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2015年06月27日

メンタルトレーニングとは?

1.「セルフコントロール」。でもその前に「セルフモニタリング」

メンタルトレーニングが目指すものは、自分で自分のこころを整える、いわゆる「セルフコントロール」ですよ、というお話は以前にもしたことがあると思います。試合場面でおこるいろいろな状況の変化と、その変化に対応したこころの動きを、自分でコントロールしていかなくてはならないのは言うまでもありません。

でも、その前にもっと大事なことがあります。それは、コントロールする「こころ」そのものをしっかりと観察することです。
例えば車の運転をしているとしましょう。これから長いドライブに出かけます。まずあなたは行先を確認しますね。そのあとは道路の状況はどうかな?天気はどうかな?車のエンジンオイルは大丈夫かな?自分は寝不足ではないかな?と確認してから出発します。道の中では道路状況や時間などを見ながら、早くたどり着くためにいろいろと考えながら道を選んでいきますね。いろいろな状況を知った上で、自分にとって一番よい道のりや方法を考え出すわけです。

こころの変化も同様です。まずは自分のこころの状態がどのようになっているのかをいろいろな観点から見つめてあげなくては、こころをコントロールすることなどできないのです。
試合や練習のときのこころの状態を自分で見つめることを「セルフモニタリング」といったりします。自分のこころをコントロールする以上に難しい作業です。自分が今、「緊張しているなあ」とか、「不安だな」とか、あるいは「気持ちがのりすぎているな」とか。そんなふうにまるで他人が見つめているように自分のこころを見つめることができますか?

2.こころのものさしってどんなもの?

「セルフモニタリング」のトレーニングとしては前回お話した「練習日誌」や「コンディショニングチェックシート」がとても有効です。そして、セルフモニタリングの能力を高めていくためには何よりもそれを継続することが大事、と言うことも前回お話ししました。でも、こころって目に見えない、数字に表れてこない、とても厄介なものですよね。
例えば練習日誌に「こころのエネルギー」をつけていくとしましょう。「こころのエネルギー」。何となくイメージがつかめますか?
例えば朝起きた時、何だか色々なことにやる気が起きない時がありますよね。逆に今日はいろいろとチャレンジしてみよう!という気持ちになるときもあります。まずはそれを「エネルギー」の多い、少ない、という見方をしてみます。何か量を示すようなものをイメージしてみるとわかりやすいでしょう。例えば・・・

(1) 車の燃料メーター
「今日はこころのエネルギーが満タンだな!」

(2) ガスコンロ
「今日の練習では追い込むから、こころも「強火」で行こう!」

(3) ふうせん
「こころもいっぱいにふくらまして、この一本に集中していくぞ!」

(4) 猫
「今日は緊張して毛が逆立っているよ」 「今日はリラックスしてすやすや眠っているよ」

さて、皆さんに合うものがありましたか?もしくは今すでに同じような「ものさし」を使っていたりしませんか?日誌に数字をつけていく時に、このようなイメージをつなげてみましょう。ここで大事なのは、こころという見えないものに、何らかのイメージをつけてあげることです。特に何か目に見えるものに置きかえてあげるとよいですね。

3.自分のこころを一番示すものは何?

これまでこころの観察の仕方についていろいろとお話をしてきました。そしてもう一つ問題になるのが、こころのどの部分を見つめていくのか、ということです。
これまでもお話してきたように、こころにはいろんな側面がありますね。こころのエネルギーやリラックス、集中や緊張感などなど・・・。
こころのコンディションを日々チェックしていくのに、皆さんにとって最もぴったりくるこころのものさしはどれでしょうか?一つですか?二つですか?それとも・・・?
自分のこころの変化を見ていくのには、やはりいくつかのものさしで見つめていかないと難しいですね。こころの元気さも大事ですが、一方でリラックスして気持ちをダラーーっと抜いてしまうことも時にはとても大事だったりします。一つのものさしだけで見ていると、こころの見方が限られてしまうので、大事な側面を見そこなってしまうことがあるのです。
とはいえ、前回もお話したように、とにかくたくさんのものさしを持てばよいということでは決してありません。あまり多くのものさしを持っていると逆に混乱してしまうし、何よりも継続して続けていくのが面倒くさくなってしまったりします。自分のこころの変化をしっかりと示してくれるもの、自分の中で特に変化の大きいものを探して、自分なりのこころのものさしをしっかりと選ばなくてはいけません。あなたのこころを一番単純に、わかりやすく表現してくれるのはどんな感情でしょうか?うきうき、ワクワクして、活気にあふれている自分がベストですか?それともじっくりと落ち着きはらっていて、不安がまったくない自分がベストですか?

理想的には一つの尺度で自分のこころのコンディションを測れることです。でも、最初はいろいろな観点から自分を見るトレーニングが必要なので、いくつかの尺度を持ってチェックしていくことが大事なのです。
前回お話した、コンディションチェックシートが役に立ちそうですね。


2015年06月21日

メンタルトレーニングとは?

