ヨークシャーテリア みるくの物語　♪

りあちゃんが家に遊びに来た。

りあちゃんはまだ1歳ちょっとなので
みるく と くるみ の違いはわかんない
と思ってた。

夜、私の部屋で
みるくの写真をみたりあちゃん。
泣きじゃくっていたのに泣き止み
必死で写真を触ろうとする。

偶然かなと思っていたけれど
それが2日間続いた。

パソコンでみるくの写真を画面上にだしても
触れようと手を伸ばす。
前はそんなことなかったのに。



りあちゃんはまだちゃんと話せないので
詳しいことはわかんない。

でも、何かを感じているのは確かだ。

天国に行ったことは理解できないだろうけど
今、我が家にみるくがいないこと。
わかっているみたい。

りあちゃんが生まれた時
みるくは嬉しそうに
りあちゃんの顔を覗きに行ってた。


みるくは自分が大好きなロープ遊びしていても
りあちゃんがロープを取りに来ると譲ってた。

竿の先にぬいぐるみがついてるおもちゃ。
私が遊んであげる時、
みるくは必死でダッシュして
ぬいぐるみを噛んだら放さない。

りあちゃんが私のマネをしてそれをふると
ゆっくり歩いて軽く噛んですぐに放して
それを繰り返す。
りあちゃんと遊んであげてた。



りあちゃんが危ないことしてると
りあちゃんママに吠えて教える。

りあちゃんを叱ると
怒ってくる。
まぁ、りあちゃんを叱る理由は
みるくを叩いたことに対してなんだけど。
それに叱るっていっても「ダメでしょ！」程度。

みるくはりあちゃんに叩かれても堪えてたなぁ。
ある意味、りあちゃんをかばっていたのかも。



りあちゃんをとっても大切に思ってた
本当にいいおにいちゃんだったみるく。

小さい頃の記憶がどれくらい残るかはわかんないけど
今だけであったとしても
みるくのことを覚えてくれてる
りあちゃんのその思いがどうしようもなく嬉しかった。




くるみはりあちゃんの弟になる。
仲良くしてあげてね、りあちゃん。

ママのお買い物。
私とくるみも一緒にお出かけ。

もちろんスーパーの中にわんこは入れない。

それでいいんだ。
だって今回、私が行きたかったのは
スーパーの2Fの駐車場。

車が少なくて
くるみの散歩レッスンには最適。

ペットショップの床しか走っていなかったくるみは
土の上が苦手なのかもしれない。
駐車場の床はコンクリート。
まずは外で歩くことに慣れさせるべきよね。

リードは大人しく付けさせてくれる。
おりこうさんだ。

「さぁ、お散歩しようか」
と抱っこして車から降ろしたんだけど
タッチして車にしがみつく。
離れない。



うーん、やっぱ無理かなぁ
なんて諦めかけた頃
おっ。前足を地面につけた。

あっ。歩いた。
私の車の周りをゆっくりと歩く。


車から人が降りてきた。
その人のほうへ近づいていく。
遠まきに見つめている。

そういうことが何度かあり、
てけてけ歩き出した。

「きゃぁすごぉーい。やったねぇ、くるみ」
嬉しくなって、拍手もプラス。
くるみは気をよくしたのか、どんどん歩く。
慣れてくると駐車場のど真ん中で
お座りしたり。
リラックスして伏せでのんびり。



いや、そこまで落ち着かれると・・・
車が来ないか私がひやひや。

お買い物から戻ってきたママも
「わぁっ、くるみ歩いてる〜」
一緒に来ていたりあちゃんママにも褒められて
ご機嫌くるみ。


結局、お買い物が終わってるのに
しばらく
駐車場で遊んでしまいました。

ただ、小さい石ころや棒みたいなもの
なんでも食べちゃうから大変。
まだ子犬だからしょうがないんだけど。
なるべく気をつけてるけど、いくつかは食べられちゃった。

みるくも子犬の頃はそうだったけど
そのうち食べなくなったから
心配ないと思うんだけど。


さすがに疲れたようで
家に帰ったらすぐにねんね。
今日はよく頑張ったね。

くるみを連れて和歌山城に行った。

少しはお散歩できるなと思ったんだけど
全く歩かない。
地面に下ろしてリードをちょっと引いてみても
頑として動かない。



外にでた経験が乏しいために恐いのか
リードが嫌なのかわかんないけど。
室内では結構走っているのに
外は嫌らしい。




みるくを思い出した。

まだ３ヶ月だったがみるくにリードをつけた。
家の中で少し歩かそうと思ったが
一歩も動かない。
床にへばりついて何が何でも動くもんかって
踏ん張られて、こっちが根負けした。



