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2020年03月20日

長谷川博己主演NHK大河ドラマ「麒麟がくる」第九回放送「信長の失敗」














 令和二年三月十五日、午後八時より、NHK総合(地上波)にて、長谷川博己主演大河ドラマ「麒麟がくる」の第九回が放送されました。
 天文十八年。尾張の那古野にて織田信長(染谷将太さん演じる)と帰蝶(川口春奈さん演じる)との婚儀が行われました。
 ところが肝心な信長の姿が見えません。嫁さんを一人っきりにして、どこへ行っているのでしょう?
 もり役の平手政秀(上杉祥三さん演じる)は帰蝶に平伏。もり役として謝罪し、信長を探すと言った。
 それでも信長の姿は見えず、夜が明けました。
 座したまま目を閉じ、うたたねする帰蝶。そこへ若い男が入ってきました。信長本人です。
 「嫁いでくるのはマムシの娘と聞いていた。いかな蛇女かと思うたが、いらぬ心配だったようじゃ」
 と、帰蝶の顔をまじまじと見ながら、信長は笑いました。
 信長は帰蝶に語りました。村に化け物が出るという噂があり、真偽を確かめるために村に行き、化け物がいるという池に入ったのだと。
 村の者が恐れて外を出歩けぬ。田をおこせぬという。池の水を全部くみ出すことは出来ないから、わしが池に入った。「村の者と同じ心を持つことじゃ」
 「村の者と同じになってやらねば化け物はみえぬ」
 と語る。「わしが池の入ってみせれば、みなが安心する」
 「されど、そちには悪いことをした。すまぬことをした」
 と帰蝶に謝り、なにか欲しいものはないか? なんでもくれてやる、と言う。
 おなかがすきました、と言う帰蝶に、干しタコを渡す。
 「しお辛うございますな」
 「それが尾張の海の味じゃ」
 やがて二人は信秀(高橋克典さん演じる)に会いに行く。
 場面は変わり、信秀の居城。斎藤利政(本木雅弘さん演じる)からの引き出物を見、帰蝶の口上を聞いて「めでたいのう」と喜ぶ信秀。
 信長も「父上、この三郎からも目出度き引き出物がございます」と上機嫌で言い、
 「ん?」
 と驚く信秀に、
 「持ってまいれ」と家来に命じて、あるものを持ってこさせる。
 「この尾張の繁栄には欠かせぬものです」
 息子の言葉に信秀は興味深げに、木桶に入ったそのものを開け、中身を見る。そして驚愕する。
 しばしの間があり、ため息をつく。
 「そなたらには、座をはずしてもらいたい」
 信秀は正室の土田御前(壇れいさん演じる)や帰蝶に言う。信長と二人っきりになると、
 「このうつけ者が!」
 怒りを爆発させる。
 桶の中には三河の岡崎城主・松平広忠(浅利陽介さん演じる)の首が入っていたのだ。

 一方、座を外した帰蝶は、土田御前に、信長の弟・信勝(木村了さん演じる)を紹介される。土田御前はやたらと信勝を褒め上げる。と同時に、信勝と将棋をさしていて「情けは無用でございます」と言った竹千代(岩田琉聖さん演じる)に「まあ」「人質ゆえ、愛想のない子じゃ」と言う。
 帰蝶は竹千代が金魚をみつめている様子を見て、声をかける。
 「国を遠く離れ、狭いところに閉じ込められ、わしと同じじゃ」
 と語る。自分の身の上を金魚と重ね合わせているのだ。
 帰蝶は竹千代に興味を持つ。
 竹千代は、「信長さまとさす将棋は面白い」とも言う。
 そこへ信長が姿を現す。「信長さま!」と駆け寄る竹千代に、信長は邪魔そうにガバッと身をかわす。
 殺気だって見えるほどの不機嫌な様子だ。
 「帰蝶! 城へ帰るぞ!」

 那古野城に戻った信長は火縄銃をもち、的に向かって撃っている。その稽古の様子を帰蝶が見ている。
 ごう音とともに、木の的が割れる。
 帰蝶は笑みを浮かべ信長に「お見事にございます」という。
 振り向く信長。
 「鉄砲は音が良い。この音を聞くと気持ちがスッとする」
 少し機嫌が直ったようだ。
 「そなたも試してみるか」
 と帰蝶に言う。
 「よいのですか?」
 「よいぞ」
 「やりまする!」
 目を輝かせる。そうして帰蝶は鉄砲を持つこととなる。信長はそれこそ「手取り足取り」帰蝶に撃ち方を教える。
 帰蝶の撃った弾丸は的をかすめた。
 「ほっほっほ。かすった。そなた、スジが良いではないか」
 信長は感心し帰蝶をほめた。
 「たのしゅうございます。かようなものと知っておれば、美濃にいるとき、もっと早くやらせてもらったものを」
 それを聞いた信長は、
 「おやじどの(斎藤利政)も鉄砲をたしなんでおるのか」
 と言うが、そこで意外な名を聞く。
 「いとこの明智十兵衛というものにございます」
 利政を困らせるほどの者だと聞き、「おもしろき男だな」
 と、少し興味を持ったようだ。
 
