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2019年11月02日
家族の木 THE FOURTH STORY 真と梨央 <73 高学歴嫁>
高学歴嫁
真也は会計学を専攻して大学院まで進んでそのまま監査法人に就職した。そして就職したと同時に父親になった。相手も会計士だ。結婚式も披露宴もなし。手間いらずなのか雑なのかとにかく、あっさりと夫になり親になってしまった。
梨央は最初は寂しがったが孫ができてみると共働き家庭に協力して忙しそうだった。真也夫婦はうちから車で20分ぐらいのT・コーポレーションのマンションに住んでいた。嫁さんは頭がよさそうで梨央は押されっぱなしだった。立派な学歴と資格を持った嫁さんは、社会経験一切なし、女子大を卒業しただけの梨央を軽く見ることもあった。
しかし、梨央は4代続いた不動産会社のオーナーの娘だ。見た目よりもずっと商売の話や不動産関係の話に詳しい。それに頭も悪い方ではなかった。がそれが表面に出ないタイプで「自分だけでは何もできない」と自分で思い込んでいた。
一生懸命家事協力をして、嫁さんに軽くあしらわれる梨央を見ているとかわいそうになった。「もう手伝わなくてもいい。」と何度か言ったが「手伝ってやらなきゃ、あの家は家庭崩壊よ。しわ寄せを食うのは子供なのよ。」と言って黙々と家事をこなした。
「真也は梨央の味方になってやらないのか。」と腹が立った。時々、嫁さんに直接文句を言いそうになったが梨央が止めた。「さっちゃんも今は必死なのよ。余裕がないから言葉がきついの。今は夫婦仲よく。それが一番なのよ。夫婦仲が悪いと子供がかわいそうなのよ。」と言われて、自分のことに思い当たった。
俺はいい年をしてまだ会社に出ていた。「梨央、俺の世話は手抜きで行け。夕飯なんて作らなくても何とでもなる。」と言っては待ち合わせをして外食をした。掃除機もかけたし風呂掃除もした。会社では会長として結構厳しいことも言った。それが家ではズボンのすそをまくって風呂掃除だ。これはこれで楽しかった。
そんな日々の中で梨央がけがをした。どうしたはずみか家の玄関前で転んでしまった。梨央は運動神経がよくて転ぶということがない。それが玄関前のステップにつまずいてそのまま膝小僧を打ち付けていた。ちょうど俺が帰ってきたタイミングだった。まるで小学生のように膝小僧を血まみれにして、荷物を玄関前にばらまいて涙ぐんでいた。
玄関前のステップは家を建てた当時からのもので、もう40年ぐらい前からあるものだ。なんで今頃つまずくのかわからなかった。真也に梨央がけがをしたので、しばらくそちらの家には行けないと連絡した。それを聞いてすっ飛んできたのは嫁さんだった。
「ごめんなさい。玄関前って昔から同じですよね。つまづいて転ぶなんて、きっとお疲れだったんですよね。いつも甘えっぱなしでホントにごめんなさい。」と責めてもいないのに平謝りだった。「おや、わかってたのか?」と意外に思った。
「さっちゃんお仕事大丈夫?」梨央は嫁の仕事を心配した。「ええ、大丈夫です。とりあえずは後輩に全部頼んできました。それよりお義母さん、骨折とかされてません?年を取ると骨がもろくなってるそうですよ。」と余計な一言もついてきた。
嫁さんは、その日から2日間休暇を取った。真也は鬼の霍乱だといって驚いていた。「佐知子に限って、計画外休暇をとるなんてことは無い。」と思っていたらしい。しかし、「うちはお義母さんなしでは回らない。」と言って急きょ休みをとった。事実、その二日間を過ぎると今度は真也が休暇を取った。
それを契機にして真也がT・コーポレーションに入社することになった。俺は「親の会社だから休みやすいと思われても困る。」ときつく釘を刺した。「近いだけでも大きなメリット」と言って転職してきた。もちろん、一営業員としての採用だ。
それよりも何よりも驚いたのは佐知子という嫁だ。「お義母さんに申し訳ない。お義母さんに楽してもらわなきゃ。」というので、自分の仕事をセーブするのかと思ったのだが、何のことは無い、近所に引っ越してきてしまった。孫は、まるで我が家の子供のように学校からうちへ帰ってきた。夕方自分の家に帰るときには、梨央が作った家族分の夕飯を持って帰った。
口を開けば「お義母さんのおかげで我が家は回っています。」という。ある日梨沙ちゃんの前で「お義母さんに、うちの状態を理解していただけてうれしい。本当に快く家事を引き受けていただけている。」と話して大目玉を食った。
