わたし以外の誰とも林檎の木の下には座らないで

作家の宮城谷昌光氏によると

春秋時代とは紀元前770年から紀元前476年までとのことです。

魯という国の「魯春秋」という史記に

魯の国に生まれた孔子が手を加えた新訂の「魯春秋」が

「春秋」と呼ばれる中国最古の年代記だと宮城谷氏は書かれてます。

ちなみに光栄が発売している「三国志」をプレイしたことがある方にはおなじみの

「春秋左氏伝」とはこの「春秋」を解説した書のことで

他にも「春秋公羊伝（くようでん）」、「春秋穀梁伝（こくりょうでん）」などがあります。


歴史は勝者が作ります。

世界史で中国史を学んだ人は

漢の始皇帝を悪逆非道な為政者として記憶されていると思います。

自分もそうでした。

ヤングジャンプで現在連載されている「キングダム」というマンガがあります。

このマンガはその漢の始皇帝となる「政」と

下僕出身のうえ立身出世で将軍になる「信」の物語です。

今まで漢の始皇帝側の視点から紡いだ物語は読んだことがありませんでした。

春秋戦国時代に関しても全くなじみがありませんでした。

そのため「キングダム」を読んでから

宮城谷氏の「奇貨居くべし」を読むと

違和感がかなりあります。

（※ここからはネタバレがありますので

キングダムの読者の方は読まないほうがいいかも……）

それは始皇帝となる「政」の敵対者として描かれる

秦の相国（丞相より上の位）となる「呂不韋」についてです。

「奇貨居くべし」では

「呂不韋」は主人公であり

「徳」を持って商売の世界から政治の世界に入り

なおかつ暗愚な王の「政」を諌めるもかなわず

最後には疎まれ讒言のすえ追放の憂き目にあい

毒を持って自死する運命となります。

（ちなみに出てくる女性キャラは皆美人で

「呂不韋」に必ず惚れるハーレムモードなのでご注意ください）。

「呂不韋」は秦の丞相の地位につくと

自らが見出した将軍たちに捕虜の虐殺や住民への略奪を禁止し

かえって侵略地から歓迎され侵攻がスムーズに行われると描かれています。

しかし「キングダム」では

「政」を誅し玉座を簒奪しようとする逆臣として描かれています。

また人の本性は「悪」であるとし

「政」が人の本性を「光」だとみなした点でも

「奇貨居くべし」とは描かれ方が180度異なります。

繰り返しますが

歴史は勝者が作ります。

秦を滅ぼした漢が秦をどのように描くかは

勝者である漢の権利となるのでしょう。

どちらが正しいかはわかりませんが

今まで常識を覆す概念を提供してくれる「キングダム」というマンガは

今後の展開が非常に楽しみです。

なお「奇貨居くべし」には

「嫪あい」「春信君」「廉頗」「王齕」「蒙謷」「ひょう公」「白起」「蔡沢」「成蟜」etcなどが出てきます

（「白起」は「キングダム」同様敵に対して苛烈ですが

本人は小柄で人当たりが良いキャラクターとして描かれています。

自死を賜った理由も書かれています）。

また「羌廆」を連想させる「小環」という舞子（踊り子）も出てきますので

「キングダム」のファンの方は一度読んでみることをお勧めします。






昨日の評価資産

\11,621,900　（-\264,600）

ITbookが下げ止まりませんね。

400円台で購入しましたので

放置プレイにしておきます。