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2020年03月27日
Self-isolation, Day 9: Service Canada閉鎖 / Bank of Canada緊急利下げと今後の景気
今日はService Canadaという、カナダ連邦政府による住民サービスを担う窓口が全国で閉まってしまいました。
どうやら、窓口に出る人たちが"right to refuse dangerous work"を主張したとのことです。
先週だけで全国で百万人近い人たちが失業保険を一斉に申請したとのことですので、確かに窓口では不特定多数の人と接することになりますよね…。
さらに"They often lie about their recent travel abroad."と相互不信感も露わにしている人がいました。(ニュースで見ただけですが。)
ただしカナダはIT化が日本よりも進んでいるので、onlineで様々な申請ができ、その事務処理は引き続き進められるとのことです。このような状況なので手続きの遅れは避けられないでしょうが・・・。
イギリスからのニュースではJohnson首相までもがCOVID-19に感染してしまったようです…。
カナダのTrudeau首相は奥さんが感染して濃厚接触者のはずですが、国家元首感染者第1号になりたくなかったのか、検査を受けることなくself-isolationを続けています。
その他のニュースでは、Bank of Canadaが緊急利下げを行い、policy interest rateを0.25%に下げると伝わってきました。今月だけで3回目の利下げで、先月は1.75%だった金利がほぼゼロ金利になってしまいました。中央銀行の危機感が伝わってくるとともに、これからの景気の冷え込みを覚悟せざるを得ないことを改めて実感しました。
いまから日本からカナダに不安定な雇用(例えばワーホリ)で来ようと考えている方は、考え直した方が良いと思います。
現状では入国許可も下りないでしょうが、例え入国できるようになっても、です。
新型コロナウイルス問題の解決が見通せない中、多くの民間サービス業種が雇用を減らしている状況です。目に見えない感染症への恐怖は人々のマインドに大きな影を落としています。少なくとも日本から聞こえてくる楽観的な声とこちらで感じる危機感との間には大きなギャップがあります。例え政府が"social distancing"を緩めたとしても、いったん落ち込んだ人々の「景気」はなかなか戻らないのではないしょうか?
外食デリバリーはまだ需要があるようですが、これとて仕事を失ったCanadian citizenとの競合になる可能性があり、この環境の中、日本からいきなり来て自力で暮らしていくのは大変だと思います。
まあ、見えない先を見ても仕方ないので、私はとりあえずは来週水曜日までのself-isolationが終わるのを楽しみに待つことにします。
さあ、狭い室内でラジオ体操でもしようかな、とwww
どうやら、窓口に出る人たちが"right to refuse dangerous work"を主張したとのことです。
先週だけで全国で百万人近い人たちが失業保険を一斉に申請したとのことですので、確かに窓口では不特定多数の人と接することになりますよね…。
さらに"They often lie about their recent travel abroad."と相互不信感も露わにしている人がいました。(ニュースで見ただけですが。)
ただしカナダはIT化が日本よりも進んでいるので、onlineで様々な申請ができ、その事務処理は引き続き進められるとのことです。このような状況なので手続きの遅れは避けられないでしょうが・・・。
イギリスからのニュースではJohnson首相までもがCOVID-19に感染してしまったようです…。
カナダのTrudeau首相は奥さんが感染して濃厚接触者のはずですが、国家元首感染者第1号になりたくなかったのか、検査を受けることなくself-isolationを続けています。
その他のニュースでは、Bank of Canadaが緊急利下げを行い、policy interest rateを0.25%に下げると伝わってきました。今月だけで3回目の利下げで、先月は1.75%だった金利がほぼゼロ金利になってしまいました。中央銀行の危機感が伝わってくるとともに、これからの景気の冷え込みを覚悟せざるを得ないことを改めて実感しました。
Bank of Canadaのpolicy interest rateの推移。 つい先月まで1.75%だったものが、今月だけで3回もの利下げがあり、ついに0.25%まで下がりました。 景気の冷え込みに対して先手を打った形かもしれませんが、否が応でも今後の景気の冷え込みを覚悟する必要があります。 |
いまから日本からカナダに不安定な雇用(例えばワーホリ)で来ようと考えている方は、考え直した方が良いと思います。
現状では入国許可も下りないでしょうが、例え入国できるようになっても、です。
新型コロナウイルス問題の解決が見通せない中、多くの民間サービス業種が雇用を減らしている状況です。目に見えない感染症への恐怖は人々のマインドに大きな影を落としています。少なくとも日本から聞こえてくる楽観的な声とこちらで感じる危機感との間には大きなギャップがあります。例え政府が"social distancing"を緩めたとしても、いったん落ち込んだ人々の「景気」はなかなか戻らないのではないしょうか?
外食デリバリーはまだ需要があるようですが、これとて仕事を失ったCanadian citizenとの競合になる可能性があり、この環境の中、日本からいきなり来て自力で暮らしていくのは大変だと思います。
まあ、見えない先を見ても仕方ないので、私はとりあえずは来週水曜日までのself-isolationが終わるのを楽しみに待つことにします。
さあ、狭い室内でラジオ体操でもしようかな、とwww
2020年03月26日
Self-isolation, Day8: ようやく就労ビザ(work permit)、学生ビザ(study permit)保持者のカナダ入国が可能に
先日、就労ビザ(work permit)や学生ビザ(study permit)を保持している方はまだカナダに入国できない(→Self-isolation, Day 5; 就労ビザ(work permit)、学生ビザ(study permit)保持者にはカナダ入国を許可するとの通達 - しかし実施時期は未定!)、と書きましたが、ようやくこの制限が解除されたようです。ただ学生ビザについては"SOME international students"とあり、学業・研究の内容によるようです。いわゆる「学校」は閉まっていますし・・・。
飛行機の搭乗前、到着後にはヘルス・チェックがあるようです。
私が先週トロント・ピアソン空港に到着した時には自己申告だけだったのですが・・・。
その直前に空路でのカナダ入国は4つの主要空港に限る、との通達が出て、Trudeau首相はこれらの空港は"equipped with efficient screening system"と言っていましたが、サーモグラフィもないような感じで、かえって大丈夫かと思ったものですが、一週間強で準備を進めたのでしょうか?
