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2020年02月22日

山に家出

何年か前に新聞記事になった実話。 初めは多分戦後からあまり経ってない頃だと思う。 彼は生まれてからずっと家族からいじめられ、 まともに食べ物も与えられず、給食で何とか生きのびていたという。 中学生のある日、とうとうがまんできなくなり、山に家出してしまう。 とぼとぼと山道を歩いていると、後ろからワンワンという犬の鳴き声が。 それは家で飼っていたシロだった。 とても咬み切れそうもない綱を切って追いかけてきたのだ。 なぜ家出したことがわかったのか不思議だったが、それからシロと山を転々とする生活が始まった。 食べ物はシロとの共同作業でウサギ、ヘビ、ネズミほか何でも獲って食べた。 獲れたものは全部シロと分けあって食べた。 ある日シロがいきなり体当たりしてきた。 いぶかしりながら「何すんだよ」と言ってると、元々いたところに巨石が落ちてきた。 シロは危険を察知して助けてくれたのだ。 ある時は高熱が出て一歩も動けなくなった。 シロは破れたシャツをくわえ、何度も何度も川へ行って濡らしてきては届けてくれたおかげで、 やっと熱が引き助かったこともあった。山で暮らし始めて何年か後のある日の夜、それまで一度も甘えたことがなかったシロが急にクーンと鳴いて甘えてきた。 ピッタリ寄り添って離れようとしない。 次の日起きてみると、シロが息絶えていた。 シロは最後を悟り、最後の最後だけ甘えてきたのだ。 一人泣いた。 何十年も過ぎ、関東から始まった山の中暮らしは東北南部にまで移動していた。 そのころは釣り名人として、ごく一部の渓流釣り人には知られるような存在になっていた。 たまには街中にも下りていた。 そしてある日、自動販売機のお金を盗んだ容疑で逮捕され、 そこで初めて何十年間も山中生活をしてたことがわかり、新聞にも掲載される。 今は釣りを通じて知り合った後見者のもとに身を寄せている。 しかし今もなお、何十年前に出たふるさとの事は話したがらないという。 <感想> 食べ物は釣りや木の実で何とかしたとして、 服はどうしてたんだろう?
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