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2019年12月28日

東大入試が「知識ではなく発想力」を求めるワケ

東大入試が「知識ではなく発想力」を求めるワケ


教科書に書いてあることが、本当に正しいとは限らないことを知っていることも大切です。
これからのライバルは「ヒト」ではなく「AI」だと、東大生は言う。
東大安田講堂.jpg

>日常生活を送っている中で「なぜ?」と問うのもおススメです。

自然現象でも、ちょっとしたニュースでも、社会の現象でも、何でも「なぜ?」と問えば必ず理由があります。

そしてその問いの答えは、意外にも勉強している事柄の中に求めることができるかもしれないのです。

・勉強している事柄が、どのように社会で応用されるのかを考えてみる
・日常生活のタイミングで「なぜ?」と問うてみる

納得するまで「なぜ?」を繰り返そう
「発想力」の訓練方法2:深掘りする訓練
もう1つは、「深掘りする訓練」をすることです。

『「発想力」と「想像力」を磨く 東大アイデア』
https://www.amazon.co.jp/o/ASIN/4492046259/toyokeizaia-22

偏西風が西から東に吹いている、という情報だけでも、いろんなことを深掘りすることができます。

なぜ西から東なのか? そもそもどうして風が吹くのか? 日本以外の地域では話が違うのか?……このように、1つの情報をそれで止めるのではなく、深掘りして考えてみるのです。

先ほど僕は、日常生活の中で「なぜ?」と問うことを提案しましたが、ただ「なぜ?」と問うだけではいけません。

より深く、自分が納得できるレベルまで「なぜ?」を繰り返してみましょう。

5回以上「なぜ?」を繰り返すと、その情報の背景がきっとわかってくるはずです。そのレベルまで達すれば、きっと学んだ知識は深くみなさんのものになるはずです。

東大入試が「知識ではなく発想力」を求めるワケ
ずっと「AIに負けない力」が問われ続けてきた
https://toyokeizai.net/articles/-/320176?fbclid=IwAR2dElbF-ANm18HTmHS5wCCjoIQ5XSuCOq5a8rOA6Rm1mefe8WXCEgPLFis

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2019年02月13日

『脳の構造』

最終的には、心の働きの脳内メカニズムについて述べていきます。

脳の進化と成長

『脳の構造』脳の断面図.jpg脳の断面冠状.jpg



脳を解剖してくわしく見てみよう

脳はどのような構造をしているのか

脊椎動物の進化の初期の段階では、脳は単なる神経細胞が集まった”こぶ”のようなものに過ぎなかった。
ヒトへの進化の過程で、”こぶ”は大脳、間脳、中脳、小脳、延髄、脊髄からなる複雑な構造となり、個体の意地だけではなく高度な精神活動をつかさどる鳩となった。

大脳の表面は、厚さ2〜4mmの層におおわれている。この層は、約140億個の神経細胞(ニューロン)と、それを支える約400億個のグリア細胞から構成されている。ここが大脳皮質。

大脳皮質の中でも新しい皮質(新皮質)は高等動物ほど発達しており、霊長類では、認知や思考、判断といった知的活動の場となっている。

大脳の奥深くには尾状核、被殻からなる大脳基底核があり、大脳辺縁系がその外側を取り巻いている。

大脳辺縁系は『たくましく生きていく』ための生の営みを担っている。この営みは個体の維持や、種族の保存といった基本的生命活動を推進するもので、本能行動情動行動がある。
大脳辺縁系の重要な構成要素に、海馬扁桃体がある。
『扁桃体』は本能行動や情動行動に、『海馬』は記憶の形成に大きな役割を果たしている。

人類の心の働きには、大脳辺縁系が大きく関わっている

脳幹延髄;呼吸や血管の収縮拡張をつかさどる+;三叉神経、外転神経、顔面神経、前庭神経といった脳神経核があり、多くの伝導路が通過する他、大脳皮質からの運動性出力を小脳へと伝える+中脳;視覚や聴覚の情報を中継する。運動の制御に関連する。

小脳;空間的位置を保つ、抗重力筋を支配する。細かい動作の際に必要なブレーキの役割を果たす。

間脳(視床;嗅覚以外の感覚情報を中継する、視床下部;体の自律機能、内臓機能、内分泌機能をつかさどる。

<大脳辺縁系>
扁桃体;食物摂取や外敵への攻撃、逃避などの個体保存のための本能行動をつかさどる。情動の発言にも関わる。
海馬;記憶の形成に重要な役割を果たす。
海馬傍回;記憶の形成に重要な役割を果たす。
脳弓;乳頭体と海馬をつなぐ。
乳頭体;視床下部の一部を構成する。
帯状回;海馬傍回とともに辺縁皮質の中核をなす。