1.自分のこころを見つめるために

試合に勝つためにはこころをコントロールしなくては勝てない、これはだいぶわかってきましたね。そしてそのためには「試合に勝てるこころの状態」を知らなくてはいけないことも学びました。

よかったときのこころの状態を振り返ってみると「ゾーン」に入っているのでしたよね。そしてそれをいろんな面から見つめてきました。例えば「緊張」であったり「集中」であったりしましたね。
ところで、実際にたった今の自分のこころの状態はどのような状態でしょうか?これから練習に臨むとしましょう。今の自分のこころは、逆U字仮説の中のどこにいるでしょうか・・・?理想の状態を知ったら、次は自分がどこにいるかを確認しなくてはいけませんね。
ゾーンよりも低い状態を「さがり」の状態といい、逆にゾーンよりも高い状態を「あがり」といったりします。これは前にも説明しましたね。さて、今自分は「あがって」いるのかな?「さがって」いるのかな・・・?
とはいえこころは何かの機械を使って「あがっています」というように数字で示してくれるようなものではありませんね。そんな機械があったら私も使ってみたいものです。でも、残念ながらそういう機械はまだ発明されていないので、自分で自分のこころをチェックしないといけないみたいですね。

2.練習日誌をつけていますか?
それではこころを観察するトレーニングについてお話しましょう。
皆さんは日々の練習やトレーニングの内容などを記録していく「練習日誌」をつけていますか?例えば今日やった練習について、あれこれと記録を取っている方はけっこういらっしゃるのではないでしょうか?「今日の○回目の試技は●●というところがすごくうまくできた」など、身体の感覚的なところは覚えておこうといろいろとメモを取られていることと思います。
そのような日誌をつけている皆さんは、その練習日誌をそのまま発展させてみます。特に記録をつけていない、という人には、練習日誌の提案です。まずは簡単なものからはじめてみませんか・・・?

3.日誌に記録するものは何?
「こころ」という目に見えない手ごわいものをつかむには、毎日の観察が欠かせません。日々、「今日のこころのコンディションはすごくいいな!」とか「あれ?今日はちょっと元気が出てこないな」ということを、ただ何となく感じているだけではなく、しっかりと把握する必要があります。そこで練習日誌を有効に使おうということです。
例えばこんな形・・・。(図1)
この「コンディションチェックシート」の特徴は、練習状況の確認や体調のチェック、自由に書き込めるスペースと一緒に、「こころのコンディション」をチェックする欄がもうけられていることです。ここでは6つの尺度がならんでいますね。顔の絵が書いてあるので、少しこころの状態をイメージしやすいでしょうか?
それぞれのこころの状態がどのくらいの高さだったのかな?と一日ごとに振り返ります。例えば試合などですごく緊張していたら、一番左の「きんちょう・そわそわ・しんぱい」の数字が一番高い「5」になるわけです。逆に今日はお休み、という日の夜には「つかれた・ぐったり」が一番低い「1」になっていたいですよね。

図1 コンディションチェックシート

4.毎日つけて、振り返ろう!
ここでもう一度コンディションチェックをやる意味を確認しましょう。
これまで練習日誌をつけていた皆さん。それは練習をしていない、休みの日はつけていなかったという人が多いのでは?でも、ここで紹介するコンディションチェックシートは、こころの状態を観察するトレーニングとして行うものです。だから、これは毎日つけていくことが大事になってきます。
こころは練習しない日も変化をしますよね。お休みの日にしっかりと休養を取れて、気分がすっきりとしているかどうか、というのは次の日の練習につながってくるものです。「ちゃんと休めましたか?」というチェックも練習をちゃんとやるためにはとても重要なのです。
さらにこのコンディションチェックシートには「今日の課題」を一番上に書き込めるようになっています。ここには様々なトレーニングの課題を書きますが、練習をしない日にもちゃんと課題を書かなくてはなりません。
例えば「今日は試験勉強に集中する」とか、「来週の試合に備えて、思いっきり休んで気分をすっきりさせる」など、これらも大事な課題です。練習や試合ばかりが生活の全てではないですよね。勉強をすること、休みを取って友達と遊びに行くこと、これらも全てが皆さんの大事な生活です。これらが充実していると、練習に集中して臨むことができるはずです。
さて、そうして毎日つけたら、一週間くらいで一度「振り返り」をしましょう。例えばこのような形です。(図2)
そうしてこころと身体の関係をグラフに示します。いろんなことを振り返ってみます。「ハードな練習をしているから、この時期は疲れているなあ」とか「この日によく休めたから、そのあとの練習がうまくいっているな」とか、こころと身体、それに練習状況と休みの取り方などがかかわりあっているのが見えてきませんか?

5.めんどうくさい!続かない!どうして・・・?
さて、今回は日々のこころの観察方法についていろいろご紹介しました。でも、こういう練習日誌は自分にあったものを作るのが一番です。今回ご紹介したものがいいなあ、と思ったら同じようなものを使っていただいてももちろん結構です。でも、毎日ちゃんと続けていくのにしてはちょっと項目が多いような気がします。
実は、このチェックシートはいろんな競技の皆さんに使ってほしいと思って、少し項目を多めに設定してあるのです。だから、チェック項目が自分の競技にあわないなと思えば、それを削ってもらって構わないですし、こころのコンディションにしても6つのうちの1つ、2つだけでもよいのです。
すでに練習日誌をつけている人は、そこにこころのコンディションの項目を1つだけでもよいですから加えて、できたら毎日チェックしていくことをおすすめします。
大事なのはしっかりと続けていくこと。それから自分にとって理解しやすいものを選ぶことです。いろいろと欲張りすぎて3日坊主ではトレーニングにはならないですものね。
次回はそうしてトレーニングして作っていく「こころのものさし」のお話をしようと思います。

2015年06月15日

メンタルトレーニングとは?