以前飼っていたうさちゃん用のリードで
重たかったのかもしれない。

当分は胴輪で遊びに行ってたっけ。

みるくが少し大きくなったので
わんちゃん用リードを購入した。
すると、リードをつける時もとっても賢くなって
「はい、どうぞ」みたいな感じで
お座りしてじっとしてた。
てけてけ歩いたり走ったりもするようになった。

焦らなくても、くるみもそのうちリードにも慣れて
外で遊べるようになるかな。



↑上の写真はくるみが猫とにらめっこしてるもの。

そうそう、くるみ自身も
老夫婦に猫に間違われてた。

小学生の団体には
「先生、あのわんこ欲しい〜」
「先生、もらって〜」
って言われた。

絶対あげないぞ。

きのこのおうち。

みるくのお昼寝場所だったけど
いつの間にか宝物箱に変わってた代物。

くるみはまだ入らない。
クッションの上よりもきのこの方が
暖かいし、ゆっくり寝れるはず。

クッションの場所に
きのこを設置してみた。
お気に入りのピヨちゃん（ひよこのぬいぐるみ）も入れた。

いきなり奪われたクッションに動揺するくるみ。
しばらくすねたような行動してたけど
気にはなるみたい。



いや・・・
そんな風にあご枕に使うんじゃなくて
中に入ってよ。



お、入った。



いや・・・
頭だけ出さないで
ちゃんと中に入ってよ。



なんだかんだ1時間近く。
きのこのおうちを正しく使えるようになりました。
おりこうおりこう。


今ではお気に入り。

食が細いと聞いていたくるみ。

ところが、よく食べる食べる。
いくらでも食べる。
最初は一粒ずつカリカリ食べていたが
すぐにそれが数粒になり
最近は食べるスピードまで速くなった。
おやつも大好き。
みるくと同じ食いしん坊だ。

食欲があるのはいいこと。嬉しい。
ドッグカフェも喜んでくれるかも。



貧弱だった身体も
よく食べるのですぐに程よい状態になり
毛艶もかなりましになった。

ましになったといっても
代々インターナショナルチャンピオン家系の
みるくとは歴然の差だけど。

みるくってそうはみえなかったけど
やっぱすごい子だっだんだなぁって改めて気付く。


みるくは運動神経がよかった。
３ヶ月からすごいジャンプ力て
いろんなところに登るわ、降りるわ。
高いところが好きで
６ヶ月の頃には座っている私の肩まで
よじ登ったりしてたし
机の上から落ちるときには
宙返りしながらきちんと着地してた時もあった。

