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2020年01月25日

アルツハイマー型認知症(アルツハイマー病)に糖質制限食が有効

アルツハイマー型認知症(アルツハイマー病)に糖質制限食が有効


土の上の野菜.jpg
欧米の高所得者、高学歴者の間では、認知症が減少傾向にあります。

アメリカ東海岸にあるフラミンガム町の住民を長年にわたり追跡調査している「フラミンガム研究」では、60歳以上の住民で認知症の5年発症率がこの30年で44%も低下したことが明らかにされました。

しかし、認知症リスクが統計学的に有意に減少していたのは、高卒以上の学歴のある集団のみでした。

最新の研究によると、認知症を起こす原因の6割以上を占めるアルツハイマー病は、食事や運動、睡眠といった生活習慣を40代から見直し、必要なサプリを補うことなどで、予防できる人が多く、さらに、認知機能を維持するために食べるべき食品、避けるべき食品も明らかになっています。

アルツハイマー病は、混合型も含め4つのタイプに大別します。

1)炎症性アルツハイマー病:脳の炎症が原因で起き、食事も深く関与している
2)萎縮性アルツハイマー病:脳機能の維持に必要な栄養素やホルモンの欠乏で起こる
3)糖毒性アルツハイマー病(炎症性と萎縮性の混合型):いわゆる糖尿病から起きる
4)毒物性アルツハイマー病:カビ毒や歯の治療に使われる材料に含まれる水銀などの毒素から起き、治療が最も難しいとされる

毒物性の場合は、生活の中の毒素をまず特定して除去する必要があり、毒素を除去しないままアミロイドベータを取り除く従来治療を行うと、実はアミロイドベータにより守られていた脳細胞が直接毒素にさらされ、逆に危険な場合があります。

さらに、アルツハイマー病には36の要因があることも研究で明らかになっています。

アルツハイマー病患者は、脳神経の増減に伴う代謝バランスが常に減少方向に傾いていて、このバランスを調節する要因が少なくとも36項目は特定されています。

アルツハイマー病はひと粒の薬で治るような代物ではなく、包括的な治療を集中的に行わなくてはなりません。

食べるべき食品、避けるべき食品

食事療法と運動療法を通して、体のエネルギーとして脂肪を燃焼する状態を目指すもので、この状態は認知機能にとって最適です。

この状態を促すには、次の3つを組み合わせる必要があります。

(1)糖類、パン、ジャガイモ、白米、ソフトドリンクなどの単純炭水化物食品を最小限にする(低炭水化物食…要するに糖質制限)
(2)適度な運動(早歩きやもっと激しい運動を週150分以上)
(3)毎日少なくとも12時間は絶食する(夕飯から朝食まで12時間は空ける)、現実的には日没には夕食を摂り、以後夜食はしない。

認知機能にとって最適な状態を促すには、ココナッツオイルなどの中鎖脂肪酸、オリーブオイル、アボガド、ナッツなどといった不飽和脂肪酸の摂取も有効。

基本的に野菜を中心とし、ジャガイモなどのでんぷん質の野菜は控えめにする。

ただし、サツマイモやグリーンバナナなどの難消化性でんぷん(レジスタントスターチ)は例外で、毎日食べても構わない。

このほか、頻繁に食べたい“青色信号食品”として、デトックス効果のあるブロッコリーやカリフラワーなどアブラナ科の野菜、ケールやホウレンソウなどの葉物野菜、タマネギやニンニクなどの硫黄化合物を含有している野菜、キノコ類、クズイモ、ネギ、キクイモなどのプレバイオティクス食品なども挙げられている。

また、天然ものの魚、特にサケ、サバ、アンチョビ(カタクチイワシ)、イワシ、ニシンは水銀汚染が少なく積極的にとるべき。

平飼い卵、キムチやザワークラウトなどのプレバイオティクス食品も“青色信号食品”に入る。

一方、なるべく食べる機会を最小限に抑えたい“赤色信号食品”としては、パン、パスタ、コメ、ケーキ、ソーダなどの単純炭水化物がメインの食品が挙げられる。

さらに穀類、加工食品、マグロ、サメ、カジキマグロなど水銀汚染リスクが高い魚類のほか、パイナップルなどの甘い果物、グルテンや乳製品など過敏性が出やすい食品なども“赤色信号食品”に入る。

チーズやオーガニックの全乳、プレーンヨーグルトはたまにならよい。

しかし、生活習慣、特に食べ物を変えることは案外難しいもの。

例えば、炭水化物を食べる時は、先にケールなど食物繊維を豊富に含む食べ物をとるようにすると炭水化物の吸収が抑えられ、腸内フローラにも良い影響がある。

また、どうしてもアイスクリームが食べたいときは、ココナッツミルクのアイスクリームにするといった奥の手もある。

ここでも糖質制限食が非常に有効だということが私が感心するところです。

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タナカマツヘイ
総合診療科 医学博士 元外科学会専門医指導医、元消化器外科学会専門医指導医、元消化器外科化学療法認定医、元消化器内視鏡学会専門医、日本医師会産業医、病理学会剖検医
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