「理解なんてしてないわよ。何勘違いしてるの。やらなきゃ真司がかわいそうだからしてるんじゃないの。都合のいいことぼんやり思いこんでるんじゃないの!」と一喝された。梨央がいない席で起きた大事故だった。
梨沙ちゃんは現役の社長業をこなすビジネスウーマンだ。さすがの高学歴嫁も歯が立たなかったようだ。梨央と嫁の間を壊すまいとした梨沙ちゃんの心遣いだ。それからというもの。嫁は梨央になにかとプレゼントをするようになった。
続く
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真也は会計学を専攻して大学院まで進んでそのまま監査法人に就職した。そして就職したと同時に父親になった。相手も会計士だ。結婚式も披露宴もなし。手間いらずなのか雑なのかとにかく、あっさりと夫になり親になってしまった。
梨央は最初は寂しがったが孫ができてみると共働き家庭に協力して忙しそうだった。真也夫婦はうちから車で20分ぐらいのT・コーポレーションのマンションに住んでいた。嫁さんは頭がよさそうで梨央は押されっぱなしだった。立派な学歴と資格を持った嫁さんは、社会経験一切なし、女子大を卒業しただけの梨央を軽く見ることもあった。
しかし、梨央は4代続いた不動産会社のオーナーの娘だ。見た目よりもずっと商売の話や不動産関係の話に詳しい。それに頭も悪い方ではなかった。がそれが表面に出ないタイプで「自分だけでは何もできない」と自分で思い込んでいた。
一生懸命家事協力をして、嫁さんに軽くあしらわれる梨央を見ているとかわいそうになった。「もう手伝わなくてもいい。」と何度か言ったが「手伝ってやらなきゃ、あの家は家庭崩壊よ。しわ寄せを食うのは子供なのよ。」と言って黙々と家事をこなした。
「真也は梨央の味方になってやらないのか。」と腹が立った。時々、嫁さんに直接文句を言いそうになったが梨央が止めた。「さっちゃんも今は必死なのよ。余裕がないから言葉がきついの。今は夫婦仲よく。それが一番なのよ。夫婦仲が悪いと子供がかわいそうなのよ。」と言われて、自分のことに思い当たった。
俺はいい年をしてまだ会社に出ていた。「梨央、俺の世話は手抜きで行け。夕飯なんて作らなくても何とでもなる。」と言っては待ち合わせをして外食をした。掃除機もかけたし風呂掃除もした。会社では会長として結構厳しいことも言った。それが家ではズボンのすそをまくって風呂掃除だ。これはこれで楽しかった。
そんな日々の中で梨央がけがをした。どうしたはずみか家の玄関前で転んでしまった。梨央は運動神経がよくて転ぶということがない。それが玄関前のステップにつまずいてそのまま膝小僧を打ち付けていた。ちょうど俺が帰ってきたタイミングだった。まるで小学生のように膝小僧を血まみれにして、荷物を玄関前にばらまいて涙ぐんでいた。
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それを契機にして真也がT・コーポレーションに入社することになった。俺は「親の会社だから休みやすいと思われても困る。」ときつく釘を刺した。「近いだけでも大きなメリット」と言って転職してきた。もちろん、一営業員としての採用だ。
それよりも何よりも驚いたのは佐知子という嫁だ。「お義母さんに申し訳ない。お義母さんに楽してもらわなきゃ。」というので、自分の仕事をセーブするのかと思ったのだが、何のことは無い、近所に引っ越してきてしまった。孫は、まるで我が家の子供のように学校からうちへ帰ってきた。夕方自分の家に帰るときには、梨央が作った家族分の夕飯を持って帰った。
口を開けば「お義母さんのおかげで我が家は回っています。」という。ある日梨沙ちゃんの前で「お義母さんに、うちの状態を理解していただけてうれしい。本当に快く家事を引き受けていただけている。」と話して大目玉を食った。
「理解なんてしてないわよ。何勘違いしてるの。やらなきゃ真司がかわいそうだからしてるんじゃないの。都合のいいことぼんやり思いこんでるんじゃないの!」と一喝された。梨央がいない席で起きた大事故だった。
梨沙ちゃんは現役の社長業をこなすビジネスウーマンだ。さすがの高学歴嫁も歯が立たなかったようだ。梨央と嫁の間を壊すまいとした梨沙ちゃんの心遣いだ。それからというもの。嫁は梨央になにかとプレゼントをするようになった。
続く
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