2019年10月05日
THE FOURTH STORY 真と梨央 <45 露見>
露見
午後の早い時間には家に着く予定だった。そういう日は早く風呂に入ってゆっくりすることが多かった。真也と遊んだり散歩をしたりして楽しむ。梨央は少し豪華な夕食を作ってくれる。夜は時間をかけて楽しんだ。梨央がそういう心づもりをして待っているのが分かっていた。
その日は帰りは夕方になった。疲れていたし帰るのに気後れしていた。大阪を出る前に、風邪気味で頭が痛いと連絡しておいた。家に着くなり梨央が心配そうに額に手を当てた。「あ、大丈夫、熱はないわね。ご飯食べれる?胃、むかむかしない?」と心配する割には矢継ぎ早に話しかけてきた。弱った亭主を見て少しいそいそしていた。
真也が喜んで駆け寄って来るので抱き上げようとしたが、「真ちゃん、パパ風邪でちゅよ〜。移っちゃうから今日はダメ。ママで我慢しようね。」と取り上げられてしまった。仮病はろくなことがない。
「シャワーを浴びたい。」というと、「お風呂いれたから湯舟につかってね。あったまった方がいいから。」いい世話女房だった。家は清潔だし梨央も清潔だった。昨日のことが嘘のようだった。とにかく今日は頭痛で通して明日は普段通りだ。昨日のことは忘れようと思っていた。
梨央に言われた通り湯舟にしっかりつかって風呂を出た。梨央があわてて脱衣所に入ってきた。「ごめんなさい。下着忘れちゃって。余計風邪ひかしちゃう。」と脱衣かごに下着を置いたついでにバスタオルで体を拭いてくれた。「大丈夫?」といったっきり何も言わなくなった。「ああ、楽になった。飯もしっかり食えそうだ。」と返事をしたが何も言わない。
「どうした?」と振り向いて梨央を見ると梨央の顔が凍っていた。「どうした?」ともう一度聞くと「誰と何をして風邪をひいたの?」と言って持っていたバスタオルを俺にぶつけて出て行ってしまった。
背中を鏡で見た。変な姿勢になった。わき腹の後ろの方に真っ赤なあざのようなものができていた。風呂で温まって真っ赤に充血していた。全身から血の気が引いた。わざとやりやがった。揉めさせようとしやがったと感じた。
梨央は恨まれている。前田が殺されるきっかけになったのは梨央のことだと確信した。俺と関係を持つことで梨央に報復をしたのだ。梨央は何も知らないことだった。パジャマを着てからリビングに出たが梨央はいなかった。真也と一緒に寝室にいた。
俺はわざと明るい声で「どこかにぶつけたらしいな。気が付かなかった。」というと、「ごまかさないで。私だっていい年なんだから、なんでもごまかせると思わないで!私を馬鹿にしてるんでしょ!適当にいっとけばごまかせるって。」と涙声になった。
真也が泣き出した。梨央は笑顔で「ごめんね。ごめんね。ママはダメだよね〜。真也のご飯忘れちゃいけないね〜。」と言いながら真也を抱いてリビングへ行ってしまった。追いかけるしかなかった。
この調子でまた揉めるのかと思うとぞっとした。
その夜、梨央は「律子さんでしょ。私わかってたの。あの人があなたのこと気にしてるって。でもあなたが簡単にそんなことになるわけないって信じてたの。私はバカなのよ、いつも大切な時にぼんやりしているの。」と悔しがった。
「ごめん、あの人が夜中に突然来たんだ。ものすごい酔ってて、しょうがないからソファに寝かせて、俺は寝室に寝たんだよ。俺も酔ってた。様子を見に行った時に、向こうから抱きついてきた。わかるだろ、制御できないんだよ。酔っているときに突然来られると。」というと、梨央の目にみるみる涙があふれて、やがては大きな声にかわった。いつまでも止まらなかった。「ああ〜地獄だ」と思った。
あくる日の朝は、梨央は普通に朝食を作ってくれたが必要以外のことは何もしゃべらない。いつもなら玄関で手渡しでくれるかばんは玄関におかれていた。出勤前や帰った時には着替えを手伝うのが習慣になっていたが、それもなかった。
続く