くるみは・・・というと
ソファにも登れない。
一度ソファから降りようとして
頭から落ちていた。
でんぐり返しするのか・・・みたいな感じ。



まぁ、そのどんくさいところも
魅力のひとつかな。

家に連れ帰ってすぐ
みるく似のヨーキーを
みるくに紹介した。

「この子はみるくの弟だよ。
よろしくね。
いろいろ教えてあげてね。」

みるくは姪っ子のりあちゃんを
妹としてすごく可愛がっていた。
すごくいいお兄ちゃんしてた。

だからきっと
この子のことも可愛がってくれるはずだ。
天国から優しく見守ってくれるはずだ。
そう思った。

みるくの弟ヨーキーの名前は「くるみ」に決まった。

「みるく」の反対なので
安易につけたように思われるかもしれないけれど
みんなでかなり考えてつけた名前。

パパは　みるくパート�Uなんて言ってたけど
即刻却下。
みるくの「ミルクティー」にちなんで「レモンティー」でれもん。
ここあ。ぽち。ユニコ。

でも、みるくの中の１文字を使いたいと思い
結果、「くるみ」に。
３文字全て使うことが出来た。

木の実の胡桃の「くるみ」。
結構気に入っている。
実際呼んでいると
案外しっくり合っているような気がしてきた。

でも、みんな
すぐに「みるく」って呼んじゃうの。
しばらくはしょうがないよね。
くるみは混乱するかも・・・だけど。



くるみはペットショップでは
ヨーキーの「よーちゃん」と呼ばれていたため
まだ自分のこと
「よーちゃん」だと思っているみたい。

みるくを連れていろんなペットを見てきた。
ペットを売っているところは犬の入店OKなところが
多いので自然にそうなった。

どこも大体3ヶ月くらいのヨーキーが売られていることが多い。
可愛いヨーキーちゃんはたくさんいたけど
みるくに似ている子は今までいなかった。

それに、3ヶ月だと
大きくなった時の顔がよくわからない。
みるくに全く似てない子に育つ可能性も大きい。

その点、新しく迎える子は約6ヶ月。
顔がほぼ成犬に近づいていた。

アーモンド形の目。
まあるい顔。
大きいとはいえない鼻。

みるくに似ていた。

偶然にもカットもみるくと同じだった。

みるくのカットサロンは和歌山で
この子は大阪のこのペットショップでカットされている。
なのに、いつもオーダーしていた
みるくと同じカットだった。
だからよけいにみるくの姿を彷彿させた。

ショップの方からいろんな説明をうけた。
男の子。
狼爪があること。

右の睾丸がおりてきていないこと。
似なくてもいいところがみるくと同じだ。

余りに細くて貧弱だったので
「この子あんまり食べないんですか？」と聞いてみた。
「そうですね、食は細いです」と言われた。
少し残念に思えた。



みるくはすごい食いしん坊だったのになぁ。
この子はドッグカフェに行っても喜ばないかもしれない。
みるくはドッグカフェ大好きで
今日は何を食べれるのって
すごく楽しそうにしていたのに。

骨もみるくほど強くはなさそうだ。


わかってる。この子はみるくじゃない。
でも、この子がうちに迎え入れられた理由は
みるくに似ているからであることも真実で。

もう少し時間がかかるかもしれないけど
この子をきちんと受け入れて愛せるようになるだろう。

みるくが大きな宝物であることは変わりないけれど
この子も私にとって大きな宝物になってくれたら。

それは幸せなことだよね。

ドライブに行くことになった。
行き先は聞かされていなかった。

着いたところは
みるくを買ったペットショップの入った
ショッピングセンター。

そういえば、朝
「みるくの生まれ変わりを探しに行こうか」
と言われた。
泣いて断ったのに。


そのペットショップは購入時だけでなく
その後もみるくを連れて何度も訪れている。

リードを着ければ店内を歩かせてもいいので
みるくとうろうろしながら
服やおやつを選んでいたっけ。

懐かしくなって、少し店内を歩いた。
初めて買ってあげたみるくのおもちゃ。
クリスマスに喜んで食べたロールケーキ。
いろんな商品を見るたび、みるくとの想い出が蘇ってくる。
横にみるくがいないことが寂しくてたまらない。


店内の奥からわんちゃんの吠える声が聞こえてくる。。
ケージの前に数匹のちいさなわんちゃんが走れる？程度の
スペースが設けられている。

チワワやミニチュアダックスに混じってヨーキーが歩いていた。
少し大きくなっているヨーキー。
生後約6ヶ月。
ヨーキーはその一匹だけだった。

ママとパパが
「この子、みるくと似ている」
と言って私のバッグからみるくの写真を取り出した。
スタッフの方がそれを見て言った。
「色は違いますけど確かに似ていますね」

みるくが天国に行ったことをパパが説明した。
それを聞いていてまた涙が出てきた。
少しだけ似ているかもしれない・・・。
でもまだ早過ぎる。
みるくを失った傷も癒えていない。
いつか癒えるのだろうかという疑問も一瞬、
頭をよぎったが、
ペットショップを後にした。