1.逆U字仮説を自分に当てはめよう
前回までの2回で、ピークパフォーマンスについていろいろと振り返ってみました。心理的な側面を見てみると「集中」とか「緊張」とか「興奮状態」などがキーワードとしてあがってくるようです。
「ゾーン」の一般的な概念として、以前に逆U字仮説を紹介しました。しかし逆U字仮説はとても一般的で、何となくはわかるけれども自分にあてはめて考えると、とても漠然としていたかもしれません。
そこで今回はもう少し逆U字仮説を個人に当てはめられるように考えていきましょう。

2.逆U字仮説の横軸に何を当てはめますか?
少しだけ逆U字仮説の復習です。

縦軸には「パフォーマンス」を、横軸には「緊張・興奮レベル」としましたね。「緊張・興奮レベル」が、最適なゾーンを外れて高すぎても低すぎてもパフォーマンスは低下してしまう、というものでした。
しかし、この横軸の「緊張・興奮」というものが少しわかりづらいのではないでしょうか?競技のパフォーマンスに影響を与えるものは他にもありそうですし、緊張・興奮といったように一つにくくってしまうのも少し無理やりな感じがします。この横軸をもう少し詳しく見ていくと少しわかりやすくなるかもしれません。

3.横軸にとるものを選ぼう
それでは、横軸には何をとったらよいのでしょうか?ここではまず3つの軸を考えてみます。それぞれ、ピークパフォーマンスを達成したときについて思い出してみましょう。練習の時、試合の時それぞれについて考えてみることも有効でしょう。

(1)興奮状態はどうでしたか?
  非常に冷静→ 5 4 3 2 1 0 1 2 3 4 5 →非常に興奮状態
(2)緊張感はどうでしたか?
  非常にリラックス→ 5 4 3 2 1 0 1 2 3 4 5 →非常に緊張状態
(3)集中はどのようでしたか?
  自分の事だけに集中→ 5 4 3 2 1 0 1 2 3 4 5 →周りの色々な事に注意

(1)と(2)は興奮と緊張を分けて考えようとするものです。まずは(1)の「興奮状態」について。
興奮状態は左の方には「非常に冷静だった」、右の方に行くと「非常に興奮していた」となっています。そしてその間にはいくつか数字がふってあります。数字のまん中は0になっています。さて、あなたのゾーンの時はどうでしたか?
まん中が0になっていることからもわかるように、これはどちらがよくて、どちらがよくない、というものではありません。あくまでも自分にとっての「ゾーン」を探すのが目的ですから、自分のピークパフォーマンスに基づいて評価してみましょう。
続いて(2)の緊張感はどうでしたか?リラックスしていましたか?緊張していましたか?リラックスしていたとしたら(もしくは緊張していたとしたら)、それはどのくらいの強さで感じたのでしょうか?
最後は(3)の集中の保ち方です。ピークパフォーマンスを振り返るわけですから、集中はしていたのだと思います。しかしその集中はどこに保たれていたのでしょうか?周囲の言葉や雰囲気などを全てシャットアウトして、まさに「自分の世界」だけに入り込んでいたのでしょうか?それとも例えば隣の人のパフォーマンスや得点経過を見たり、様々なものに集中を向けて状況判断をしたりしていましたか?これもどちらがよい、という単純なものではありません。自分にどちらが向いているのかも考えながら分析してみましょう。

4.「ゾーン」とは・・・
自分にとっての「ゾーン」が少しずつ見えてきましたか?分析を通して少しずつ形になってきたのではないでしょうか?しかし、この「ゾーン」というものは競技、試合の経験によって少しずつ変化していくもののようです。
例えば私が担当した選手で、大学生の選手でしたが、私のところに来はじめたころにゾーンを探したところ、「自分の世界にだけ入って競技をしたい」と言いました。やはり周りからいろいろ入ってくる情報を気にすると競技に集中できない、ということでした。その後彼は一生懸命練習して成功をおさめました。全国的な大会にも出場するようになりました。その全国大会を経験して帰ってくると彼は、「全国大会では結果がすぐに電光掲示板に表示される。自分のプレーもすぐにスローモーションで流れる。もちろん音声でも入ってくる。そうした中で情報をシャットアウトするのは逆に苦しいので、もっと周りの状況をみて戦えるようにしたい」と、自分から課題を見つけてきました。
ゾーンにも、経験や個人の目標、課題の持ち方によっていろいろとあるのです。決して一つの形だけだと思わず、試合などを経験するたびに見つめなおしてみてください。

5.自分が見えてきましたか?
さて、ここまで5回にわたって「自分を知ろう」というテーマでお話を進めてきました。それでも、まだまだ自分というものを知るのには時間がかかります。もう少し継続的な観察もしなくてはなりません。それが「セルフモニタリング」につながっていくのです。「セルフモニタリング」の話はもう少し後の回でします。
次回からは「自分」というベースをもとに、競技を行う上での目標設定をお話しようと思います。


2015年06月07日

メンタルトレーニングとは?

1.「試合編」と「練習編」の同じところ、違うところ
前回はピークパフォーマンスの振り返りを、「試合」に限ってやってみましたが、具体的に思い出すことができましたか?
さて、今回は同じように「練習」について振り返ってみます。試合編と練習編は少し目的もやり方も違います。まずはその目的。
試合編の目的は、良かった試合の振り返りから勝ちにつながる要因を探って、それを試合でのセルフコントロールに活かしていくことでした。練習編では2つの面に注目します。

1)今練習で特に意識して行っている技や改造中のフォームなどについて、その細かい動きに注目して振り返ります。体の各部位やタイミングなども合わせて振り返ります。技術的なイメージトレーニングの題材に使います。