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午後の早い時間には家に着く予定だった。そういう日は早く風呂に入ってゆっくりすることが多かった。真也と遊んだり散歩をしたりして楽しむ。梨央は少し豪華な夕食を作ってくれる。夜は時間をかけて楽しんだ。梨央がそういう心づもりをして待っているのが分かっていた。
その日は帰りは夕方になった。疲れていたし帰るのに気後れしていた。大阪を出る前に、風邪気味で頭が痛いと連絡しておいた。家に着くなり梨央が心配そうに額に手を当てた。「あ、大丈夫、熱はないわね。ご飯食べれる?胃、むかむかしない?」と心配する割には矢継ぎ早に話しかけてきた。弱った亭主を見て少しいそいそしていた。
真也が喜んで駆け寄って来るので抱き上げようとしたが、「真ちゃん、パパ風邪でちゅよ〜。移っちゃうから今日はダメ。ママで我慢しようね。」と取り上げられてしまった。仮病はろくなことがない。
「シャワーを浴びたい。」というと、「お風呂いれたから湯舟につかってね。あったまった方がいいから。」いい世話女房だった。家は清潔だし梨央も清潔だった。昨日のことが嘘のようだった。とにかく今日は頭痛で通して明日は普段通りだ。昨日のことは忘れようと思っていた。
梨央に言われた通り湯舟にしっかりつかって風呂を出た。梨央があわてて脱衣所に入ってきた。「ごめんなさい。下着忘れちゃって。余計風邪ひかしちゃう。」と脱衣かごに下着を置いたついでにバスタオルで体を拭いてくれた。「大丈夫?」といったっきり何も言わなくなった。「ああ、楽になった。飯もしっかり食えそうだ。」と返事をしたが何も言わない。
「どうした?」と振り向いて梨央を見ると梨央の顔が凍っていた。「どうした?」ともう一度聞くと「誰と何をして風邪をひいたの?」と言って持っていたバスタオルを俺にぶつけて出て行ってしまった。
背中を鏡で見た。変な姿勢になった。わき腹の後ろの方に真っ赤なあざのようなものができていた。風呂で温まって真っ赤に充血していた。全身から血の気が引いた。わざとやりやがった。揉めさせようとしやがったと感じた。
梨央は恨まれている。前田が殺されるきっかけになったのは梨央のことだと確信した。俺と関係を持つことで梨央に報復をしたのだ。梨央は何も知らないことだった。パジャマを着てからリビングに出たが梨央はいなかった。真也と一緒に寝室にいた。
俺はわざと明るい声で「どこかにぶつけたらしいな。気が付かなかった。」というと、「ごまかさないで。私だっていい年なんだから、なんでもごまかせると思わないで!私を馬鹿にしてるんでしょ!適当にいっとけばごまかせるって。」と涙声になった。
真也が泣き出した。梨央は笑顔で「ごめんね。ごめんね。ママはダメだよね〜。真也のご飯忘れちゃいけないね〜。」と言いながら真也を抱いてリビングへ行ってしまった。追いかけるしかなかった。
この調子でまた揉めるのかと思うとぞっとした。
その夜、梨央は「律子さんでしょ。私わかってたの。あの人があなたのこと気にしてるって。でもあなたが簡単にそんなことになるわけないって信じてたの。私はバカなのよ、いつも大切な時にぼんやりしているの。」と悔しがった。
「ごめん、あの人が夜中に突然来たんだ。ものすごい酔ってて、しょうがないからソファに寝かせて、俺は寝室に寝たんだよ。俺も酔ってた。様子を見に行った時に、向こうから抱きついてきた。わかるだろ、制御できないんだよ。酔っているときに突然来られると。」というと、梨央の目にみるみる涙があふれて、やがては大きな声にかわった。いつまでも止まらなかった。「ああ〜地獄だ」と思った。
あくる日の朝は、梨央は普通に朝食を作ってくれたが必要以外のことは何もしゃべらない。いつもなら玄関で手渡しでくれるかばんは玄関におかれていた。出勤前や帰った時には着替えを手伝うのが習慣になっていたが、それもなかった。
続く
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