引用 gaga.ne.jp
賞を取った、ということだったのでいつか観に行こうと思ってたんですが(ミーハー)、予告見ても何かいまいち魅かれなかったので後回しにしてたんですよねー。ちょうどレイトショーに間に合うくらいの時間に街中で一人になったのでついでに観てきました。
とってもいい映画でした。
スカッとするとか感動!みたいな鮮やかな面白さみたいなのはなかったんですけど、味わい深いというか綺麗には整理されづらい、余韻のある映画でした。人によって色々と見方が異なる映画じゃないかな。私的には手短に一つ挙げるとすれば、人はやはり複雑で、その複雑な人たちが作る共同体である家族とは一体何だろうか、というところを問いかけてくる映画だな、みたいな感じでしょうか。
血のつながりはなくとも愛情があれば家族となれるのだ、みたいなことはまぁ言えるんでしょうけれど、彼らにそれぞれへの愛情ってあったんだろうか、ということを思うのです。
時折見せる彼らの愛情の表現のような何かは、たぶん彼らの普遍的な愛情を表すものではないのではないかな。場当たり的に、刹那的にその時の自分が与え得る何か。でも逆に、人が他者に向ける愛情が普遍的ではあり得ないことも、私は普段の暮らしの中でとっくに想定してしまっているわけで。
では何があれば、例えばどのような表現があればそれは愛情で、家族であることの証であるところの愛情なのかしら。強度の問題なのかしら。それは正しかったり、間違っていたりするのかしら。きっと人それぞれにその基準みたいなものがあって、私たちは時折、それを確かめ合いながら生きてる。そういうことを映画を観終わってから、自分のこれまでも振り返りつつ考えています。
私にも家族があった。きっと今も、私を家族の一員として迎えてくれる人はいるのだろう。私が家族であることに求めたその基準は、たぶん高すぎたということではないかな。そのことに甘えて私はその努力を怠ったんだと思う。自分から捨て去るのは容易くて、彼らが私に求めたことをこれから先知ることは、たぶんもうない。それを残念に思う気持ちも、私の中にはたぶん、もうない。
印象的だったシーンもたくさんありますね。取調室で「何だろうね」と応えるシーン。取り調べから解放された後、家に戻って部屋を開けるシーン。バスの座席からふり返るシーン。等々。
それぞれのシーンが、私の頭の中にフワっと、様々な疑問を投げかけてくる。そんな映画でした。大好きです。
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