また、本当に大変なのは、到着後2週間の"self-isolation"です。
外出は原則禁止とかなり厳しい制限で、私も毎日壁ばかり眺める生活に飽き飽きしています。これよりも辛い生活に耐えたであろう、元厚労省の村木さん
Quarantine Actに基づくもので、違反すると罰金や収監される可能性もある、と警告しています。
カナダ移民局の公式サイトは→こちら
2週間のmandatory self-isolationについては→こちら
正式に就労ビザ(work permit)保持者は入国できるようになりました。学生ビザについてはまだグレーゾーンのようです。 |
飛行機の搭乗前、到着後にはヘルス・チェックがあるようです。
私が先週トロント・ピアソン空港に到着した時には自己申告だけだったのですが・・・。
その直前に空路でのカナダ入国は4つの主要空港に限る、との通達が出て、Trudeau首相はこれらの空港は"equipped with efficient screening system"と言っていましたが、サーモグラフィもないような感じで、かえって大丈夫かと思ったものですが、一週間強で準備を進めたのでしょうか?
また、本当に大変なのは、到着後2週間の"self-isolation"です。
外出は原則禁止とかなり厳しい制限で、私も毎日壁ばかり眺める生活に飽き飽きしています。これよりも辛い生活に耐えたであろう、元厚労省の村木さん
Quarantine Actに基づくもので、違反すると罰金や収監される可能性もある、と警告しています。
カナダ移民局の公式サイトは→こちら
2週間のmandatory self-isolationについては→こちら
2020年03月23日
Self-isolation, Day 5; 就労ビザ(work permit)、学生ビザ(study permit)保持者にはカナダ入国を許可するとの通達 - しかし実施時期は未定!
部屋籠り5日目。今日は少しドキドキ。というのも、COVID-19の潜伏期間の中央値は5.1日間とのこと(出典はAnnals of Internal Medicineというきちんとした医学学術誌です→論文はこちら)で、今日までに発症しなければ私がCOVID-19を発症する確率は50%未満になります。
幸い今のところ明かな症状はありません。床に寝袋を敷いて寝ているので、肩甲骨とか肩のでっぱったところが午前中痛いくらいです。尤も、この論文によると、97.5%発症しないと言うまでは、11.5日間観察しなければならないようですが・・・。
昨日COVID-19と診断された同僚も、母子ともに元気にしているという連絡をくれました。よかった・・・。
さて、就労ビザ(work permit)、学生ビザ(study permit)を持っていて、現在カナダ国外にいる方には朗報です。下記の方にはカナダ入国を許可するとのことです。(カナダ移民局の公式サイトは→こちら)
・農業関係の季節性労働者、漁業に携わる労働者、介護・保育士、その他のtemporary foreign workers
(おそらく就労資格をもっていらっしゃる殆どの方はこの最後の項目に当てはまると思います。)
・2020年3月18日の規制の時点で有効なstudy permitを持っていた人、またはstudy permitの発行を許可されていた人
(March breakで日本に一時帰国していた人には朗報ですが、いつ授業などが再開になるかはまだ見通せません。)
・2020年3月16日の時点でpermanent residentになる許可を得ていてまだカナダに入国していない人
こういう通達が出るということは、私の3月18日の入国は本当に例外的措置だったのかもしれません。。。
ただし、これからカナダに入国を予定している方、焦らないでください!
カナダ移民局のサイトをすみずみまで読むとこうありました。(このページは→こちら)
"Workers, students and approved permanent residents who haven’t landed should not travel yet.
We’ve announced exemptions but they’re not in place. Travel restrictions are still in effect for these groups.(Last updated: March 23, 2020)"
「就労ビザ保持者、学生、永住権を認められた人で現時点でカナダに来ていない人はまだカナダに来ないでください。例外規定を発表しましたが、まだ施行していません。このカテゴリーに当てはまる人には現在入国を制限しています。(2020年3月23日発表)」
⇒ 2020年3月26日にようやく入国審査の準備が整ったのでカナダに来て良いとのお達しが出ました。
→Self-isolation, Day8: ようやく就労ビザ(work permit)、学生ビザ(study permit)保持者のカナダ入国が可能に
まだ現時点では、work permitやstudy permitをもつ日本の方は入国できないようです。
ニュースを見ていると、この例外規定は農作業を始めなければいけないこの時期に外国人の季節性労働者を確保できず焦っている農家からの強い声を受けて決まったものだったようです。CTVでもナイアガラ地区のブドウ農家の方が「いま作業を始めなければ1年分の収穫が失われてしまう」と危機感を募らせている、と伝えていました。
カナダ国内の外出規制は今後さらに強まる可能性があります。(本日のニュースでもTrudeau首相が週末social distancingを守らずにいた人々に対して"Enough is enough"と憤りを隠さずにいました。)まだ日本にいる方で、特別な事情がない方は日本に留まっておられた方がよさそうです。
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幸い今のところ明かな症状はありません。床に寝袋を敷いて寝ているので、肩甲骨とか肩のでっぱったところが午前中痛いくらいです。尤も、この論文によると、97.5%発症しないと言うまでは、11.5日間観察しなければならないようですが・・・。
昨日COVID-19と診断された同僚も、母子ともに元気にしているという連絡をくれました。よかった・・・。
さて、就労ビザ(work permit)、学生ビザ(study permit)を持っていて、現在カナダ国外にいる方には朗報です。下記の方にはカナダ入国を許可するとのことです。(カナダ移民局の公式サイトは→こちら)
・農業関係の季節性労働者、漁業に携わる労働者、介護・保育士、その他のtemporary foreign workers
(おそらく就労資格をもっていらっしゃる殆どの方はこの最後の項目に当てはまると思います。)
・2020年3月18日の規制の時点で有効なstudy permitを持っていた人、またはstudy permitの発行を許可されていた人
(March breakで日本に一時帰国していた人には朗報ですが、いつ授業などが再開になるかはまだ見通せません。)
・2020年3月16日の時点でpermanent residentになる許可を得ていてまだカナダに入国していない人
こういう通達が出るということは、私の3月18日の入国は本当に例外的措置だったのかもしれません。。。
ただし、これからカナダに入国を予定している方、焦らないでください!
カナダ移民局のサイトをすみずみまで読むとこうありました。(このページは→こちら)
"Workers, students and approved permanent residents who haven’t landed should not travel yet.