参考文献:ニュートン別冊 脳力のしくみ 2018年7月15日発行

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2019年02月12日

『神経回路の変化』

最終的には、心の働きの脳内メカニズムについて述べていきます。

脳の進化と成長

『神経回路の変化』神経回路.jpg

子どもの脳では、神経伝達物質の種類が変化する

乳幼児は、細やかな指の動きができない。

これは指を動かすための神経細胞のネットワーク(神経回路)が必要以上に広くつながりあっているため。

成長とともに不要な回路がなくなって必要な回線だけが残り、細かい指の動きができるようになる。

成長中の脳では、神経細胞のつながり方だけではなく、神経細胞自体の性質もたくみに変化する。

具体的には二つの変化が起きる。


一つは、神経伝達物質に対する反応変化だ。ある神経細胞は、神経伝達物質として『GABA(γアミノ酪酸)』という物質を放出する。
GABAを受け取った別の神経細胞は、最初のころは電気信号が発生する反応(『興奮』)を示す。
ところが、成長とともに、電気信号の発生がおさえられる反応(『抑制』)を示すようになる。
成長とともに正反対の反応になる。
この変化が起こることで、神経細胞に余計な興奮がおきなくなり、必要以上に情報が広がるのを防げるようになる。

もう一つの変化は、成長にともなって、使用する神経伝達物質が変わるのだ。
生理学研究所 鍋倉淳一教授らは、マウスの聴覚に関わる神経細胞で、成長とともに神経伝達物質が『GABA』から『グリシン』へと切り替わる現象を発見した。グリシンはGABAより反応時間が短い神経伝達物質だ。「反応時間が短いグリシンを使うことで、ネットワークが活動するタイミングの精度が上がると考えられる(鍋倉教授)」。

参考文献:ニュートン別冊 脳力のしくみ 2018年7月15日発行

2019年02月10日

『脳の発達』

最終的には、心の働きの脳内メカニズムについて述べていくつもりです。

脳の進化と成長

『脳の発達』

出生後、急激にふえたあとは、減少の一途をたどる神経細胞のシナプス

脳は、母親の胎内にいるときに基本的な『形』ができあがる。
受精後5か月くらいから、脳のしわ(大脳皮質の折りたたみ)ができ始め、受精後9か月もするとしわだらけのいわゆる”ヒトの脳”ができあがる。

形の成長とともに、脳の『機能』の発達も進む。心臓の動きの制御など、生命維持のために重要なものから発達がはじまり、徐々に耳や目も機能しはじめる。

また、受精後9か月終わりごろの胎児に音を聞かせると、最初はびっくりして反応するが、次第に反応しなくなる。刺激への”なれ”といった高度な機能も胎内で発達をはじめる。
神経細胞.jpgシナプス.jpg

受精から約10か月後、赤ちゃんは外の世界へと生れ出る


そして、周囲から多くの刺激を受けながら、未熟な脳から成熟した大人の脳へと、仕上げの発達がはじまる。

神経細胞のネットワーク(神経回路)が活動することで、脳は機能を発揮する。新しい言葉や動きを次々と覚える乳幼児の脳では、新しいネットワークがどんどんつくられ、複雑になっていくように思える。

ところが、脳の発達は、そう単純ではない。

神経細胞のつなぎ目『シナプス』の数は、1〜3歳前後までは急激に増えるが、その後は徐々に減っていくのである!
実は、シナプスが減っていくといいう現象は、”過剰生産”されたシナプスのうち、不要なものが消えていく過程だということが、その後の研究でわかっている。

つまり、神経細胞は、とりあえず最初は広く手をつないでおき、あとで不要な手を離すという戦略をとっているのだ。
この『多めに作ってあとで減らす』方式の方が、『必要に応じて増やす』という方式よりも、周囲の状況の変化に敏感に対応できるのである。