2)充実した練習ができているときのこころの状態を振り返ります。日々の練習を内容の濃いものにしていくための準備です。


目的が理解できたら、以下の要領で練習を振り返ってみましょう。

2.技術的に良かった時とうまくいかない時の振り返り
まず最近の練習の中で特に意識して行っている練習のポイントを振り返ります。フォームの改造などを行っているときにはより効果的です。これもあまり形にはとらわれず、文章で書いてもいいし、短い言葉で書いてもいいのです。大事なのは自分でしっかりと理解できていることです。
最初は最近の練習の中でもかなり良かった、満足のいくパフォーマンスについて振り返ってみましょう。これも具体的なパフォーマンスを振り返ることが大事ですよ。

技術的なポイントをいくつかの局面に分けて書き出してみましょう。

1.そのパフォーマンスを行う前にはどんなことを考えていましたか?
2.自分自身に何か言い聞かせたり話し掛けたり、行動を取ったりしていましたか?
3.実際にパフォーマンスを行っているときには何を考えていましたか?
4.体の調子はどうでしたか?
5.うまくいった要因は他にありますか?

続いてあまりうまくいかなかった、納得のいかなかったパフォーマンスを同じように振り返りましょう。

1.そのパフォーマンスを行う前にはどんなことを考えていましたか?
2.自分自身に何か言い聞かせたり話し掛けたり、行動を取ったりしていましたか?
3.実際にパフォーマンスを行っているときには何を考えていましたか?
4.体の調子はどうでしたか?
5.うまくいかなった要因は他にありますか?

さあ、うまく思い出すことができましたか?
「良かったパフォーマンス」の質問(1)のように、一つの技術を分割して細かく見つめなおして行くだけでも、目的の一つは達成されます。これがそのままイメージトレーニングの題材になっていきます。
質問(2)以降はやはり良かった時とうまくいかなかったときを比べなくてはいけませんね。

3.その違いは・・・?
違いを比べてみましょう。技術的には振り返るところがいろいろありますね。その違いを意識しながら書いていきましょう。
さらに大事なのは、うまくいかない時の状態と照らしあわせて他の要因についてもよく考えることです。うまくいかなかったのはどんな要因でしょうか?何か乗り気がしない、集中が保てない、といった心理的な側面かもしれません。よくよく振り返ってみると、少し膝の痛みが気になっていた、とか寝不足気味だった、などの理由もありそうですね。
この練習編のピークパフォーマンス分析は、試合編に比べて、回数を多くやることをおすすめします。特に、練習に対して意欲が沸いてこないようなときなどは、以前にしっかりとできていたときとの違いを比較するような分析が必要です。そして意欲的に集中して練習に臨めているときにも、なぜよい練習が出来ているのか振り返っていけば、良い時、悪い時の要因を探っていくことができますね。
要因がわかってしまえばそれに対処していくだけです。その対処法はこれから勉強していくわけですが・・・。

4.技術的な側面とメンタルトレーナーの関わり
これは少し余談です。選手の皆さんと、コーチの方、メンタルトレーニング指導者としての私の三者関係についてちょっと説明しておきます。
メンタルトレーニングを担当する私達は、技術指導の部分(「コーチング」といいます)には通常は入り込みません。私自身、以前ある競技をしていましたが、今はもちろん様々な種目の選手を相手にしますので、中にはほとんど知らない種目もあります。そういう時はもちろん、私がやっていた種目の選手に対しても技術的指導には踏み込みません。
私達は選手の皆さんに技術的な面をどんどん聞いていきます。もちろん基本的なルールはこちらで確認しておきますが、技術的な面は選手の方に教えていただきながら、それを「気づき」につなげていこうと考えています。
選手の方と指導者の方との話し合いの中で見つけた技術的な課題、それを題材にしてコーチングの手助けをするのが私達の仕事なのです。

2015年06月03日

メンタルトレーニングとは?

1.試合場面での自分を知ろう
これまで、心理検査で自分を知る方法と、競技場面での理想的なこころの状態について話をしてきました。さあ、いよいよ皆さんが自分で自分を調べてみる番です。
今回から3回続けて「ピークパフォーマンス分析」を行います。

まずは「試合」についての振り返りです。ピークパフォーマンスの試合を振り返ることで、その要因を探っていきます。勝利を単なる偶然や、よく練習したから、調子が良かったから、などというように捉えただけではピークパフォーマンス分析にはなりません。自分では気づいていなかった、心理的な要因が他にもあるかもしれません。それが今後の試合でのセルフコントロールに活かされていくのです。

2.一番成績がよかった試合を思い出してみよう
過去の自分がやってきた試合を思い出してみましょう。その中で一番成績がよく、パフォーマンスが発揮できた試合を思い出してみてください。具体的に一つ(もしくは二つか三つくらいでも構いません)の試合を思い出して、できるだけ詳しく振り返っていきます。
中には一試合通してはうまくいかなかったけれど、一回だけこれまでになく最高によかったなあ、という経験でも大丈夫です。大事なのは自分にとってのピークパフォーマンスを思い出すことです。
さて、その試合なり試技なりが想定できましたか?そうしたら、以下の項目について、体裁にこだわる必要はありませんから、自分でノートを用意してどんどん書き出してみましょう。

1.その試合は自分にとってどのような位置づけでしたか?(目標の確認)
2.試合前にはどんなことを考え、何か自分自身に言い聞かせたり行動したりしましたか?
3.試合を行っているときにどのようなことを考え、行動しましたか?
4.体の状態はどうでしたか?

