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2020年02月14日

飲み友達

田舎で聞いた話です。 田舎で働いている友人から聞いた話です。 彼は在宅介護の仕事をしていて、一人暮らしの老人のウチへ良く行くことがあります。 その彼の巡回先に山際の家に住んでいるお爺さんがいます。 無口な人なのか、あまり話したことが無い人なのですが、 ある日、彼が行くと、人が変わったようによく喋ったそうです。 そんなことが何度か続いたので、 ある日「最近、機嫌がいいですね。何か良い事でもあったんですか?」と聞くと、 お爺さんは「いやあ、飲み友達ができてのう」と嬉しそうにいい、 「そうじゃ、あんたも今晩どうだ?」と思いもよらぬ誘いを受けました。 「いえいえ、私は」と断ったそうですが、 普段、世話になっているお礼がしたいから。と言われ夜に再訪することになりました。その日の夜、そのお爺さんのウチを訪ねると、満面の笑みのお爺さんが迎えてくれました。 そして、通された場所は山側の縁側。 なんで縁側?と思い、お爺さんに「何で居間じゃなくて縁側なんですか?」と聞くと、 「お客さんは山から来るんじゃ」と言ったそうです。 とりあえず縁側に行き、先にお爺さんと飲みながら暫くすると、 山からざわざわと、人が茂みを掻き分けながら降りてくる気配がしました。 ぼんやりと、人のような影が降りてくるのが見えました。 「おお、こられたか」お爺さんが言うと、その影は手を振りながら近づいて来ました。 縁側の明かりに照らされて見えたその影は、明らかに猿だったそうです。 猿と言っても小学生くらいの背丈はあり、普通の人間のように歩いていたそうですが、 毛が黒く、手足が長かったそうです。 人間のように縁側に腰掛け、「は?」と唖然としている友人を尻目に、 お爺さんは猿に酒の入った湯呑を渡し、「まあ、一杯」と勧めていたそうです。 お爺さんが猿に話しかけると、猿はまるで相槌を打つように、うんうんと頷き、 お爺さんが「この人がいつも世話になるヘルパーさんじゃ」と友人を紹介すると、 猿は友人の方を見、ペコリと人間のように会釈したそうです。 よくわからない飲み会は結構遅くまで続き、 猿が縁側を立ち、おじいさんに手を振って山に帰っていったそうです。 友人はその日、お爺さんのウチに泊まって帰ったそうです。 その話を聞いたとき、私は「そのお爺さんは今でも元気なん?」と聞くと、 友人は「ああ、今でも元気だし。よく喋るよ。今でも猿と飲んでるんじゃない?」と言っていました。 <感想> 相槌を打つだけでなく、 湯呑で酒を飲む猿なんてシュールすぎる。
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