 一方、噂の明智十兵衛は、妻木氏の館へ向かっていた。叔父の光安(西村まさ彦さん演じる)に、米を運べと命じられていたのだ。 
 妻木氏の館は、幼いころ訪れたことがあった。
 館に着いた十兵衛は、その館で、かくれんぼをしている娘に出会う。
 その娘こそ、明智光秀の妻となる煕子(木村文乃さん演じる)なのです。


 さて、今回の放送の冒頭では、駿河の守護大名・今川義元(片岡愛之助さん演じる)と軍師の太原雪斎(伊吹吾郎さん演じる)が登場し、松平広忠を呼び寄せ「尾張と戦じゃ!」と義元が叫ぶ場面がありました。それから広忠が三河に戻ろうとしましたが、国境の山中で何者かに襲撃され、矢で射られ、追い詰められ、槍で突かれ、咽喉に刃を当てられました。
 のちの場面、古渡城での信長と信秀の場面で、広忠を暗殺したのは信長の手の者だったということが分かりました。
 広忠は家臣の岩松八弥という者に殺された、というのが史実なはずですが、物語の中で異説があっても良いでしょう。家康の祖父(広忠の父)の清康も家臣に殺されていますが、それは信秀の謀略によるものだったといわれていますから、信長が刺客を送って謀殺したという解釈があっても良いわけですね。
 今回の話には二つの柱があります。信長と帰蝶が出会い、心を通わせていくストーリーが一つの柱。もう一つは、主人公・光秀と煕子(ひろこ)の出会い(じつは再会)です。
 今後の展開が楽しみになる回でした。

 印象に残ったのは帰蝶が竹千代の言葉に「人質同然の身として」共感したらしい様子。そして、「父親のことが基本的には好きだけど時々大っ嫌いになる」という共通点で意気投合した場面。
 この物語のおもしろい、かつ画期的(?)なところは、これまでの戦国もののドラマ(大河ドラマだけでなく民放のもの含む)で信長が描かれるとき、その奇矯な振る舞いが外側から(信長を見た人物の視点で)描かれていたように思えるのに対し、今回のは信長の内面に分け入って描かれているように思える点です。
 風変りだけれど「領民とこころを同じくしたい。領民のこころを掴みたい」領主としての信長。
 父親に褒められたい一心から突っ走ってしまう信長。
 しかし、その褒められたい思いからの行動が「松平広忠の首を引き出物として父親に見せる」とは。
 まるでサイコパスです。
 ただ、こういう人物はよかれと思ってやっていて、自分がやりたいように行動しているので、他人からみておかしいことなのだという自覚もあまり無いのでしょう。それで他人から「あの人はおかしい」「うつけ」だと言われても「どうしてそう思われるのか?」と不思議に思うだけです。理解者はとても少ないのです。
 その数少ない理解者に帰蝶がなりそうです。














2020年03月12日

長谷川博己主演NHK大河ドラマ「麒麟がくる」第八回放送「同盟のゆくえ」
















 三月八日、午後八時より、NHK総合(地上波)にて、長谷川博己主演NHK大河ドラマ「麒麟がくる」の第八回「同盟のゆくえ」が放送されました。
 密命により明智十兵衛光秀(長谷川博己さん演じる)は尾張国に潜入します。
 尾張では旧知の菊丸(岡村隆史さん演じる)に市で出会い、織田信長なる若殿は毎朝、海に出るから浜辺に出れば会えるだろう、と言われ、海へ行く。そして、浜辺で織田信長をみる。
 信長は捕ったばかりの魚を浜辺でさばき、民に対しわずかな銭で売りさばいていた。「市に持っていけば高く売れるぞ」と。
 光秀から見たら、なんとも不思議な光景でした。
 城主の嫡男のイメージからかけ離れた行動だったわけです。
 光秀は美濃に帰ります。しかし、すぐには明智の荘の館に入りません。
 尾張で見てきたものを帰蝶(川口春奈さん演じる)にどう報告したものか、思いあぐねているわけです。
 そんな光秀の様子をみて、光秀の母・牧(石川さゆりさん演じる)が声をかけます。
 そして母子は話し合い、光秀は結論を出します。
 彼は帰蝶に会います。帰蝶も内なる想いを秘めながら、光秀の様子から状況を察して、彼に言います。十兵衛の口から言ってもらいたい「尾張へ行くべし」と。
 光秀もそのように言います。
 帰蝶は尾張の信長のもとへ嫁ぐことを決め、稲葉山の城に戻ります。
 父親の斎藤利政(本木雅弘さん演じる)は小躍りして喜びました。
 これで尾張の織田家との同盟が成る、と。
 稲葉山の城を出た光秀を利政の息子・高政(伊藤英明さん演じる)や美濃の国衆が取り囲みます。
 高政はついこの前、光秀が利政から帰蝶説得を頼まれ「無理だ」と断ったことを喜び、称賛し、尾張との同盟大反対を高らかに唱えていたのですから、大いに怒っています。気丈な妹の帰蝶が居城し、婚姻を承知したことを知り、明智光安(西村まさ彦さん演じる)と光秀が城で利政と会ったことを知ったから、光秀が自分たちを裏切った、と思ったわけです。
 高政たちは光秀を土岐頼芸(尾美としのりさん演じる)の館に連れて行きます。
 光秀はひるまず、尾張と同盟することの利を説きます。
 やがて、帰蝶は織田の城へと向かいました。
 婚儀の夜、新郎の信長が姿を現しませんでした。
 信長のもり役として帰蝶のわび、大いに恐れ入る平手政秀(上杉祥三さん演じる)。
 政秀が退室した後、帰蝶はちょっとした笑みを浮かべます。
 このまま離縁となって美濃に帰ることを望んでいるのかも知れません。
 一方、光秀の治療の為、美濃に来ていた駒(門脇麦さん演じる)は京へ戻ることになりました。
 途中まで、光秀が見送ります。
 別れ際、駒は光秀に訊きます。帰蝶様のことが好きなのかと。

