごとに微妙な違いがあります。つまり、同一年生まれであっても、成熟年齢が異なる鮭がいるということです。
サケの年齢は、うろこに刻まれる模様で正確に知ることができます
つまり、前年秋に、ある年齢のサケをサンプルに、どのくらい帰ってきたかといったか概算すれば、だいたい翌年に帰ってくる同年齢の鮭の数が推定できるんです。
さけます・内水面水産試験場が行う調査では、統計的に最も重要な、前年の「 4 年魚」の来遊数から、今年の「 5 年魚」の来遊を推定しています。
これは「シブリング法」という予測方法です。
ただし、この方法での予測の精度は下がっているともいわれます。要因としては鮭の生育年齢が若年化していることがあり、今年の豊漁予想も流動的な部分があるようです
気候の変動などで海洋生物の生態系も変化し続けており、予断が許せません
とにもかくにも、豊漁で、おいしいサケを手ごろに楽しみたいと願うばかりです