さらに、最近の研究で、手のつなぎ方が変化するだけではなく、神経細胞自体の性質にも巧みな変化がおきていることがわかってきた。

脳の重さは、生まれた時点で大人の約30%

生まれた時の脳の重さは約400g、成人の脳の重さは約1,200〜1500gなので、重さだけなら、生まれた時点で成人の30%前後までに成長している。

脳は大きく重くなるが、シナプスの密度は頭打ち

出生後の『脳の重さ』は、最初の数年間で急激に成長する。
1歳で、300g
4〜5歳には1,200gほど(大人の約80%)
出生後、神経細胞は、樹状突起や軸索を伸ばして大きくなることはあっても、基本的には細胞分裂して数がふえることはない
脳が重くなるのは、主に、神経細胞を支えたり、髄鞘の元となる『グリア細胞』が分裂してふえることによる(重いほど脳の機能が高い訳ではない)。


神経細胞のつなぎ目である『シナプス』の密度は、脳の多く部位で1〜3歳にピークをむかえる。
視覚情報を処理する大脳の後頭葉にある『視覚野』では、生後8〜9か月ごろにピークをむかえたあと、数年かけて3分の2程度にまで減少する

参考文献:ニュートン別冊 脳力のしくみ 2018年7月15日発行

2019年02月06日

『脳の発生』

最終的には、心の働きの脳内メカニズムについて述べていくつもりですが、まだまだ前説の段になります。

脳の進化と成長

『脳の発生』

ヒトの脳は急激に爆発的に拡大した!

脳の発生は進化の歴史をたどる

ヒトの脳は生命の38億年という進化の歴史を経て出現し、巨大化し、高度化を遂げた。
ヒトの脳の発生の様子をみると、脳の進化の歴史をたどることができる

卵子が受精して3週間(#妊娠5週)経つと、長さ2mmほどの『神経管』が杯の中にできる。
この神経管が脳の起源である。

神経管は、生命進化の歴史では約5億6000年前(古生代カンブリア紀)の脊椎動物の出現にさかのぼる。

約38億年前の生命誕生から約32億年の歴史を、ヒトの発生では約3週間で駆け抜ける!

受精後4週には脊髄で神経細胞が分化しはじめる。受精後5週(#妊娠7週)には身長が1cmに達し、くねくねと身をよじりはじめる。
これは約5億年前に出現した原始的な魚の脳機能の状態を通過しつつあることになる。
この頃から、人間に特徴的な大脳が頭の両側に膨らんでくるのがみえる。

その後、大脳は週を追うごとに巨大化する。
ヒトでは大脳の成長がどの動物よりも長く続く。
こうして私たちは、生命進化や脳と心の謎も探求できる大脳を獲得するのだ。

#産婦人科で使われる『妊娠◯週』は、最終月経の第1日目から数える(新しい卵子が卵巣で成熟しはじめる日)。
受精後1週は、およそ妊娠3週となる。

受精後5週
神経細胞は脳幹と脊髄にだけ出現し、原始的な魚の段階。
大脳は神経細胞を生み出す『マトリックス細胞』だけからなる。

受精後7週
脊髄の神経細胞はすべて完成し、機能を発揮しはじめる。
大脳では神経細胞が分化しはじめる。

受精後10週
脊髄の神経細胞が手足の末端まで伸び、筋肉と結合する。

受精後13週
脳幹(間脳・中脳・延髄)の神経細胞の形成が完了する。
大脳では盛んに神経細胞が生み出され、大脳皮質の形成が活発に進行する。

受精後17週
長期間続いた大脳での神経細胞の産出もほぼ完了に近づき、140億個程度の神経細胞が大脳皮質を形成する。
大脳の神経細胞数はこれがピークで、以降は障害を通じて減る一方である

受精後20週
脳幹や脊髄を中心に、成熟しつつある神経細胞の軸索に『髄鞘』ができはじめる
この髄鞘化は、神経細胞どうしの連結と、信号の伝達・情報機能の完成へ向けて、脳機能の整備が始まったことを意味する。

受精後22週
脳幹では動眼神経や顔面神経などに続いて、三叉神経や聴神経、内耳神経などの感覚神経にも髄鞘化が始まるが、実際に見えたり、聞こえたりはしない。
大脳中心溝、頭頂後頭溝、シルビウス裂.jpg
受精後26週
大脳表面には中心溝や頭頂後頭溝、シルビウス裂がはっきり認められるようになる。
人間らしさを特徴づける大脳の出現である。
脳幹はますます完成に近づき、音や光に対する反射や、呼吸へつながる運動も出現する。

受精後30週
視神系や脳幹、脊髄から大脳に向かう軸索にも髄鞘化がはじまる。
中耳が作られ、外界の音が聞こえる体制ができる。
光が脳に伝えられるようになる。

受精後37週
いつ生まれてもよい体制がととのう。
大脳皮質のシワが増え、完成したパターンに近づく。
大脳内部の軸索にも髄鞘化がはじまる。
やがて脳の活動には一時的な抑制がかかり、胎動もほぼ停止し、出産を待つ。

参考文献:ニュートン別冊 脳力のしくみ 2018年7月15日発行

2019年02月02日

『ヒトの脳の大型化』

脳の進化と成長
『ヒトの脳の大型化』
ヒトの脳は急激に爆発的に拡大した!