さて、どれくらい思い出すことができましたか?あまり思い出せない人もいるかもしれませんね。夢中でやっていたので思い出せないということもあるでしょう。
試合でピークパフォーマンスを達成した時というのは、あまり重要でない試合や特に何かがかかっている訳ではない試合だったということが多いようです。プレッシャーがかからない時にいいパフォーマンスを発揮できるのは皆さんも経験的に何となくわかるのではありませんか?したがって、その試合の位置づけ、目標を確かめておくのも大切なことです【質問(1)】。
また、ピークパフォーマンスが達成される時にはこころだけが整っていたわけではなく、体調がよかったり、技術の調子もよかったりするものです。そういったものが全てこころに影響しているのですが、そういったほかの要因も知っておく必要がありますね【質問(4)】。
さて、試合前にはとても緊張してくると思います。そして試合中には多くのピンチも訪れるはずです。でも、ピークパフォーマンスの時にはそういうときにも動じないで自分自身を励ましたりしているものです。試合前や試合中、自分に対して何か言い聞かせたり、何か行動をしたりしていませんでしたか?【質問(2)、(3)】。
例えばジャイアンツの桑田投手。マウンドの上でぶつぶつと何か言っているような場面を多く目にすると思います。あれは自分自身を励ましたり、ボールに話しかけたりしているそうです。皆さんも何かこのような方法を自然にやっていたりしませんか?そこからピークパフォーマンスの要因を探っていけそうですね。


3.どうしても思いどおりに行かなかった試合がありますか?
さて、一方でどうやっても思いどおりに行かなかった試合についても振り返ります。でもここで一つ注意点。思いどおりに行かなかった試合について振り返ることは、ピークパフォーマンスと比較するという意味でもとても重要なことです。しかし、実際にやるのはシーズンオフの方がよいと思います。自分の悪いところに目を向けるのは難しい作業です。シーズンを戦っている最中に細かい短所まで洗い出すことが、必ずしも良い方向に向くとは限りません。思いどおりに行かなかった試合の振り返りは、シーズンオフの、少し心も落ち着いてじっくりとシーズンの反省ができるときに、しっかりと行いましょう。
思いどおりに行かなかった試合についても、具体的な試合を思い出してもらって、同様に以下の質問に答えていきます。

その試合は自分にとってどのような位置づけでしたか?(目標の確認)
試合前にはどんなことを考え、どんな行動をしていましたか?
試合を行っているときにどのようなことを考え、行動していましたか?
体や技術的な状態はどうでしたか?
いかがですか?もしかしてピークパフォーマンスよりもうまく思い出せた方もいるかもしれませんね。逆に思い出せなかった方もいらっしゃるでしょうか?失敗をしたときというのは意外によく覚えている人が多いようです。負けた要因の分析は反省も含めてよくするからなのかもしれませんね。
また、よかったときと比べて余計な行動や、普段にはない行動を取っていたりするかもしれませんね。考え方もどうなっていたでしょうか?とてもネガティブであったりしませんか?
さて、それぞれについて振り返りを済ませたら、その違いについて(1)心理面、(2)技術面、(3)体力面、の3点から見つめてみましょう。どこがどう違っていたのでしょうか?特によかったときの要因に焦点をあてて、ピークパフォーマンスを導き出した要因を引き出していきましょう。

3.ピークパフォーマンス分析の意味
ピークパフォーマンスを振り返ることの意味はいろいろあります。こうして振り返ったものは例えばイメージトレーニングの材料となっていきます。それから、試合中のゲームプラン作りにも役立ちます。ルーティンの作成にも使えます。つまり、これから行っていくメンタルトレーニングプログラムを進めるためにも、ピークパフォーマンス分析はとても重要なのです。
振り返る際にはできるだけ具体的に試合を思い出してみましょう。もしもピークパフォーマンスをどうしても思い出せないときには、それを探していきましょう。これから経験していく試合をどのようにこなすかが大事です。その試合中の様々な「気づき」を高めましょう。「気づき」とは、試合中の自分の体やこころの動きをしっかりと観察しておくことです。
経験は何物にも変えがたいものです。無駄な試合、意味のない試合というのは、競技力の向上の上では一つもありませんよ。


2015年06月01日

メンタルトレーニングとは?

1.ウキウキ、ワクワク、「ゾーン」ってどんなもの?
自分の思い通りに試合が流れていって、体の調子もよくて、すべてがうまくいく、調子がよくて、相手に負ける気がしない。早く試合がしたくて、こころも体もウキウキ、ワクワク。そんな経験をしたことがありますか?逆に調子の悪いときにはすべてにマイナス思考で、試合をやめてしまいたくなったりしますよね。なぜそんなふうに考えてしまうのでしょう?調子のよいときにはそんなこと考えもしなかったのに・・・。

調子が悪かったときのことを冷静になって振り返ってみると、いろいろと余計なことをしていたり、普段どおりでない行動をしていたりします。でも、どうしてそんなふうになってしまったかはわからない。
一方でものすごく調子がよかったときのことを考えても、ただ気がついたら試合が終わっていた。何にも考えてなかったからあっという間に試合が終わっていて、気がついたら勝っていた。これらの原因は自分のそのときのこころの状態を把握する方法を知らないでやみくもに試合に臨んでいるからではありませんか?