We’ve announced exemptions but they’re not in place. Travel restrictions are still in effect for these groups.(Last updated: March 23, 2020)"
「就労ビザ保持者、学生、永住権を認められた人で現時点でカナダに来ていない人はまだカナダに来ないでください。例外規定を発表しましたが、まだ施行していません。このカテゴリーに当てはまる人には現在入国を制限しています。(2020年3月23日発表)」
⇒ 2020年3月26日にようやく入国審査の準備が整ったのでカナダに来て良いとのお達しが出ました。
→Self-isolation, Day8: ようやく就労ビザ(work permit)、学生ビザ(study permit)保持者のカナダ入国が可能に
カナダ移民局の公式サイトの注意書きです。 Work permitやstudy permitをもつ方はまだ入国できないようです。 |
まだ現時点では、work permitやstudy permitをもつ日本の方は入国できないようです。
ニュースを見ていると、この例外規定は農作業を始めなければいけないこの時期に外国人の季節性労働者を確保できず焦っている農家からの強い声を受けて決まったものだったようです。CTVでもナイアガラ地区のブドウ農家の方が「いま作業を始めなければ1年分の収穫が失われてしまう」と危機感を募らせている、と伝えていました。
カナダ国内の外出規制は今後さらに強まる可能性があります。(本日のニュースでもTrudeau首相が週末social distancingを守らずにいた人々に対して"Enough is enough"と憤りを隠さずにいました。)まだ日本にいる方で、特別な事情がない方は日本に留まっておられた方がよさそうです。
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2020年03月22日
Self-isolation, Day 4; 外出禁止で悶々としている中、ついに同僚にも感染者が!
Self-isolationも4日目に入りました。Condoの一室に閉じ籠もっているのは本当に苦痛です。Youtubeを見ながら体操などして気分転換をしているのですが、体がなまってきました。
カナダ政府、オンタリオ州政府の広報を見ると、2週間self-isolation期間中、一切の外出は禁止とのことです。Social distancingを遵守すれば、外を散歩したり、買い物についても手洗いを十分した上でマスクを着用して出かけてセルフレジを使えば問題ないように思うのですが…。COVID-19は殆どが飛沫感染で、aerosol transmissionは病院での医療機器使用時など限られた状況でしか起こらないとされていることを踏まえると、なんとも非科学的な人権侵害だと思います。とは言っても、普段人権、人権と言っていても、戦時中は日系人をconcentration campに収容するようなことをした歴史を見ると、人間や政府とはそういうものだという認識でいなければならないのでしょうね。
なんて鬱々としていたら、同僚の一人からメッセージが届きました。なんと、ここ数日体調不良で、職場のHRを通じて検査を受けたところ、COVID-19と診断されたとのことです! OMG!
彼女はdaycareに預けているお子さんもいて、親子ともどもずっとインフルエンザのような症状だったとのこと。幸い彼女の症状は検査後改善傾向とのこと。このまま回復してくれることを祈るとともに、daycareが感染を広げる"cluster"になっていないことを祈っています・・・。
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カナダ政府、オンタリオ州政府の広報を見ると、2週間self-isolation期間中、一切の外出は禁止とのことです。Social distancingを遵守すれば、外を散歩したり、買い物についても手洗いを十分した上でマスクを着用して出かけてセルフレジを使えば問題ないように思うのですが…。COVID-19は殆どが飛沫感染で、aerosol transmissionは病院での医療機器使用時など限られた状況でしか起こらないとされていることを踏まえると、なんとも非科学的な人権侵害だと思います。とは言っても、普段人権、人権と言っていても、戦時中は日系人をconcentration campに収容するようなことをした歴史を見ると、人間や政府とはそういうものだという認識でいなければならないのでしょうね。
なんて鬱々としていたら、同僚の一人からメッセージが届きました。なんと、ここ数日体調不良で、職場のHRを通じて検査を受けたところ、COVID-19と診断されたとのことです! OMG!
彼女はdaycareに預けているお子さんもいて、親子ともどもずっとインフルエンザのような症状だったとのこと。幸い彼女の症状は検査後改善傾向とのこと。このまま回復してくれることを祈るとともに、daycareが感染を広げる"cluster"になっていないことを祈っています・・・。
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2020年03月21日
Self-isolation, Day 3; 厚生労働省が発表した新型コロナウイルス感染症対策専門家会議による「新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言」
Self-isolation (まだ3日目ですが…)期間中の私の頭の中は否が応でも7〜8割方がCOVID-19によって占められています。感染症の専門家ではないものの、元来がヘルスケア関連の研究者だということもありますが・・・。
3月20日夕方5:30 (EDT)に更新された最新情報(毎日2回更新されます→こちら)では、オンタリオ州の陽性例は311例(この他に改善5例、死亡2例)と午前中の数字から3例増えています。これまでの検査施行19,511例のうち陰性13,718例、検査結果待ち5,475例ですから、検査結果判明例のうち陽性例の割合は (311+5+2) / (19,511-5,475) = 2.3% となります。
一方日本国内(国内事例+チャーター便帰国者事例)の状況は、厚生労働省の集計によると検査施行18,844例のうち陽性例943例(うち無症状者が101例)で、陽性率は5.0%です。日本とオンタリオ州の検査陽性率、また対人口比検査施行数(オンタリオ州の人口は1457万人、日本の人口は1億2480万人)を単純に比較すると、日本はやや検査数を絞っているとは思いますが、把握できていないケースが非常に多いかというとそうでもないように思います。つまり、日本の陽性率が高いのはより事前確率の高い人々に対して検査を施行していることを示しており、逆に検査対象となっていない人に検査を施行した場合の陽性率は5.0%を大きく下回ると予想されます(これを厳密に示すためには母集団のランダムサンプリングのデータが必要ですが、少なくとも重症肺炎が急増しているという話は聞こえてきません)。
前の記事で欧米での人工呼吸器不足に対する危機感を取り上げましたが、日本での分析・方針はどうなっているのかを確認すべく、昨日厚生労働省が発表した新型コロナウイルス感染症対策専門家会議による「新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言」(原文は→こちら)を読んでみました。
まずintroductionではCOVID-19についての性質とその公衆衛生上の問題点を概説しています。
・罹患しても約 80%の人は軽症で済むが、5%程の方は重篤化し、亡くなる方もいる。高齢者や基礎疾患を持つ方は特に重症化しやすい。