買い物と食事をすませ、
帰り際、パパがもう一度ペットショップに入った。

若い夫婦がヨーキーを買おうか相談していた。
そして悩んだ末に買わずに帰っていった。

みるくは3ヶ月で我が家に招き入れられた。
6ヶ月の頃にはいろんなところに遊びにいってた。
この子はまだそんなことしていないんだって思うと
少しかわいそうに思えた。

パパがヨーキーを抱っこして
「この子、連れて帰らないか」と言った。
「まだみるくがいなくなってから日が浅すぎる。
今はそんな気になれない」
それが私の返事だった。



ペットショップの方がいろんな話をしてくれた。

似ている子と出逢えることはそうあることじゃないこと。
この子と出会えた縁。
そしてスタッフの方の天国に行ったわんちゃんの話。
みるくが悲しんでいる私を見て
出逢わせてくれたのかもしれないということも。
でも、私の気持ちがわかるから連れて帰ってあげてとは
言えないというスタッフさんも。

いつの間にか、私もパパも泣いていた。
そして一緒に話していた2人のスタッフの方も泣いていた。

もう一度
「連れて帰らないか」とパパが言った。
いろんな想いが頭の中を巡った。
この子はみるくじゃない。
みるくが元気な頃に既に生まれていた。
生まれ変わりじゃない。
だけど・・・生まれ変わりなんているはずがない。

みるくが出逢わせてくれた？
優しい子だったから？
私を心配して？？

涙が止まらなかった。
そのまましばらく時間が過ぎた。
そして私はゆっくりと頷いた。

6ヶ月の売れ残り？ヨーキーが
我が家に迎えられることになった瞬間だった。

みるくは1歳と６ヶ月＋７日で
天国に旅立ってしまった。
まだまだこれからなのに。
もっともっと生きれたはずなのに。
いつかは訪れるにしても・・・
早過ぎる・・・。
ずっとそう思ってた。



「生き物は産まれた時から早かれ遅かれ
寿命はきまっているんだって。
　あなた方大好きな家族から一生分の幸せをもらったから
　その子は『天寿を全う』したんだよ。
　あなたたち家族から『一生分の幸せ』をもらったんだ。
　幸せだったんだよ。」

あるショップのホームページ。
そこの店長さんは1歳と4日で
愛猫を旅立たせてしまったそうです。
長いペットロスの中
お友達からこんな言葉をもらったそうです。



みるくも天寿を全うできたのかも
しれない。

一緒に過ごした１年３ヶ月ちょっと
ほんとにいろんなことがあって。
毎日が笑顔にあふれてて。
みるくのこと、みんながすごく愛してて。
「一生分のしあわせ」
きっとあげれたんだよね。

↑↑この写真はみるくが元気だった時
一番最後に撮影した１枚。

今日はみるくが天寿を全うした日から
ちょうど１ヶ月。

みるくとの思い出ばなし。

みるくとはとっても中がよかったんだけど

一度だけ
けんかしたことがある。
まだ、みるくが小さかった頃。

理由は覚えていないけど。



私が何か言ったら
みるくがワンワンと反抗してきた。
人間言葉では伝わらないと思い
私もワンワンで応戦した。
そうしたら、もっと大きい声でワンワンいうので
私も大きな声でワンワンと言った。

少しの間、わんわんの言い合いが続いた。

その後、
パソコンをしていたら
みるくが机によじ登ってきた。
パソコンの横に来たので
甘えたいのかな
なんて思ってたら
すぐに机から降りてどこかに行ってしまった。

？と思いながら
ふとパソコンの横を見ると
うんうんが！！

腹いせ？
コレで気が済んだようで
この後はにこにこして遊んでたけど。
机の上にうんうんをしたのは
後にも先にもこの1回だけだったな。


本に
犬は複雑な感情をもちません
なんて書いてあるけど
腹いせによる小さな仕返し
充分複雑な感情による行動だと思う。

こんな可愛い仕返しなら
大歓迎なんだけど。

この話を家族にしたら
みんな、大笑いしたっけ。

今は書いてるだけで涙が出てくるけど
もう少し時間が経てば
笑って話せるようになるはず。
きっと。