まずは試合で「ピークパフォーマンス」(最高のパフォーマンス)を発揮できるときのこころの状態について考えてみましょう。

<ゾーン>の状態
調子がよいとき、「絶好調!」と人が感じるときには「ゾーン」という状態に入っているといいます。緊張感は高くもなく、逆に低くもなく、程よい状態に保たれています。試合に夢中になっていて、とてもワクワクして、さらに気持ちは強く集中しているような、まさに理想的状態です。
<あがり>の状態
あがっている、とよく言いますね。競技場に立てば、誰でも緊張するものです。しかし、適度な緊張感を越えてしまうと「過緊張」の状態になってあがってしまいます。あせったりオロオロしたり、体もカチコチになってきます。
<さがり>の状態
逆にさがっている、とはあまり言いませんが、試合場に来ているのに今ひとつ気分がのってこないとか、闘争心がわいてこないとか、さらには色々なことが気になって注意散漫になってしまったりしたことはありませんか?果てはおじけづいたり、やる気をなくしたりして、試合をするのが嫌になってしまう。それが「さがり」の状態です。



2.私の「ゾーン」はどこだろう?
それでは、もう一つ考え方をすすめてみましょう。


試合に臨むにあたって「ゾーン」という心理状態があることはわかりました。でも、競技種目によって必要なこころの状態というのは少し違いますね。図の左側の二人(選手Aと選手B)は<1>という競技種目の選手です。この二人のゾーンは<2>という競技種目をやっている右側の2選手(選手Cと選手D)に比べるとやや緊張感が低くてリラックスしていた方がピークパフォーマンスを発揮しやすいようです。
<1>のような競技種目は例えば体操競技やゴルフなど、周囲の環境に合わせるというよりは自分のタイミングで同じ技術を発揮するような競技(クローズドスキル、などといいます)の選手が含まれます。
逆に<2>のように高い緊張・興奮レベルが求められる種目には、柔道やボクシングなどの格闘技やラグビー、アメリカンフットボールなど、対戦競技でボディコンタクトの強いスポーツが含まれます。
一方で同じリラックスが大事な<1>という種目をやっていても、A選手とB選手ではその心理的ゾーンは微妙に違いますね。戦う気持ちが大事な<2>という種目でもC選手はD選手よりも少しリラックスしていたほうがいいみたいです。
このように、「ゾーン」と一口に言っても、種目によってもずいぶん違います。そして同じ種目をやっていても選手個人によってまた位置が違うのです。
さて、あなたのゾーンはどこにありますか?それは次回、ピークパフォーマンスの中でお話していきましょう。

3.「セルフコントロール」はとても大事!でもその前に「セルフモニタリング」。
スポーツメンタルトレーニングの目的は自分をコントロールすることだ、と第一回目に言いました。それを「セルフコントロール」といい、その能力を高めていくことが重要なのはいまさらいうまでもありませんね。でも、そういうセルフコントロールのテクニックを学ぶ前に必ずやっておかなければならないのが、「セルフモニタリング」のトレーニングです。
自分が今「あがっているな」とか、「緊張している」とか「イマイチやる気があがっていないな」などといったことはほかならぬ自分自身で見つけるしかありません。気の知れた指導者が教えてくれるかもしれませんが、そのコーチがいつも身近にいてくれるとも限りません。自分で自分を見つめて、きちんとした状態を把握すること、これが本当は一番難しいのです。
もう少しあとに「セルフモニタリング」についてもお話する予定です。

2015年05月28日

メンタルトレーニングとは?

今回のテーマは「自分を知る」です。自分の心を知るための方法について今回から何回か続けて話を進めていこうと思います。

1.まず始めに、今の自分を確認

筋力や持久力を向上させるためにトレーニングを行うときは、正しい負荷を与えるためにまずは体力測定を行って、自分の体力の評価をすると思います。適度な負荷を与えないと疲労感がばかりが残ってしまい思ったようなトレーニング効果が得られないばかりか、へたをすると怪我につながるなど、多くのトラブルが発生します。

スポーツメンタルトレーニングはその名のとおり心を対象とした「トレーニング」ですから、そのような最初の測定は体力トレーニングと同じように重要です。心も体と同じで、正しい評価をしながら継続してトレーニングをすることではじめて効果が現れるのです。

2.心を捉えるための2つの見方
心を捉えるための考え方はいくつかありますが、まずは単純に2つの見方を確認しておきましょう。
その見方は心理的な「特性」と「状態」という考え方です。

「特性」というのはある程度一貫した個人のパーソナリティ傾向のことです。広くとらえれば「性格」とか「人格」みたいなものも含みますが、スポーツメンタルトレーニングではそこまで深く扱うことはあまりありません。「特性」は日々変動するような種類のものではなく、現時点で持っている心理的な個性、といえるでしょう。ですから「特性」の評価はそんなに頻繁に(たとえば毎週、毎月など)行うものではありません。

特性に対するもうひとつの見方は「状態」です。「状態」は日々刻々と変動する心のありようです。気分(Mood)というと少しわかりやすいでしょうか?「状態」は一日どころか何か物事が起きるとそれに伴って激しく変化します。いいことがあるとそれまでの嫌なことは全て忘れてしまい元気になったりしますね。いやなことがあったらさっきまでの気分が台無し、ということもよく感じられるでしょう。「状態」の変化は毎日、毎週のように細かくチェックしていくことが大事です。特にメンタルトレーニングを始めた最初の段階では、チェックリストや心理検査などで細かくチェックしていくことが必要になります。

3.心理検査の種類
心を知るためには質問紙(心理検査)が用いられます。ここではスポーツメンタルトレーニングで用いられる代表的なものを紹介いたします。これらの心理検査はすべて著作物で、販売元から購入して使うものです。コピーして使ったりすると法律に触れるものもありますので、利用される場合には注意してください。