・これまで世界で 19 万人以上の感染者と、8,000 人近い死亡者。
・特に、気付かないうちに感染が市中に拡がり、あるときに突然爆発的に患者が急増(オーバーシュート)すると、医療提供体制に過剰な負荷がかかり、それまで行われていた適切な医療が提供できなくなる。
その上で、この提言は「オーバーシュート」を「回避し、できるだけ被害を小さくするための提案」であると要約しています。
次に基本方針として次のことを述べています。
・現時点では、社会・経済機能への影響を最小限としながら、感染拡大防止の効果を最大限にするという、これまでの方針を続けていく
・「@クラスター(患者集団)の早期発見・早期対応、A患者の早期診断・重症者への集中治療の充実と医療提供体制の確保、B市民の行動変容、という3本柱の基本戦略」を維持、必要に応じて強化
・国内に持ち込まれる新型コロナウイルスへの対応、国内でのクラスター(患者集団)の感染源(リンク)が追えない事例が発生していることなどへの対策
そしてこれまでの施策の評価を行っています。
・北海道では緊急事態宣言の前後で、「実効再生産数(一人の感染者が生み出す新たな感染者の数)を推定すると 0.9(95%信頼区間:0.7-1.1)から 0.7(95%信頼区間:0.4-0.9)へと減少した。
→緊急事態宣言を契機に人々が行動を変容し、事業者も迅速に対策を講じたことにより、一定の効果があった。
・日本全国の実効再生産数は、1をはさんで変動している状況が続いたものの、3月上旬以降をみると、連続して1を下回り続けている。
→大規模イベント等の自粛や学校の休校等の直接の影響なのか、それに付随して国民の行動変容が生じたのか、その内訳までは分からないものの、一連の国民の適切な行動変容により、国内での新規感染者数が若干減少するとともに、効果があった。
(*一般に感染症は実効再生産数が1を下回ると収束に向かうとされています。)
しかし現状は決して楽観できるものではないことを続けて説明しています。
・感染源(リンク)が分からない感染者の増加が生じている地域が散発的に発生している。
・この状況が増加していくと、どこかで爆発的な感染拡大(オーバーシュート)が生じ、ひいては重症者の増加を起こしかねない。
そしてラテン・ヨーロッパの例を引き、オーバーシュートの怖さを説明しています。
・オーバーシュート(爆発的患者急増)が始まっていたとしても、事前にはその兆候を察知できず、気付いたときには制御できなくなってしまう。
・オーバーシュートが起きると、医療提供体制が崩壊状態に陥り、この感染症のみならず、通常であれば救済できる生命を救済できなくなる。
・爆発的患者急増が起きたイタリアやスペイン、フランスといった国々では、数週間の間、都市を封鎖したり、強制的な外出禁止の措置や生活必需品以外の店舗閉鎖などを行う、いわゆる「ロックダウン」と呼ばれる強硬な措置を採らざるを得なくなる。
オーバーシュートについては、下のグラフ(「新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言」から引用)が全てを物語っていると思います。ある時点で感染者数が指数関数的に増加してしまうと手が付けられなくなることを如実に示しています。
ここ数日、カリフォルニア州、ニューヨーク州で急速に強硬な措置がとられていますが、既にオーバーシュートが始まっていることを前提としているものと思われます。
提言書では、悪い想定のシナリオと人工呼吸器の整備については下記のように述べています。
・基本再生産数が欧州(ドイツ)並みの2.5程度であるとすると、人口10万人のコミュニティでは、軽症者・無症状者を含めて流行 50 日目には 1 日の新規感染者数が 5,414 人にのぼり、最終的に人口の 79.9%が感染する。
・呼吸管理・全身管理を要する重篤患者数が流行 62 日目には 1,096 人に上り、この結果、地域における現有の人工呼吸器の数を超えてしまう。
・ただし、今回の推計に基づき各地域ごとに人工呼吸器等を整備するべきという趣旨ではなく、今回示した基本再生算数がもたらす大幅な感染の拡大が生じないよう、クラスター対策等強力な公衆衛生学的対策を講じることで、これから各都道府県が整備しようとしている医療提供体制を上回らないようにするべき。
人工呼吸器をすぐ増産する、というのではなく、あくまでも「クラスター対策等強力な公衆衛生学的対策」により「オーバーシュート」を防止する、と言う立場のようです。私個人としては、これまでの緻密なクラスター対策が効果的であったことを評価する一方、これは非常に手間と時間がかかる作業であり、どこかで破綻してしまうことを危惧しています。特に欧州・北米で感染がこれだけ感染が広がっている現状では、流入者を起点として、どこかで指数関数的な感染者増加が発生する可能性は常に考えておかないといけないと思います。
そして今後個々人が遵守すべき対策としては、下記の3つの条件が重なる場を避ける努力を重視しています。(Social distancingに加え、換気の重要性を記している点が良いように思います。)
@換気の悪い密閉空間
A多くの人が密集
B近距離(互いに手を伸ばしたら届く距離)での会話や発声
これも個人的な意見ですが、日本での社会規範を守ろうとする強い意識・無言の強制力(横並び意識)、そして人混みの中では大声での会話を避ける傾向が結果的にCOVID-19では良い方向に作用していると思います。例えば、今回の一時帰国中でも電車に乗っている80-90%ほどの人はマスクを着用しており、無症状者・軽症例から感染が拡大するこの感染症の性質を考えると、非常に理に叶っていると思われます。また、今後日本が温暖な気候になり、室内換気がより促進すると思われるのもプラスに作用すると期待されます。
しかし、基本再生産数が少し増えると感染者数が爆発的(指数関数的)に増えることになるため決して油断できません。日本は北海道を除き行政からの強制力をもった施策は一斉休校だけのように思われますが、個々人の規範に頼るだけでは、自粛疲れも出てくるでしょうし、限界があると思います。先ほども述べたように、特に現状で中国を上回る流行地になっている欧州、そしてそれに続きつつある北米からの渡航者に対するより踏み込んだスクリーニング、施策が必要なのではないでしょうか? あ、カナダに住む私たちが帰国する時にはスクリーニングの対象になってしまいますね・・・。尤も飛行機も運休する状況では日本に帰る術もなくなってしまうのですが・・・。
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3月20日夕方5:30 (EDT)に更新された最新情報(毎日2回更新されます→こちら)では、オンタリオ州の陽性例は311例(この他に改善5例、死亡2例)と午前中の数字から3例増えています。これまでの検査施行19,511例のうち陰性13,718例、検査結果待ち5,475例ですから、検査結果判明例のうち陽性例の割合は (311+5+2) / (19,511-5,475) = 2.3% となります。
一方日本国内(国内事例+チャーター便帰国者事例)の状況は、厚生労働省の集計によると検査施行18,844例のうち陽性例943例(うち無症状者が101例)で、陽性率は5.0%です。日本とオンタリオ州の検査陽性率、また対人口比検査施行数(オンタリオ州の人口は1457万人、日本の人口は1億2480万人)を単純に比較すると、日本はやや検査数を絞っているとは思いますが、把握できていないケースが非常に多いかというとそうでもないように思います。つまり、日本の陽性率が高いのはより事前確率の高い人々に対して検査を施行していることを示しており、逆に検査対象となっていない人に検査を施行した場合の陽性率は5.0%を大きく下回ると予想されます(これを厳密に示すためには母集団のランダムサンプリングのデータが必要ですが、少なくとも重症肺炎が急増しているという話は聞こえてきません)。