ヒトの脳はサルの脳から進化した

樹上に住むサルは、枝につかまり、枝から枝へ飛び移る動的能力が重要で、手の指や手のひらを中心にした上の運動や、感覚を支配する大脳の部分が発達したサルが生存に有利であった。

鋭敏な視覚、特に正確な立体視できる能力が有力な武器であった。
大脳の視覚や聴覚に関わる部分がいちだんと発達したサルは、さらに生存競争に勝ち残った。
大脳新皮質図.jpg

チンパンジーやゴリラから ヒトに至る進化は、遺伝子やタンパク分子の変化だけでは説明できないほどの短期間に進行した。

受精後3週後

神経管の壁面内部では、『マトリックス細胞』が分裂を始める。
マトリックス細胞は神経管の壁面内部で内側と外側を往来しながら細胞分裂を繰り返す。
分裂した細胞の片方は樹状突起や軸索を持つ神経細胞に変化し、
もう片方の細胞はさら細胞分裂を繰り返す。

神経管の壁面は、マトリックス細胞が管の内側から外側にかけて放射状に並ぶことで形成されていく。
こうしてマトリックス細胞が分裂して増殖を重ねることによって、神経管の壁面は成長していく。
形成された神経細胞は神経管の外側に蓄積され、樹状突起を伸ばして神経回路を形成していく。

このマトリックス細胞の分裂回数が1〜2回増えることにより、サルの脳がヒトの脳の大きさまで急激に大型化したと推定されている。

運動や視覚に関わる脳の部分が急激に大型化したことは、大脳新皮質全体が進化の歴史のなかで例をみないスピードで拡大した。

6500万年前、原始的な哺乳類から分かれた霊長類から、ネアンデルタール人やクロマニョン人に至る脳の大型化は、驚異的なスピードで進行した。

この新皮質の爆発的拡大が、脳の視覚や聴覚、手の指や手のひらを中心とする腕の感覚や運動に関わる部分を発達させ、これらの近くにある部分も著しく拡大させた。
まず、顔面筋、舌、唇の運動や感覚に関わる部分が拡大されたために、表情が豊かになった。
さらにその周りに運動性言語中枢『ブローカの中枢』が生まれた。
ブローカの中枢は、ホモ・ハビリスの時代から目立つようになり、北京原人(ホモ・エレクトゥス)では
言葉を話すのに十分と思われるサイズに拡大された。
また、聴覚に関する部分にとなり合う部分も拡大し、感覚的言語中枢『ウェルニッケの中枢』が発展した。

250〜160万年前のホモ・ハビリスの時代には、自分を取り巻く世界を感じ取り、
言葉を話して自分以外の人に自分の考えを正しく伝える能力が出現した。

これこそがヒトの脳の能力であり、ヒトの『心』を生み出す生物的基礎であった。

ヒトの脳はただ大きくなったのではなく、広くなった
MRI画像 灰色に見える部分が神経細胞の集合ー新皮質、白色に見える部分が、神経線維の束、配線部分ー白質大脳MRI.jpg
大脳は、神経細胞の本体が脳の表面に集まってつくる1枚のシート(皮質)と、神経細胞どうしを結ぶ配線部分白質)からなる。
ヒトの大脳を見ると、その表面はしわだらけで、
このしわは、1枚の大きなシートを、頭蓋骨の内側にある限られたスペースに押し込めた結果である。

大脳の発達は、種に大脳表面が広くなっただけではなく、神経細胞どうしの連絡も、より複雑なものになっている。ほかの動物に比べて、配線部分も著しく発達している。

参考文献:ニュートン別冊 脳力のしくみ 2018年7月15日発行

2019年01月28日

『哺乳類の脳』

脳の進化と成長
『哺乳類の脳』
哺乳類で『嗅覚』から『視覚』が飛躍的に進歩!