(1) 「特性」を捉えるための心理検査

DIPCA.3(心理的競技能力診断検査)
TSMI(体協スポーツモチベーション検査)
Y-G性格検査
1 と 2 はスポーツ選手用に作られた心理検査です。特に 1. DIPCA.3は国立スポーツ科学センターの心理チェックでも用いられています。忍耐力、闘争心、集中力、自己コントロール能力、判断力、協調性など、スポーツに必要とされる12の心理的尺度から構成されていて、それぞれが20点満点で得点化されます。Y-G性格検査は一般的な心理検査でスポーツ選手用に特化したものではありません。しかし、選手の個性の理解には役立つでしょう。
どれも有料で販売していますので、使用される方は購入してください。
(2) 「状態」知るための心理検査

POMS(気分プロフィール検査)
気分チェック調査票
SAI(状態不安検査)
PCI(心理的コンディション診断テスト)
1 のPOMSは合宿中やトレーニング期間中の心の状態を捉えるためによく用いられています。抑うつ、敵意、活気などの尺度で心理的状態を診断します。2 の気分チェック調査票は国立スポーツ科学センターの心理チェックで使っています。感情状態を、質問紙に回答するのではなく、直接一本の線の上に表現するというものです。大変簡単にプロフィールを示すことができます。


4.心理検査を行う意味とその利用方法
心理検査によって得られる「こころの得点」は選手のこころの特性、状態を理解するのにとても有効です。特性を知ることで、その人にあったメンタルトレーニング方法を選ぶための資料になるでしょう。また心理的な状態を続けて観察していくことで、選手の心の変化を概略的につかむことができるので、コーチングをする上で助けになってくれるでしょう。

しかし、心理検査の結果を過信してしまうことは大変危険です。心理検査は選手の自分に対する考え方が反映されるものであり、何かの評価基準とする(例えばA選手よりもB選手の方がよい、など)ような使い方には特に注意が必要です。心理検査は一人の選手の変化を続けてみていくほうがその特徴を生かすことができると思います。単純に得点だけをみて、他の選手と比較するのは注意が必要です。

また、心理検査の結果がよくないからといってすぐに「精神異常」のように捉えてはいけません。選手のパフォーマンスなどもよく観察し、いろいろと話合いをかさねながら総合的に判断をすることを心がけましょう。心理検査の結果よりも、指導者と選手とのコミュニケーションを十分に取ることのほうがずっと重要であることはいうまでもありませんね。

5.心理検査以外に自分の心を知る方法は・・・?
心理検査は競技者のこころの大枠をつかむためにとても有効です。しかし、例えばイメージトレーニングを行うための題材を作るときなどは、もう少しこころを深く掘り下げていく作業が必要になります。
そのための方法として、「ピークパフォーマンス分析」という方法があります。次回からはピークパフーマンス分析について考えていきましょう。


ライフコーチング


   

2015年05月26日

メンタルトレーニングとは?

メンタルトレーニング、という言葉はずいぶんと世の中に広まっていて、興味を持ってくださっている選手や指導者の方も大勢いるようです。私のところにもメンタルトレーニングに興味を持った方がよくやってきて、最初に口にするのが「メンタルトレーニングってどんなことをするのですか?」という質問です。
競技スポーツを行ううえで、いろいろな意味で心の面が重要だ、ということは多くの方が感じているようですが、その意味するところは人によってずいぶんと違うことに気づかされます。
たとえば毎日行う地味で苦しい練習環境の中でどうしてもやる気が沸いてこない、という選手と、ものすごく一生懸命練習をしているのに試合ではどうしても実力を発揮できない、という選手ではもともとの問題が違います。もちろん、メンタルトレーニングのやり方もだいぶ異なります。
そのため国立スポーツ科学センターでは、「スポーツカウンセリング」と「スポーツメンタルトレーニング」を、それぞれの専門スタッフを配置して分割して活動を行っています。どう違うのか、という話はまたおいおいするといたしまして、私が扱っているのはスポーツメンタルトレーニングの分野である、ということだけお伝えしておきましょう。

さて、スポーツメンタルトレーニングって何をするの?という質問の答えはわりに明瞭です。主に行うのは、競技力向上のための「心理的スキル(Psychological Skill)」の指導です。スポーツメンタルトレーニングでは競技をしている中での悩みごとの相談はあまり行わないで、心理的なスキルを身に付けていただくことを目的としているのです。だからと言って悩みは一切聞きません、ということではありません。私と選手との間に信頼関係が築かれたときには聞かせていただくこともあります。しかしこちら側から積極的に悩みを聞いたりはしないということです。

それではスポーツメンタルトレーニングで指導する心理的スキルと、その流れを大まかに説明しましょう。

(1) 目標設定

多くの方はすでに競技に対して何らかの目標を持っているでしょう。しかし、その目標を実際に言葉にすることができるでしょうか?またいろいろな目標が漠然としていて、いつまでに達成するのか、達成するにはどうしたらいいのか、といったことが明確になっていないかもしれません。
目標の設定は自分の目指す競技レベルや具体的な成績についての目標を明確にして、さらにそれらを一つ一つ達成していけるように順序立てていくことを目的としています。そして目標の実現に向けてやるべきことを明確にし、自覚することが最終的な目標です。

(2) ピークパフォーマンス分析

体のトレーニングをするときには自分の今の力量を知らなければ効果的に行うことはできません。メンタルトレーニングにおいても同様のことがいえます。つまり、自分の心理的な能力がどれほどのものであるのか、もしくは自分が今どのような心理的状態にあるのか、を把握していかなければならないということす。試合のときの状態を知り、書き込み用紙や質問紙を使って振り返り、イメージトレーニングやイメージリハーサルに活用していきます。