前の記事で欧米での人工呼吸器不足に対する危機感を取り上げましたが、日本での分析・方針はどうなっているのかを確認すべく、昨日厚生労働省が発表した新型コロナウイルス感染症対策専門家会議による「新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言」(原文は→こちら)を読んでみました。
まずintroductionではCOVID-19についての性質とその公衆衛生上の問題点を概説しています。
・罹患しても約 80%の人は軽症で済むが、5%程の方は重篤化し、亡くなる方もいる。高齢者や基礎疾患を持つ方は特に重症化しやすい。
・これまで世界で 19 万人以上の感染者と、8,000 人近い死亡者。
・特に、気付かないうちに感染が市中に拡がり、あるときに突然爆発的に患者が急増(オーバーシュート)すると、医療提供体制に過剰な負荷がかかり、それまで行われていた適切な医療が提供できなくなる。
その上で、この提言は「オーバーシュート」を「回避し、できるだけ被害を小さくするための提案」であると要約しています。
次に基本方針として次のことを述べています。
・現時点では、社会・経済機能への影響を最小限としながら、感染拡大防止の効果を最大限にするという、これまでの方針を続けていく
・「@クラスター(患者集団)の早期発見・早期対応、A患者の早期診断・重症者への集中治療の充実と医療提供体制の確保、B市民の行動変容、という3本柱の基本戦略」を維持、必要に応じて強化
・国内に持ち込まれる新型コロナウイルスへの対応、国内でのクラスター(患者集団)の感染源(リンク)が追えない事例が発生していることなどへの対策
そしてこれまでの施策の評価を行っています。
・北海道では緊急事態宣言の前後で、「実効再生産数(一人の感染者が生み出す新たな感染者の数)を推定すると 0.9(95%信頼区間:0.7-1.1)から 0.7(95%信頼区間:0.4-0.9)へと減少した。
→緊急事態宣言を契機に人々が行動を変容し、事業者も迅速に対策を講じたことにより、一定の効果があった。
・日本全国の実効再生産数は、1をはさんで変動している状況が続いたものの、3月上旬以降をみると、連続して1を下回り続けている。
→大規模イベント等の自粛や学校の休校等の直接の影響なのか、それに付随して国民の行動変容が生じたのか、その内訳までは分からないものの、一連の国民の適切な行動変容により、国内での新規感染者数が若干減少するとともに、効果があった。
(*一般に感染症は実効再生産数が1を下回ると収束に向かうとされています。)
しかし現状は決して楽観できるものではないことを続けて説明しています。
・感染源(リンク)が分からない感染者の増加が生じている地域が散発的に発生している。
・この状況が増加していくと、どこかで爆発的な感染拡大(オーバーシュート)が生じ、ひいては重症者の増加を起こしかねない。
そしてラテン・ヨーロッパの例を引き、オーバーシュートの怖さを説明しています。
・オーバーシュート(爆発的患者急増)が始まっていたとしても、事前にはその兆候を察知できず、気付いたときには制御できなくなってしまう。
・オーバーシュートが起きると、医療提供体制が崩壊状態に陥り、この感染症のみならず、通常であれば救済できる生命を救済できなくなる。
・爆発的患者急増が起きたイタリアやスペイン、フランスといった国々では、数週間の間、都市を封鎖したり、強制的な外出禁止の措置や生活必需品以外の店舗閉鎖などを行う、いわゆる「ロックダウン」と呼ばれる強硬な措置を採らざるを得なくなる。
オーバーシュートについては、下のグラフ(「新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言」から引用)が全てを物語っていると思います。ある時点で感染者数が指数関数的に増加してしまうと手が付けられなくなることを如実に示しています。
イタリアに続いてフランス、スペイン、ドイツで患者数の急激な増加が認められています(ドイツでは死亡数は少ないようですが・・・)。この「オーバーシュート」を避ける施策が重要です。 |
ここ数日、カリフォルニア州、ニューヨーク州で急速に強硬な措置がとられていますが、既にオーバーシュートが始まっていることを前提としているものと思われます。
提言書では、悪い想定のシナリオと人工呼吸器の整備については下記のように述べています。
・基本再生産数が欧州(ドイツ)並みの2.5程度であるとすると、人口10万人のコミュニティでは、軽症者・無症状者を含めて流行 50 日目には 1 日の新規感染者数が 5,414 人にのぼり、最終的に人口の 79.9%が感染する。
・呼吸管理・全身管理を要する重篤患者数が流行 62 日目には 1,096 人に上り、この結果、地域における現有の人工呼吸器の数を超えてしまう。
・ただし、今回の推計に基づき各地域ごとに人工呼吸器等を整備するべきという趣旨ではなく、今回示した基本再生算数がもたらす大幅な感染の拡大が生じないよう、クラスター対策等強力な公衆衛生学的対策を講じることで、これから各都道府県が整備しようとしている医療提供体制を上回らないようにするべき。
人工呼吸器をすぐ増産する、というのではなく、あくまでも「クラスター対策等強力な公衆衛生学的対策」により「オーバーシュート」を防止する、と言う立場のようです。私個人としては、これまでの緻密なクラスター対策が効果的であったことを評価する一方、これは非常に手間と時間がかかる作業であり、どこかで破綻してしまうことを危惧しています。特に欧州・北米で感染がこれだけ感染が広がっている現状では、流入者を起点として、どこかで指数関数的な感染者増加が発生する可能性は常に考えておかないといけないと思います。
そして今後個々人が遵守すべき対策としては、下記の3つの条件が重なる場を避ける努力を重視しています。(Social distancingに加え、換気の重要性を記している点が良いように思います。)
@換気の悪い密閉空間
A多くの人が密集
B近距離(互いに手を伸ばしたら届く距離)での会話や発声
これも個人的な意見ですが、日本での社会規範を守ろうとする強い意識・無言の強制力(横並び意識)、そして人混みの中では大声での会話を避ける傾向が結果的にCOVID-19では良い方向に作用していると思います。例えば、今回の一時帰国中でも電車に乗っている80-90%ほどの人はマスクを着用しており、無症状者・軽症例から感染が拡大するこの感染症の性質を考えると、非常に理に叶っていると思われます。また、今後日本が温暖な気候になり、室内換気がより促進すると思われるのもプラスに作用すると期待されます。
しかし、基本再生産数が少し増えると感染者数が爆発的(指数関数的)に増えることになるため決して油断できません。日本は北海道を除き行政からの強制力をもった施策は一斉休校だけのように思われますが、個々人の規範に頼るだけでは、自粛疲れも出てくるでしょうし、限界があると思います。先ほども述べたように、特に現状で中国を上回る流行地になっている欧州、そしてそれに続きつつある北米からの渡航者に対するより踏み込んだスクリーニング、施策が必要なのではないでしょうか? あ、カナダに住む私たちが帰国する時にはスクリーニングの対象になってしまいますね・・・。尤も飛行機も運休する状況では日本に帰る術もなくなってしまうのですが・・・。
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2020年03月20日
Self-isolation, Day 2; 人工呼吸器の増産、非高齢者でも重症化、Air Canada日本便運休
今日はself-isolation 2日目です。Rideau Cottageで優雅に(?)self-isolationを過ごしていらっしゃるTrudeauさんとは対照的に、庶民の私は段ボール箱が積み上げられているcondoの狭い一室に閉じこもっています。