ヒトの脳と、魚類、両生類、爬虫類の脳を比べても、全体のレイアウトは基本的に同じ。
脳の先端は、においを嗅ぐ『嗅脳』にはじまり、大脳、間脳、中脳、橋・小脳、延髄、脊髄で終わる。
恐竜含めた脳化指数.jpg

魚類、両生類、爬虫類の脳は、ヒトと同じ体重にして比べると、150分の1程度しかない。脳に到達する外界の情報は嗅覚に関するものが非常に多く、大脳と間脳の機能は、嗅覚の情報を処理して行動することに重点が置かれている。

ヒトの大脳半球を覆っている『大脳新皮質』は、魚類、両生類、爬虫類ではほとんど出現していない。
ヒトでいう記憶力は欠如している。
『喜怒哀楽』を感じる中枢である『大脳辺縁系』は、爬虫類になって未発達ながら出現する。しかし、においを感じてそれを本能的行動に直結する部分だけが出来上がっているにすぎない。

神経管の中で、大脳新皮質をつくる元の部分は、爬虫類から分かれて、哺乳類が進化し始める直前に創造された。その部分で作られる神経細胞は、『嗅覚』とは関係のない神経繊維と結びつく性質を持っている。
図2脳化指数.jpg

哺乳類では大脳新皮質が大幅に拡大された。
嗅覚以外に視覚など哺乳類が陸上ですばやい行動をとるために必要な情報が、脳に多く取り込まれるようになった。
大脳辺縁系も主に嗅覚以外の感覚に対応するようになり、喜怒哀楽のセンサーとなった。
また、出来事を記憶する力が躍進した。
こうして哺乳類らしい『怒り』や『恐怖』、『攻撃』、『愛』、『憎悪』の感情が出現した。

参考文献:ニュートン別冊 脳力のしくみ 2018年7月15日発行

2019年01月22日

『脊椎動物の脳の起源』

脳の進化と成長
『脊椎動物の脳の起源』
ウニやクラゲやハマグリであっても神経系は発達している。ミミズや昆虫やダニも脳の働きをする神経組織は持っている。
しかし、人間と同じ5億年の歳月をかけても人間の心を生み出したような大きくて複雑な脳を作り出すことはできなかった。
5億年かかったとはいえ、この複雑な人間の脳が出来上がった秘密は、カンブリア紀に脊椎動物の祖先のホヤの幼生に似たプランクトンが、「神経管」というものを作り出したことにある。
神経管発生当時は、神経管の端に神経細胞がほんの少数作り出されただけだった。ホヤの幼生の頭部の神経管には12個の細胞からなる脳内の目、1個の細胞からなる平衡器官も見られる。
653522.jpg

神経管はどの脊椎動物でもきわめて似ており、発生直後に神経板に溝が入り、この溝が内側に入り込んで、筒状に頂上が癒合し、直径0.2mm、長さ2mmほどの中空の管として形成される。
この神経管が屈曲し、膜が厚くなるようにして脳が形成されていく。
参考文献:ニュートン別冊 脳力のしくみ 2018年7月15日発行 

2019年01月20日

脊椎動物の神経の起源

脊椎動物の神経の起源

原始生命の誕生から約30億年、細菌のような植物性の単細胞生物が満ちていた海水中に、複数の細胞が寄り集まって小さな多細胞生物ができた。太陽光線からエネルギーを産生できる能力(光合成)を獲得したラン藻が現れて、大量に酸素を産生するようになった。
857414.jpg

フリーラジカル(不対電子もしくは不対電子を持つ原子、分子)という言葉をご存知だろうか?
酸素は生物にとっては有害な作用ももたらす。

一般に海洋生物の受精卵は海の表面を漂いながら活発に細胞分裂をし、幼生に成長する。それまで地球の大気には酸素はなく、ギラギラと降り注ぐ『紫外線』を防いでくれるオゾン層(O3)は存在しなかった。紫外線によって毒性の高い活性酸素紫外線によりDNAが傷つけられた。ほとんどの幼生が死んだが、生き残った者は、新しい遺伝子の組み合わせを獲得した。
脊椎動物の祖先もこの時期に誕生した(今から約5億4000年前から始まったカンブリア紀)

脊椎動物の神経の起源

カンブリア紀に生まれた動物の多くは、体を動かす仕組みとして、体内のあちこちに神経細胞が集合した『神経節』を持つに至った。これが脊椎動物の神経の起源になる。

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タナカマツヘイ
総合診療科 医学博士 元外科学会専門医指導医、元消化器外科学会専門医指導医、元消化器外科化学療法認定医、元消化器内視鏡学会専門医、日本医師会産業医、病理学会剖検医
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