2022年01月25日
ベートーヴェン:交響曲第5番「運命」&第6番「田園」 ブルーノ・ワルター指揮
ベートーヴェン:交響曲第5番「運命」&第6番「田園」
ブルーノ・ワルター
Beethoven: Symphony No. 5 & No.6 'Pastral'
ベートーヴェン:@交響曲第5番ハ短調 作品67 「運命」 A交響曲第6番ヘ長調 作品68 「田園」
[演奏]ブルーノ・ワルター指揮 コロンビア交響楽団
録音:1958年1月 27日(第1・第2楽章)&30日(第3・4楽章) (@) 1958年1月13日(第1楽章)、15日(第2・3楽章)&17日(第4・5楽章) ハリウッド、アメリカン・リージョン・ホール
SICC 40002 \1,600+税 DSDマスタリング
ベートーヴェンのみならず、古今の交響曲、いやクラシック音楽すべてを代表するといっても過言ではない大名曲2曲を、ワルター/コロンビア交響楽団による定評ある名演奏でどうぞ。クラシックのスタンダードたるこれら2曲の、きわめつけのスタンダードな名演が1枚で楽しめます。「運命」に聴ける推進力、「田園」での牧歌的な雰囲気、いずれをとっても老巨匠ワルターが晩年に到達した深遠な世界感が生んだものといえましょう。
ベートーヴェン「交響曲第5番(運命)」
[00:01]第1楽章:Allegro con brio ハ短調 4分の2拍子
[07:25]第2楽章:Andante con moto 変イ長調 8分の3拍子
[15:58]第3楽章:Scherzo: Allegro ハ短調 4分の3拍子
[20:38]第4楽章:Allegro - Presto ハ長調 4分の4拍子
ベートーヴェンは運命を作曲するにあたっていくつかの革新的な手法を用いています。第三楽章と第四楽章を間断なく続けて演奏させたり、交響曲で始めてピッコロ、コントラファゴット、トロンボーンを用いたりとそれまでの常識を打ち破っていきます。
これは第一楽章から第四楽章まで作品全体を一つの物語のように構成するためでした。ベートーヴェンはこの交響曲で苦悩から歓喜へと続くストーリー、人間が人生に立ち向かって行く様を表現したのでした。
第一楽章はAllegro con brioと指定されたソナタ形式で、有名な運命のモティーフを第1主題にし、対照的に緩やかな旋律を第2主題とする典型的な形式となっています。人生の苦悩、深刻さを表現するような重々しい雰囲気が楽章全体を包んでいます。
ソナタ形式とは第1主題、第2主題と2つのモティーフが現れる「提示部」、それらを発展させていく「展開部」、再び提示部が戻ってくる「再現部」、そして全体を締めくくる「コーダ」という構成で、漢詩でいう起承転結のような楽曲構成法です。この楽章で扱われる第2主題は、最初に提示されるときには変ホ長調で演奏され、一連のソナタが奏されたあと再び提示されるときにはハ長調で奏でられます。
第二楽章は変イ長調の変奏曲形式です。ヴィオラとチェロによって奏でられる優しげな第1主題と、木管と金管によって奏でられる力強い第2主題が、次々と変奏されていく楽章です。第一楽章で困難に直面した人間が、どうにかして人生の荒波に立ち向かって行く様子を表現しているように聴こえます。
第三楽章はハ短調の複合三部形式となっています。伝統的な交響曲では第三楽章にメヌエットを配していましたが、ベートーヴェン以降はそれよりも短くリズミカルなスケルツォが用いられています。第四楽章は第三楽章から続けて演奏されるハ長調のソナタ形式で、速度もPrestoで非常に早く、トロンボーンなどの効果もあり極めて華やかで明るく力強い楽章と言えるでしょう。この曲のテーマでもある「苦悩から歓喜へ」「暗から明へ」を締めくくるフィナーレとなっています。
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