Internetだけが友達のようになっている幽閉生活ですが、今日も11時過ぎからのTrudeauさんの会見と新型コロナウイルス感染症(COVID-19)関連ニュースをonlineで眺めていました。アメリカとの間の国境も、今夜24時に閉じられ、観光やショッピング目的の往来ができなくなるようです。他国籍者を入れないでアメリカ人だけ自由に行き来させているのでは、国境封鎖の意味が薄れるので、当然の決定だと思います。
印象的だったのが、人工呼吸器(ventilator)の不足に対する危機感です。肺炎が重症化した時には人工呼吸器を用いて呼吸状態を保たなければならないのですが、オンタリオ州の病院では人工呼吸器の90%が平時に使用されており、COVID-19患者が急増した場合、とても対応できないというのです。
同様のシミュレーションはイギリスでもされているようで、Boris Johnsonはまさに"war-time efforts"で人工呼吸器を増産するよう、生産会社に要請を出しているとのことでした。日本の状況は耳に入って来ませんが、おそらく民間製造業の強い日本のことですから、既に対応は始まっていると期待したいところです。
またオンタリオ州のCOVID-19の状況もupdateされていました。現在州内のCOVID-19総症例数は308、ただし現在検査中は5,485例となっており、今後数日でこの数字は指数関数的に増加すると危惧されます。イタリア(総死亡数が中国を超えるという、信じられない状況になっているようです)のような状況にならなければいいのですが・・・。
またオンタリオ州でCOVID-19による死亡2例目となってしまったのは、まだ51歳の男性で、3人の子供がいる方だったようです。中国のデータからは高齢者はhigh riskだけど、中年層までは死亡率は低くそれほど恐れる必要はない、との印象も持っていたのですが、認識を改める必要があるのかもしれません。New York Timesの記事(→こちら)でも、アメリカCDCの集計によると、COVID-19による入院患者の40%が20歳〜54歳で、20%が20歳〜44歳、さらに集中治療が必要になる患者の12%が20歳〜44歳だと言うのです。若い人も決して侮れない感染症であることは明白なようです。
学校も休校になり、職場も閉鎖されるところが増える中、日本への帰国を考えておられる方もいるかと思います。
そのような中、Air Canadaは3月下旬から4月末までの日本便の運休を発表しました。Montreal-成田便は3月27日から、Toronto-羽田便は3月28日から運休になるようです。今後どうなるのか不透明で、計画が立てにくい状況だと思いますが・・・。
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Internetだけが友達のようになっている幽閉生活ですが、今日も11時過ぎからのTrudeauさんの会見と新型コロナウイルス感染症(COVID-19)関連ニュースをonlineで眺めていました。アメリカとの間の国境も、今夜24時に閉じられ、観光やショッピング目的の往来ができなくなるようです。他国籍者を入れないでアメリカ人だけ自由に行き来させているのでは、国境封鎖の意味が薄れるので、当然の決定だと思います。
印象的だったのが、人工呼吸器(ventilator)の不足に対する危機感です。肺炎が重症化した時には人工呼吸器を用いて呼吸状態を保たなければならないのですが、オンタリオ州の病院では人工呼吸器の90%が平時に使用されており、COVID-19患者が急増した場合、とても対応できないというのです。
同様のシミュレーションはイギリスでもされているようで、Boris Johnsonはまさに"war-time efforts"で人工呼吸器を増産するよう、生産会社に要請を出しているとのことでした。日本の状況は耳に入って来ませんが、おそらく民間製造業の強い日本のことですから、既に対応は始まっていると期待したいところです。
またオンタリオ州のCOVID-19の状況もupdateされていました。現在州内のCOVID-19総症例数は308、ただし現在検査中は5,485例となっており、今後数日でこの数字は指数関数的に増加すると危惧されます。イタリア(総死亡数が中国を超えるという、信じられない状況になっているようです)のような状況にならなければいいのですが・・・。
3月20日現在、オンタリオ州内のCOVID-19総症例数は308。ただし現在検査中は5,485例で、今後さらに陽性者が出てくるものと予想されます。 |
またオンタリオ州でCOVID-19による死亡2例目となってしまったのは、まだ51歳の男性で、3人の子供がいる方だったようです。中国のデータからは高齢者はhigh riskだけど、中年層までは死亡率は低くそれほど恐れる必要はない、との印象も持っていたのですが、認識を改める必要があるのかもしれません。New York Timesの記事(→こちら)でも、アメリカCDCの集計によると、COVID-19による入院患者の40%が20歳〜54歳で、20%が20歳〜44歳、さらに集中治療が必要になる患者の12%が20歳〜44歳だと言うのです。若い人も決して侮れない感染症であることは明白なようです。
学校も休校になり、職場も閉鎖されるところが増える中、日本への帰国を考えておられる方もいるかと思います。
そのような中、Air Canadaは3月下旬から4月末までの日本便の運休を発表しました。Montreal-成田便は3月27日から、Toronto-羽田便は3月28日から運休になるようです。今後どうなるのか不透明で、計画が立てにくい状況だと思いますが・・・。
Air Canadaが発表した日本便の運休。Montreal-成田便は3月27日から4月末まで、Toronto-羽田便は3月28日から4月末まで運休とのことです。 |
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2020年03月19日
カナダ国境が外国籍の旅行者に閉鎖される中、なんとか再びカナダへ
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)が世界中に広がりWHOがパンデミック宣言を出す中、カナダでもCOVID-19罹患者が増えています。象徴的だったのはTrudeau首相の奥さんのSophie Grégoireさんがイギリスからの帰国直後に発症し、新型コロナ陽性と診断されたことでしょう。(1日も早く快癒していただいて、明るいニュースを届けてほしいと祈っています。)
首相夫人がCOVID-19に罹患した、とのニュースが流れたのが12日ですが、そこからカナダのCOVID-19対応が急展開したように思われます(ヨーロッパで感染者が急増して危機感を強めたというのが本当の理由だとは思いますが)。
16日13時(EDT)Trudeau首相が会見するというニュースを聞き、ただならぬ気配を感じた私は、眠い目をこすりながら17日午前2時(JST)にインターネット経由で会見を見ました。そうです、私は運悪く、このタイミングで日本に一時帰国していたのですorz! もちろん相応のリスクがあることは覚悟していたのですが・・・。固唾を飲んでTrudeauさんの話を聞いていると、「カナダの国境を18日正午(effective at noon on Wednesday, the 18th) に閉鎖し、カナダ国籍を持つ人(Canadian citizens)、永住権を持つ人(permanent residents)、これらの人の直接の家族(immediate family members)、またはアメリカ国籍を持つ人以外はカナダに入ることを許可しない」という決定を下した、というではありませんか! まさに寝耳に水です!