(3) リラクセーショントレーニング

競技としてスポーツを行っている以上、過度の緊張状態や競技に対する不安を感じたことがあるでしょう。
リラクセーショントレーニングは競技直前に起こる過緊張や競技不安を軽減するために、緊張感や不安感に対する感じやすさを低減するためのトレーニングです。この練習は技術的な練習と同じようにできるだけ毎日行うことが大切です。
また、単にリラックスのためのテクニックとして利用するほかに、コンディショニング、安眠、食欲の増進、イメージトレーニングの準備など、様々な利用法が考えられます。

(4) イメージトレーニング

スポーツメンタルトレーニング、と聞いて最初に思い浮かべるのはイメージトレーニングではないでしょうか?試合場面についてのイメージを思い浮かべる、といったことは選手の皆さんならば一度はやったことがあるでしょう。
イメージトレーニングは練習や試合場面を想定してその視覚像や筋運動感覚などをできるだけリアルにイメージして、試技の流れや会場の雰囲気などをあらかじめシミュレーションして、競技中のあがりを少なくするための集中力を保つための方法です。また、技術の習得のための補助的な練習にも使います。
イメージトレーニングはリラクセーショントレーニングと密接に関連しあっています。イメージトレーニングを行う時にはリラクセーションのテクニックを用いて、心身ともにリラックスした状態を作り出してからのほうが効果は高いとされています。

(5) 心理的コンディショニング

日常的に練習日誌をつけている選手の方もいらっしゃると思いますが、それも心理的コンディショニングのひとつの方法といえます。この練習日誌を利用して、試合までに心理的状態をピークにもっていくための調整法を習得します。また、なんとなく自覚してきた「気分の波」のようなものを図にして示すことで、こころの状態を自分で理解できるようにします。

このような技法を、これからひとつずつ、事例を交えながら紹介していきたいと思います。スポーツメンタルトレーニングのプログラムはおおむねこのような順序で行うのが理想的ですが、私のところにやってくる選手それぞれに訴える内容が違いますし、試合のスケジュールなど個人的な都合もありますので、このようにきれいにセッションが進むことのほうが少ないのです。それをどうやって並べて、プログラムを作っていくか、というところがメンタルトレーニングの指導者の腕の見せ所でしょうか・・・?


ライフコーチング

    
 

2015年05月22日

メンタルトレーニングとは?

このブログでは、メンタルトレーニングの技法の紹介やスポーツ心理学の基礎的なお話をしたいと思います。「メンタルトレーニングとは何だろう?」、「試合で最高のパフォーマンスを発揮する方法は?」、「毎日の練習の質をあげるには?」といった疑問に答えるために、少しずつ、ゆっくりと、出来るだけわかりやすく説明していきますので、よろしくお願いいたします。

スポーツ心理学はその名の通りスポーツを心の面から研究する学問分野のことです。その中には心というものを人の動きなどから探るために実験をしたり、スポーツの技術がうまくなっていく過程を明らかにしたり、またスポーツをする人達のものの考え方などを調査したりといったものが含まれていて、研究分野はいろいろあります。

スポーツ心理学といっても相手と競ってスポーツをする人だけではなく、たとえばレクリエーションとしてスポーツをする人がスポーツをすることで心地よさを感じることを研究している人も大勢います。
それらの研究に携わる人たちが集まって運営されている、日本のスポーツ心理学の中心となる組織が「日本スポーツ心理学会」です。日本スポーツ心理学会が発足して30年にもなります。

その中で、競技力を向上させるためのスポーツ心理学の研究も盛んに行われています。メンタルトレーニングに関する研究や実践も多く積み重ねられてきました。日本スポーツ心理学会ではメンタルトレーニング指導者に関する資格制度も立ち上げています。資格制度についてはまたの機会に詳しく紹介したいと思います。

アスリートの皆さんが競技力の向上を目指す上での心の面からのサポートの仕方については、いろいろな考え方や立場があってどれが正しい、とか間違っている、といった事はいえません。ですので、まずは私の扱う専門分野「競技力向上のためのスポーツメンタルトレーニング」についての説明から始めましょう。

スポーツメンタルトレーニングとは何か、ということですが、この答えは簡単なようでとても難しいものです。そこでまずは教科書を確認しなければなりません。

スポーツ心理学会編集の「スポーツメンタルトレーニング教本」(大修館書店、2002年)には、以下のようにあります。(「 」内抜粋)
スポーツメンタルトレーニングとは

「スポーツ選手や指導者が競技力向上のために必要な心理的スキルを獲得し、実際に活用できるようになることを目的とする、心理学やスポーツ心理学の理論と技法に基づく計画的で教育的な活動」
である。
また、教科書を参考にしながら、私なりの考え方を書くと

心理的スキルの獲得・競技生活の問題点の克服・競技哲学の育成などを通した、「試合での実力発揮・競技力向上を目的とする全人的成長へ心理的な取り組み」
ということになります。

どちらも少し難しい文章ですね。共通している点は、競技力の向上のために、「心理的スキル」や試合場面で使える「テクニック」を手に入れて、どのような場面でも自分で自分をしっかりとコントロールできるようになることです。

スポーツメンタルトレーニングにはさまざまな技法があります。何かひとつの問題点(たとえば試合場面での緊張しすぎてしまう、など)に対してただひとつの技法だけを覚えればどうにかなるというものではありません。一つでも多くの技法をこのブログから手に入れて、最終的に大きな効果を生むように、まずはひとつずつしっかりとこなしていきましょう。

ライフコーチング
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