 美濃の国衆として登場した稲葉良通(村田雄浩さん演じる)は、本能寺の変の直前、明智家とトラブルとなります。光秀とは因縁浅からぬ関係です。
 また、この回は今川義元(片岡愛之助さん演じる)や松平広忠(浅利陽介さん演じる)が登場。斎藤高政の父親・利政の対する反感も激しくなり、風雲急を告げる展開となりそうで今後に期待がもてそうです。




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2020年03月05日

長谷川博己主演NHK大河ドラマ「麒麟がくる」第七回放送「帰蝶の願い」















 令和二年三月一日、午後八時より、NHK総合(地上波)にて、長谷川博己主演NHK大河ドラマ「麒麟がくる」の第七回「帰蝶の願い」が放送されました。
 主人公・明智十兵衛光秀が住む美濃国は、形式的には守護職の土岐氏が支配者でしたが、実権はなく、実質的には斎藤利政(本木雅弘さん演じる)が治めていました。
 その美濃と戦を繰り返しているのが尾張国の織田信秀(高橋克典さん演じる)でした。こちらも守護職ではなく、その下の守護代でもなく、尾張の半分を任された奉行にすぎませんでしたが強大な実力をもち、斎藤や今川にひけを取らず戦を繰り返すほどでした。
 二人とも「下剋上」を体現した実力者です。
 しかし、この二人も国の内部に問題を抱えていました。美濃ではいまだに土岐氏を慕い利政になかなか従わない豪族たちがおり、尾張では同じ織田氏や守護の斯波氏、守護代などがいて完全に一つにまとまってはいないのです。
 織田信秀が東に今川、北に斎藤と戦えば、内側にも油断のならぬ敵がいる。まさに内憂外患でした。
 そこで織田信秀は美濃と同盟を結ぶことを決意するのでした。
 しかもただの約束事ではなく、利政の娘・帰蝶(川口春奈さん演じる)を信秀の嫡男の妻とする、婚姻関係を結ぶ同盟でした。
 これを持ち掛けられた利政は長年の宿怨を捨て、乗り気になりました。
 当の帰蝶は面白くありません。いままで敵だった他国者によって縁談をきめられ父が乗り気。いわば政略の道具にされる。前夫の土岐頼純は父・利三によって毒殺された。
 このようなことでは女としての幸せはない。
 帰蝶は光秀に会います。
 はっきりと口には出さないが、光秀に対し秘めた想いがあるようです。
 他国へ嫁ぎたくないという帰蝶の気持ちを汲んで、光秀は利政に会うのですが、「尾張は海に面し、港がある。海によって得られるものが大いにあり、豊かな国だ。その尾張と同盟を結ぶことにより美濃も豊かになれるのだ」という意味のことを光秀にあつく語り、なんとでも同盟を成功させたいというのです。
 しかし、利政の嫡男・高政(伊藤英明さん演じる)や豪族たちは同盟に大反対。光秀に対しても、同盟に反対せよと言うのです。
 同盟を推し進めたい利政と、同盟したくない帰蝶、高政、豪族らとの板挟みになり、光秀は困り果てますが、またも、尾張に潜入することになります。織田家の嫡男・信長なる人物が帰蝶の夫にふさわしいか見極めるためです。
 潜入した尾張の町で、光秀はまたも菊丸(岡村隆史さん演じる)に会います。
 菊丸は事情を知り、海に行けば織田家嫡男に会えるだろう、と言います。織田家嫡男はいつも海に出るというのです。
 そして光秀は浜辺にて、信長(染谷将太さん演じる)を見ます。

 さて、帰蝶が光秀のことを想っていたとか、光秀がひそかに帰蝶のことを想っていた、というようなことが描かれた小説はいくつかあったように記憶しています。それがこのドラマでは今後どのように描かれるのか、注目です。
 そして、いままで大河ドラマや特別ドラマで様々な役者さんが演じてきた織田信長を染谷将太さんがどうえんじるのか、それも大いに注目されることです。
 
 













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