続く政府高官の会見でもこの点に質問が集中していました。Work permitやstudy permitをもつ人はどうなるのか?と。それに対しては"Unless their travels are essential, they will not be allowed to enter Canada,"というような答えでした。逆に言うと"essential"な仕事、任務があれば、この条件を満たしていなくても入国を許可してもらえる余地が残っているようでした。ただ実際に例として挙げられていたのは、航空機乗務員や外交官で、ヘルスケア領域の研究者である私が入国を許可されるかは非常に微妙な感じでした。
しかし、私は妻と子供をカナダに残しており、このような非常時に長期間家族と離れ離れでいる選択肢はとても考えられませんでした。この会見を見た17日には午後まで日本での仕事が残っており、17日発のフライトにはどうしても間に合いません。もともと18日羽田発トロント行きの飛行機に乗る予定だったのですが、出発時刻は18:50 JST (5:50 am EDT)でなんとか12:00 pm EDTのdeadlineには間に合っているのですが、当然トロントに到着する時には国境は閉鎖されています。
17日朝から東京のカナダ大使館やAir Canadaの事務所に電話をかけたのですが、なかなか繋がりません。仕事もあり、何十分も電話口で待っていることもできず、仕方がなく18日カナダに帰る支度をして羽田空港に向かいました。
国際線ターミナルはガラガラでしたが、Air Canadaのカウンターだけ行列ができています。そして何故か私にも英語で列に並ぶよう案内がありました。そう言えば件の深夜の会見では、外国にいる全てのカナダ人に旅程を切り上げて至急帰国するように、とも呼び掛けていたのでした。
私の番になり、私が日本のパスポート所持者でpermanent residentでもないとわかると、予想通り「搭乗をお断りしています」と言われました。そこで政府の会見で"essential"な目的の渡航であれば例外的に認められる余地がある、と言っていたのを引き合いに出し、私はこういう仕事をしていて、家族もカナダに残しており、帰らないわけにはいかない、と説明させていただきました。
受付の方はしばらく席を離れ、何やら責任者の方と協議しているようでした。非常に長い時間に感じたのですが、15分ほど経って戻って来られ、トロントで入国できない場合、自己責任で日本に戻ることになる旨告げられた上で搭乗手続きを認めてくれました。搭乗時にはまだ上記のdeadline前だったのが良い方に作用したのかもしれません。
ホッとして軽食をとり(当日は猛烈に忙しかったのに加え、飛行機に乗れるか不安だったこともあり昼食を摂っていなかったのです)、出国審査を経て、搭乗口へと向かいました。やはり、他はガラガラなのにトロント行きのところだけ人だかりができています。昨今のキーワードである、social distancingを遵守すべく、離れたところで待っていたら、名前を呼ばれ搭乗口カウンターまで来るよう場内アナウンスで呼び出されました。まだ終わりではなかったのです。
土壇場でちゃぶ台返しかも、と不安になりながら赴くと、再度トロントで入国できないリスクを告げられ、それでも離日する場合、誓約書にサインするよう求められました。誓約書には「一切エア・カナダにはご迷惑をおかけしません」となんとも日本的な内容が書いてありました。さすがに「迷惑をかける/かけない」は法的な文言ではないよな、と思いつつ、搭乗させていただくだけでありがたいのは事実であり、そのままサインしました。写真くらい撮っておくべきだったのかもしれませんが、人だかりから一刻も早く抜け出したい、とにかくトロントに帰りたい、との気持ちで頭がいっぱいになっていました。
機内は文字通り満席でした。機内持ち込み手荷物を収納できるキャビネットを探すのも一苦労でした。多くの方がマスクをしていて、また普段のカナダの人々からは考えられないくらい、皆静かでした。
12時間ほどのフライトを終えて着陸したところ、また新たなアクシデントが・・・。機内にcritically ill passengersが2人ほどいて、救急車が来るのを待ってから一般乗客が降機することになりました。この間待つことやはり20分ほどでしょうか? で、ようやく飛行機を離れることができ、入国審査へと向かいました。
入国審査場での外国人用の列は普段とは打って変わってガラガラで、すぐ順番が回ってきました。前の方はpermanent residentのカードを持っているようですぐ審査が終わっていましたが、私はやはりいろいろ説明しなければならない、と覚悟を決めました。今回の日本滞在中にパスポートを更新していたので、それをまず前面に出し、そして仕事に戻らねばならないこと、家族がトロントに残っていることなど長々と説明しました。一通り説明すると、入国審査官の女性は頷いて、新しいパスポートでeTAが申請されていることを確認しただけで、あっさりと通してくれました。あまりにもスムーズだったので、かえって拍子抜けするほどでした。(注:これは新しい規制が始まった当日だったからかもしれません。規制は日々変化しており、今後も同様に外国籍の人が入国できる保証は − 例外として明示されている人を除いて ― 一切ありません。)
私は現在2週間のself-isolationに入っています。これは国籍に関係なく、過去14日以内に他国を訪れてカナダに戻った人すべてが対象です。自宅の段ボールが積み重なった納戸のような小部屋で小さくなっています。せっかく再会した子供たちを抱き上げることもできず、単純に"isolation"と形容されますが、実際にその立場になると、非常に重たくて辛いものです。この問題は終息が見通せず、人々の経済活動にも大きな影を落としていますが、何とか明るいニュースを探して日々を有意義に過ごして行きたいと思っています。
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首相夫人がCOVID-19に罹患した、とのニュースが流れたのが12日ですが、そこからカナダのCOVID-19対応が急展開したように思われます(ヨーロッパで感染者が急増して危機感を強めたというのが本当の理由だとは思いますが)。
16日13時(EDT)Trudeau首相が会見するというニュースを聞き、ただならぬ気配を感じた私は、眠い目をこすりながら17日午前2時(JST)にインターネット経由で会見を見ました。そうです、私は運悪く、このタイミングで日本に一時帰国していたのですorz! もちろん相応のリスクがあることは覚悟していたのですが・・・。固唾を飲んでTrudeauさんの話を聞いていると、「カナダの国境を18日正午(effective at noon on Wednesday, the 18th) に閉鎖し、カナダ国籍を持つ人(Canadian citizens)、永住権を持つ人(permanent residents)、これらの人の直接の家族(immediate family members)、またはアメリカ国籍を持つ人以外はカナダに入ることを許可しない」という決定を下した、というではありませんか! まさに寝耳に水です!
続く政府高官の会見でもこの点に質問が集中していました。Work permitやstudy permitをもつ人はどうなるのか?と。それに対しては"Unless their travels are essential, they will not be allowed to enter Canada,"というような答えでした。逆に言うと"essential"な仕事、任務があれば、この条件を満たしていなくても入国を許可してもらえる余地が残っているようでした。ただ実際に例として挙げられていたのは、航空機乗務員や外交官で、ヘルスケア領域の研究者である私が入国を許可されるかは非常に微妙な感じでした。
しかし、私は妻と子供をカナダに残しており、このような非常時に長期間家族と離れ離れでいる選択肢はとても考えられませんでした。この会見を見た17日には午後まで日本での仕事が残っており、17日発のフライトにはどうしても間に合いません。もともと18日羽田発トロント行きの飛行機に乗る予定だったのですが、出発時刻は18:50 JST (5:50 am EDT)でなんとか12:00 pm EDTのdeadlineには間に合っているのですが、当然トロントに到着する時には国境は閉鎖されています。
17日朝から東京のカナダ大使館やAir Canadaの事務所に電話をかけたのですが、なかなか繋がりません。仕事もあり、何十分も電話口で待っていることもできず、仕方がなく18日カナダに帰る支度をして羽田空港に向かいました。
国際線ターミナルはガラガラでしたが、Air Canadaのカウンターだけ行列ができています。そして何故か私にも英語で列に並ぶよう案内がありました。そう言えば件の深夜の会見では、外国にいる全てのカナダ人に旅程を切り上げて至急帰国するように、とも呼び掛けていたのでした。
ガラガラの羽田空港国際線ターミナルで、Air Canadaのカウンターの前だけ行列ができていました。 |
私の番になり、私が日本のパスポート所持者でpermanent residentでもないとわかると、予想通り「搭乗をお断りしています」と言われました。そこで政府の会見で"essential"な目的の渡航であれば例外的に認められる余地がある、と言っていたのを引き合いに出し、私はこういう仕事をしていて、家族もカナダに残しており、帰らないわけにはいかない、と説明させていただきました。
受付の方はしばらく席を離れ、何やら責任者の方と協議しているようでした。非常に長い時間に感じたのですが、15分ほど経って戻って来られ、トロントで入国できない場合、自己責任で日本に戻ることになる旨告げられた上で搭乗手続きを認めてくれました。搭乗時にはまだ上記のdeadline前だったのが良い方に作用したのかもしれません。
ホッとして軽食をとり(当日は猛烈に忙しかったのに加え、飛行機に乗れるか不安だったこともあり昼食を摂っていなかったのです)、出国審査を経て、搭乗口へと向かいました。やはり、他はガラガラなのにトロント行きのところだけ人だかりができています。昨今のキーワードである、social distancingを遵守すべく、離れたところで待っていたら、名前を呼ばれ搭乗口カウンターまで来るよう場内アナウンスで呼び出されました。まだ終わりではなかったのです。
土壇場でちゃぶ台返しかも、と不安になりながら赴くと、再度トロントで入国できないリスクを告げられ、それでも離日する場合、誓約書にサインするよう求められました。誓約書には「一切エア・カナダにはご迷惑をおかけしません」となんとも日本的な内容が書いてありました。さすがに「迷惑をかける/かけない」は法的な文言ではないよな、と思いつつ、搭乗させていただくだけでありがたいのは事実であり、そのままサインしました。写真くらい撮っておくべきだったのかもしれませんが、人だかりから一刻も早く抜け出したい、とにかくトロントに帰りたい、との気持ちで頭がいっぱいになっていました。
やはりトロント行きエア・カナダの搭乗口の前だけ人だかりができていました。Social distancingを守りたい私は集団から距離を取って待機していましたが、この直後カウンターに呼び出されました。 |
機内は文字通り満席でした。機内持ち込み手荷物を収納できるキャビネットを探すのも一苦労でした。多くの方がマスクをしていて、また普段のカナダの人々からは考えられないくらい、皆静かでした。
12時間ほどのフライトを終えて着陸したところ、また新たなアクシデントが・・・。機内にcritically ill passengersが2人ほどいて、救急車が来るのを待ってから一般乗客が降機することになりました。この間待つことやはり20分ほどでしょうか? で、ようやく飛行機を離れることができ、入国審査へと向かいました。
トロント到着直後の機内。急病人を先に運び出す、とのアナウンスメントが流れ、人々は不安そうに機内前方を見ています。発熱者がいたのでしょうか? |
入国審査場での外国人用の列は普段とは打って変わってガラガラで、すぐ順番が回ってきました。前の方はpermanent residentのカードを持っているようですぐ審査が終わっていましたが、私はやはりいろいろ説明しなければならない、と覚悟を決めました。今回の日本滞在中にパスポートを更新していたので、それをまず前面に出し、そして仕事に戻らねばならないこと、家族がトロントに残っていることなど長々と説明しました。一通り説明すると、入国審査官の女性は頷いて、新しいパスポートでeTAが申請されていることを確認しただけで、あっさりと通してくれました。あまりにもスムーズだったので、かえって拍子抜けするほどでした。(注:これは新しい規制が始まった当日だったからかもしれません。規制は日々変化しており、今後も同様に外国籍の人が入国できる保証は − 例外として明示されている人を除いて ― 一切ありません。)
私は現在2週間のself-isolationに入っています。これは国籍に関係なく、過去14日以内に他国を訪れてカナダに戻った人すべてが対象です。自宅の段ボールが積み重なった納戸のような小部屋で小さくなっています。せっかく再会した子供たちを抱き上げることもできず、単純に"isolation"と形容されますが、実際にその立場になると、非常に重たくて辛いものです。この問題は終息が見通せず、人々の経済活動にも大きな影を落としていますが、何とか明るいニュースを探して日々を有意義に過ごして行きたいと思っています。
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